はじめまして、mizzyと申します。フリーランスのソフトウェアエンジニアや研究者をやりながら、妻と5人の子ども(19歳男、18歳男、15歳女、10歳男、9歳男)と暮らす45歳です。
私にとっての理想の家とは、「年齢も性別も異なる家族7人それぞれが、ストレスなく自分のペースで生活でき、それでいてコミュニケーションがとりやすい家」。
もともと私は賃貸派か持ち家派かで言えば断然賃貸派だったのですが、家族7人で快適に暮らせる「理想の家」が賃貸ではいくら探しても見つからず、4年ほど前に注文住宅を建てました。
今回のコラムでは、理想の家を「建てるため」に事前におこなったこと、そして入居後の4年間に理想の家に「近づけるため」におこなったことをご紹介します。また、最後には今後どうしていきたいかについても書きました。
理想の家づくりのための間取り設計
理想の家をつくるために、間取りは基礎となる最も重要な部分。うちの場合、ハウスメーカーからの提案をベースに、何度か打ち合わせを重ねて修正していきました。以下がハウスメーカーに伝えた要望の一部です。
●家族同士のコミュニケーションのために
・食事中は食事に集中するために、ダイニングにいるときはテレビを見られないようにする
・子どもは部屋に閉じこもってほしくないため、あえて子ども部屋の広さは最低限。机とベッドが置ける四畳半ほどの部屋にする。代わりに共有の遊び場としてオープンなスペース(キッズホール)をつくる
・家族の状況がなんとなく把握できるよう、2階への階段はリビングに設置する
・家族同士のコミュニケーションを円滑にするため、ドアの数を少なくして開放的な空間にする(結果的にドアをなくしたことはコスト削減にもつながった)
●家族7人が快適に生活するために
・朝のバタバタする時間帯の渋滞を避けるため、洗面台のボウルは2つにする
・誰かの入浴中も、ほかの家族が洗面台を使えるように脱衣室と洗面室は別にする。同様の理由から、リネン庫は左右どちらからでも出し入れできるようにする
・配膳効率を高めるために、キッチンとダイニングテーブルは横並びにし、間をスムーズに移動できるようにする
・外出から戻った際に手洗いうがいがしやすいように、シューズクロークから直行できる動線上に洗面室を配置する
●その他
・来客に備えて、散らかりがちなシューズクロークは玄関口から見えない位置に設置する
・花粉症持ちが何人かいるので、室内で快適に洗濯物を干せるように、天井に取り付けるタイプの昇降式室内用物干しを設置する
・家中どこでも快適な温度に保つことで、家全体を有効に活用できるようにし、家族が特定の場所に固まらないようにするため、全館空調を導入する
このような要望を出すにあたり、私が特に念頭に置いていたのは、「各部屋の機能をなるべく単機能にする」ということです。
例えば、リビングは基本的にテレビを観るだけ。子どもたちにはゲームやおもちゃで遊ばせたりせず、ゲームをするなら2階のキッズホールでする。キッズホールはお友達含め飲食禁止、飲食するならダイニングで、といった具合に。
こうすることで、やりたいことに応じて適切な部屋に行くため、家全体に適度に家族が分散。お互い干渉されることなく、自分のペースで生活しやすくなります。しかも、それでいてドアが少なく声が届きやすいので、必要なときにはコミュニケーションをとることも可能です。また、家の中のモノが適切な部屋に収まり、散らかりにくくなるというメリットもあります。
こうして最終的な間取りは以下に落ち着きました。
具体的にどのようになっているのか、いくつかピックアップして写真でご紹介します。
こうした間取りにすることにより、お互い干渉されることなく、各々好きなことができるので、子どもたちは以前より楽しくのびのびと暮らしているように思います。
以前の家はマンションで、狭すぎて友達を家に呼ぶのを禁止していましたが、今はよく遊びに来て、Nintendo Switchでゲームをしたり、段ボールでつくった剣や盾、お年玉で買ったライトセーバーや日輪刀(漫画『鬼滅の刃』に出てくる刀)でチャンバラごっこをしたりして遊んでいます。子どもたちも、今の家は前よりも広くて遊びやすいと喜んでますし、お友達にも好評なようです。
私は主に家で仕事をしているので、時々ちょっとうるさいな、と思うことがあるものの、1階の書斎と2階のキッズホールの間は少し距離があるので、仕事に支障が出るほどではないですし、友達と楽しそうに遊ぶ子どもたちを家で見られるのはとてもいいものです。
建てたら完成じゃない。入居後の家づくり
こうして理想の家ができました、と言いたいところですが、家づくりはここで終わりではありません。理想に近づくためには、まだやり残していることや、不測の事態により対応が必要になることが出てきます。家を建てた「後」にどのようなことをおこなってきたのか、ご紹介したいと思います。
ウッドフェンス設置と植栽
家を建てる際には、時間を優先して外構は最低限しかやりませんでした。
しかし、隣がオフィスビルになっており、物置の裏側が目について景観が悪いのと、その周辺がそこで働く人たちの休憩スペースにもなっていて、たまに鉢合わせするのが入居時から若干気になっていたので、入居から2年半後にウッドフェンスの設置や植栽を実施*1。
天然木のウッドフェンスは玄関扉の色と合っていてカッコよく、さらにさまざまな植物が植えられたことからとても景観が良くなり、帰宅するたびにいつも「めっちゃいい家だなー」と思いながら気分良く家に入ってます。
子どもたちの遊び場をアレンジ
子どもの成長により遊び方が変化するうち、思っていたよりもモノが増えてしまってキッズホールはごちゃごちゃになり、片付けや掃除がしにくくなってきました。
そこで整理収納アドバイザーの助言により、最初はキッズホールのカウンター下におもちゃ収納用エレクターを設置して管理。その後しばらくして全く使わなくなったおもちゃも増えてきたタイミングで、それらをダンボールに詰めて寝室のクロゼットへ移動。子どもの成長に合わせ、遊び場の快適さを保つようにアレンジしています。
また、最近は次男がオンラインゲームをプレイするようになり、弟やその友達に邪魔されることなく集中したいとの要望が。キッズホールでは限界があるため、PS4とディスプレイを屋根裏部屋に置き、屋根裏部屋は読書部屋兼ゲーム部屋にしました。
次男は邪魔されることなくゲームに集中できるようになり満足していますし、屋根裏だとオンラインで会話しながらゲームをしていても、他の部屋に音が伝わりにくいので、家族みんなにとって良い変更でした。
夏に暑くなりがちな屋根裏部屋でも快適な温度をキープできる全館空調だからこそ、このように活用することができていると感じます。
仕事スタイルの変化に合わせて書斎を改造
私自身の仕事のスタイルが変化し、書類の数やiPadなどのデバイスが増加。オープン書斎とサブの書斎それぞれにオーダーメードのデスクワゴンを設置*2したりもしました。
これによりオープン書斎では、書類をワゴンに収納することで、以前書類があったスペースに仕事で必要な本を常時置いておけるようになりました。また、ワゴンを引き出してサイドテーブル代わりにすることで、本を広げたり書類を記入したりすることもできるようになりました。
サブ書斎の方は、収納が増えた上に、ワゴンの天板も新たなデスクスペースとして使えるようになったので、デスクがより広く使えるようになり、いくつもの本や書類を広げながらおこなう仕事がとてもやりやすくなりました。
ほかにも下の子ども2人の勉強場所をダイニングテーブルから私のサブ書斎に変えるにあたり、書斎の模様替えをおこなったり、整理収納アドバイザーの助言により当初予定していたキッズホールではなく、玄関からすぐの場所に学用品置き場をつくったり、日々楽しみながら「家づくり」をおこなっています。
入居後の事もある程度想定しながら間取りを設計したおかげで、柔軟に部屋の使い方を変えることができているなと感じます。
また、以前までは引越しを想定して、家具は使い捨て前提で安いモノを購入していましたが、今は長く使う前提で良いモノを購入したり、ご紹介したようにオーダーでつくってもらったりもしています。原状回復の必要もないので、天井に取り付ける物干しやガス乾燥機など、賃貸では設置が難しい家具や家電を導入することも可能。
こういったことができるのは持ち家ならではなので、家を建てて本当に良かったと感じています。
これからの展望
最後に、今後どのような家づくりをしていきたいか、について書きたいと思います。
まず直近では、下の子2人の個室問題があります。2人はもうすぐ小学4年生と5年生になりますが、現在は個室がないので、勉強は私の書斎でおこない、夜は2人共通の寝室で2段ベッドで寝てもらっています。特別仲が悪いわけではないのですが、起きているときもベッドに入った後もよく喧嘩をします。それは2人にとってもストレスですし、それを見る親にとってもストレスとなります。年齢的にはそろそろ個室を用意したいのですが、どの部屋をどういう形で割り当てるのが良いのか模索中です。
中期的には、あと4、5年すると長男が社会人になり、その後も次男、長女と続いていくはずなので、空いた部屋をどのように活用するのかを考えなくてはいけません。長男と長女の部屋は、間の引き戸を外せば一つの部屋にできるので、ホームシアターに改造するのも良さそう、などと考えています。とはいえ、社会人になっても家を出ない可能性も考慮しないといけません。
また、家が古くなっていくので、メンテナンスやリフォームも必要になります。ハウスメーカーから、今後のメンテナンス計画や、その時々でかかる金額が提示されているので、それに合わせて資金を準備する必要があります。
長期的には、老後2人だけで暮らすための家を建てたいね、と妻とよく話しています。子どもたちが全員家を出ると今の家では広すぎますし、年をとると階段が辛くなるので、人数と年齢に合ったこじんまりとした家を建てたいです。ただ、必要に駆られてというよりは、何より家づくりのプロセス自体が、毎日の生活を好きなモノや空間で満たすための計画を立てるというとてもワクワクして楽しいものなので、その楽しさをまた妻と2人で味わいたいという気持ちが強いです。
家づくり、特に注文住宅は自分で決める範囲が広いため、理想に近づけようと思うと時間がかかります。今の家には「子どもたち」という制約がありましたし、なるべく早く引越したかったので、急ピッチで建てました。
本当はもっと時間をかけて、より多くのモデルハウスや実際の家を見て間取りを参考にしたり、家具やカーテンや照明などをじっくり選んだり、自分たちに合う外構業者を探したりしていれば、さらに理想に近い家を建てることができ、コストも抑えられたかもしれません。次は制約が少ない状態で、自分と妻2人だけのための家を、ゆっくり楽しみながら建てられるといいな、と考えています。
わが家の家づくりはこれからもまだまだ続きます。10年後、20年後、30年後、またどこかでご紹介できる機会があるかもしれませんね。
著者:宮下剛輔 (id:MIZZY)
フリーランスのソフトウェアエンジニア兼研究者。著書に「Serverspec(O'Reilly Japan)」、監訳書に「Infrastructure as Code(O'Reilly Japan)」がある。
サイト:mizzy.org
ブログ:フリーランスの家づくり日記
編集:はてな編集部