ナチュラルテイストは落ち着いた暖かみを感じられるだけでなく、ほかのテイストとも相性が良いことから高い人気があります。それだけにテイストの組み合わせや色、素材選びなどについて悩まれる方も多いことでしょう。
そこでナチュラルテイストとほかのテイストとの組み合わせによる特徴、ナチュラルな家を演出するためのポイントや失敗しないための注意点などについて、アトリエ・クラッセのインテリアコーディネーター津田愛里さんに聞きました。
- 家づくりにおける「ナチュラル」とは?
- ナチュラルな家のタイプは?
- 【外観・外装編】ナチュラルな家を演出するためのポイント【SUUMO編集部】
- 【内装編】ナチュラルな家を演出するためのポイント【SUUMO編集部】
- ナチュラルテイストの家づくりで失敗しないための注意点
- ナチュラルな家の実例を紹介!
- 【スーモカウンター実例紹介】ナチュラルテイストの住まい5選を紹介!
- 理想のナチュラルな家を実現するためのポイントは?
- スーモカウンターに相談してみよう
家づくりにおける「ナチュラル」とは?
「ナチュラル」を直訳すると、「自然の」や「天然の」という意味ですが、家づくりにおける「ナチュラル」は少し意味が違うといいます。家づくりにおける「ナチュラル」とは、どのようなものなのでしょうか。
ナチュラルテイストの家とは
「ナチュラルテイストの家とは、明るい木目などぬくもりを感じられるようなテイストを取り入れた家という意味です」(津田さん、以下同)
ナチュラルな家に共通する魅力
ナチュラルな家には『飽きがこない』という共通の魅力があります。流行に左右されず長く使い続けることができるからこそ、ほかのテイストとの相性も良いのでしょう。
ナチュラルテイストの家で用いられる色や素材は?
「ナチュラルテイストの家でよく用いられる素材として無垢材があります。床材ならば、オークやメープルなどの明るい色の樹種がよく使われますね。
壁は特に天然素材を使っているからナチュラルというわけではなく、一般的なビニールクロスでもナチュラルな印象にすることは可能です。色のベースはホワイト、それに薄いグレーやベージュなどを使うと、ナチュラルテイストが強調されるでしょう」
ナチュラルな家具・インテリアとは
「家具やインテリアにも明るい色や柔らかい素材のものを使うと、ナチュラルになります。例えば、ソファーなどの場合、革製のものよりは、ファブリック調のものを使うと、ナチュラルな印象がアップします」
ナチュラルな家のタイプは?
最近は単に「ナチュラル」なだけではなく、ナチュラルテイストにほかのテイストを組み合わせた住まいも人気です。どのようなタイプがあるのか、それぞれの特徴と合わせて紹介します。
ナチュラルモダンタイプ
「モダンテイストを組み合わせた『ナチュラルモダン』の場合、明るい木目を使いながら、アイアンのブラックなど、濃い色をワンポイントで取り入れることが多いですね。アクセントとして濃い色を使うと、カッコ良さがプラスされて、空間全体がしまります」
ナチュラルヴィンテージタイプ
「ナチュラルにヴィンテージテイストを加えたのが『ナチュラルヴィンテージ』です。
この場合は、太い木の梁(はり)を表に出すなどして、自然素材を強調しながら、古材調の家具や、くすんだ色の革製のソファーなどで、ヴィンテージ感を演出します。
また、壁紙にコンクリート調のクロスを採用して、ヴィンテージ感を強調することもあります」
ナチュラル+北欧テイストタイプ
「基本となるナチュラルテイストに、パステル調の淡い壁紙や、柔らかい印象のインテリア、ポップなカラーの家具などを置くと北欧テイストが加わります。暗い色はあまり使わず、明るい色を使うのがポイントです」
ナチュラル+和モダンタイプ
伝統的な日本のインテリアスタイルと現代的な洋風のインテリアスタイルとを組み合わせた「和モダン」にナチュラルテイストを取り込んだ様式になります。木や竹などの自然由来の家具や建具、畳や障子などを用いる一方で、クロスやカーテン、照明など洋風の要素を融合させ、無垢材などナチュラルな素材を取り込むことがポイントです。日本の伝統的なスタイルを取り込んだナチュラル+和モダンタイプの空間は、おしゃれでありながら、落ち着いた雰囲気を感じることができるでしょう。また、ナチュラル、和風、洋風の要素をどのように組み合わせるかで雰囲気が変わるため、自分の好みのスタイルを出しやすいという特徴もあり、人気のスタイルになっています。
ナチュラル+西海岸タイプ
アメリカ西海岸をイメージさせる開放的なスタイルは、別名「カルフォルニアスタイル」や「ビーチスタイル」と呼ばれることもあります。西海岸をイメージさせる空間づくりにはヴィンテージ感のあるナチュラルな素材が欠かせません。床材なども使い込まれた古材を用いたり、窓枠などを木製などにすることで、ナチュラルな暖かみを感じさせる空間を演出できます。また、家具や雑貨などのインテリアは海や空を連想させる青や水色、白色などを基調にまとめるのがオススメです。間取りについても、吹抜けやナチュラル感のあるウッドデッキやカバードポーチを採用することで開放感が高まり、ナチュラルな西海岸のイメージに近づけることができます。
ナチュラル+カフェタイプ
カフェタイプは、自宅に居るのにおしゃれなカフェでくつろいでいるような雰囲気を楽しめる空間となります。一口でカフェタイプといっても、コンセプトによりアンティークやモダンなどバリエーションがありますが、ナチュラルとカフェタイプの組み合わせは特に高い人気があります。自然素材を基調とした木製などのテーブルや椅子、収納などでインテリアに統一感を持たせ、色調も白やベージュ、明るいブラウンなどでまとめることで暖かみのある空間を演出するのがポイントです。また、魅せる空間づくりを意識して、おしゃれな雑貨を置いてみたり、間接照明を取り込んでみるなど、カフェタイプでは極力生活感を感じさせないような工夫をすることもポイントになります。
【外観・外装編】ナチュラルな家を演出するためのポイント【SUUMO編集部】
家づくりにおけるナチュラルにもいろいろな組み合わせがあることがわかりましたが、具体的にナチュラルな家を演出するためにはどうしたら良いのでしょうか。まずは外観・外装についてポイントをまとめてみました。
シンプルなデザインを意識する
ナチュラルテイストは汎用性が高く、ほかのテイストとの親和性が高いことから、モダンやヴィンテージなどをはじめ、組み合わせ方はバラエティに富んでいます。ナチュラルな家を演出するためのポイントとして共通するのは、外観・外装にシンプルなデザインを心がけることです。
まず、外装に用いるカラーは多くなればなるほど、雑多な印象を与えてしまいます。多くても3色以内に抑えるようにするとともに、配色のバランスについても意識することが大切です。装飾や外装品についても無駄なものは極力無くすことを心がけるようにしましょう。これにより落ち着いた外観となり、ナチュラルテイストを意識したデザインが引き立ちます。
窓をバランス良く配置する
家づくりにおいて窓は、自然の光を取り込んだり、空気の入れ替えを行ったりという生活の快適性に重要な役割を担っています。一方で窓は、外観にも大きな影響を与えます。
おしゃれな外観に仕上げるためには建物完成時のイメージを明確にして配置を考えることが大切です。具体的には、上下の高さをそろえたり、窓の配置を規則的にしたりすることですっきりした外観となります。等間隔に配置された窓はデザインバランスがとりやすく、ナチュラルテイストな外装との相性も抜群です。FIX窓や滑り出し窓などの設置も検討するなどして、ぜひ、機能性とナチュラルな外観を備えた家づくりを計画しましょう。
外壁に白やグレーなどの落ち着いた色を用いる
家の外壁の色は家の印象を左右するポイントとなります。
ナチュラルテイストな外観にするためは、白やグレーなどの落ち着いた色を用いるのがオススメです。このほかベージュなども人気ですが、いずれにせよ柔らかく落ち着いた色を用いるようにしましょう。色の種類を使い過ぎず、カラーバランスを意識することも大切です。
一方で、色によっては汚れが目立ちやすく頻繁なメンテナンスが必要になる可能性もあります。家の近くに交通量の多い幹線道路があることによる排ガスやグラウンドや畑などが周囲に多いことによる土埃などの影響で汚れが気になる場合には、汚れの目立たない色選び、素材選びをするようにしましょう。
庭や外構にもこだわる
ナチュラルな家を演出するためには、庭や外構にもこだわりましょう。
ナチュラルテイストな家の外観に合わせた庭や外構づくりをすることで、家と庭と外構が統一感のあるデザインとして完成し、住まいの魅力がいっそう引き立ちます。
外構には木材や石など自然素材を用いるケースが一般的ですが、最近は擬木のコンクリートや木調のエクステリア、本物の石に見えるコンクリートなどでも幅広い選択肢のなかから素材を選ぶことができます。庭についても家と外構に合わせて、全体のバランスを考慮して植栽の配置を検討することが成功のポイントです。
【内装編】ナチュラルな家を演出するためのポイント【SUUMO編集部】
外観がナチュラルテイストに演出できたら、次は内装です。ナチュラルで飽きのこない長く住み続けられる空間づくりの秘訣(ひけつ)はどのようなものなのでしょうか。内装編としてポイントをまとめてみました。
リビングをナチュラルにするポイント
「化粧柱や化粧梁で、木の素材感を出すことで、より自然に近いイメージになり、ナチュラル感が強調できます。
天井を高天井にして木目にする場合は、少し濃い目の色にしてもナチュラルになります」
キッチンをナチュラルにするポイント
「全体を木目にしてしまうと、やぼったい雰囲気になってしまいますが、白ベースのキッチンのワンポイントとして、木目調の下がり天井にすると、ナチュラルに仕上がります。
天井を木目調にする場合、ダウンライトのフレームの色を黒にするとモダンな印象になり、白にするとよりナチュラルな印象が強調されます。
キッチンの床材も、濃い色は避け、薄い色のフロアタイルなどを使用すれば、ナチュラルテイストになります」
寝室や子ども部屋をナチュラルにするポイント
「一面だけアクセントクロスを入れる場合は、なるべく淡い色を使うようにします。白の木目や白のレンガ調を使ってもナチュラルな印象になるでしょう」
玄関をナチュラルにするポイント
「玄関は、家の第一印象を決める重要な場所です。玄関扉に明るい木目を採用すると、家全体がナチュラルな印象になります。
また、玄関のフロアタイルは、薄めのグレーやベージュにするとナチュラル感が出ます」
水回りでナチュラルを演出するポイント
「水回りにはあまり濃い色は使わないことです。白や明るい木目を基調にすることで、ナチュラルな空間になります。
洗面台などにタイルを使う場合、薄めの色でナチュラル感を強調してもいいですし、青や水色などを差し色として使ってもいいでしょう」
ナチュラルテイストの家づくりで失敗しないための注意点
ナチュラルテイストの家をつくる際、特に気を付けておいた方がいいポイントはあるのでしょうか。
「木を多用する場合、木の色は2色以内に統一することです。いろいろな木の色がひとつの空間にあると、まとまりがなくなります。
住まいのデザインテイストは、バランスが大事です。ちぐはぐな印象にならないように、色味をそろえたり、ポイントだけほかの色を使ったりするようにしましょう」
ナチュラルな家の実例を紹介!
次に、アトリエ・クラッセが手掛けたナチュラルな家の実例を紹介します。
【実例1】ナチュラルテイストの家
床の無垢フローリングと吹抜けの梁がナチュラルテイストを強調しています。正面の畳コーナーには濃い目のアクセントクロスを張っていますが、広いリビングの一角なのでナチュラル感を損ないません。
中2階に設けた子どもたちの勉強コーナーも明るい木目でナチュラル感満載。天井の濃い木目もアクセントになっています。
【実例2】ナチュラル+北欧テイストの家
無垢フローリング、吹抜けの梁など、ナチュラルテイストをベースにしながら、随所に淡いパステルカラーの腰壁やアクセントクロスなどを使い、北欧テイストをプラス。
住まいの雰囲気に合わせてポストや照明をコーディネートした門柱も、ナチュラルベースのデザインです。
【実例3】ナチュラル+ヴィンテージテイストの家
外観はブラックガルバリウムを使ったスタイリッシュな印象ですが、差し色で明るい木目を入れて、ナチュラル感もプラスしています。
木をふんだんに取り入れながら、キッチンの床にはモルタル調のフロアタイルを使用しており、若干ヴィンテージ感が強めになっています。
【実例4】ナチュラル+和風の家
無垢材に杉を使用して、ナチュラル+和風を実現しました。存在感のある土間は和風住宅の印象もありますが、明るい色味のため、モダンなテイストもプラスされています。
さらに、杉板の明るい木目によってナチュラルな雰囲気もあり、すべてが調和した心地よい空間になっています。
【スーモカウンター実例紹介】ナチュラルテイストの住まい5選を紹介!
スーモカウンターを利用して、ナチュラルテイストな住まいを実現した先輩たちの実例を紹介します。その人たちが、どのような点にこだわり、どのような住まいを実現したのか、実例を参考に学んでいきましょう。
【case1】自然素材に魅力を感じ、無垢の床材でナチュラルテイストを演出
子どもが生まれたことで、一戸建てが欲しいという思いが強くなったSさん夫妻。
夫妻の希望は、家事動線にこだわった間取りで、無垢床などの自然素材を使った家。条件に合う依頼先候補として紹介された5社のなかでデザインや間取りの自由度が高く、地域に根付いた建築会社に依頼しました。
完成した新居のリビングはシンプルながらぬくもりの伝わる空間で無垢の床材がナチュラルな雰囲気を醸し出しています。
この実例をもっと詳しく→
効率の良さとリラックス感を兼ね備えたむく床の家
【case2】無垢材の床や建具、漆喰の壁が住む人を包み込む家
祖父の土地を購入することにしたSさん夫妻。希望はシンプルでナチュラルなデザインの家。見た目はシンプルでも、質の良い素材を使った家づくりに魅力を感じ、紹介された5社のなかから無垢材を使う建築会社に依頼しました。
完成した家は、床はもちろん建具にも無垢材を使用。家中の壁はすべて漆喰で、自然素材にあふれた空間なので、お客さまからは「空気が澄んでいる」と羨ましがられるそうです。
この実例をもっと詳しく→
むく床と漆喰仕上げの、自然素材が心地いい家
【case3】カッコ良いデザインからぬくもりを感じるナチュラルテイストに方向転換
家づくりを決意したIさん夫妻は、依頼先候補を4社提案してもらい、担当者との相性が良かったそのなかの1社に依頼することにしました。
インテリアは当初、黒を基調としたカッコ良いデザインに憧れていましたが、これから家族が増えることを考え、明るくてぬくもりを感じるナチュラルテイストな家に方向転換。 SNSなどで気に入ったデザインなども担当者と共有して、理想通りの住まいを手に入れました。
この実例をもっと詳しく→
テーマは「ぬくもりを感じる居心地の良いカフェ風の住まい」
【case4】和のテイストを活かしたナチュラルな雰囲気を演出した家
大工だった祖父が建てた築45年の一戸建てに住んでいたKさん夫妻。建物の老朽化から当初はリノベーションを検討していましたが、プランに制約が出てしまうこと、金額もあまり変わらないことから建て替えに計画変更しました。
情報収集のため雑誌の「SUUMO注文住宅」を購入したことがきっかけでスーモカウンターに訪問されたそうです。祖父が建てた家で使っていた障子や蘭間などを取り入れたいなどの要望を伝え、紹介された3社から最もコミュニケーションが取りやすかった会社で家づくりを決められました。
「明るさ」と「暖かさ」にこだわった住まいは、1階でも吹抜けにより明るさを確保したリビングに畳スペースを設け、祖父が建てた家でも使っていた障子や欄間を取り入れ、和のテイストを活かしたナチュラルな雰囲気を演出した家が完成しました。
この実例をもっと詳しく→
祖父の思い出を受け継ぎ建て替えた、和のアクセントを利かせた家
【case5】木目と白のナチュラルなインテリアを取り入れた家
転職による収入アップがきっかけとなって家づくりを意識したMさん。「35歳までに家を建てる」と仲間に宣言していたことを思い出し、よく買い物に訪れていたショッピングセンター内にあるスーモカウンターに訪れ、資金計画や家づくりに関する相談ができたことで家づくりが始まりました。
スーモカウンターでは4社の紹介を受け、同じ土地の紹介を受けた2社のうちプランと見積もり金額を比較検討のうえ建築会社を決めました。内装は極力シンプルにすることを心がけ、木目と白を基調としたナチュラルなインテリアでまとめることで清潔感のある明るい雰囲気に仕上がっています。
また、シンプルな内装は今後のライフスタイルの変化にも対応しやすいというメリットを感じられるという点でも大満足の家づくりができました。
この実例をもっと詳しく→
「35歳までに」の宣言を有言実行!楽しんで建てた自分だけの家
理想のナチュラルな家を実現するためのポイントは?
最後にあらためて津田さんに、理想のナチュラルな家を実現するためのポイントについて聞きました。
「ナチュラルと一口にいっても、いろいろなナチュラルがあります。かわいい雰囲気にしたいなら全体的に淡い色を使ったり、カッコ良い要素も欲しいならアイアンを取り入れたり、自分がどういうナチュラルにしたいかを明確にすると、理想的なナチュラルテイストの家が実現するでしょう」
スーモカウンターに相談してみよう
「どうやって進めたらいいのかわからない」「ナチュラルテイストな家をつくりたい」住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望を叶えてくれそうな依頼先を提案、紹介します。
無料の個別相談のほか、「はじめての注文住宅講座」や「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」など、家づくりの段取りや、会社選びのポイントなどが学べる無料の家づくり講座も利用できます。ぜひお問い合せください。
取材・執筆/福富大介(りんかく)、SUUMO編集部