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縁側とは? 縁側のある家のメリット・デメリットや実例を紹介!

日本家屋で見かけることのある「縁側」。縁側に座ると落ち着くという人もいるでしょう。そもそも縁側とはどのようなものなのでしょうか? メリット・デメリットやモダンな家への取り入れ方について、建築設計事務所KADeLの黒瀬さんに聞きました。

縁側とは?ウッドデッキとの違いは?

縁側は「えんがわ」と読み、部屋の外側に設けられた板張りの空間を指します。

日本家屋の縁側の写真

縁側は昔の日本家屋にはごく普通に設けられていた(画像/PIXTA)

ウッドデッキとの違い

一般的に、軒下に収まるコンパクトな幅のものが縁側、屋根がなく外壁から広い幅で突き出ているのがウッドデッキとされています。しかし近年、その境目はあいまいになりつつあるようです。

「私たちは、幅や屋根の有無では区切らず、部屋から和風の庭に出るものを縁側、リビングから洋風の庭に出るものをウッドデッキとしています」(黒瀬さん/以下同)

縁側の種類や役割、寸法など基本的な知識を紹介!

縁側の種類

縁側は、家の内と外のどちらに配置されるかによって、大きく以下の2種類に分かれます。

・くれ縁:家の内側にある縁側を指し、内縁(うちえん)ともいう。とくに奥行きが広いものは広縁(ひろえん)と呼ばれる。
・濡縁(ぬれえん):家の外側にある。窓よりも一段下がって設けられているものは落ち縁と呼ばれる。

くれ縁と濡縁のイラスト

くれ縁と濡縁は家の内と外にあるかだけでなく、板の張り方も異なる。くれ縁は掃き出し窓に対して平行に、濡縁は垂直に張るのが一般的(イラスト/杉崎アチャ)

縁側の役割

縁側は長い間、主に部屋と部屋をつなぐ廊下としての役割を果たしていました。

現在は、廊下として機能させる目的で縁側を設けることは少なくなってきています。しかし夏の日差しを遮る、外の風景を楽しむといった役割は、今も変わりません。室内と庭とをつなぐ中間領域として、住む人が自由に、多目的に使えるスペースとして活躍しています。

寝殿造りの縁側の写真

縁側は寝殿造りのひさしの間が起源とされている(画像/PIXTA)

縁側の高さ

縁側は、くれ縁も濡縁も部屋の床との段差を設けずに、同じ高さにするのが一般的です。高さをそろえることで部屋との一体感が強くなり、室内空間の延長として広がりを感じられるようになります。

濡縁では、床から10cm〜15cm下げて落ち縁にすることも。落ち縁にすると庭との距離がさらに近くなり、また段差があることで視覚的な変化が生まれる効果もあります。

「昔の住宅は床下を高くとっていたので、段差を減らす目的で落ち縁にすることがありました。しかし現代の住宅は、床下の高さは約40cm〜50cmしかないので、落ち縁にすることはほとんどありません」

縁側の奥行きや幅の寸法

縁側を廊下や通路として考えるときの奥行きは、90cm(約3尺)とするのが一般的です。奥行きを広くして広縁とする場合は、120cm(約4尺)以上とします。縁側の幅については、壁面の端から端までとるのが基本です。ただし目的によっては、掃き出し窓と同程度の幅にすることもあります。

「一般的な木造住宅であれば、ひさしを延ばせる距離は壁から90cm〜120cm程度です。濡縁の場合、ひさしと縁側の奥行きをそろえるときれいに見えます。基本的に縁側は、大胆に広く長くつくったほうが、迫力が出て魅力が発揮されると思います」

奥行きを広く、長く設けた縁側の写真

縁側は奥行きを広く、できるだけ長く設けると迫力が出て魅力が増す(画像提供/建築設計事務所KADeL)

縁側のメリット

住宅に縁側を設けることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

夏の日差しを遮る

縁側があると、夏の日差しが直接部屋に入り込むのを防げます。くれ縁の場合は部屋から窓までの距離が遠くなり、濡縁の場合はあわせて延びるひさしが影をつくるためです。

「ただしこれは縁側が南にあった場合の話です。東や西にある場合、日が差す角度が低いため日差しを遮ることはできません。そのため縁側は南に設けると、もっとも恩恵を受けやすくなります」

通風を良くする

縁側をつくる場合、大きな掃き出し窓を設けて開口部を広くとるのが一般的です。開口部が広いとより多くの風を取り込めるので、屋内に湿気がたまりにくくなります。

風通しのよい縁側の写真

縁側は掃き出し窓とセットとなるため開口部が広くなり、風通しが良くなる(画像/PIXTA)

室内の温度を一定に保つ

夏場の直射日光をひさしが防ぐことで、室内温度が上昇しにくくなります。それでは冬場には日が差し込まず寒くなってしまうのではと心配になりますが、冬には太陽高度が低くなり、日差しは部屋の奥まで届くので問題ありません。日差しをコントロールすることで室内の温度を一定に保ちやすくなり、省エネ効果を得られるのも縁側をつくるメリットです。

「日差しをひさしでコントロールするのは、電気がなかったころの日本建築の知恵のひとつです。ただしひさしが90cm〜120cm程度出ていないと、効果を得にくくなります。

また縁側を設けると開口部が広くなることが多いため、あわせてサッシや窓ガラスの断熱を考えることも大切です」

人と人との交流の場になる

縁側は、玄関よりもゆるやかに外とつながる空間です。玄関からの訪問はフォーマルなイメージがありますが、縁側であれば外から気軽に声をかけてほどよいコミュニケーションをとりやすくなります。庭でバーベキューを楽しむときに多くの人を招いても、縁側があれば椅子の心配をする必要がありません。

縁側で語らう人の写真

外に開けた縁側は、玄関よりも気軽に立ち寄りやすい(画像/PIXTA)

「借景」を楽しめるのも縁側の写真

外の風景を額縁のように切り取り部屋に取り込む「借景」を楽しめるのも縁側の魅力(画像/PIXTA)


庭の植栽や借景を楽しめる

縁側を設けるときにはあわせて開口部を広くとるため、部屋の中から外の景色を眺めやすくなります。庭の植栽が色づくことで季節の移り変わりを感じたり、縁側に座って月見や雪見をしたりするのも風流です。自然の風景を部屋に取り込む「借景(しゃっけい)」も楽しめます。

部屋が広く見える

部屋と同じ高さに縁側を設けることで、一体感が出て広く見えるのもメリットです。洋室であれば、縁側をアウトドアリビングのように使えます。部屋から縁側、そして庭まで、雰囲気を統一するとなお効果的です。

縁側のデメリット

さまざまなメリットのある縁側には、次のようなデメリットもあります。

スペースが必要

縁側をつくるには、それだけのスペースが必要です。例えば建ぺい率(敷地面積に対する建築面積の割合)いっぱいで家を建てる場合には、家の内部にくれ縁をつくると、部屋に使える面積がそれだけ狭くなってしまいます。濡縁とあわせて庭も設計するのであれば、さらに広い土地が必要です。

庭のある広い戸建ての写真

縁側をつくるなら庭を設けられる広さがあるのが望ましい(画像提供/建築設計事務所KADeL)

プライバシー対策や防犯対策が必要

縁側は外部から見える場所にあるので、プライバシーを確保しづらいのもデメリットです。目隠し壁を設置すると防犯性は高まりますが、縁側からの景観は悪くなってしまいます。目隠し壁と植栽を組み合わせるなど、工夫が必要になるでしょう。さらに掃き出し窓についても、防犯合わせガラスを使うなど、あらかじめ対策しておくことが大切です。

「掃き出し窓の上部に収納できるロールスクリーンを設置しておくと、少し下ろすことで外からの視線を遮りつつ、室内からの景観を損なわずにすみます。和紙のような透け感のある素材のものを選ぶと、部屋が暗くなることもありません。

さらに縁側の屋根になるひさしは、隣家の2階など高所からの視線を防ぐ役割も果たします」

庭の手入れが必要になる

縁側から見る庭が荒れ果てていると、魅力が半減してしまいます。縁側から見える風景を心地よいものとするために、庭の手入れは欠かせません。

手入れされた庭の写真

縁側で心地よい時間を過ごすためには、庭の手入れが欠かせない(画像/PIXTA)

縁側のつくり方

ここからは、縁側をつくるために検討しておきたいことを紹介します。

縁側をつくる目的を確認する

まずは縁側をつくる目的は何なのかを明確にしておきましょう。家族やご近所とコミュニケーションをとる場所にしたいのか、静かに庭を眺めたいのかによって、くれ縁にするのか濡縁にするのか、また必要な広さがどれくらいなのかなどが違ってくるためです。

「例えばダイニングと縁側が近いと、縁側越しに庭の緑をのぞめて気持ちよく食事ができ、家族の会話も弾みます。縁側がある家で、どんな暮らしをしたいのかを考えてみるとよいでしょう」

縁側と廊下の関係性

縁側に廊下としての機能を持たせるのかによっても、くれ縁にするか濡縁にするか、また奥行きはどの程度にするのかなどに影響します。廊下にする場合は、どことどこの部屋を接続させるのか、部屋の配置や間取りも含めて検討しましょう。

縁側の屋根の考え方

縁側の屋根については、さまざまな方法が考えられます。もっとも一般的なのは、縁側の上にひさしを設けて屋根とする方法です。ほかには平屋の屋根をそのまま外壁よりも長く延ばし、軒として縁側の屋根としたり、2階のテラスや部屋の下に縁側をつくったりするケースもあります。

屋根については、支える柱の有無もあわせて考えなければなりません。ないほうが開放感はありますが、設計上、強度を持たせるためには柱が必要になることもある点は留意しておきましょう。

「基本的にはひさしの幅が1mを超えると柱を検討します。ただ、柱が必要になる場合でも、立てる位置をサッシとあわせる、最低限の数に抑えるなど工夫をすれば、存在が気にならないようにすることが可能です」

縁側のひさしに設けられた支柱の写真

ひさしを長く出すと強度を保つために支柱が必要になる。しかし使用する素材や配置などを工夫すれば気になることはない(画像提供/建築設計事務所KADeL)

縁側と庭との関係性

縁側があっても庭が狭く、すぐ目の前が塀だったり隣家の壁だったりすると、魅力は半減してしまいます。縁側を考えるときには、庭も含めて敷地をどう活用するかを考えなければなりません。具体的には、庭に面している部屋と庭の広さが1:1になるとバランスが良い、と黒瀬さん。

「例えばダイニングとリビングの前に縁側を置く場合、同じぐらいの広さの庭が広がっていると迫力があり縁側の存在感が出ます。さらにゆとりや余裕といったものも感じられるようになります。

とくに都市部で家を建てるときには『できるだけ部屋を広くしたい』と考えがちです。しかしできあがってみると『開放感がないな』と感じられる方も少なくありません。多少部屋を狭くしても、縁側や庭を設けたほうが、部屋を広くする以上の空間の広がりを演出できる場合もあるので検討してみていただきたいですね」

開放感のある庭と縁側の写真

都会では敷地いっぱいに家を建てたくなるが、縁側を設け空間に余白を持たせることで開放感を得られることも(画像提供/建築設計事務所KADeL)

縁側の前に置く石の役割

縁側の前に置かれる石は、くつ脱ぎ石、踏み石などと呼ばれます。縁側と庭との段差を小さくし、靴を脱ぎ履きするために置かれています。基本的には平たい自然石が採用されることが多いです。

「洋風の縁側では、自然石ではなくコンクリートで長方形のシンプルなものをつくることもあります。縁側が接する部屋それぞれの前に置いておくと、庭へのアクセスが良くなります」

縁側の前に置かれたくつ脱ぎ石の写真

くつ脱ぎ石は縁側と庭との段差を低くするのはもちろん、靴が土で汚れなくする役割も(画像/PIXTA)

洋風やモダンなど、おしゃれな縁側にするには?

和室のイメージが強い縁側ですが、建具や設備を工夫することで、洋風の住宅にも合うおしゃれな雰囲気に変えられます。例えば部屋と縁側の仕切りを、ガラス障子などではなくシンプルな1枚ガラスにするだけで、明るくモダンな縁側を演出できます。

「窓にはたまりができるカーテンではなく、ロールスクリーンやプリーツスクリーンを使うのが、空間をすっきりさせるポイントです。夜には間接照明でライトアップすると、ぐっと雰囲気が良くなります」

縁側のある家の間取り実例を紹介!

それでは、実際に縁側を取り入れた家の実例を間取りとあわせて紹介しましょう。

【事例1】家の中と外とをゆるやかにつなぐ縁側は、奥行き2mで存在感抜群

家の二面を囲むように、幅2mの縁側を大胆に配置した事例です。美しく整えられた日本庭園は、ほどよく外からの視界を遮り、プライバシーを守る役割も果たしています。広く張り出した軒をしっかりと支える柱は、サッシと同色で細いものを選ぶことで、中から見たときに景観の妨げにならないよう工夫されています。

長く続く縁側の写真

家に沿って長く続く縁側は奥行きが2mあり存在感抜群(画像提供/建築設計事務所KADeL)

縁側と庭の奥行きと、LDKの奥行きがほぼ1:1のバランスとなるよう設計された間取り図

縁側と庭の奥行きと、LDKの奥行きがほぼ1:1のバランスとなるよう設計されている(間取図/建築設計事務所KADeL提供の画像を基にSUUMO編集部で作成)

【事例2】大きな1枚ガラスで開放感アップ! 間接照明がおしゃれな洋風の縁側

リビング正面の窓は、できるだけ視界を遮らないよう大きな1枚ガラスを採用して開放感を演出。リビングからの出入り口前に設けたウッドデッキと連続させることで、洋風の住まいに違和感なく溶け込む縁側になりました。アウトドア空間を楽しめるよう、縁側の先にはバーベキューコーナーも。夜に灯される間接照明がさらにおしゃれ度をアップします。

洋風モダンな縁側の写真

リビング前のウッドデッキと連続性を持たせたことで、洋風モダンな縁側となっている(画像提供/建築設計事務所KADeL)

洋風モダンな縁側の間取り図

エントランス前の廊下とウッドデッキ、縁側が連続しているので、玄関を通ることなくリビングへとアクセスすることもできる(間取図/建築設計事務所KADeL提供の画像を基にSUUMO編集部で作成)

【事例3】2階の寝室に設けられた室内へとつながる縁側

1階の寝室の窓に、内と外につながる縁側が設けられています。窓の高さは外からの視線をカットするよう130cmほどに抑えていますが、座ったまま向きを変えるだけで外に出られます。ベッドルームには照明を設置せず、縁側から白い壁へ向けて間接照明を灯し、反射光で室内を照らすよう工夫されています。縁側の横にグリーンを配置したことで、癒やしの空間となりました。

寝室の奥に配置された縁側の写真

寝室の外に配置された縁側は、室内では居心地の良いヌック・スペースとなる(画像提供/建築設計事務所KADeL)

1階のほかに、2階にも縁側を設けた家の間取り図

1階のほかに、2階にも縁側を設けた。窓を大きく開けると開放的なリビング空間になる(間取図/建築設計事務所KADeL提供の画像を基にSUUMO編集部で作成)

縁側のある理想の住まいを実現した先輩たちの事例を紹介!

ここからは、スーモカウンターで縁側がある家を建てた先輩たちの実例を紹介します。

【事例1】人目を気にせずくつろげる、中庭に面した縁側

日当たりのいい縁側がある日本家屋に憧れていたTさん夫妻。しかし縁側が外に面していると「人目が気になってくつろげないのでは」と考えました。そこでコの字型の間取りにして設けた中庭に縁側を配置。中庭には家庭菜園を充実させる予定なので、人目を気にすることなくのんびりと縁側に座り、すくすく育つ野菜を見守る日を過ごせそうです。

縁側の注文住宅実例

対面キッチンに立つと、大きな掃き出し窓越しに縁側、そして中庭を望める(画像/アラキシン)

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「わが家に帰ってきたな」とホッとする、土間のある平屋

【事例2】日当たりの良い縁側はお気に入りのスペース

結婚当初に購入した築35年の中古の日本家屋を、気密性・断熱性の高い住宅へと建て替えたNさん。なかでも日当たりの良い掃き出し窓の前に設けた縁側は、お気に入りのスペースです。掃き出し窓の前に縁側があると、空間の活用の幅が広がります。

縁側の注文住宅実例

休日は和室の縁側で、竹刀の手入れをしている(画像/くめりんたろう)

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縁側のある家をつくるポイントは?

最後にあらためて黒瀬さんに、縁側のある家を計画するときのポイントを聞きました。

「縁側は、庭とゆるやかに接続するための、巧みな空間操作術です。縁側をどのように配置すると快適な住まいになるのかを、よく考えることが大切です。縁側のベストな配置は個々の住宅や立地条件によって異なります。縁側の魅力を引き出し、恩恵を受けられるよう、設計者と一緒に考えましょう」

スーモカウンターに相談してみよう

「家づくりはどうやって進めたらいいの?」「縁側のあるおしゃれな家を設計してくれる会社を知りたい」など、住まいづくりにあたって悩みや疑問を抱えている人は、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご希望をお聞きしたうえで、実現してくれそうな依頼先を提案、紹介します。 

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取材協力/黒瀬 信幸さん(建築設計事務所KADeL/富国ハウジング

取材・文/佐藤 カイ イラスト/杉崎アチャ