「夢は、話した日から動き出す。」
家づくりの無料相談サービス『スーモカウンター注文住宅』の、新しいテレビコマーシャルなどのプロモーションに使用されているキャッチコピーです。家づくりについて語ることは、住まいや暮らしの夢を語ること。「夢を語る人」をコンセプトにした新CMでは、斎藤工さん、伊藤沙莉さん、やす子さん、髙橋藍さんがカウンター越しの対話形式で、それぞれの「建てたい家」について生き生きと話されています。
夢を語る演者たちの楽しげな表情と、偽りのない本音が印象的なCMは、台本のないリアルな対話から生まれました。その舞台裏や、30秒の映像に込めた思いについて、クリエイティブチームの権八成裕さん(クリエイティブ・ディレクター/CMプランナー)、岡本欣也さん(コピーライター)、浜辺明弘さん(アートディレクター)に伺います。
クリエイティブ・ディレクター自ら、実際にスーモカウンターを体験
── 2025年10月からスーモカウンターの新しいテレビコマーシャルが放映されています。クリエイティブ・ディレクターの権八さんは、そもそもスーモカウンターというサービスについて、どのような印象を抱いていましたか?
クリエイティブ・ディレクター・権八成裕さん(以下、権八):じつは、スーモカウンターのことはよく知りませんでした。名前はなんとなく聞いたことはあったのですが、どんなサービスなのか認識していなくて。ですから、プレゼン資料の1ページ目は、「大変申し訳ございません。スーモカウンターのことを全く存じ上げませんでした」という謝罪から入りました。

僕だけでなく、周囲でもサービスのことをちゃんと理解している人はほぼいませんでしたね。ただ、それはある意味では当然のことで、これまでのスーモカウンターのCMは「家を建てたい」と思っている人に向けてつくられている。だから、当事者以外には刺さりにくく、認知が広がらないのも無理はありません。
でも、これからはそうではなくて、「世の中の誰もがスーモカウンターを認識できるようなCMをつくりましょう」「家を建てたいと思ったときに、まずはスーモカウンターのことが頭に浮かぶくらい、たくさんの人にアプローチできるようにしましょう」という話を最初にさせてもらいましたね。
── スーモカウンターをあまりご存知でなかったということで、まずはサービスの理解から始められたかと思いますが、具体的なアプローチを教えてください。
権八:僕自身も家づくりに関心はあったので、スーモカウンターに行ってお客として体験させてもらいました。正直、知らない人にとっては理解しづらいサービスじゃないですか。「家づくりの相談」といっても、実際にどんなことをしてくれるのか? なんで無料なのか? もしかしたら、うまく言いくるめられて家を買わされてしまうんじゃないか、みたいな警戒心を持つ人もいるかもしれない。僕自身、そこがあまり分かっていないから、実際にスーモカウンターに行ってモヤモヤを晴らす必要があるだろうと。
── 実際に体験されてみて、モヤモヤは晴れましたか?
権八:結論から言うと、「これ、家を建てる人は絶対に利用したほうがいいな」と思いました。僕自身も家づくりに関する漠然とした要望や不安などもあって。「子どもが成長するにつれて、もう少し広いスペースが必要になりそう」など、リアルな悩みをぶつけてみました。僕が何を言ってもアドバイザーの方がニコニコと受け止めてくれたことにまず安心しましたし、本当に細かいことまで質問をしてくれるので、住まいに関する自分たちの課題が明確になるというか、整理してもらえるような感覚でしたね。
アドバイスもロジカルで的確でした。説得ではなく、こちらの状況をふまえつつ冷静にアドバイスしてくれる感じだったので、少なくとも「買わされるのかも?」みたいな不安は全くなくて。非常に信用に足るサービスだと実感できたので、そこからグッと(CM制作に向けて)力が入りました。こんなに良いサービスなのに、知られていないのはもったいないなと。

「夢は、話した日から動き出す。」コピーに込めた思い
── 新CMのコンセプトは「夢を語る人」。伊藤沙莉さん、斎藤工さん、やす子さん、髙橋藍さんがカウンター越しの対話形式で、それぞれの「建てたい家」について語るというものです。出演者のみなさんがスーモカウンターに来て、住まいづくりの夢を語っているようなシチュエーションを想起させますが、最終的にこの形になった経緯を教えてください。
アートディレクター・浜辺明弘さん(以下、浜辺):もちろん、いろんな企画や切り口を検討したうえでそこへたどり着いたわけですが、当初から変わらなかったのが「カウンター」にフォーカスするという点です。
当初は(SUUMOのブランドカラーである)緑のカウンターにすることを考えました。ただ、最終的に「カウンターで夢を語る人」をシンボリックに表現したいという意図から、白い空間と白いカウンターを採用しました。結果的に、この判断は正解だったと思います。あえてSUUMO感をなくしたことで、「夢を語る人」たちの表情や言葉をよりフラットに受け取ってもらえるのではないかと。

権八:かつては「夢のマイホーム」とも言われましたが、今も家を建てることは夢だと思うんです。じゃあ、その夢をどこで語るのか。それは、すごくシンプルで、ニュートラルで、ピュアな場所がいいだろうと。そこから「カウンターひとつの空間で、住まいや暮らしへの思いを自由に語ってもらう」というアイデアに至りました。
「夢は、話した日から動き出す。」というメインコピーも、わりと早い段階でありました。確か3回目くらいの打ち合わせでオカキンさん(岡本さん)が案出ししてくれて、まさにこれだと。スーモカウンターは「夢を語る場所」であること、「最初の一歩」であることを短い言葉で言い表していますし、CMを見る方に、「夢は心の中に秘めず、言葉にすることで実現していく」というメッセージを届けることができるのではないかと思いました。
── CMでは出演者の方々が家づくりの夢を生き生きと語ったあとに、「夢は、話した日から動き出す。」のコピーが現れます。見ているこちらも、ワクワクしてくるような演出でした。
コピーライター・岡本欣也さん(以下、岡本):家づくりに限定せず、大きく「夢」と表現したのは、世の中のより多くの人に届けたかったからです。今は夢を語れない時代になったとも言われていて、だからこそあのコピーが胸に刺さる人も多いのではないかと。

ただ、一方で、「今の人たちは果たして、家を建てたいのだろうか? 家づくりに希望を持っているのだろうか?」という疑いも持つべきなんじゃないかとも思っていました。
権八:オカキンさん、制作中もそれをずっと言っていましたよね。
岡本:数字で見れば、スーモカウンターのサービスは伸びているということでしたが、一方で、近年の物価高で家づくりに足踏みしてしまう人もいるのではないかと。今後もサービスを成長させていきたいなら、家づくりに不安を持っている人たちにも寄り添うというか、心の内を理解したうえでメッセージを送る必要があると考えていました。
今は家を建てるイメージが全く湧かない人でも、CMを見て明るい気持ちになったり、「スーモカウンター、いいこと言うね」と、ちょっとだけうれしい気持ちになってほしかった。先ほど権八さんが「世の中の誰もがスーモカウンターを認識できるようなCMを」と言いましたが、スーモカウンターが本当にメジャーな存在になるためにも、より広く世の中に共感してもらう必要があると考えてコピーをつくりました。
まっすぐに夢を語る伊藤沙莉さんの言葉で「いける!」と確信
── 岡本さんがおっしゃるように、多くの人がほんのり明るい気持ちになれるCMだと思います。何より、出演者の方々が本当に楽しそうに、まさに「夢」を語っていますよね。
権八:あれ、じつは台本がないんです。出演者の方々には「(カメラの横に立つ)僕と監督の平田大輔さんをアドバイザーだと思って、僕らからの質問に答えながら、家づくりの夢を自由に語ってください」とお願いしました。
── 通常のCM撮影では珍しいアプローチなのでしょうか?
権八:かなり珍しいと思いますし、少なくとも自分が関わったCMでは初めての試みです。やっぱり自分の夢を無邪気に語る姿って素敵じゃないですか。そうした素の表情や本音を引き出したかったので、あえて台本は用意せず、リラックスしていただくためにスタッフの数も最小限に絞りました。スタートやカットも明確に区切らず、雑談からゆるっと撮影を始めて。50分くらいカメラを回しっぱなし。技術スタッフは大変だったと思いますが、話を聞いている僕らはずっと楽しかったですね。
やす子さんはバラエティ番組とはまた違う一面を見せてくれましたし、伊藤沙莉さんの表情はすごくキラキラしていました。斎藤工さんは何を聞いても斜め上の回答が返ってきて、笑いをこらえるのが大変でした。

── 出演者の方々のお話のなかで、特に印象に残っている言葉は何ですか?
浜辺:僕は斎藤工さんの「アイランドキッチンに憧れます。ただ、あまり(自宅に)人が来ない。アイランドキッチンが無人島になりますね」という言葉です。
権八:確かに、あれは笑いました。僕が印象に残った言葉はなんだろう……、本当にどの方のお話もパンチラインだらけでひとつに絞るのが難しいですね。強いて言うなら、伊藤沙莉さんがおっしゃった「ずっと団地暮らしで、人との距離がすごく近い家で育った。理想は、人がちゃんと交流できる家、夜ごはんの匂いがふわっと届くような家。そんなあったかい時間がちゃんとつくれるような家にしたい」という言葉です。
普段はチャキチャキとした印象もある彼女が、落ち着いた口調で真っ直ぐに語ってくれている姿を見た時に、これはすごくいいCMになるなと確信しました。4人のうち最初の撮影が伊藤さんだったのですが、カメラを回し始めてすぐ、「これはいける!」と思えましたね。
岡本:僕は、やす子さんがぽろっと漏らした一言が印象に残っています。CMで使うことはなかったため正確な発言を明かすことは控えますが、やす子さんが「本当の自分に戻れる場所がほしい」という趣旨のことをおっしゃったんです。カメラの前で常に元気なやす子さんだからこそ、自宅ではなるべく素の状態でいたい。住まいのあるべき姿を言い表しているようで、とても印象に残っています。

── では、最後に視聴者の方へメッセージをお願いします。
権八:僕ら自身も出演者のみなさんの夢を聞いた時に改めて、家づくりって本当に素敵なことなんだなと感じました。
スーモカウンターはまさに、夢を話せる場所。今は具体的な計画がなくても、現実味がなくてもいいと思うんです。ちょっとした思いつきでいいからカウンターに足を運んでみたら、それをしっかり受け止めてくれるアドバイザーさんがいます。このCMを見てくれた多くの人に、「夢を語る」という最初の一歩を踏み出してもらえたらうれしいですね。
お話を伺った方:
権八成裕さん(クリエイティブ・ディレクター/CMプランナー)
電通、シンガタを経て、2019年ゴンパ設立。最近の仕事に、サントリー翠、−196、M-1打上、NTT、NTTドコモビジネス、NTTアノードエナジー、BASE、ペイトナー、WACK等。東京FM「澤本・権八のすぐに終わりますから。」放送中。
岡本欣也さん(コピーライター)
2010年オカキン設立。「日本は、義理チョコをやめよう。」(GODIVA)、「ときめくときを。」(TBS)、「誰も傷つけたくないスポンジ」(ウエルシア)、「-196」「金麦」(サントリー)、JTマナー広告など。
浜辺明弘さん(アートディレクター)
金沢美術工芸大学 商業デザイン科卒業 WATCH代表。最近の仕事に、サントリー「BOSS」「翠」「-196」、UNIQLO「LifeとWear」シリーズなど。地元富山魚津の「UO!JAZZ」フェスも主催。今年で9回目。
聞き手・文:榎並紀行(やじろべえ)
写真:小野奈那子
編集:スーモ編集部