「家づくり」と聞くと建物の内装や外装、間取りにばかり目がいってしまいがちですが、建物の外部も合わせたトータルで考えてはじめて理想の家づくりが実現するのではないでしょうか。
そこで、エクステリアに注目して、エクステリアとは何か、どういった種類があるのか、検討するときのポイントなどをファーストステージの池田大基さんに聞きました。
エクステリアとは? 外構とは違うの?
エクステリア、外構、造園など、家づくりの際に混合されやすい言葉があります。特に、エクステリアと外構はほぼ同じ意味だと思っている人もいるのではないでしょうか。
エクステリアを構成する要素、外構との違いは?
厳密には、エクステリアと外構は全く同じものを指すわけではありません。
「外構は、敷地を区切るブロックや、駐車場に敷くコンクリートなど、建物の外にあって住まいを構成する構造物そのもののことを指します。それら構造物が複数集まった家の外部全体のことをエクステリアと呼んでいます」(池田さん、以下同)
エクステリアを構成する主な要素
(1)門扉・門柱
(2)フェンス
(3)アプローチ
(4)デッキ・テラス
(5)カーポート・ガレージ
(6)植栽
(7)照明
エクステリアの役割とは?
池田さんは「住まい全体の中で、エクステリアには大きな役割がある」と言います。どのような役割なのでしょうか。
「エクステリアには、住まいと地域との接点としての役割があります。それと同時に防犯の役割もあり、住まいのどこまで他人が入るのを許すのか、どこで人を迎えるのか、考え方によってエクステリアのあり方も変わります。一方、庭など主に住む人のためにあるエクステリアには、日常的な楽しみを与えるという役割もあります」
エクステリアを検討するときのポイントは?
エクステリアのあり方は、地域とのかかわり方によると言います。
「フェンスや塀で敷地を囲んだクローズ外構と、目隠しになるようなものがないオープン外構の例がわかりやすいでしょう。オープンにすれば日当たりは確保できますし開放的な住まいになりますが、知らない人でも敷地内に入ってきやすくなってしまいます。また、人通りの多い道路沿いの住まいでオープン外構を採用すれば、通行人の視線が気になって落ち着きません。一方、周りの家がオープン外構ばかりなのに、一軒だけクローズ外構だと閉鎖的な印象を与えてしまいます」
また、地方などで一軒当たりの敷地が広い場合、敷地の周り全てにフェンスや塀を設置してしまうと、外構費用が非常に高くなってしまうといったコスト面の影響もあります。
門扉・門柱を検討するときのポイント
門扉・門柱は、敷地内と敷地外を分ける目印になります。門扉・門柱にインターホンを設ければ、基本的に来客はそこで立ち止まることになります。また、郵便ポストや新聞受けを設置するケースもありますが、その場合、配達員は敷地内に入らないでほしいとやんわりと意思表示をする効果もあります。
「家族以外の人にどこまで敷地内に入ることを許すのかが、門扉・門柱を検討するときのポイントです。建物の前まで進入しても構わない場合、インターホンや郵便受けは門扉・門柱ではなく、より建物に近いところに設けることになります」
また、門扉・門柱は住まいの顔となる箇所でもあるため、住まい全体のデザインや雰囲気に合わせて検討した方がいいと言います。素材としては、常に外にあって雨風にさらされる箇所なので、メンテナンスフリーのものが適しています。
フェンスを検討するときのポイント
フェンスの主な目的は、他人の進入を防ぐことと、目線を切ることです。
「フェンスを高くすれば、庭やデッキが屋内の延長になるという効果もあります。道路沿いのフェンスを低くしたために、通行人の視線が気になって庭やデッキで遊べないという失敗は多いものです。一方で、フェンスを高くすることのデメリットもあります。高くすればそれだけコストも高くなりますし、街から死角ができ侵入犯などが入ると外からの監視が効かず防犯性能が低下してしまいます。他にも台風などで倒壊しやすいという防災面の不安もあります。
デメリットはありますが、他人の目を気にしない屋外空間の気持ちよさは何物にも替えがたいものがあります。家をコの字型にして1辺につくる目隠しの塀やフェンスを建物にしっかり固定する、金属や木などの格子状のフェンスで圧迫感を抑えつつきちんと敷地の内と外を区切る、生垣や植栽などを設けてやわらかく区切るといった対策を取るのがいいでしょう」
アプローチを検討するときのポイント
アプローチとは、門扉・門柱から玄関までの通り道のことです。素材としては、コンクリートやタイル、インターロッキング、自然石、レンガなどが一般的です。
「アプローチは、素材によって雰囲気が大きく変わります。住まい全体のデザインや雰囲気に合わせて検討するのがいいでしょう。また、門扉・門柱から玄関まで一直線にしてしまうのが機能的ではありますが、あえて途中で曲げて、そこに木を植えるなどの遊びをつくると、住まい全体のイメージも変わります」
デッキ・テラスを検討するときのポイント
デッキは、屋内の床の高さと同じレベルで続く外部リビングのようなものです。木製または人工木でできたデッキをウッドデッキと言います。テラスはデッキよりは低く、庭よりは一段高くなったスペースを指します。レンガやタイルを敷いたテラスが一般的です。
「デッキは隙間から雨水が下に落ちるため、デッキの高さを屋内の床と同じレベルにできますが、テラスはデッキより水はけが悪いため、水があふれて屋内に入らないよう、低い位置に設けます。天然木のウッドデッキでも水に強い樹種が選ばれるため、腐る心配はありません。ただし、紫外線によって色が変わってしまうため、定期的に塗り替えなどのメンテナンスが必要です。木の粉と樹脂を混ぜて固めた人工木はメンテナンスフリーですが、風合いで天然木に劣ります」
カーポート・ガレージを検討するときのポイント
カーポートは、屋根と柱だけの車庫のこと、ガレージは車を格納する車庫のことです。屋根がないものは駐車場と呼びます。車の大きさ、所有台数、積雪地帯かどうか、防火・準防火地域かどうかなど、選ぶときのポイントは多様です。施工会社に車の所有状況などを説明しながら相談するといいでしょう。
「カーポートの足下はコンクリートにするのがメンテナンス的には楽ですが、どうしても味気ないものになってしまいます。最近では、石を並べて、その間に芝生を植えたりするケースもあります。その場合、タイヤで踏まれる箇所なので、どうしてもメンテナンスは必要です」
植栽を検討するときのポイント
植栽は、庭やアプローチ沿いなどに植える植物のことです。鑑賞用やシンボルツリーとして住まいを彩ります。
「木を一本植えるだけで住まい全体の印象が変わります。手入れが手間に感じる人には、ソヨゴやシマトネリコなど山に生えているような樹種だと勝手に育ってくれるため、オススメです。桜を植えたいという人は多いのですが、毛虫が出ますし、葉も落ちます。そういった世話を楽しめる人ならいいでしょう」
照明を検討するときのポイント
玄関や門扉の周り、アプローチを照らす照明のほかに、シンボルツリーを照らす照明もあります。
「屋内からシンボルツリーを鑑賞したい場合には、きちんとした照明計画が必要です。夜間、ライトアップしたシンボルツリーを見ようとしても、室内の照明がガラス窓に反射してよく見えないというケースがあります。新築時に施工会社に木の配置、屋外・屋内の照明の配置をよく相談した方がいいでしょう」
エクステリアの施工事例を見てみよう!
エクステリアは、複数の素材やデザインのものから構成されているため、全体としてどのような仕上がりになるのか、イメージがつきにくいかもしれません。そこで、実際に施工されたエクステリアの事例を見てみましょう。
ヤシがシンボルのオープンなエクステリア
カリフォルニアスタイルの建物外観とマッチしたシンボルツリーのヤシが特徴のエクステリアです。駐車スペースはメンテナンスが楽なコンクリート敷きですが、ヤシの周辺には芝生を植え、住まい全体の雰囲気を際立たせています。
広々としたウッドデッキと人工芝が気持ちいいエクステリア
広々としたウッドデッキが特徴のエクステリア。前面の色鮮やかな人工芝は施主が自ら敷いたものです。
前面庭の中央に成長が楽しみなシンボルツリーがあるエクステリア
低めの門柱に緑色の郵便受けが、いいアクセントになっています。芝生敷きの前面庭の中央にはまだ背の低いシンボルツリー。成長して葉を茂らせば、適度な目隠しになるでしょう。コンパクトなウッドデッキからは、そのままコンクリート敷きの駐車場へ出られます。
コンパクトにまとまった狭小住宅のエクステリア
都会の狭小地に建つ家ですが、玄関側道路の交通量が少ないことから、目隠しフェンスを排除しました。ほぼ門柱代わりの郵便受け兼インターホンとシンボルツリーだけというコンパクトなエクステリアです。
こだわりのエクステリアを実現した先輩たちの事例を紹介!
これまで見てきて、エクステリアは周辺環境や住まい全体の雰囲気とマッチしていることが重要だとわかりました。そこで、スーモカウンターでこだわりのエクステリアを実現した先輩たちが、どんな点にこだわり、どんな住まいを手に入れたのか、実例を参考に学んでいきましょう。
【case1】2本のシンボルツリーが出迎えるウッドデッキのある家
1LDKのアパート住まいが手狭になり、「シンプルモダンの家をつくりたい」と考えるようになったOさん夫妻は、スーモカウンターを訪れました。「ウッドデッキがありバーベキューが楽しめる家」という希望を伝え、紹介された3社の中から建築を依頼する1社を選択。完成したウッドデッキのある家に大満足のOさん夫妻。ドアを開けたところにはシマトネリコ、庭にはハイノキのシンボルリーを植えて楽しんでいます。
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室内からもシンボルツリーが楽しめるスタイリッシュな家
【case2】狭山緑地の自然と同化した和モダンの家
築20年位のアパートから脱出して家を建てることを決心したIさん夫妻。相談に訪れたスーモカウンターでは計3社を紹介され、その中から地元密着型の施工会社を選択しました。希望したのは「木のぬくもりを感じられるシンプルな和モダン」の住まい。完成した家の2階の窓からは狭山緑地の深々とした緑が見え、まるで自然と同化したようです。近い将来、縁台を置き、モミジの木を楽しみたいと言います。
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理想だった「木のぬくもりと和モダン」を備えた家が狭山緑地と同化する暮らし
【case3】オープン外構で、近隣とのコミュニケーションが楽しい家
子どもの出産を機にマイホームを持つことにしたMさん夫妻。スーモカウンターで相談すると、注文建築が可能であることがわかり、希望条件に合う土地を見つけ、家を建てることに。希望条件は、構造が頑丈で、広いリビング、家事のしやすい動線など。紹介された4社の中から1社に建築を依頼し、念願のマイホームが完成。
「庭をオープンにして近所の子どもたちが気軽に遊びに来られるようにしたい」という希望は、オープン外構というプランで実現しました。おかげで、近隣とのコミュニケーションも良好です。
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希望の土地を見つけて家づくりを決心。近隣とのコミュニケーションが楽しい家に
理想のエクステリアを実現するためのポイント
最後にあらためて池田さんに、理想のエクステリアを実現するためのポイントを聞きました。
「エクステリアの工事は、建物の工事が終わってから始めることが多いため、建物で予想外の出費が膨らむと、エクステリアの予算が削られてしまいがちです。一般的に外構費用は建物の約1割などと言われますが、コストは素材や敷地の状況、個人のこだわりによって大きく変動します。事前にしっかり希望を伝えて見積もりを取り、予算を確保しておいた方が、住まい全体の完成度も高くなります」
スーモカウンターに相談してみよう
「どうやって進めたらいいのかわからない」「建築会社はどうやって選べばいいの?」
住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望をかなえてくれそうな依頼先を提案、紹介します。
無料の個別相談のほか、「はじめての注文住宅講座」や「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」など、家づくりのダンドリや、会社選びのポイントなどが学べる無料の家づくり講座も利用できます。ぜひお問い合わせください。
イラスト/ノダマキコ