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スーモカウンター注文住宅のサービスをご利用いただいて建てたお住まいの
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自称「お猫様の下僕」なので、4匹の猫が自由に過ごせる家を建てた【ペットと家】

吹抜けの様子

大切な家族の一員であるペット。家で過ごす時間が長いからこそ、快適に、そしてのびのびと過ごしてほしい……。

そんな愛をこめた家づくりに取り組んだ人に登場いただく「ペットと家」。第1回は、実家住まいのころから猫とともに生活し、自らを「お猫様の下僕」と称するほどの猫好き・りのさんのご自宅を紹介します。

大阪で、夫とともに4匹の猫と暮らす家をつくり上げたりのさん。猫用ステップをめぐらせた吹抜けリビングをはじめ、自ら配置や間取りを考えたという「猫のための家」について語っていただきました。

🐈🐈🐈

「お猫様の下僕」を自称する大の猫好きの、りのと申します。

猫との暮らしは生まれたころから。実家でも複数の猫を飼っていて、現在は2021年に大阪の郊外に建てた「猫のための家」で夫と4匹の猫(ヴォル、ネロ、ルーシー、アル)と暮らしています。

まずは、わが家でくつろぐ猫のお姿を見ていただければと思います。

キャットウォークで遊ぶ猫様たち

吹抜けでくつろぐアル(写真左・7カ月)とネロ(写真右・4歳)

キャットウォークで遊ぶ猫様たち

キャットウォークに上るネロ、ヴォル(写真中央・12歳)、ルーシー(写真右下・2歳)

外を見つめる猫たち

外を見つめる猫たち

ぐでん

ぐでん

猫たちが思い思いの場所でゆったり過ごせているのを見ると、今の家を建ててよかったなと感じますね。

とことん「猫のため」にこだわった空間づくりをしていますが、「人」が暮らす上で快適になるような工夫もしています。今回はそんなわが家について、「猫」に関連して工夫した部分を中心にお話できればと思います。

りのさん自宅の間取図

りの邸の間取図

【目次】

猫が自由に歩き回れる吹抜け&リビング・ダイニング

わが家の大きな特徴といえば、なんといっても猫用のステップやキャットウォークを取り付けた吹抜けじゃないかなと思います。

3Fの書斎スペースから吹抜けを眺めるとこんな感じ

3Fの書斎スペースから吹抜けを撮影しました

間取り図でいうここ

こちらの部分です。2Fのリビング部分にかかるようになっています

まずこだわったのは、猫の動線確保でした。猫が毎日のびのび快適に過ごせるよう、リビングの吹抜け部分の壁に猫用のステップやキャットウォークを取り付け、高くジャンプするのが得意な猫が「縦に動ける」ようにしました。

わが家の猫たちは12歳、4歳、2歳、7カ月と年齢が離れていて、運動が苦手な子もいます。そのため、遊びやすさだけでなく安全面にも気を配り、ステップは多めに。手持ちのキャットタワーやシェルフと組み合わせてステップに上りやすいようなつくりにもこだわりました。

吹抜け部分だけでなく、ダイニングの壁・天井にもキャットウォークを設置。こちらには、アクリル製のウォークも取り入れています。

ダイニングスペース

ダイニング側の様子

アクリル製のウォークでのんびりするヴォル

アクリル製のウォークでのんびりするヴォル

また、猫が自由に歩き回れる空間を増やすために、キッチンスペースの配置も当初のプランから変更。

猫が入ると困るキッチンスペースを壁側に寄せ、ダイニングを広く取ることで猫たちの「横の動き」も大きく取れるように工夫しました。

ダイニングスペース

初期の図面。キッチンスペースがリビング側に向いていたのを、赤線のような配置に変更

そして、猫飼いにとって愛猫を眺める時間は至福のひととき! わが家では吹抜け上部にあたる3階のスペースを書斎にして、キャットウォークや梁(はり)の上で過ごす猫たちを間近で眺められるようにしています。

書斎から見た吹抜けの様子

書斎から見た吹抜けの様子

猫が通れるようなスペースも用意

足元には、吹抜けとつながった猫の通路も確保

書斎は二人が並んで座っても余裕のある広さにしたので、夫と一緒に資格の勉強をしたり、本を読んだりと、リビング以外にゆっくり過ごせる場所となっていてお気に入りです。

ちなみに、高い位置にあるキャットウォークもこの書斎から伸縮性ワイパーで掃除ができ、いつもキレイに保つことができるのもポイントです。日当たりのいい窓のそばでお昼寝をしている猫たちの姿を書斎から見ていると、やるべき作業が止まってしまうことも……。これはうれしい誤算でした。

掃除をしている様子

インターネットで3mほど伸びる伸縮性ワイパーを購入し、掃除しています

窓のそばでたたずむ

窓のそばでたたずむルーシー

吹抜けにするとリビングが寒くなりやすかったり、においが上階にこもりやすかったりする、というのを聞いたことがあったため、断熱材(吹付けタイプの発泡ウレタン)を少し厚めにしてもらったり、20畳弱のリビング・ダイニングに対し23〜26畳用のエアコンを導入したりしました。また、吹抜け上部の窓を1つだけリモコンで開閉できるタイプにし、換気しやすいようにしています。

手狭なマンションから「猫のための家」を建てると決めるまで

そもそも、家を建てる前に住んでいたのは1LDKのマンション。最初は夫婦+猫1匹(実家にいたころから飼っていたヴォル)で暮らしていましたが、友人から「猫を保護したけれど、アレルギーがあって飼えない。りのの家で飼えない?」と持ちかけられたり、繁華街の同じ場所に留まり続ける猫を保護したり……と、気づけば猫が3匹に!(アルは猫の家に引越してから5カ月後に、雨の中うずくまってるのを保護しました)

このあたりから、いよいよ手狭になってきていました。猫が自由に動けるスペースも少なく、食器棚や冷蔵庫、はては電子レンジに入り込み……と、とにかくイタズラに悩まされる日々でした。

また、夫の仕事用のデスクスペースにも猫が入り込み、机の上をゴチャゴチャにしてしまうこともしばしば。猫が増えたことで、人間の生活がどんどん圧迫されていました。

このままでは、猫も人間も窮屈なまま過ごすことになってしまう。将来的なことも考え、夫婦で出した結論が「もう、家建てちゃうか!」でした。相談の上、土地選びでは夫の希望を優先し、どんな家にするかについては「猫のための家を建てたい」という私の希望をベースにすることが決まりました。

夫も猫好きですが、ここまで「猫」をメインにした家を受け入れてくれて、ありがたいなと思います。

アル

マンション時代から所有していたキャットタワーで遊ぶ様子

「猫がどう動くか」をイメージし、配置案を伝える

家を建てるにあたり主に参考にしたのは、ペットと暮らすことにフォーカスした家づくりの本。猫のために選ぶとよい床材や、脱走防止のためには玄関にペットゲートを付ける……など、参考になる部分を取り入れてプランの希望を出していきました。

でも、私たちが希望した大きな吹抜け(と、猫用ステップ&ウォーク)を実現してくれる建築会社に出合うまでには時間がかかりました。猫を飼っていない人にとってはあまり親しみのないものということもあり、どんなものを作りたいかが具体的にわかりにくかったのか、プランが作りにくかったみたいです。

それならば! と一念発起して、自ら吹抜け部分をはじめとした家のイメージをまとめることに。猫の動きをイメージしながらステップの配置や間取りを考え、ノートに自分の希望をまとめていきました。

試行錯誤している図

全体のイメージをまとめたノートの一部

試行錯誤している図

ステップをどう配置するかなども考えました

それを見たのが、建設予定の土地に元々あった建物を解体した際の電気工事業者さん。「知り合いの建築会社に猫好きな人がいるよ!」と紹介してもらったのがまさに、運命の出会いでした。

猫好き同士、すぐに意気投合。「僕も妻も猫が好きで、自宅を猫のための家にしようとしているところなんです。ぜひうちでやらせてほしい!」との言葉が決め手となり、お願いすることに。

私たちの希望は実現の難しいものもあったと思いますが、どうすればできるかを一緒に考えてくださったのでとても心強かったです。特にこだわった猫用のステップは、建築会社さんの努力のたまものだと思います。「もうイヤだ」と言いながら(笑)、とてもいいものをつくってくださって。本当にできるかどうかはさておき、やってみたいことはどんどん伝えていくのが大切なんだなと感じました。

まだ設置するんですか? と言われたキャットウォーク

細かな部分にも「猫」の存在を意識

吹抜け部分や壁に設置したキャットウォーク、ステップ以外でのこだわりも紹介させてください。

まずは、猫たちが過ごす2階のリビング・ダイニングや3階の書斎、寝室などの床材。こちらは建築会社の標準仕様から変更し、猫が歩きやすいとされる少しザラつきのあるDAIKENの「ワンラブフロアⅣ」というものに変えています。ツルツルしたフローリングだと猫が歩くときに滑ってしまうため変更したのですが、私と夫もこの肌触りがお気に入りに。人間にとっても快適な床材でした。

また、室内の引き戸やコンセント部分など、いたるところに猫の足跡やシルエットをあしらい、どこにいても「猫」の存在を感じられる内装にしています。

猫型のコンセントカバー

引き戸につけた猫の足跡


ほかにも、猫用トイレのある洗面所に続く扉や、リビングとホールを仕切る扉にはペットドアを設けて、人が開け閉めしなくても自由に行き来ができるように。

ペットドア

実家で猫を飼っていたときに「あったらよかったなぁ」と感じていたペットドア

それと、猫と暮らす上で大事な脱走対策。脱走防止のため、玄関ホールから2階へと続く階段にはペットゲートを設置しました。また、窓からの飛び出しを防ぐために網戸は固定し、開けられないようにしています。

玄関すぐのペットゲート

階段部分のペットゲート

ちなみにこちらのペットゲートはDIY。こだわりたい部分はしっかりとお金をかけ、自分たちでできそうな部分は手間をかける形にして、費用をおさえるようにしました。

猫が快適=人も快適。お互いを尊重した生活ができるように

猫を中心にした家づくりでしたが、結果として「人」も快適に暮らせる家になったなと感じます。

まずは、一番の悩みだった「狭さ」から起こるさまざまなトラブル。家そのものが3階建てになり広くなったことと、吹抜けで猫が自由に動けるスペースをつくったおかげで、猫が人間のスペースを荒らしてしまうことがなくなりました

ウォークインクロゼットやパントリーなど、マンション時代には少なかった収納スペースも豊富に設けたことで、猫に触らせたくないものはしまっておけるようになり、これもイタズラ防止に役立っています。

待望のウォークインクローゼット

主寝室のウォークインクロゼット


また、マンション時代には夜中や早朝でも「出たい」「入りたい」と猫に呼ばれる度にドアの開け閉めをしていたのですが、ペットドアを設けたことで、その手間が減って快適になりました。

ドアを「開けて」と言わなくても自由に行き来ができるようにしました

建具を選ぶ際、開き戸の場合はペットドアをオプションで付けられたのですが、わが家が選んだ引き戸の場合はオプションで付けられなかったため、後付けのペットドアを大工さんにお願いして取り付けてもらいました。毎日のことなので、ここはこだわってよかったと思います。


猫用トイレは人間が過ごすリビングから見えない洗面所に設け、猫が人の気配を気にせずに用を足せる設計に。

洗面所

洗面所に設置した猫用のトイレスペース

洗面所の収納スペース下に設置した猫用のトイレスペース


リビングにもトイレを設置していますが、こちらはトイレカバーで覆って目隠しをしています。

洗面所に設置した猫用のトイレスペース

リビングにあるカバーで覆ったトイレ(画像右端)の隣は猫が上りやすいようにした柱

来客のことも考えると「猫用トイレの存在が気になる」という人もいるだろうし、猫も人の気配があると落ち着かないので、お互いのためにベストな方法を考えました。

猫用トイレがある前提で間取りを考えたので、トイレ砂や消臭スプレーなど、猫のトイレ用品をまとめておける収納スペースもつくっています。「トイレの処理のために何かを取りに行く」という手間をなくせたのも、注文住宅のいいところ。

猫にとっても狭すぎる家は自由に動けずストレスフルだったのか、現在の家になってからはイタズラや大暴れで私たちを困らせることもなくなり、静かに過ごせるようになりました。人間と猫が一緒に暮らしながらも、お互いの生活を守れている……そんな印象です。




それと、これは「猫のため」の工夫ではないかもしれませんが、実はこの家には廊下があまりないのも特徴のひとつ。

ホールから2階へ上がるとすぐにリビングへ続く扉があり、また洗面所にもすぐにアクセス可能。廊下はどうしてもデッドスペースになるため小さめにしたのですが、おかげで外気がたまりすぎることもなく、また洗濯物をバルコニーへ運ぶ動線も最短で確保。スペースが少ないので掃除もしやすくなり、日々の家事が楽になったと感じます。

家を建てて、猫たちの新たな姿も見られるようになった

最初は「猫のためなら人間の生活は二の次! 人間は押入れで暮らすんだ!」と半分冗談、半分本気で言っていた私ですが、猫のための家をつくったことで得たものもたくさんありました。

新たにつくった猫用ステップやウォークでは、これまでに見ることのできなかった猫たちの活発に動く姿や、アクリル製のウォーク越しに猫たちのおなかや肉球を堪能できる日々。

猫の肉球〜


さらに、「お年寄りだからステップやウォークはあまり使えないかな?」と思っていたヴォル(12歳)も、ステップを上って遊ぶように! まだまだ元気な姿を見てうれしくなりました。

ヴォルも元気に遊んでくれています


夫とも、猫のことをきっかけにした会話がさらに増え、さらに猫たちのかわいい姿をおさめたくて、家ではカメラが手放せなくなってしまったほどです。

毎日がシャッターチャンス

毎日がシャッターチャンス

🐈🐈🐈


今回「猫のための家」を建てるためにいろいろな情報を集めたり、自分で配置や間取りを考えたりと、希望をかなえるための家づくりを通して「自分と同じように、大切なペットと住める家を求めている人の力になりたい」と思うようになりました。

それを仕事へとつなげられたら……と、現在はインテリアコーディネーターの資格取得をめざして勉強中です。これは、家を建てたことで私に起こった、一番の大きな変化かもしれません(笑)。

ひょっこり猫ちゃん

「こうしたい」を実現するまでには、大変なこともありましたが、それ以上に楽しかったです。自分でいろいろと決めて、つくりあげていく体験ができるのは、注文住宅のよさなのかなと感じます。

そして私は、猫のため……いや「猫のためでもあり人のためでもあるわが家」での暮らしを、これからも楽しめればなと思います。

※記事内の猫の年齢は取材時点(2021年12月末)のものです

お話を伺った方:りの

りの

すきあらば猫を吸うヘビースモーカーなところ以外は大阪で普通の主婦をしています。猫チャンは神が創りし最高傑作です! と布教する日々。4匹の猫チャンに囲まれる私を見て羨ましがる旦那と楽しくやっております。
Instagram:@v.n.l052408

聞き手・文:藤堂真衣
写真提供:りの
編集:はてな編集部