埼玉県内に住むEさん(42歳)は、築40年を超える“昭和の家”に祖父母と同居していた。やがて、祖父母の他界を機に建て替えを考えるようになる。完成したのは白と黒を基調としたスタイリッシュな家。「家のデザインに自分の生活スタイルを合わせる」というコンセプトから生まれた新居とは?
金額のこと、建築会社の選び方、すべてがわからない状態
祖父母が建てた“昭和の家”は、一部リフォームを施し、台所もオール電化にはしていたものの、冬はすきま風が入り込んで寒かったという。築年も古かったので「地震が来たら、ちょっと危なそうな感じ」だったとEさんは笑う。
いつか建て替えようと思っていたが、きっかけはポストに投函されていた大手住宅メーカーのチラシ。モデルハウスの展示場に来ませんか、という誘いだった。見学に行ったものの、価格が高いし、デザインも好みではなかったそうだ。
直後にスーモのフリーマガジンでスーモカウンターの存在を知り、相談に赴いた。
「金額のこと、住宅メーカーの選び方、家づくりに関するすべてがわからない状態でした。おおよその金額、家全体のデザイン、本や服の収納などの希望を伝えて、さらにデザインはスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』に出てくる白と赤のイメージと伝えたんです。そんなとりとめのない話をちゃんと聞いてくれた上で、『ここなら合うと思います』という建築会社4社を紹介してくれました」
各社と面談した結果、担当者と話した印象が一番よく、打ち合わせ時に想定の間取図も用意してくれていた1社に決定。
「敷地に対して何坪ぐらいまで建てられて、どんな間取りが可能かという具体的な提案をしてくれたんです。大工の学校を運営している、施工範囲は拠点から車で1時間圏内、下請なしの一貫施工という会社の理念にも引かれました」
「白、黒、グレー」というコンセプトを重視した
結果的に「白と赤」ではなく「白と黒とグレー」になったが、Eさんの美意識に包まれた家が完成する。
「建築会社と話しているうちに、家全体やそれぞれの部屋、キッチン、浴室などのデザインコンセプトが決まりました。そこからは早かったですね。『白、黒、グレー』をテーマにした家づくりが始まりました」
大きい本棚にはアートやファッション関連の本が収納されている。部屋全体の雰囲気から浮かないように埋め込み式にした。
「建築会社さんとの打ち合わせは楽しかったですよ。向こうは大変だったと思いますが。一番たくさん話したのは、建築家とインテリア担当の人。なかなかイメージが固まらなかったので、自分でも間取りを描きましたがうまくいかず。建築家に『ゼロベースで考えてください』と頼んで描いてもらったものが一番よくて、いまの間取りに近いです」
また、建築会社が打ち合わせ内容をネット上で共有できるシステムを導入していたため、帰宅後に思い付いたことを書き込んでいた。次の打ち合わせまでの進展を共有できるのがよかったという。
1階のトイレはデュシャン、2階のトイレは草間彌生をイメージ
「キッチンから浴室に抜ける壁のデザインにもこだわりました。『洞窟のイメージにしたい』と伝えた上で、大工さんと相談しながら角度の微調整を行いました」
構想段階でEさんは2階に露天のトイレをつくりたかったそうだ。屋根がないから日々の外気を感じられるトイレ。しかし、これは実現しなかった。
代わりにつくったのが真っ赤なトイレ。
「2階のトイレだけ、唯一赤を入れました。草間彌生さんの作品のイメージで、『ちぐはぐ』というコンセプトの象徴ですね。赤い壁紙を張って、自分で丸いシールを貼りました」
外構の置き石は祖父母が亡くなったあとで黄色に塗ったが、新居に合わせてシルバーに塗り直した上で、砂利を敷いて枯山水風にすると言っていた。
取材後にニュー枯山水の写真を送ってくれた。
話し合いを重ねて1+1が2以上になる相乗効果
納得のいくまで建築会社と話し合いを重ねた末に完成した新居。しかし、Eさんは「建築会社さんがここまでつくってくれたので、あとは自分が細かな仕上げをするという思いがあります」と語る。
「建築中も大工さんと話し合いながら、急な変更にも応えてもらえました。1+1が2以上になる相乗効果を発揮できたという実感があります。結果的に私が当初考えていたイメージよりいい家になりました。家のデザインに自分の生活スタイルを合わせるため、緊張感を持って住んでいます」
スーモカウンターについては「圧倒的におすすめします」とのこと。
「こちらの話を丁寧に聞いてくれて、相談する中で道筋をつくってくれました。白紙の状態から家づくりのイメージをもてたのが一番大きいですね。いろいろと相談した上で紹介してくれた建築会社じゃないと合わなかったかもしれません。住宅メーカーのモデルハウスを見て契約した同僚がいますが、私はスーモカウンターで予算とイメージを伝えて、建築会社を絞ってもらった方がいいと思いますね」
Eさんは「友だちや知り合いを呼びたいというよりは、作品をつくったという自己満足の方が強い」とも言っていた。そう、たしかに家づくりは作品づくりでもあるのだ。
取材・文/石原たきび 写真/片山貴博
- DATA
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土地面積 約136㎡ 延床面積 約103㎡ 建築費 約3000万円 間取り 2LDK 世帯構成 本人(42歳)
- スーモカウンターで受けたサービス
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カウンター店舗 スーモカウンター大宮店 紹介された建築会社数 4社 受けたサービス 個別相談