スタイリッシュな見た目が魅力的な壁掛けテレビ。しかし、配線がごちゃごちゃしていると部屋が散らかって見えてしまうという問題があります。すっきりした部屋にするには、配線の隠し方が重要です。家を新築する際に知っておきたいポイントや配線隠しのアイデアについて、ATTICの辻井淳也さんに話を聞きました。
目次
壁掛けテレビにありがちな配線の悩み
壁掛けテレビを設置するにあたって、配線を目立たなくするにはどうすればよいか悩む人は多いでしょう。テレビを壁掛けにしたものの、配線が部屋に露出していまい見た目が悪くなったり、周辺機器の置き場所に困ったりなどの悩みを抱えるケースは少なくありません。ここでは、壁掛けテレビにありがちな配線の悩みを具体的に紹介します。
配線コードがむき出しだと見た目が悪い
スタイリッシュな壁掛けテレビですが、配線をむき出しにしておくと見た目が悪く、部屋が乱雑な印象になってしまうというデメリットがあります。そのような事態を避けるために配線をうまく隠す必要があります。
周辺機器の置き場所に困る
レコーダーやゲーム機器など周辺機器を置く場所も悩みがちなポイントです。床に直接置くと邪魔になるだけでなく見た目も悪いため、できれば専用の置き場を設置したほうがよいでしょう。また、壁掛けテレビ設置後に周辺機器が増えて、置き場がなくなり困ったというケースも珍しくありません。
壁掛けテレビの配線や周辺機器を隠してスッキリ見せるアイデア紹介!
壁掛けテレビを見栄えよく設置するためにも、配線や周辺機器の隠し方をあらかじめ考えておきましょう。ここでは、いくつかのアイデアを紹介するので、参考にしてみてください。
テレビの壁裏に配線を隠す
「新築の住宅に壁掛けテレビを設置する場合、テレビの裏側の壁の中に配線をすべて隠してしまう壁内配線が主流です。新築時の工事が必要になるため、施工会社と丁寧な打ち合わせを行いましょう」(辻井さん、以下同)
工事によって壁裏にコードを通す穴が開いてもテレビの後ろに隠してしまえば見えなくなります。注文住宅を検討している人におすすめの方法です。
レコーダーやゲームなど周辺機器の収納スペースを設ける
「レコーダーやゲーム機器などをしまうために、壁の中に埋め込み式の収納を設計することもあります。さらに蓋を付けると中身を隠すことができます」
専用の収納があることで、周辺機器を整理して保管できるのもポイント。ディスクの出し入れなどの作業もしやすくなります。
テレビボードやフロートを設置する
テレビボードを取り付けて配線を隠す方法もあります。床から浮いているフロートタイプは圧迫感もなくテレビの下のスペースを掃除する際も邪魔にならないため人気です。
テレビ下にカウンターを設ける
テレビの下にカウンターを設置すると、スピーカーなどの周辺機器を置くのに便利です。見た目もおしゃれで部屋のアクセントにもなります。
埋め込み収納の中に壁掛けテレビを設置する
埋め込み収納(ニッチ)の部分に配線工事を施し、壁掛けテレビを設置することでテレビ全体をすっきりと見せることができます。くぼみの部分にテレビを収納できるため、空間を広く見せる効果も期待できるでしょう。
テレビの近くにコンセントを設置する
他に壁掛けテレビの配線を目立たなくさせるには、テレビの近くにコンセントをつくってできるだけ配線の露出面積を抑える方法があります。後述するモールやカバーを使えば、よりすっきりした仕上がりとなります。
モールやカバーを利用する
テレビ設置後に配線モールを使ってコード類を隠してしまう方法もありますが、通し方にはコツがいるため、綺麗に仕上げるならプロに任せるのがおすすめです。注文住宅の場合、新築時に壁面工事を施して完全に配線を隠してしまう方法を選ぶことができます。
テレビの裏側や壁の中にコンセントや配線を隠してしまうことで、コード類が空間のデザインのノイズになりにくく、埃をかぶる心配もありません。また、工事によって壁裏にコードを通す穴が開いてもテレビの後ろに隠してしまえば見えなくなります。注文住宅を検討している人におすすめの方法です。
壁掛けテレビの配線隠しで失敗しない!建築段階から考えるべきことは?
壁掛けテレビの配線をうまく隠すには、建築段階から決めておくべきことがあります。ここからは、建築会社と話しておきたいポイントや自分で準備すべきことなどを紹介しますので、設置後のお部屋をイメージしながらプランを立ててみてください。
設置するテレビを具体的に決めておく
「壁掛けテレビを新築の住宅に設置するときに大切なことは、メーカーやテレビの大きさ、できれば製品まで前もって決めておくことです。なぜなら、メーカーごとにテレビを設置するための金具が異なり、そのテレビに合わせて金具の設置や配線工事を行う必要があるからです。また、配線を壁の中に隠す際にもミリ単位の計算を行うため、テレビの大きさや種類を正確に把握する必要があります」
住宅完成後に家電選びを行う人が多いと思いますが、テレビは建築に入る前の段階で決めておいたほうがよいでしょう。
相談のタイミングはできるだけ早めに
家の施工が進んだ段階で壁掛けテレビを設置しようと決めても、配線工事をやり直したりプラン自体を変更したりと工数が増えてしまい、余計な費用が発生する可能性があります。できるだけ早い段階の打ち合わせで、壁掛けテレビを設置したい意思を施工会社に伝えましょう。
「当社では家全体の配線決めの打ち合わせの際にテレビの種類を決めていただくようにしています。どの段階までに決定したらよいかは施工会社ごとに異なるため、最初の打ち合わせで確認するとよいでしょう」
壁紙はテレビと調和する色がおすすめ
「壁掛けテレビは単なる家電ではなくインテリアに近い存在です。テレビを見ていない時間も、そこにあるだけで上質な雰囲気を演出してくれます。壁掛けテレビを悪目立ちさせず部屋の雰囲気に馴染ませるのであれば、壁紙の色は黒や焦げ茶色などがおすすめです。テレビを消しているときには液晶の黒い画面と壁面の色が調和します」
また、壁内配線工事をせず配線が外に見えてしまっている場合でも、壁紙が黒系統の色であれば配線を目立ちにくくする効果もあるでしょう。
一方で、壁掛けテレビの裏側に好きな色や柄のアクセントクロスを張っておしゃれな空間に仕上げるのも選択肢のひとつ。好みやライフスタイルに合わせたデザインを楽しめるのも注文住宅ならではです。
買い替えの際は配線や金具に注意
「壁掛けテレビを買い替える際は、同じメーカーの製品にしないと取り付け用の金具をそのまま使用できない可能性があります。海外では異なるメーカー同士であっても使うことができる汎用性の高い金具が登場していますが、日本ではまだ普及していません。今後、日本でもメーカーの垣根を越えて同じ金具を使えるようになるかもしれませんが、現時点では買い替えの際は同じメーカーの製品を選ぶほうが無難です」
同じメーカー同士の壁掛けテレビであれば基本的には元の金具を使用し、配線もそのままの状態で付け替えを行うことができます。しかし、異なるメーカーの製品に買い替えると、壁に新たな穴を開けて金具を取り付けたり配線をやり直す必要性が出てくるかもしれません。また、テレビを大きなサイズに買い替える場合も、既存の金具がテレビの重さに耐えられなくなったり、工事をやり直す必要が出てくる可能性もあります。
「将来的に大きな壁掛けテレビを買い替えることを想定している場合は、新築時にそのことも伝えてみてください。さらに大きなテレビを掛けても問題ないように、工事をしておくこともできます」
壁掛けテレビを設置して理想の住まいを手に入れた実例を紹介
ここでは壁掛けテレビの設置方法を工夫し、理想の住まいを手に入れた実例を紹介します。これらの実例も参考にしつつ、理想の住まいをつくってみましょう。
【case1】配線を極力見えないよう工夫されたホテルライクな住まい
2021年に長女が生まれたことをきっかけに、新築建築を本格的に検討し始めたYさんはホテルライクな印象のある部屋を希望していました。リビングのタイルの壁に壁掛けテレビを設置し、生活感を出さないように配線を隠します。
特にYさん夫妻は建築会社選びに力を入れ、2022年の年明けには候補のうちの2社へ訪問したそうです。天井を高くしたことで開放的なリビングとなり、また大型の観葉植物を配置できるのもおしゃれポイントです。
この実例をもっと詳しく→
天井高と吹き抜けが自慢の、ホテルライクな住まい
壁掛けテレビの配線を隠すポイントと注意点
最後に、壁掛けテレビの配線隠しのポイントと注意点について辻井さんに聞きました。
「壁掛けテレビを設置する際、完全に配線を隠して綺麗な空間に仕上げるためには緻密な計算や丁寧な設計、そしてプロの視点による見極めが必要です。信頼できる設計者を探すことが良い家づくりの第一歩です。壁掛けテレビの裏側の施工は家づくりにおいて目立たない部分かもしれませんが、丁寧に仕上げてくれるプロに依頼して理想の住まいを完成させてください」
壁掛けテレビの配線を壁に埋め込む工事が必要になる場合、早い段階で施工会社と打ち合わせをすることが重要です。余裕を持ってテレビを選び、スムーズに家づくりを進めていきましょう。
スーモカウンターに相談してみよう
壁掛けテレビの設置まで相談できるハウスメーカーや工務店を探している方は、ぜひスーモカウンターに相談してみませんか。スーモカウンターでは理想に合った会社探しをはじめ、アドバイザーがお客様の家づくりを全面サポートします。注文住宅を建てたいけど何から始めたらいいの?という方も大歓迎。家づくりのヒントからお金のことまで親身になって相談に乗ります。
イラスト/村林タカノブ