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専門家に聞く「狭小住宅」設計のポイントと収納プラン【敷地面積別の間取り付き】

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都市型の住まいの狭小住宅。その一方で、狭い、住みづらい、といったマイナスのイメージもありますが、ちょっとした工夫で快適な生活が営めるおしゃれな家を建てることができます。狭小住宅でも快適に過ごすことができる収納のアイデアを建築士の水越美枝子さんに、実際に10坪・15坪の土地で建てた住宅の間取りを建築士の杉浦充さんに紹介してもらいました。

狭小住宅とは「限られた空間を有意義に活用する家」

狭小住宅とは、一般的には狭い土地に建てられる住宅のことを指します。また、変形地や旗竿地などの住居面積を確保しづらい土地に建てられる住宅も結果的に狭小住宅になることがあり、実は明確な定義はありません。建築士の杉浦さんは、狭小住宅の定義についての感覚が、以前に比べてだんだん小さくなっている、と言います。

「いま70〜80歳代の建築業界の方は『昔は40坪以下でも狭小住宅と呼んだよ』とおっしゃいます。一昔前は30坪以下と言われていました。今では20坪以下くらいからが狭小住宅の目安でしょう。私は18坪以下を狭小住宅と呼んでいます」(杉浦さん)

東京や大阪のような都市部では、広い土地が確保できないために狭小住宅にならざるを得ないという実情です。

約10坪の土地の写真

約10坪の狭小地。都市部では狭小地で一戸建てを建築するケースも少なくない(画像/PIXTA)

ところが、近年「ミニマムに住まう」あり方が見直されています。狭小住宅は必ずしも住みづらいわけではなく、限られた空間にさまざまな工夫をほどこし、快適に暮らせるように設計されている住宅がたくさんあります。むしろ制約を逆手にとって、住みやすく・便利で・おしゃれなデザインの家がつくられているのです。

「日本だけでなく狭小住宅は世界的にも注目されています。欧米では「タイニーハウス・ムーブメント(tiny house movement)」として自作のログハウスや車輪付きのトレーラーハウスを中心に小さな家に住まう動きがありますが、その火付け役は日本の狭小住宅だそうです。 今の日本の家は断熱性に優れ、収納も工夫されていて、コンパクトに住みやすいと評価されています」(杉浦さん)

小さなログハウスの写真

アメリカのタイニーハウス・ムーブメントの一役を担っているログハウス(画像/PIXTA)

建築士の水越さんは「最近はコンビニエンスストアやネットショッピングで簡単にものが買えます。ベビーベッドなどを必要なときにだけ借りられるサービスも増えました。昔のように家の中にたくさんのものをストックしておく必要はないかもしれません」と言います。狭小住宅のさまざまな工夫には、収納の確保のほかにも、最低限のものを使ったシンプルな暮らし方を推進する側面もあるのです。

狭小住宅のメリットは?

それでは、狭小住宅にはどのようなメリットがあるのかを整理してみましょう。

まず、都市部に建てられることが多いので、一般的にはバス停や駅、コンビニなどへのアクセス面で「利便性が高い立地」にあることが多いものです。

また、建築面積が小さいため、坪単価は上がるものの住宅を建てる際の「トータルコストが低い」ことも魅力の一つです。ただし、大型トラックが入れないなど資材運搬に難がある場合は建設時にコスト高になることもあり得ますので注意が必要です。同様に、住宅を維持するためのメンテナンス費用、リフォーム費用等の「ライフサイクルコスト」が安くなります。

狭小の土地には税金面でのメリットもあります。住宅用地のうち、一戸あたり200㎡以下の土地の部分は「小規模住宅用地」と分類され、「固定資産税や都市計画税といった税金の軽減対象」になり、税金が安くなっています。200㎡というと約60.5坪ですから、狭小住宅であればほぼすべての住宅が軽減対象になると考えていいでしょう。

●狭小住宅のメリット

・利便性の高い立地にあることが多い

・建物面積が小さいため、建築費が比較的安く抑えられる

・建築費同様にメンテナンス費用、リフォーム費用等のライフサイクルコストが安く抑えられる

・気積(体積)が少ないため、暖房や冷房のコストが安く抑えられる

・固定資産税や都市計画税などの税金の軽減対象になる

狭小住宅を活かす設計のポイントは?

狭小住宅の場合、スペースをできるだけ居室として割当てたいため、廊下などのスペースを極力減らす間取りにするのが合理的です。ここでは、設計をする際に快適に住まうための工夫や意識したいポイントについて紹介します。

●収納量の多い造作家具を設ける

「家族が暮らす家では部屋が複数必要になりますから、廊下が全くない家にするのは難しいもの。そのときに廊下をただの空間にせず、有意義に活かす発想が必要だと思います。私の設計した家では、廊下の壁には造作家具として棚や本棚などの収納を設置するようにしています。収納は奥行き20〜30㎝程度の浅いもので構いません。棚を多く設けることで、収納の空間稼働率を上げる工夫が必要です」(水越さん)

 

廊下の棚から本を取り出す女性のイラスト

廊下に棚を造作すれば空間をうまく利用できる
●採光や風通しを意識する

狭小住宅の多くは都市部に立地しています。自然と周囲にも狭い土地に建てられた住宅が立ち並んでいることが多くあるでしょう。民法では家屋と家屋の間に50cmの間隔を持たせることが定められていますが、この間隔が狭ければ狭いほど隣家との距離が気になります。

「家の隣地面に開閉式の窓をつけたい場合、お隣の家とお見合いにならないように注意が必要です。お隣からの視線を意識したうえで、光が必要なら高いところから採光し、空気の流れや風の出入りが必要であれば、足元の近いところに窓を設置する、というように、高窓や地窓を活用するようにします」(水越さん)

窓は通常、目の高さを基点に換気に便利な「腰高窓」や屋外に出入りするための「掃き出し窓」などが採用されるケースが多いものですが、水越さんは狭小住宅の場合は別の視点が必要だと言います。

「住宅密集地では家全体に光が当たらない場合が多いので、窓の位置には工夫を凝らし、高窓(ハイサイドライト)や天窓(トップライト)を有効に配置するように意識しています。例えば、天窓の下に吹抜けをつくると家の中全体が明るくなります。採光はもっぱら天井からで外壁の窓は期待しない、と割り切るのも一つです」(水越さん)

●2階にリビングを配置する

狭小住宅の場合、限られた土地を活かすために、往々にして3階建てになります。リビングやダイニング、水まわりを何階に配置すると良いのか、気になるところです。

「私は家族のコミュニケーションの点から2階をリビングにすることをお勧めしています。狭小住宅は大空間ではないので、家族が別々の階で過ごすことも多いと思います。リビングダイニングは家族が毎日集まる場所ですから、それが各部屋から最もアクセスしやすい場所にあるのは大事なことです」

また、構造上、どうしても家のある程度の面積を階段に取られることになります。日々の生活でいつも上下に移動を繰り返すことを念頭に置く必要がありますが、リビングを2階に置くことで少しでも移動を減らすことができます。家族が主に過ごすスペースを中央階である2階にし、そこから上下に移動するほうが効率的なのだそうです。

●コミュニケーションのために間仕切りをなくす

「私の場合、部屋のつながりにあえて段差を設け収納に使う棚などの家具を置き、そこで腰掛けて話せるようにします。音などプライバシーの問題がなければ、壁や間仕切りをなくし、かつ、各々のスペースで目線の高さを変えることで間仕切りが無くても各室が適度に分節されつつも空間のつながりがあるために狭さを感じさせません」(杉浦さん)

とはいえ、子どもが思春期を迎える年ごろだとここまで思い切るのは難しいかもしれません。なので、将来は個室へのリフォームを前提に、それまでは家具で仕切っておく方法や、逆に将来撤去しやすいように間仕切りを施工しておく方法をとることも多いです、と杉浦さんは言います。

●間取りの検討は「動線」を意識して

お風呂や洗面所などの水まわりをどこに置くかは十分な検討が必要です。効率のよい家事動線にするためにはリビングダイニングとキッチンの隣にスペースを確保できればいいのですが、狭小住宅の場合は難しいことも多いでしょう。

「その場合は、主寝室に近いところにお風呂を設けることをお勧めします。1階に主寝室があるならお風呂も同じフロアにしたほうが使い勝手がいいですし、洗面所も1階になるので、帰ってきてすぐに手を洗う習慣づけにもなります」(水越さん)

棚を使って空間をうまく区切った寝室とランドリースペースの写真

寝室のすぐ側にお風呂やランドリースペースを設けると使い勝手がUPする(画像提供/水越さん)

また、洗濯物を干す場所の確保も狭小住宅では課題になることが多いでしょう。

「3階にバルコニーを設けたり、屋上を物干し場にしたりすることも可能ですが、その場合、洗濯機も3階にした方がいいかどうかはよく検討すべきです」(水越さん)

●「割り切り」の発想で家具や家電の力を有効活用

上で述べたように、間取りをうまく配置することが難しい場合もあります。例えば、洗濯機置き場を1階に設けるほかにない場合、洗濯物を3階まで持って上がるのも結構な重労働です。

「このような場合には、割り切って乾燥機を利用することをお勧めします。ユニットバスの乾燥機や洗濯機の乾燥機、ガス乾燥機などさまざまなタイプがあります。狭小住宅では、家の機能を割り切って家電で賄う、という発想も大事です」(水越さん)

また、家具や便利なインテリアグッズの活用も欠かせません。

「例えば、子ども部屋を4畳程度の個室にした場合、ロフトベッドやシステムベッドといった省スペースの複合家具を使うのがオススメです。例えば、二段ベッド式になっており、上部はベッドして使え、下に勉強机と洋服掛けやタンスが一緒に格納・接続されているようなタイプの家具もありますよね。最近はこういった便利な家具がいろいろありますので、家を建てる際に、並行してどのような家具を選ぶかを考えておくといいでしょう」(水越さん)

ロフトベッドの下に収納スペースがある子ども部屋のイラスト

ベッド下の空間を収納などに活用して狭い部屋を広く使えるロフトベッド
●視覚効果を意識する

さらに狭小住宅では「視覚」を意識することが重要だと言います。

「物理的空間は広がりませんが、視線や視覚を意識することで、狭さを感じさせない工夫ができます。

例えば、設置する家具を低くすること。部屋の間仕切りも上まで閉じるのでなく、家具で間取りを仕切って視覚的な広がりを持たせる、などです」(水越さん)

リビング・ダイニングの空間にダイニングセットとソファーの両方を置けない場合、低めのダイニングテーブルだけを置いてダイニングの椅子をソファー感覚で座れるような座面が広く低いものにすることで、ソファーがなくてもくつろぐことができます。

また、視覚的には黒っぽいより白っぽいほうが空間を広く感じることができます。白い色は反射率が高く、明るく感じて圧迫感がなくなるのです。

●全体の空間を意識する

よく、限られた「平面」の中で無駄なスペースをどれだけなくすか、と考えがちですが、狭小住宅ではむしろ「空間構成」が大事です。杉浦さんは、狭小住宅では一般的な常識をいったん捨てて、立体的な「空間」をトータルに意識することが重要だと言います。

「一つのフロアー内で高低差を設けることで、視線が変わり、部屋が広く感じられます。逆に、平面のすべてを間取り切り取ったスペースだと、すぐに境界が把握できてしまうため狭く感じるんです。

あるいは、リビングを座卓にして視線を低くしたり、視線の先に段差をつけたり、動線の先に窓を設けることで視線の広がりや、開放感が生まれます。ダイニングエリアは高めの天井高としてリビングエリアの天井高をあえて低く抑えることで、空間にメリハリを持たせつつも、上階の寝室など個室階の天井を確保する場合もあります。

ほかにも、6畳のひと部屋と廊下、という空間を、部屋を5畳にしてその分、廊下のスペースを増やし物干スペースと兼ねたり、そこに勉強コーナーを設けるなど、自由な発想での設計が求められます。個室よりも生活動線にゆとりがある方が実際に住んでいると広く感じるものなのです」(杉浦さん)

水越さんも杉浦さんも、これら狭小住宅を活かす設計のポイントをよくわかった建築士や施工会社にまかせることを勧めています。「15坪、20坪といった狭小住宅は施工会社も経験がないと対応が難しく、その分、金額が跳ね上がることもあります。狭小住宅のノウハウを持った建築事務所を事前に調べておかれてはいいのではないでしょうか」(杉浦さん)

狭小住宅の間取りを紹介

長年、狭小住宅を手掛けてきた杉浦充さんに、これまで設計した狭小住宅の間取りを紹介してもらいました。

実例1:変形狭小地に建つ実質12坪の土地に建つ扇型の家

扇形のLDKの写真

敷地の形状や高低差というウィークポイントを居室に活かし豊かな空間を実現(写真/桧川泰治)

「条例による壁面後退が必要な地区のため実質12坪余りが建築可能範囲だったお宅。景観を楽しめる環境に配慮した2階建て木造住宅です」

変形狭小地に建つ実質12坪の土地に建つ扇型の家の間取り図

実例2:14坪の敷地に計画した明るい住まい(施主紹介:ザ・ハウス)

勾配天井に設けられた窓から明るい光が差し込む

通風と採光を得ながらもプライバシーが保てる建物の形状と開口部の位置を十分検討して明るく開放的な住まいに(写真/桧川泰治)

「主寝室周りにふんだんな収納スペースを備えた、雨天時でも明るい住まい。多様な構成で、約32坪の生活空間の中にいろいろな居場所をちりばめています」

14坪の敷地に計画した明るい住まいの間取り図

14坪の敷地に計画した明るい住まいの間取り図

実例3:吹抜けを設け開放感がある敷地面積15坪の家(施主紹介:ザ・ハウス)

吹抜けと天窓で明るいリビング

厳しい斜線制限の敷地条件のなか、天窓のある高い吹抜け天井と低いリビングの天井が同じ空間でつながり、狭さをまったく感じさせない(写真/桧川泰治)

「3階建ての家は、2階と3階にかけて吹抜けを設置することで、開放感が感じられる家になっています」

吹抜けを設け開放感がある敷地面積15坪の家の間取り図

吹抜けを設け開放感がある敷地面積15坪の家の間取り図

実例4:住宅隣接地でも自然採光の明るさにこだわった敷地面積18坪の家(施主紹介/ザ・ハウス)

1階の主寝室から玄関まで見通せる

奥行きのある内部構成によって、狭小地を感じさせない居心地の良さを実現(写真/桧川泰治)

「限られた敷地のなかで密接する近隣との関係を考慮したうえで、床や天井高の変化、小さいながらも庭や屋上を持った多様な内部構造の住宅。狭小地を感じさせないいろいろな居場所がある住まいです」

住宅隣接地でも自然採光の明るさにこだわった敷地面積18坪の家の間取り図

住宅隣接地でも自然採光の明るさにこだわった敷地面積18坪の家の間取り図

実例5:造形的特徴を持つ敷地面積19坪の都市型二世帯住宅(施主紹介:ザ・ハウス)

白い壁と木を基調としたリビング

東京都の安全条例を逆手にとって、外観のデザイン性を高めつつ2階、3階の面積も獲得。プライバシーも重視したつくりが特徴(写真/桧川泰治)

「土地面積19坪の敷地に建てた都市型二世帯住宅です。内部を壁で分離するような形で二世帯がストレスなく暮らせるように意図しました」

造形的特徴を持つ敷地面積19坪の都市型二世帯住宅の間取り図

実例6:2階建て敷地面積19.8坪の二世帯住宅

無垢材の床や造作の家具で統一感のあるリビング

高低差を活かすことで地下階への通風と採光、2世帯の居住面積が得られるように工夫(写真/桧川泰治)

「2階建てですが、半地下室のガレージとロフトつき、土間や車1台分の駐車スペースも備えています。1階部分を2世帯が共有する間取りにしました」

2階建て敷地面積19.8坪の二世帯住宅の間取り図

スーモカウンターに相談してみよう

予算を始めとして、さまざまな制約のなかで選ばれている狭小住宅ですが、これまで見てきたように多くのメリットもあります。間取りや収納、家具などを工夫して限られた空間を有意義に使えば、快適な暮らしを営むことができるでしょう。

注文住宅の新築・建て替えをサポートしているスーモカウンターでは、家づくりはもちろん、土地探しや収納・家具などについてもアドバイザーに悩みを相談できる無料の個別相談を実施しています。個別相談では土地選び、予算、希望条件の整理、建築会社の紹介など、注文住宅を建てる際のあらゆる不安について、知識と経験のある専任アドバイザーに無料で何度でも相談できます。また、注文住宅にかかわるさまざまな悩みや不安を解決できる無料講座も実施しています。

狭小住宅を建てる際、家族のスタイルに合う家にするためにはどんな間取りにして、どのような家具を設置すればいいのか相談したい人は、スーモカウンターを活用して、家づくりの第一歩を踏み出してはみてはいかがでしょうか。

取材協力

水越美枝子(みずこし・みえこ)さん

一級建築士。日本女子大非常勤講師。大手建設会社に入社後、独立し、新築・リフォームの住宅設計からインテリアコーディネート、収納計画まで、トータルでの住まいづくりを提案。著書に『40代からの住まいリセット術――人生が変わる家、3つの法則』(NHK出版協会)。『人生が変わるリフォームの教科書』(講談社)。『いつまでも美しく暮らす住まいのルール――動線・インテリア・収納』。『美しく暮らす住まいの条件~間取り・動線・サイズを考える~』(エクスナレッジ)など多数。

 

杉浦充(すぎうら・みつる)さん

充総合計画一級建築士事務所代表。多摩美術大学美術学部建築科卒業後、ゼネコンに就職。その後同大学院を卒業し、同建設会社で勤めた後、2002年に充総合計画一級建築士事務所を開設。その後、京都造形芸術大学で非常勤講師を勤めるほか、NPO家づくりの会副代表理事、一般社団法人建築家住宅の会の監事などを歴任、今日に至る。2006年第4回NiSSCイソバンドデザインコンテスト特別賞。2019年屋根のある建築作品コンテスト(タニタ)優秀賞ほか。著書・共著『新しい住宅デザイン図鑑』『しあわせ間取り図鑑』(エクスナレッジ)ほか多数。

取材・文/櫻井とおる(スパルタデザイン) イラスト/青山京子