介護しやすい住まいへのリフォームを検討していたKさん夫妻と、土地がなかなか見つからず困っていた長女一家。広い敷地を活用して完全分離型の二世帯住宅を建てることになった経緯と家づくりにおけるこだわりについてお話を伺った。
住みづらかった古くて、寒くて、段差の多い実家
Kさん夫妻が両親の介護をしながら暮らしていた住まいは、築50年の2階建て、15LDKの広い日本家屋。
「よくある昔ながらの田の字型の広い和室がある間取りです。長男なので、法事など親戚の集まりごとが多くて、そうしたとき大広間があると便利なのですが、普段の生活では使いづらい間取りでした。日の光も家の奥まで届きにくく、暗くて寒いので、年齢を重ねるごとに不便さを感じていたんです。20年くらい前に一部水回りのリフォームをしたのですが、構造上の問題で段差や寒さは解消できず、90歳を超えた両親の介護をするにも大変なことが多かったんですよ」と夫。
「広い住まいなのに廊下幅は狭くて、段差が多いので車椅子での移動も大変でした。義母が体調を崩して救急搬送された時も、増改築の際にできた曲がりくねった狭い廊下にストレッチャーを入れることができず、大変な思いをしました。90歳で義母が亡くなり、93歳になる父の今後のことを考えて、リフォームを検討していたのですが、理想の住まいに近づけるためには大掛かりなリフォームになり、かなりの資金が必要になりそうでした」と妻。
ちょうどその頃、近くの賃貸マンションで暮らす長女一家が一戸建てへの住み替えで土地探しをしていたという。
「この辺りはなかなか良い条件の土地が出なくて、出ても高いんですよね。娘たちの住まいもなかなか見つからず、広い敷地を活用して二世帯住宅にしようかという話も出てきて。どうしようかと悩んでいたときに、スーモカウンターの広告を目にしたんです。リフォームのことも含めて家づくりの相談ができればと思い、娘と一緒に話を聞きに行ってみようということになったんです」
規模や得意分野の異なる複数社と面談
スーモカウンターでは予算は5000万円くらいで考えていること、建て替えかリフォームか検討中であること、完全分離型の二世帯住宅にしたいことなどを伝えたという。
「家づくりのことは全くわからなかったので、一から話を聞いてもらえてホッとしました。リフォームにも対応できる地元工務店さんから大手ハウスメーカーまで、いろんなタイプの会社を5社紹介していただきました。その後、4社が自宅まできて実際の住まいの状態を見てくれ、私たちの要望をじっくり聞き取ってくれました」と妻。
介護に適した住宅の建築実績も豊富という大手ハウスメーカーからは、さまざまな実例の紹介もあり、とても参考になったそう。
「初回打ち合わせ後に3社から間取りの提案がありました。会社ごとにそれぞれの持ち味があり、対応のスピード感も違いましたね。大手ハウスメーカーはやはり至れり尽くせりの手厚さを感じましたが、金額もそれなりにします。私たちは一番フットワークが軽く、対応がスピーディーだった中堅の会社に好印象を抱き、依頼することに決めました。ちょうど建築資材が値上がりする前のキャンペーンをされているということで、金額的にも予算内で収めることができるかなと思ったのも決め手のひとつでしたね」
完全分離型だからこそ叶えられたそれぞれのこだわり
完全分離型の二世帯住宅を希望していたので、打ち合わせ内容も多くて大変だったと振り返るKさん。
「間取りや内装に関しては、妻と娘が中心になって打ち合わせを進めてくれました。私たちの住まいはとにかく明るく、居心地の良いシンプルな空間にこだわりました」と夫。
「介護の経験から、車椅子でも不自由なく通れるゆったりとした廊下と間口は必須、玄関からまっすぐに伸びる廊下にしたいというのが私の希望でした。あとは、明るいキッチンと親戚一同が集まる際に使う大皿や食器などをまとめて収納できる納戸を設け、収納スペースをたっぷりと取りたいという希望を伝えました」と妻。
一方、娘は「部活をしている高校生と中学生の子どもたちの洗濯物が毎日たくさんあるので、動きやすいランドリールームと散らからないように片付けしやすいウォークインクロゼットを1階に集約したいというのがまず一番にありました。あとは、リビングはシックな雰囲気にして、ゴロンと横になれる和室を一角に設けたいと考えていました」と話す。
こだわりたい部分がたくさんあったため、決めることの多さに途中でしんどくなることもあったそうだが、自由に一から決めていけた家づくりにとても満足しているそうだ。
二世帯分の打ち合わせは決めることも2倍
家づくりで難しかったのは間取図の見方だったそう。
「素人にはよくわからないスペースがあったり、窓の高さや大きさは平面図だけではわかりづらくて、思っていたのと少し違ったなんてこともちょこちょこありました。サンプルを見ながら壁紙を選んだりするのはとても大変でしたね。私だけだったら迷って決めきれなかったんじゃないかなと思う部分もたくさんあります。
水回り設備や照明器具は娘と一緒に決めました。娘がいつも相談にのってくれたので、心強かったですね」と家づくりを振り返る妻。
「モデルハウスも何軒か見に行きましたが、素敵な雰囲気に圧倒されて、いい雰囲気だったなとしか印象に残っていないんですよね。収納の幅や高さとか、もう少し細かい部分もしっかりチェックしながら見ないとダメだったなと、後から思いましたね」と娘。
それぞれに求めるものも違った完全分離型の二世帯住宅。担当者は一人で対応してくれたという。
「好みも要望も全く違う二世帯分の打ち合わせを、いつもまとめて聞いてくれた担当者は本当に大変だったと思います。でも、親身になって寄り添ってくれたおかげで、それぞれに満足のいく住まいが完成しました」
完成が待ち遠しくて建築中は毎日のように見学へ
古家の解体に1カ月ほどかかり、その後土地の造成にも時間がかかったため、1月の工事開始から約5カ月後に完成した新居。初めてスーモカウンターを訪れた日から1年4カ月の月日がかかった家づくり。
「私たち夫婦と父は近所にある弟の家に仮住まいをさせてもらっていたので、建築中は毎日のように見に来ていました。93歳の父は、解体の時こそ少し寂しそうでしたが、だんだん新居の形が見えてくると、楽しみな気持ちの方が強くなっていったようです。新居での暮らしを心待ちにしていたのですが、残念ながら完成前に他界しました。介護がしやすいようにと考えてつくった新居だったので、私たちも見てもらえなくてとても残念でした。明るくて居心地の良くなった住まいで、少しの期間でも過ごして欲しかったですね」
これまでも近距離にお住まいだった親娘だが、二世帯住宅になり、週末には決まって夕食を共にするようになったそう。
「裏庭でBBQをしたり、孫との時間も増えて楽しく暮らしています」と笑顔で語ってくれたKさんだった。
取材・文/馬場敦子 写真/河原大輔
- DATA
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土地面積 593㎡ 延床面積 278.96㎡ 建築費 約5600万円 間取り 9LLDDKK(親世帯ゾーン5LDK、子世帯ゾーン 4LDK) 世帯構成 夫(66歳)、妻(63歳)、長女夫婦(ともに39歳)、長男(15歳)、長女(13歳)
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- スーモカウンターで受けたサービス
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