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海外で流行中のジャパンディスタイルとは? 注文住宅におすすめのインテリアレイアウトを紹介

ジャパンディ(Japandi)という言葉を聞いたことがありますか? これは、最近海外で話題になっている和と北欧が融合したインテリアスタイルのことです。日本ではまだ馴染みがないかもしれませんが、今後さらなる流行が期待されています。

カラーリストでインテリアコーディネーター経験のある、とおみねきよみさんに話を聞き、注文住宅にジャパンディスタイルを取り入れるときのポイントについてまとめました。

 

ジャパンディとは?

ジャパンディの特徴

2020年頃から海外で流行し始めた「ジャパンディ」とは、和風と北欧風が融合したインテリアスタイルのことをいいます。海外では「Japandi」と表記され、「Japanese」と「Scandinavian」が交ざった造語になります。

「日本と北欧の住宅文化は相性が良いのです。両者とも自然素材を使用したシンプルなデザインの家具や建築素材などが、古くから文化の中に根付いているため、組み合わせやすいともいえます。
日本には侘び寂びの美意識があり、素朴で質素、繊細なものが好まれます。そして和風建築の庭園などを見れば分かるとおり、自然物もインテリアの一部であると考えられてきました。
一方で北欧の人々は、日照時間が短いことから家の中で過ごす時間をとても大切にしています。外で過ごす時間が少ない分、家の中に自然物を取り入れたり、インテリアにも上質な素材を使用してより快適な暮らしを求めてきました」

日本と北欧の住宅文化が調和したシンプルでスタイリッシュなデザイン、そして自然素材を使っているということがジャパンディの大きな特徴です。

日本と北欧の住宅文化が調和した部屋のイメージ

日本の伝統的な住宅。畳や木、土壁、紙など自然の素材を取り入れているのが特徴(画像/PIXTA)

ジャパンディスタイルを住宅に取り入れるときのポイント

ニュートラルカラーや自然界にある色を使う

「アイボリー、ベージュ、グレーなどのニュートラルカラー(無彩色、または無彩色に近いくすみのある色)を部屋の中の広い面積に使います。アクセントカラーを入れるときは緑やブラウンなど自然界にある落ち着いた色にしましょう」

赤やピンク、オレンジ、ゴールドなど華やかな色はジャパンディのイメージを壊してしまうため避けたほうが無難です。

「北欧文化では明るめのインテリアが主流なので、フローリングの色を選ぶ際は、比較的明度が高く、彩度の低い暖色系の色がおすすめです。たとえば、無垢材、複合フローリングではオーク、タモ、バーチ、メープル、ヒノキなどです。また、畳も同様に濃い色よりは淡い色のほうがジャパンディらしい雰囲気になります」

自然界にある色をつかったジャパンディな部屋のイメージ

ジャパンディな空間をつくりたいときは、自然の中に存在する色をチョイスする(画像/PIXTA)

自然素材を取り入れる

「色と同じくらい、使用する素材も重要なポイントになります。ジャパンディの空間では人工的につくられた素材よりも無垢材や珪藻土、畳など自然素材を中心に使います」

壁や床以外にも、家具に自然素材を使ったり観葉植物で緑を取り入れる方法もあります。麻や籐(ラタン)、和紙、竹、石などでもジャパンディな雰囲気を演出できます。

自然素材を取り入れジャパンディな雰囲気にした部屋のイメージ

暮らす人の心を癒してくれる自然素材。木や石、紙などは日本建築でも古くから馴染みがある(画像/PIXTA)

シンプルでスタイリッシュな空間にする

「シンプルかつスタイリッシュな雰囲気もジャパンディの特色です。部屋の中にたくさんのものを置くのはNG。見せるタイプの収納ではなく扉のついた収納を用意し、使っていないものは隠すようにしましょう。必要最低限のものだけを置くようにするライフスタイルは、SDGsの考え方とも相性が良いです」

スッキリと片付きジャパンディな雰囲気の部屋のイメージ

使っていないものは隠し、部屋をスッキリと見せるのがジャパンディの流儀。本や生活雑貨などは、扉や蓋がついた収納にしまっておくとよい(画像/PIXTA)

畳の上に北欧風の家具を取り入れる

「畳敷きの和室をジャパンディスタイルにレイアウトする場合は、畳の上にラグマットを敷いたりソファーやダイニングセットを置くなど、家具や小物で北欧の要素をプラスすることができます。家具はできるだけ背の低いものを揃えると和の雰囲気とうまく調和します」

畳の空間にソファーを置いたジャパンディのイメージ

ソファーなどの洋物家具は畳の空間にもマッチする(画像/PIXTA)

インテリアのバランスは和:北欧=3:7が理想

「ジャパンディスタイルのインテリアは、和風の要素が3割、北欧風の要素が7割の3:7の比率が理想的です。例えば小物などを和風に、家具など大きなものを北欧風にするとちょうどよいバランスになります。和の要素が多くなるとジャパンディではなく和モダンテイストに変わってしまうので注意しましょう」

盆栽や苔玉でジャパンディの雰囲気を出したイラスト

生け花や盆栽、苔玉などは、手軽にジャパンディの雰囲気を演出しやすいため人気(イラスト/別府麻衣)

繊細な見た目の植物を選ぶ

「観葉植物と一口に言ってもさまざまな種類があります。ジャパンディの空間に適しているのは、幹や枝が細く繊細な見た目の植物です。
幹や枝が太かったり大きな葉が茂っている観葉植物はジャパンディのテイストとミスマッチなのでおすすめしません。
また、花を置く場合は種類と色にも気を付けましょう。真紅の薔薇のように華やかな雰囲気のものは避けたほうがよく、色味を抑えたものや柔らかいイメージの花のほうがジャパンディらしさが出ます」

植物を置いてジャパンディな雰囲気を出したイメージ写真

植物を置くと、空間の中に瑞々しさをプラスできる。幹や枝が細い繊細な植物はジャパンディの雰囲気とマッチする(画像/PIXTA)

ジャパンディスタイルにおすすめのアイテム

CH24(Yチェア)

CH24(Yチェア)とは、デンマークのデザイナーであるハンス J. ウェグナーによってデザインされた北欧の名作椅子です。どの角度から見ても美しく、自然素材の温かみを感じることができるところも人気の理由。日本の住宅とも相性が良く、ジャパンディスタイルの空間にもぴったりです。

ジャパンディスタイルに合う雰囲気の椅子

アームと背もたれは「曲木加工」という製法で仕上げられ、美しいカーブ状になっている。細身な見た目ながらも耐久性に優れ、ゆったりとくつろぐことができる(画像提供/カール・ハンセン&サン)

和紙の照明器具

柔らかな光が特徴的な和紙の照明器具は、ジャパンディのスタイリッシュな空間に温かみをプラスしてくれます。天井に取り付ける提灯型のペンダントライトや床置きの間接照明なども空間をおしゃれに演出するアイテムとして人気です。

ジャパンディの空間に置いた和紙の照明器具

和紙の照明はリビング、ダイニング、寝室などさまざまな場所で違和感なく使用できる(画像/PIXTA)

一枚板のテーブル

見た目が美しい一枚板のテーブルは、ジャパンディな空間をより上質な雰囲気にしてくれます。天然木材の温かい素材感や天板の繊細な木目などが魅力で、長く使っても飽きの来ない、一生もののインテリアといえます。

一枚板のテーブルが置かれた部屋

高級感のある一枚板のテーブル。見た目はもちろん、肌触りも楽しめる(画像/PIXTA)

ニュートラルカラーのラグマット

おしゃれなラグマットを敷いて空間のアクセントにしましょう。畳の上に北欧風のラグマットを敷くと、ジャパンディな雰囲気になります。色はグレーや紺、ベージュ、茶などニュートラルカラーを選びましょう。

シンプルなデザインのラグマットを置いた部屋

シンプルなデザインのラグマットは畳にもフローリングにも馴染む(画像/PIXTA)

ドライフラワー

ドライフラワーもジャパンディな空間によく馴染みます。無彩色、もしくは淡い色味のドライフラワーを選びましょう。和風の花瓶に活けるのもおすすめです。

くすんだ色のドライフラワー

くすんだ色のドライフラワーはジャパンディスタイルと相性が良い(画像/PIXTA)

アートポスター

アートポスターを壁に飾っておしゃれな空間に。できるだけ落ち着いたデザインで、色味を抑えたポスターを選びましょう。

アートポスターを飾ったイラスト

ジャパンディな空間に好みのアートポスターを飾ってオリジナリティを演出。落ち着いたデザインのポスターならノイズになりません(イラスト/別府麻衣)

おしゃれなジャパンディのインテリア例を紹介

ソファーを置いたおしゃれな和室

こちらは和室をベースにしたジャパンディ空間。シンプルな円卓とアイボリーのソファーを置いて、和風と北欧風の両方の特徴を取り入れています。テーブル上の生け花がアクセントとなって目を惹きます。

和室に北欧要素を入れたイメージ

和室に北欧要素を取り入れてデザイン性の高い空間に。客間としても利用できる (画像/PIXTA)

畳敷きの空間に北欧テイストのインテリアを

畳の上にガラステーブルやクッションなど北欧テイストのインテリアを置いたコーディネート例です。天井の無垢材が北欧らしさを出しています。部屋の隅には大きめの観葉植物を置いて緑を取り入れ、すっきりとした明るい印象の空間になりました。

背の低い家具を置いた和室のイメージ

背の低い家具は日本の住宅とも馴染みやすく、ジャパンディスタイルに取り入れやすい(画像/PIXTA)

盆栽をアクセントにしたスタイリッシュなリビング

盆栽や花瓶、格子などで和のテイストを取り入れたジャパンディなリビング。ローソファーやローテーブルなど背の低い家具でまとめて空間を広く見せているところもポイントです。無彩色のインテリアに、植物のグリーンがよく映えます。

盆栽を置いた部屋のイメージ

1つ置くだけでインパクトがある盆栽。和の印象を強めたいときにはおすすめ(画像/PIXTA)

一枚板のテーブルがあるダイニングスペース

キッチンの隣のダイニングスペースに一枚板のテーブルを大胆に設置したジャパンディ空間のコーディネート例。格子状の仕切りで和のテイストを取り入れています。必要最低限のインテリアだけを設置したシンプルかつスタイリッシュなダイニングです。

一枚板のテーブルがあるダイニングスペースのイメージ

キッチンボードの黒色によって空間全体が引き締まった印象に。無彩色のインテリアと無垢材の風合いは相性が良く、おしゃれな空間に仕上がる(画像/PIXTA)

リビングと間続きの畳コーナーがある家

リビングの一角に、畳コーナーを設置したレイアウトの例になります。木の格子の間仕切りによって、北欧風の室内に和のテイストが加わっています。一枚板のダイニングテーブルと脚の細いダイニングチェアは北欧家具の中でも人気のアイテムです。

リビングと間続きの畳コーナーがある家のイメージ

リビングと間続きの和室は住む人のくつろぎスペースにもなる(画像/PIXTA)

ジャパンディな空間づくりのコツ

最後に改めて、とおみねさんにジャパンディな空間づくりのコツについて聞きました。

「ジャパンディな空間をつくるときのコツは、部屋に余白を持たせることと、美しい家具を置くことです。
できるだけものは増やさずにシンプルな空間を心掛け、その中に美しいデザインの家具を置くことでジャパンディな空間のベースが完成します」

日本と北欧、双方の文化の魅力的な部分を取り入れながら、ライフスタイルに合ったジャパンディな空間をつくり上げていきましょう。

スーモカウンターに相談してみよう

ジャパンディな空間を取り入れたマイホームを建てたいと考えている人は、ぜひスーモカウンターで相談してみませんか。家づくりの基本からお金のことまで専門知識を持ったスタッフがアドバイスします。注文住宅に関する知識を深めるための無料の講座も開催中です。トレンドを取り入れたおしゃれで理想の家にするため、一緒に考えていきましょう。

イラスト/別府麻衣

取材協力/カラーリスト とおみね きよみさん
一般社団法人国際カラープロフェッショナル協会理事
取材・執筆/佐藤愛美(りんかく)