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先輩に聞いた注文住宅の後悔ポイント。失敗しないためのヒントを専門家がアドバイス

家族の理想を詰め込んで建てる注文住宅。しかし、理想との食い違いが生じ「後悔した」と感じている人もいるようです。注文住宅を建てた先輩たちが「後悔した」「失敗した」と感じている点をもとに、家づくりで失敗しないためのポイントを建築家の佐川旭さんに伺いました。

注文住宅で後悔しやすいのはどんなところ?先輩たちの失敗例を紹介

3年以内に注文住宅を建てた400人を対象に、リクルートが実施したアンケート調査によると、先輩たちが「失敗した」と感じている点で最も多かったのがコンセントの位置でした。全体の30.5%の人が「コンセントの位置に不満がある」と回答しています。

そのほかにも、「収納が足りない」(19.8%)、「個室やリビングが狭い」(15.3%)、「間取りや動線に不満がある」(14.0%)といった声がありました。特に回答が多かった先輩たちの後悔ポイントについて、一つずつ解説していきます。

アンケート結果「注文住宅で不満に感じた点」

アンケートの結果では、コンセントの位置や収納、間取りなどに対し、住んでから「失敗した」と感じている人が多かった(図/SUUMO編集部作成)

コンセントの位置や数の後悔

最も多かった後悔はコンセントの位置や数でした。家具を置くとコンセントが隠れてしまったり、住み始めてから足りないことに気づいたりといった失敗談が多数。注文住宅を建てる際、コンセントの位置決めには注意が必要です。

「コンセントの位置についてはよく検討したつもりであったが、住み始めると使い勝手が悪いことがあった」(愛媛県・30代・女性)
「エアコンのコンセント位置が目立つところにあり不満」(千葉県・30代・女性)
「延長コードを使わないと食卓でホットプレートなどを使うことができず、不便に思う」(新潟県・30代・男性)
「扇風機や除湿機など、季節家電のことを考えずコンセントの位置を決めてしまった」(北海道・30代・男性)

コンセントが足りないイラスト

コンセントは多いほうがよいと感じている先輩が多数。特にキッチンなど家電を多く使う場所では、コンセントの計画を慎重に行ったほうがよい(イラスト/あべさん)

収納の数や収納量の後悔

家を建てた後に収納が足りなかったと後悔した人たちもいます。特にキッチンや浴室、トイレといった水まわりにもっと収納があればよかったという声が多数ありました。

「キッチンにパントリーをつくればよかった」(長野県・40代・女性)
「リビングの収納が少なく、結局棚を買い足すことになって不満」(佐賀県・30代・女性)
「脱衣所やトイレにも収納をつければよかった」(愛知県・30代・女性)
「ものを増やさないためにあえて収納を減らしたが、足りなかった」(奈良県・30代・女性)
「大きめのウォークインクローゼットをつくったが、家族が増えるともっと広くてもよかったと思った」(岡山県・20代・女性)

収納不足で困っている人のイラスト

収納不足は部屋が散らかる原因に。暮らしに合った収納の数や大きさを考えることが大切(イラスト/あべさん)

広さや間取りの後悔

住んでみると「もっと部屋を増やしたかった」「思ったよりも狭かった」など間取りや部屋の広さについて後悔した人もいます。どの部屋を広くするか、居室をいくつつくるのかは、家族全員が快適に暮らす上で重要なポイントかもしれません。

「土地が狭いので仕方がないが、リビングが想像より狭かった」(愛媛県・30代・女性)
「部屋の数を優先して1部屋当たりを小さくしたが、もう少し広いほうがよかった」(広島県・20代・女性)
「脱衣所が思ったよりも小さく感じたのでもう1畳広げればよかった」(神奈川県・40代・男性)
「トイレが狭くて掃除が大変、面倒になってくる」(東京都・30代・女性)
「子どもが2人いるので、できれば子ども用に2部屋を確保したかったが、予算が理由で断念した」(神奈川県・30代・女性)
「リビング横に和室が欲しかったが、物置になるし掃除箇所も増えるからと諦めた。しかし、子どもがいるとリビング横に和室があれば……と思うシーンが多くある」(香川県・30代・女性)

家族と間取りのイラスト

特に子どもがいる家族にとって、間取りや部屋の数は悩みの種になりやすい(イラスト/あべさん)

動線の後悔

動線について「もっとこうすればよかった!」という先輩たちの意見も。家事がしやすい動線や家族がコミュニケーションを取りやすい動線など、間取りを決める際にライフスタイルを考慮して動線を決める必要がありそうです。

「洗濯物の片付けを考慮し、動線をもっと工夫すればよかった」(京都府・30代・男性)
「家事動線をもっと楽にする間取りにすればよかった」(愛知県・20代・女性)
「リビング&ダイニング&キッチンと、トイレ・お風呂までの動線が一つしかなく、二つあればもう少し使い勝手がよかったのではないかと感じる」(富山県・30代・男性)

家の動線のイラスト

動線は暮らしやすさを左右する。住んでから後悔しないためにも、ライフスタイルに合った動線を取り入れたほうがよい(イラスト/あべさん)

水まわりの設備の後悔

トイレや浴室、洗面所などの水まわりは家族全員が頻繁に使う場所。使い勝手も重視して取り入れたい部分ですが、入居後に後悔しやすいポイントでもあります。

「洗面所が狭く、化粧台も安っぽいのでもう少し広くグレードの高いものにすればよかった」(大阪府・40代・男性)
「洗面所を手入れしやすいものにすればよかった」(秋田県・30代・男性)
「トイレに手洗い場をつければよかった」(長野県・30代・女性)
「風呂・洗面・トイレを1カ所にまとめればよかった」(大阪府・30代・男性)
「洗いやすいお風呂の形にすればよかった」(北海道・20代・女性)

洗面所の設備のイラスト

洗面所の設備をもう少しグレードの高いものにしておけばよかったという声が多かった(イラスト/あべさん)

窓の位置やタイプの後悔

窓に関する後悔の声も少なくありませんでした。特に「掃除がしにくい場所に窓をつけてしまった」といった位置に関するものや「断熱性の高い窓にすればよかった」といった窓のタイプに関する失敗談が多く見られました。

「手が届かない位置にある窓があり、メンテナンスが大変」(神奈川県・40代・男性)
「電車の音が気になるので、二重サッシ窓にしたらよかった」(新潟県・20代・女性)
「光熱費を下げるための構造アップグレードは積極的にやったほうがよい。二重窓にすればよかったと思う」(東京都・40代・女性)
「脱衣、ウォークイン、納戸に窓をつけてしまったがいらなかった。洗面所に光採りのFIX窓を付ければよかった」(鳥取県・20代・女性)
「犬を飼ってドアや窓を開けることが多くなり、もっと開閉が広くできるものにすればよかった」(愛知県・20代・女性)
「開けない窓はFIX窓にすればよかった」(三重県・20代・女性)

窓の位置で困っている人のイラスト

窓の数や位置、仕様の選択で後悔している人が多い(イラスト/あべさん)

注文住宅で後悔してしまう原因は?

このような後悔はなるべく防ぎたいものですが、なぜ起こってしまうのでしょうか?その原因と、どのような対策ができるのか、佐川さんに聞きました。

土地の選び方

アンケートの回答では間取りや設備面で後悔したという声が多かったのですが、注文住宅を建てるときに建物以上に重要といってもよいのが土地です。土地の選び方を失敗すると後悔につながる可能性が高まります。

「家を建てる土地の周辺環境は、住人の生活の質を左右します。例えば家の前の道路が通学路になっていて子どもたちの声が家の中にまで響いてしまうとか、面している道路が抜け道になっていて交通量が多かったといった予想外なことが起こる可能性もあります。
5年後、10年後の周辺環境まで予測するのは容易なことではありませんが、できる限り土地について調べ、そこでの暮らしをシミュレーションする必要があります」

また、土地の採光についても後悔しやすいポイントです。

「夏と冬では光の入り方が異なります。冬至のときに家の奥まで採光が確保できるのかまできちんと調べるのが理想です」

北側斜線制限が適用されるエリアであるかどうかも採光に関わるので、土地を選ぶ前に不動産会社や建築会社に確認しましょう。

土地探しについてもっと詳しく
土地探しのコツ3点!土地の探し方、希望に合った土地がないときの対処法

土地の写真

建物と違って後から変えることができない土地。選ぶときは慎重に判断したほうがよい(画像/PIXTA)

建築会社の選び方

会社選びの失敗も後悔しやすい理由の一つです。契約後のミスマッチが起こらないように、希望に合った会社を見極めることが重要です。

「建築における条件や使える素材、得意なデザインなどは会社ごとに異なります。ライフスタイルや予算、そして好みに合った会社をいくつか選んで比較することが大切です。
また、営業担当者との相性も無視できません。家族の理想をかなえるための提案力があるか、暮らしやすい間取りをつくってくれるのかなど、しっかりと見極める必要があります」

家の模型の写真

建築会社ごとに得意分野は異なる。理想の住まいが建てられる会社なのかをよく見極めることで後悔しない家づくりができる(画像/PIXTA)

打ち合わせ不足

建築会社との打ち合わせ不足も後悔の原因になりやすいポイントです。打ち合わせの際に希望を十分に伝えることができなかったり、建築会社から提案されるまま建築を進めた結果、理想とは違う家が完成してしまった、ということもあるので注意が必要です。

「打ち合わせの際に営業担当者だけではなく、設計者も同席した状態で話ができるとよいですね。設計のプロがいることで、受ける提案の幅も広がります」

打ち合わせの際は、事前に家族内で希望を整理し、担当者に明確に伝えられるようにしましょう。

打ち合わせをする人の写真

満足度の高い家をつくるには、打ち合わせで担当者にしっかりと希望を伝えることが大切(画像/PIXTA)

ライフスタイルの変化を視野に入れなかった

家族のライフスタイルは変化していきます。子どもの誕生や就学、巣立ち、親との同居など、将来的に起こり得るライフイベントを視野に入れて家づくりを進めないと、本当に暮らしやすい家から遠のいてしまいます。

「ライフスタイルの変化をシミュレーションする際は、5年ごとの変化をイメージしてみてください。多くの人がお子さんの誕生や成長を機に家づくりを検討しますが、5年という数字はお子さんの成長の節目の数字です。小学校入学、中学校入学などの節目と共に、家族の暮らしがどう変化していくのかを考えてみましょう。それを一つの目安とすることで、後悔を未然に防ぐことができます」

家族の写真

家族の人数やライフイベントを踏まえ、家づくりに反映させることが大切(画像/PIXTA)

コストダウンを優先した

コストコントロールをして予算内で家を建てたいと考える人は多いと思います。しかし、コストダウンを優先し、値引き交渉をしすぎた結果、暮らしづらい家になってしまったという失敗談もあるため注意が必要です。家は長く住む場所なので、最初にかかるコストだけでなく住んでから発生するコストのことも視野に入れましょう。

「短いスパンでメンテナンスをするという想定で、初期費用を抑えてリーズナブルな素材を使う選択肢もあります。一方で、経年劣化を経年美と捉えて楽しむ人もいます。
大切なことは家族でそういった価値観の擦り合わせをしておくことです。みんなが納得した上でコストダウンを優先したのであれば、後悔やもめ事にはつながりにくいでしょう」

電卓と家の写真

建てるときだけでなく、住んでからのコストも視野に入れておく必要がある(画像/PIXTA)

注文住宅で後悔しないためのポイント

注文住宅を建てた後に後悔しないためには、どんなことに気をつけたらよいのでしょうか。建築計画段階でできることをまとめました。

家族で相談して優先順位を整理する

「家づくりにおいて大切なことは、納得するまで家族で議論をすることだと思います。全員の希望を箇条書きにし、優先順位を整理してみましょう。
理想の暮らしはなかなか明確化できるものではなく、気に入った土地や間取り、設備であってもデメリットが潜んでいる可能性もあります。完成後に『こんなはずではなかった』と感じたとしても、『前に家族で話し合いをしてこう決めたんだよね』と思い出すことで納得できるはずです」

話し合う家族の写真

家族一人ひとりが住まいに求めることを整理しておくと、家づくりはスムーズに進む(画像/PIXTA)

信頼できる担当者に出会う

「信頼できる担当者に出会うために、ぜひ顔の見えるやり取りをしてください。家族の意図をくんでくれるのか、上手に希望を整理してくれるのか、困っているときに助けてくれるのかなどを見極め、信頼できると感じたら家づくりを任せましょう。そして、任せる覚悟を持つことも必要です。自分たちの理念や基準をしっかりと持ち、話し合いの中で担当者に伝えていくことで家族にとって理想の家に一歩近づきます」

打ち合わせをする人の写真

家族のニーズに寄り添ってくれる、信頼できる担当者に出会うことが大切(画像/PIXTA)

ネットの情報に振り回されない

「インターネット上には家づくりに関するさまざまな情報があふれています。こんな間取りにしたら失敗するのでは?コストを重視してこっちを選んだほうがよいのでは?などと情報に振り回されていると、本当に大切にしたいものが見えなくなってしまいます。
暮らしの価値観は十人十色。機能性を重視する人もいれば、経年変化を好ましく思う人もいます。家づくりにおいて正解があるとすれば、自分の芯を持ち、理想の暮らしを表現していくことではないでしょうか。家は単なるシェルターではなく、人の五感を呼び覚ますものだと私は考えています」

悩んでいる人の写真

インターネットの情報だけを参考にすると、理想の家づくりから遠のいてしまう可能性がある(画像/PIXTA)

失敗をうまく回避できた注文住宅の実例を紹介

ここからは、失敗をうまく回避して家づくりに成功した先輩たちの実例を紹介。ぜひ家づくりの参考にしてください。

【case1】第三者のアドバイスも参考にしながら家づくりを進行

住んでいたマンションが手狭になったことと、リモートワークが増えたことをきっかけに家づくりを決めたYさん。建てたい家のイメージは決まったものの、土地探しは難航し、スーモカウンターに紹介された会社から今の土地を紹介され、契約。契約後もスーモカウンターのアドバイザーに意見を求め、第三者視点のアドバイスも頼りにしながら安心して家づくりを進めたそうです。完成したのは2階に明るいリビングのある開放的な一軒家。家事動線にも配慮した快適な家になりました。

Yさん宅のリビング/注文住宅実例

開放感のある2階のリビング。勾配天井には木目のクロスを張った(撮影/上條泰山)

この実例をもっと詳しく→
家事動線と子どもを見守れる間取りにこだわった明るく開放的な家

【case2】コンセントや動線にも満足!家族のコミュニケーションがしやすい家

家族が増えたことがきっかけで注文住宅を検討し始めたKさん一家。家族が笑顔で暮らせるわが家をイメージし、リビング階段を取り入れて家族が顔を合わせやすい間取りにしました。床面積に制約がある中でも、段差や間仕切をなくして広がりが感じられる間取りを希望し、面積以上の開放感がある家になりました。キッチンの壁にはコンセントを用途別にチェックし、冷蔵庫やウォーターサーバーなどの家電をたくさん置けるようにしました。キッチン右手には洗面脱衣室と浴室を配置し、料理をしながら洗濯や子どもの着替えをサポートできる機能的な動線になっています。暮らしやすさを重視した家づくりに成功しました。

Kさん宅のリビング/注文住宅実例

広々としたリビングが家族だんらんの場所となっている(撮影/河波隆博)

この実例をもっと詳しく→
子どもが元気に駆けまわる!リビングを真ん中に据えた、家族が笑顔で暮らせるわが家

【case3】コストダウンのために天井高を諦めて折り上げ天井を採用

子どもを授かったタイミングで家づくりを考え始めたMさん夫妻。ウェブサイトやSNSで見た実例を参考に、理想を詰め込んだ住まいの完成を目指しました。当初はリビングの天井高を上げることを希望しましたがコストがかかるため断念。代わりに折り上げ天井を採用し間接照明を設置したことで、空間に広がりを持たせることができました。うまくコストダウンをしながら満足度の高いデザインを取り入れたわが家が出来上がりました。

Mさん宅のリビング/注文住宅実例

折り上げ天井を採用したリビング。建具も天井までの高さにして開放感を感じられるようにした(撮影/ご本人)

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車好きの夫が妻を説得!洗車ができる憧れの庭付き一戸建て

満足度の高い注文住宅を建てるには

最後に、満足度の高い注文住宅を建てるために必要なことを佐川さんに伺いました。

「住まいをつくる上で一番大切なことは、家族のコミュニケーションです。理想の設備や間取りについてなどを話し合う前に、まずはお互いの好きなことや嫌いなことを日常会話の中から見つけて、自分たちの目指したいものを少しずつ見えるようにしていきましょう。
新築とは『心築』でもあると思います。長く暮らしたいと思える家を建てるためにも話し合いを大切にして、家族の心が通い合う家づくりをしていきましょう」

スーモカウンターに相談してみよう

注文住宅を建てたいと考えている方は、ぜひスーモカウンターに相談してみませんか。スーモカウンターでは理想に合った会社探しをはじめ、アドバイザーがお客様の家づくりを全面サポートします。後悔しない注文住宅を建てたいけど何から始めたらいいの?という方も大歓迎。家づくりのヒントからお金のことまで親身になって相談に乗ります。
また、無料で参加できる17の講座も実施中。アドバイザーと1対1で行うため、質問も相談も好きなだけ可能です。気になるテーマを見つけたらぜひお近くのスーモカウンターで開催している講座に参加してみてくださいね。

<調査概要>
「注文住宅3年以内建築者調査」(リクルート調べ)
調査協力:楽天インサイト
調査実施:2022年8月
調査方法:インターネット調査
対象者:3年以内に注文住宅を建築した25歳~44歳の全国の男女
有効回答数: 400名(うち、男性191名・女性209名)

イラスト/あべさん

取材協力/佐川旭さん
佐川旭建築研究所代表。一級建築士、インテリアプランナー。間取り博士とよばれるベテラン建築家で、住宅だけでなく、国内外問わず公共建築や街づくりまで手がける
取材・執筆/佐藤愛美(りんかく)