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「吹抜け」のあるこだわりの家づくり【実例付き】

「吹抜け」のあるこだわりの家づくり【実例付き】

家を建てる際に吹抜けのあるおしゃれで広々とした空間を設けることは、多くの人が憧れているのではないでしょうか。一方で「吹抜けって寒くないの?」「お掃除が大変じゃないの?」など、気になる点もありますよね。そこで、建ててから後悔しないために気をつけておくべきポイントを、これまで吹抜けや天井の高い空間を活かした家づくりをされてきた建築家の若林秀和さんに聞きました。

吹抜けのメリットは?

若林さんによると吹抜けのニーズはとても高いそうです。
「注文住宅のお話をいただいて、最初にお客さんのイメージする理想の家を聞くと、結構な確率で『吹抜け』的なスペースがある家を望まれます」(若林さん、以下同)
それほど人気が高いのは、吹抜けにはさまざまなメリットがあるからです。

メリット1:開放感がある

吹抜けにはなんといっても圧倒的な「開放感」があります。縦方向に広がる空間があることが心理的にもいいようです。
「床の広さとの関係もありますが、天井が高く広いスペースに人は高揚感を感じるといいます。また、心理的には、視線が変わるスペースに入ることでも人は高揚します。ですから私は家を建てる際、可能な限り吹抜けのある天井の高い部屋と天井の低い部屋とをうまくつなげる設計をしています。例えば入口や玄関の天井高を低めにして、家の中に入っていくと明るくて広いスペースが現れる、というメリハリのあるつくりにすると、より開放感を感じやすくなります。壁のクロスなどの見た目にいろいろと工夫をするケースも多いですが、それだと長く住む中で飽きがくるかもしれません。一方、こういう印象的な吹抜けの構造なら心理的効果は長く持続するのではないかと考えています」

メリット2:大きな家が建てられる

吹抜け部分は空間なので床面積に入らないため、容積率に制限がある土地でも、吹抜けをつくらない場合に比べて大きな家が建てられます。

メリット3:自然な採光ができる

例えば、天井など高い位置までの吹抜けの場合、側面の大きな窓や天窓から光が差し込んで、照明がなくても家の中が自然な温かい光で包まれます。

吹抜けのあるリビングの写真

家の中に自然の光を取り込むことができるのは、吹抜けの大きな魅力の一つ(画像/PIXTA)

メリット4:自然な換気ができる

吹抜けは自然な風が流れる心地よい空間です。空気は低い所から高い所へと流れる性質があります。窓を開けただけで2階の窓から1階の窓へと風が吹抜けを渡っていきます。これは空気が温まると軽くなり上昇して高い窓から出ていく一方、出た量と同じだけの空気が低い窓から入ってくる“重力換気”のためですが、遮るものが何もない吹抜けはその効果がダイレクトに発揮されるからです。季節や部屋の使い方によって、窓開けなど少し気をつかうことでより吹抜けの効果が上がるはずです。

メリット5:家族のつながりを感じやすい

心理面でのほかのメリットとしては、家族のつながりを感じやすいということもあります。吹抜けがない場合、食事でダイニングに集まるとき以外に家族が顔を合わせる機会をつくりづらいものです。それに対し、広い吹抜けで1階のリビングから2階まで見渡せる構造だと、どこにいても家族の目が合いやすく、コミュニケーションの機会が増えるのです。

特に小さい子どもは目が離せないため、子育て中の母親にとっては、視界が広い吹抜け構造にはメリットが大きいでしょう。

また、働いて遅く帰ってきた際、食事を済ませてダイニングを離れた家族との会話の機会もプランニング次第で取りやすくなります。

「実は私が最初につくった住宅は、真ん中に吹抜けをつくって子どもの動向が見届けられやすい家でした。広めの廊下があって1階のリビングの周りに造り付けのカウンターをぐるっと配置し、その3畳ほどのスペースで子どもたちが勉強できるようになっていました。お母さんは家事でもっぱら下にいて、洗濯物を干しに階段を上り下りしますから、いつでもどこからも子どもたちに目が届くような家づくりを意識しました」

吹抜けを通して上の階から覗き込む子どもたち

吹抜けがあることで家族のコミュニケーション機会も増えることも(画像/PIXTA)

ところで、吹抜けというと、窓から光が差す明るい空間をイメージされる人が多いのですが、実はそれだけではありません。

「以前、ある施主さんからは『暗い吹抜け』をご要望されました。昔の民家って、屋根が高く大きくて中が暗かったじゃないですか。あれも一種の吹抜けです。ああいった自然光だけではちょっと薄暗い感じがする空間をあえて求められる方もいます。静かな空間に、高い小さな窓から差す光が素敵に浮かび上がります。そしてその光が時間によって周遊する、そんな濃厚な空間体験を楽しまれたい方もいます」

古民家の吹抜けの写真

屋根が高く薄暗い古民家の造りも、一種の吹き抜けと言える(画像/PIXTA)

このように、視界が広くコミュニケーションに実用的な点だけでなく、豊かな空間を楽しめるのが吹抜けのメリットといえるでしょう。

吹抜けのデメリットは?

このように多くの人が憧れる吹抜けですが、やはりデメリットも存在します。

デメリット1:音が気になる

視線が通る、空間が開けているということは、ちょっとした音も抜けるということです。通常、吹抜けはリビングに設ける場合が多いのですが、このリビングを介して多くの動線がつくられます。吹抜けの下では人が動き、子どもが騒ぐこともあるでしょう。1階でテレビを大ボリュームの音で点けていれば、その音が2階で丸聞こえになってしまいます。

音が気になる女性。吹抜けがある家では他のフロアの音が気になることも

(画像/PIXTA)

デメリット2:空気の循環が悪くなることがある

下層階が寒くなり、上層階に臭いがこもることがあります。空気は暖かければ下から上に流れ、冷めた空気は下にとどまる性質があるため、何の対策もしなければ1階と2階で温度差が出ます。例えば、オープンキッチンの場合には料理のにおいが2階にこもってしまうことがあります。適切な窓開けなどの換気を行って、うまく空気を動かすことができればメリット4で紹介したように自然に換気ができる家になります。

窓を開ける女性。吹抜けがある家では換気を心がけて

(画像/PIXTA)

デメリット3:冬は寒い

吹抜けをつくると、1階部分は冬はどうしても寒くなります。暖かい空気は上へ上へと流れ、冷たい空気が下にたまるからです。夏は逆に2階部分が暑くなります。

寒がる女性。吹抜けがある家の1階は寒くなりがち

(画像/PIXTA)

デメリット4:光熱費等がかかる

吹抜けは広い容積を空間が占めるため熱効率が悪く、どうしても工夫しないと光熱費がかかってしまいます。また、通常なら天井面の反射を織り込んだ照明計画を立てますが、天井が高いと反射光を見込めなくなるため、照明の設置が増えて費用が掛かることもあります。

吹抜けを設けると光熱費が高くなることも

(画像/PIXTA)

デメリット5:掃除が大変

天井が高いため、窓やシーリングなど手が届かない箇所が多くなり、掃除が大変になります。

吹抜けは脚立を利用するなど掃除が大変に

(画像/PIXTA)

デメリット6:床面積が少なくなる

先ほどメリットで、吹抜けをつくると大きな建物が建てられると書きましたが、逆に、吹抜けをつくると部屋などに利用できる延べ床面積が減ってしまいます。

では、床面積が減る分、建築費が下がるかというとそうでもありません。通常、2階に床をつくった場合とほとんど同じ金額になります。これは、床をつくる手間が省けた分、吹抜けのために足場を組んだり、断熱材を入れるといった追加の費用が掛かるからです。

吹抜けを見上げた写真

(画像/PIXTA)

なお、気にされる方が多い「耐震性」についてはどうでしょう?

耐震性について

天井や梁、壁などの構造物がない分、構造的に弱い部分が出てくるのでは、と不安を感じる人もいるかもしれません。これは結論から言えば「問題ない」と言えます。住宅を新築する場合、最初から吹抜け込みで設計されます。建築基準法にのっとって柱や梁の大きさなど構造物全体のバランスがチェックされ、設計段階で耐震性を満たせるように補強が入れられるからです。役所などへの建築確認申請が通らないと着工できなくなっており、設計の際の図面づくりに構造設計者の参加が必須となるので、吹抜けだから耐震性の問題があるとは言えません。

デメリットをカバーする設備を整えよう

こういったデメリットは、必要な設備を整えることでカバーすることができます。

音は防音効果のある壁材でシャットアウト

音について気になるようであれば、最初から吸音パネルや防音シートを壁に貼り、音の反響を少なくすることができます。

空気循環にはファンと窓を活用

1階と2階の温度調節の対策には、ファンの利用が適切です。

「ファンを回すと空気が一方向に流れず空間を回っていくサーキュレーション効果があります。シーリングファンはインテリアとしても見栄えがしますから、吹抜けの広い空間にとても映えます」

同じ空気対策でも、においはファンを回すだけで無くすことはできません。まずはなるべくキッチンからにおいが漏れていかないようにレンジフードなどできちんと換気するよう心がけましょう。吹抜けににおいがこもってしまった場合を考えて、局所的にどこかに窓をつくり換気できるようにしておくのも一考です。また、通常5万円〜15万円程度で設置できる空気清浄機の設置も効果的です。

なお、現在、住宅を建てる際には「24時間換気」が必須になっています。これはシックハウス症候群への対策で、居室(寝室、個室、リビング)には相応の換気が求められています。

暗さは照明でカバー

窓からの採光だけでは明るさを確保できない場合、照明に工夫が必要です。室内にはシャンデリアやシーリングライトを採用する場合が多いものですが、吹抜け部分に設置するには光量が足りないかもしれません。この場合、天井からコードを伸ばしてリビングを効果的に照らすペンダントライトや、天井面以外に壁からやスタンドライトなど部分照明で必要な明かりをとると効果的です。

 光熱費対策はトータルコストを考えましょう

吹抜けをつくると、冬はどうしても室温が低くなるため、リビングなどへの暖房器具の設置は必須です。ただし、空気を上部にためないよう同時にファンなどを回して空気を循環させる必要があります。また、石油ストーブの場合は同時に換気も十分考える必要があります。また、設置に相応のコストはかかりますが、床暖房は足元から暖をとることができるのでとても効果的です。

「同時に『体感温度』を考えることも一つの方法です。床の素材によっては室内の温かさを反映せず、室温が十分暖かくても寒く感じる場合があります。例えばビニール系の床材とむく材のフローリングとでは体感温度がずいぶん違います」

また、断熱材を使って断熱性能を上げることで寒さを防ぐこともできます。給気と排気での外との熱量の行き来を少なくすれば、一層断熱効果は高まります。

断熱効果が高い家のイメージ

(画像/PIXTA)

「今は顕熱交換式(温度のみ)や全熱交換式(温度+湿度)の24時間換気システムがあります。これらは室温や室内湿度を保ったまま換気ができる仕組みです。イニシャルコストは高いですが、冷暖房や除湿器の利用を長年継続するコストを考えると、最初からこれを利用するのがお得ではないでしょうか」

逆に夏は、冬よりも2階部分に暖かい空気がたまり室温が高くなります。しかし、コストは冬に比べるとあまり問題にならないでしょう。その理由として、一つは上下の窓を開けておくことで、重力換気で自然に暑い空気が外部に放出されるからです。もう一つは、エアコンをつけた場合の熱効率のよさです。エアコンの冷たい空気は下へ下へと下がっていきます。2階にエアコンをつけた場合、ある程度密閉されていれば吹抜けを通じて1階まで全体を冷やすことができます。

掃除グッズや電動昇降機などの設備を活用

吹抜けの場合、年に一回は脚立やはしごを使って天井の梁や窓を掃除することをオススメします。そのため、高い位置に届くような伸縮タイプの便利な掃除グッズが販売されています。

シーリングファンやシーリングライト、ペンダントライトなど天井面に設置されるものの中には、最初から掃除がしやすいように考えられた電動昇降装置付きのタイプもあります。相応のコストはかかりますが、掃除の大変さと比較すれば、必要な投資と考えることもできるでしょう。

シーリングファンのイメージ

お掃除の方法や手段も事前にイメージしておきたい(画像/PIXTA)

それでも、天窓にカビなどが発生してしまった場合は素人の掃除だけではどうしても対応しきれないケースが生じます。一定期間を経たらプロにメンテナンスをお願いする必要があることを予め見込んでおく必要があるでしょう。

「例えば、家を地元の工務店でつくった場合、年に1回程度、家の状況を見に来てくれることがあると思います。そのときに『あそこを拭いてくれませんか?』と気軽にお願いできる関係を築けているといいですね」

吹抜けを導入する際のポイント

このように、吹抜けのデメリットを設備面で補うことで、さほど不自由なく吹抜けのある生活を営めると思います。そのためには、家を建てる前のできれば設計段階から、具体的にどういう設備を利用するかを決めておくことが望ましいです。

「例えばリビングの照明一つをとっても、配置するためのコンセントをどこに置くか、フロアコンセントにするか、などを考えなければいけませんし、壁にスポットライトをつけたい場合などは、仕上げ前にその高さに木材の下地を入れねじが使える状態にしなければなりません。

吹抜けを設置することによっていろいろな設備が必要で、その分お金がかかるのは事実です。その際、全熱交換型の24時間換気システムや電動昇降装置付きのシーリングファンなどの設備については、一時的にコストはかかっても長期的な視点でライフサイクルコスト(家を建てて壊すまでのコストのこと)を考えて導入するかを決めていただきたいと思います」

<ご参考>設備・道具にかかる大まかな費用

<ご参考>設備・道具にかかる大まかな費用

金額はあくまで参考であり、各種条件によっては大幅に変動することがあります(図/SUUMO編集部)

そして、吹抜けの導入についても、ライフサイクルコストを含めさまざまな条件をもとに、綿密に検討したうえで、導入するかどうかを判断してほしい、と若林さんは言います。

「吹抜けを設けると、住まいとして特色は出ますし心理的にいい効果があり、施主さんが建てた家をもっと好きになっていただけると思います。それでも、機能的には無駄な空間をつくってしまうのも事実で、スペースとのトレードオフ関係にあります。

吹抜けのある家では、設備面だけでも暖房や照明設備について複数の選択肢があって迷うことも多いでしょう。また、建ててからも脚立を使った掃除やメンテナンスについてなど、いろいろな検討課題があって面倒に感じるかもしれません。実際、吹抜けがない場合に比べて、さまざまな手間が必要になります。吹抜けをつくる場合には、そのような手間をかけること自体を一つの暮らし方として楽しんでいただけるといいな、と思います」

先輩たちは吹抜けをどう取り入れた? 実例から学ぶ

それでは実際に吹抜けを取り入れた先輩たちはどのような暮らしをしているのでしょうか?実例を参考に学んでいきましょう。

CASE1】見上げるたびに好きになっていく 木のぬくもりのある吹抜け

浜松のSさんのお宅は、ヒノキや米松材をふんだんに使用して木のぬくもりに満ちています。玄関の土間に直結するLDKは、壁や仕切りを極力排し、広々とした開放感のある吹抜けスペースとなっています。

壁や仕切りを極力なくした設計のため開放感のある吹抜け/注文住宅実例

「木のぬくもり」と「吹抜けの開放感」を感じることができるよう、壁や仕切りを極力排した設計になっている(写真/相馬ミナ)

この実例をもっと詳しく→
木のぬくもりに10種類のクロス(壁紙)が彩りを豊かに。50歳の節目に建てた”姉ちゃんの城”

【CASE2】階段から見下ろすと子どもの笑顔が 親子の会話が弾む吹抜け

千葉県流山市のSさんのお宅は、家族がそろうリビングダイニングの横の階段脇に、お子さんの勉強にも自分の仕事にも使えるスタディーコーナーを設けています。1階からも2階からも、いつでも気軽に声を掛けあえる空間を吹抜けが実現しています。

開放的で上下階でコミュニケーションの取りやすい吹抜け/注文住宅実例

2階から見た吹抜けリビング。明るく開放的、上下階で家族のコミュニケーションが取りやすいなど、たくさんのメリットがある(写真/相馬ミナ)

この実例をもっと詳しく→
お手入れや家事がしやすく、長い目で見てお得な コストパフォーマンスの高い家を目指して

【CASE3】キッチンまで明るく照らす おしゃれな階段スペースの吹抜け

終の住処として大阪府のKさんが建てた家では、18畳の広いLDKから2階に上がる階段スペースに吹抜けをつくりました。大きな上下の窓から光が差し込むステップフロアのある空間が存在感を示しています。

吹抜けに収納付きで便利なスキップフロアを設置/注文住宅実例

気持ちの良い吹抜けにはおしゃれなスキップフロア。季節家電を仕舞える収納付きで便利さも兼ね備えている(写真/河原大輔)

この実例をもっと詳しく→
白いガルバリウムの外壁にとことんこだわって、ようやく完成した終の住処

スーモカウンターでできること

このように、さまざまな家族が吹抜けのある家で快適な暮らしを営んでいます。建てる前に綿密な準備をして、コストも含めて総合的に判断したうえで、憧れの吹抜けのある暮らしを手に入れたいものです。

注文住宅の新築・建て替えをサポートしているスーモカウンターでは、土地購入や家づくりの不安を解決できる無料講座や、アドバイザーに悩みを相談できる無料の個別相談などを実施しています。個別相談では吹抜けの設計が得意な建築会社の紹介など、注文住宅を建てる際のあらゆる不安について、知識と経験のある専任アドバイザーに無料で何度でも相談できます。

家に吹抜けをつくるべきか迷っていたり、吹抜けを設けたいけれども不安を感じている人は、スーモカウンターを活用して、家づくりの第一歩を踏み出してはみてはいかがでしょうか。

取材協力/若林秀和さん

tai_tai STUDIO代表、一級建築士。1993/早稲田大学大学院修士課程修了(建築計画/石山修武研究室)後、大成建設株式会社設計本部勤務。都内設計事務所勤務を経て独立。tai_tai STUDIO設立。浅野工学専門学校建築工学科非常勤講師も務める。

取材・文/櫻井とおる(スパルタデザイン)