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注文住宅の「廊下幅」はどれくらい?収納を付ける場合のアイデアも紹介

部屋と部屋とを結び、動線を良くするために設けられるのが「廊下」です。「収納を取り付けたいから広くしたい」「居室を広くとるためにできるだけ狭くしたい」など廊下に対する希望は人によって異なります。廊下の幅には決まりがあるのか、目的に応じた適切な幅はどれくらいなのかなど、ムクヤホームの粟津佑介さんに聞きました。

廊下とは

廊下とは、両側を壁や建具などで仕切られた、建物内の細長い通路を指します。主に居室間の動線をスムーズにする目的で設けられますが、音や視線、においなどを遮る役目も果たします。

「住宅の断熱性能が低かった頃には、廊下は住居内の空間を区切って空気の層をつくり、各部屋を断熱する役割もありました」(粟津さん/以下同)

廊下の幅についての基準は?

法律上の制約はある?

建築設計において「廊下幅」は、建築基準法の避難規定(施行令119条)が定める「避難経路の有効幅」を指します。一戸建ての場合は、以下の条件を満たした場合にのみ、基準に沿った幅の廊下を設ける必要があります。

・3階建て以上、または採光の基準を満たす窓がない部屋がある階
・さらに居室の床面積の合計が200㎡(約60坪)を超える階

これらは一般的な平屋や2階建て、3階建ての一軒家などには該当しないことがほとんどです。上記に該当しない限り、基本的に廊下幅は自由に設計して問題ありません。

一般的な廊下幅の基準は?

「昔ながらの木造軸組工法で建てられる木造住宅は、柱の芯と芯の間が91cmになる『尺(しゃく)モジュール』で設計されるケースがほとんどです。そこから柱や壁の厚みを除いた実際の廊下幅は、78cm前後になるのが一般的です」

前述の通り、一般的な一戸建て住宅の場合、廊下幅に法律的な制限はありませんが、狭ければ快適性は損なわれてしまうでしょう。78cmは、人がすれ違うことを想定したときに最低限必要な幅とされています。特別な事情がない限りは、78cm程度の廊下幅を確保するよう計画すると良いでしょう。

尺モジュールで設計された廊下幅

木造軸組工法で一般的な尺モジュールで家を建てると、廊下幅は約78cmになる(イラスト/てぶくろ星人)

車椅子が通る幅は?

車椅子の幅は手動式で63cm以下、電動式で70cm以下とJIS規格で定められているため、理論上は75〜80cm程度あれば通行自体は可能です。しかし車椅子でスムーズに廊下を利用するなら、90cm以上の幅が望ましいと考えられます。

「車椅子の通行を想定する場合、1m程度の廊下幅をとることもあります。ただし車椅子での生活を念頭にこれから家づくりをするのであれば、廊下幅を広げることより、そもそも廊下をつくらない方向で設計するのが基本だと思います」

大型家具や家電が通る幅は?

「90cm程度の幅があると、大型家具などの搬入は楽になります。ただ、最近の家具は足を外せたり自分で組み立てたりするタイプが多いので、通常の78cmの廊下で大抵のものは通ります。ピアノ搬入が気になる人も多いようですが、奥行きが短いアップライトピアノはもちろん、一見廊下を通せないように思えるグランドピアノであっても、足が外れるので問題はありません。

収納についても、注文住宅ではクローゼットをつくり付けることが多いので、通常の廊下幅を超えるような大きなタンスを運び入れることも、めったにないと思われます。

大型の冷蔵庫や洗濯機についても78cmの幅があればほとんど問題になることはないでしょう。またリビングの開口部からなど、別の経路がとれることも多いはずです。そもそも大きなものを搬入する機会はそんなに多くないことを考えると、それだけを目的に廊下幅を広げる必要はないでしょう」

廊下幅78cmで搬入できないものはあまりない

標準の廊下幅78cmで搬入できないものはあまりない(イラスト/てぶくろ星人)

廊下幅はどう決める?

「近年の都心など限られた土地面積での家づくりでは、できるだけ廊下幅を必要最低限に抑えるか、廊下を設けず居住空間を広く確保するかを考えるのが主流です。高断熱・高気密の家づくりが可能になった今は、昔のように廊下で空間を区切り各部屋の断熱を確保する必要がなくなったからです。

一方、ゆとりのある家づくりができる場合には、廊下をただの通路としてだけではなく、幅を広くとり、多目的な空間として使うこともできます。家づくりにおいては、自分たちにとっての廊下の位置づけを明確にしたうえで、使い方も含めて幅を検討すると良いでしょう」

通路として使う廊下の写真

多目的空間として使える廊下の写真

廊下は幅を狭くし通路として使うことも、幅を広くして多目的な空間としても使える(画像提供/ムクヤホーム)

廊下に手すりを付ける場合のポイント

手すりを付ける場合の廊下幅の考え方

「手すりを取り付ける場合は、壁面からではなく手すりの内側を廊下幅として考えます。例えば車椅子の利用を想定して90cmの幅を確保したい場合には、90cmに手すりの幅をプラスして廊下幅を検討する必要があります」

手すりの高さ

手すりの高さは、廊下の表面から手すり上端までを75〜80cmとするのが一般的とされています。

「ただしそれはあくまで平均的な話であり、注文住宅の場合では、実際に住む方が使ったときに最も負担が少ない高さに設置します」

廊下幅と手すりの高さの考え方のイラスト

手すりの高さは使う人に合わせて決めることが大切(イラスト/てぶくろ星人)

今すぐ必要でなければ下準備をしておく

「今すぐ手すりが必要ではないけれども、将来のために備えておきたい場合には、家を建てる時点で下地を入れておくことを検討しましょう。下地がしっかりしていないと、手すりに体重がかかったときに外れてしまい、使用している方がケガをしたり転倒したりする恐れがあり危険だからです。

壁の内側に入っている柱の間隔にあわせてビスを打ち、手すりをとめていければ良いのですが、既製品だと間隔があわないこともあります。そのためあらかじめ壁の内側に、想定される手すりの高さにあわせた下地を、廊下と平行に入れておきます」

廊下に収納を設けるときのポイント・アイデア

注文住宅の廊下に収納を設けたいと考えたときに押さえておくべきポイントや、具体的なアイデアを紹介します。

収納を設ける場合はあらかじめ施工会社に相談する

「廊下には本棚を置きたい」など、廊下に収納を設置したい場合は、施工会社に設計を依頼する時点で伝えておくことが大切です。

「例えば幅78cmの廊下にあとから収納を取り付けると、廊下幅が狭くなりすぎて快適性が損なわれてしまうでしょう。廊下の収納は、設置したあとでも必要な廊下幅を確保できるよう設計しておく必要があります」

文庫本やコミック用に奥行き15cm程度の薄型の本棚を設置したとしても、廊下幅は60cm台に。60cmは人ひとりが正面を向いて歩くのに最低限必要な幅とされているため、家族とすれ違うのは難しくなってしまいます。

収納するものを明確にイメージしておく

収納するものによって必要な奥行きが違ってくるため、何を収納するのかについてあらかじめ明確にイメージしたうえで、施工会社に伝えることも大切です。

「『とりあえず収納は広いほうが良い』と考える人もいます。しかし必要以上に大きな収納にすると、空間が無駄になってしまいます。また奥行きが深いと手前に置いたものが邪魔になり、奥に収納したものを取り出しにくくなるでしょう。そうすると結局奥を使わなくなってしまうかもしれません。収納は入れるものを想定したうえで、幅や奥行きを考えることが大切です」

廊下に設けられたウォークスルーの収納例

廊下に収納を設けるときには、収納するものを想定して幅や奥行きを検討しよう(画像提供/ムクヤホーム)

クローゼットの扉の幅に注意する

「廊下にクローゼットを設けるときには、基本的には両開きを提案しています。片開きだと1枚の扉の幅が広くなりすぎ、扉を開いたまま作業するとほかの人が通りにくくなる恐れがあります。折りたたみタイプや引き戸を選んでも良いでしょう」

廊下の突き当たり・階段下なども活用する

廊下の突き当たりや階段下など、無駄になりがちなスペースを収納にすると、限られた空間を有効に活用できます。

収納の写真

階段下や廊下の突き当たりを収納にすると空間が無駄にならない(画像提供/ムクヤホーム)

2階の廊下も活用する

廊下収納は、玄関があり人の出入りが多い1階に検討することが多いようです。しかし2階をリビングにするケースなどでは、2階の廊下も含めて検討すると活用の幅が広がります。2階の廊下へと続く階段とあわせて収納を計画するのもおすすめです。

2階の廊下とひと続きで設計された階段収納

廊下単体ではなく、階段とあわせて収納を考えるのもアイデアのひとつ(画像提供/ムクヤホーム)

注文住宅で理想の廊下を実現した先輩たちの実例を紹介!

ここからは、実際に注文住宅で理想の廊下を実現した先輩たちの実例を紹介します!

【実例1】すれ違いやすいように廊下幅は90cm以上を確保

猫を家族として迎え入れることになったのをきっかけに、暮らしやすい平屋を建てたKさん。中庭を取り囲むように部屋を配置し、ぐるりと一周できる動線にこだわり家づくりを進めました。家族の行き来が多くなる廊下は90cm以上の幅を確保。廊下幅にゆとりがあると、すれ違う際もスムーズです。

幅が広い廊下の写真

回遊性を高めるために、廊下幅は90cm以上と広めにした(写真/Kさん)

この事例をもっと詳しく→
中庭を囲んで一周できる動線が快適な暮らしをかなえた平屋の住まい

【実例2】廊下はギリギリの幅に設計!収納は天井付近に設置し空間を有効活用

「二世帯が笑顔になれる家」を目指し、1階が親世帯、2階と3階が子世帯の完全分離型二世帯住宅づくりを実現したTさん。階段を上がり3階にある夫婦の寝室と長男・長女の部屋をつなぐ廊下は、担当者がギリギリの幅で設計してくれました。廊下の上部にオープン棚を設置するなど、限られた空間を最大限活用する工夫がされています。

幅をできるだけ狭くした廊下の写真

居住空間をできるだけ広くとるために廊下幅をできるだけ狭くした(写真/片山貴博)

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“秘密のドア”で二世帯がつながる、完全分離型の3階建て住宅

【実例3】家族みんなが使えて便利!ファミリークローゼットは廊下の突き当たりに設置

妻が育児休暇から復帰する前に家を建てることを決心したAさん。夫婦がふたりそろって大好きなハワイの老舗ホテルをイメージして家づくりを進めました。「廊下はLDKの続き」と捉え、当初の希望通り、オールドハワイアンのイメージに。廊下の突き当たりにはファミリークローゼットを設け、家族の服をまとめて収納しています。

廊下の写真
クローゼットの写真
雰囲気満載の廊下の突き当たりには家族みんなで使うウォークインクローゼットを設置した(写真/和田真尚)

この事例をもっと詳しく→
ハワイの老舗ホテルをイメージしたクラシカルな住まいが完成

【実例4】階段下の収納は、廊下とキッチンからアクセスできるよう工夫

何気なく訪れた住宅展示場で気になる平屋を見学し、家づくりに興味を持ったFさん夫妻。スーモカウンターで紹介された木造に強く、設計の自由度が高い建築会社に依頼し、希望の間取りを取り入れた平屋を建てました。平屋は収納が少なくなりがちですが、階段下などを活用して収納スペースを確保。階段下に設けられた収納は、片面はキッチン側の廊下、もう片面は洗面室から取り出せるようにし、利便性を高めています。

階段下収納の写真

廊下に面する階段下は収納として活用するとデッドスペースとならない(写真/アラキシン)

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ヒノキの梁が清々しい、ロフト付きの平屋 

廊下幅を考えるときは、家族にとっての廊下の位置づけを明確に

最後にあらためて粟津さんに、注文住宅で廊下幅を決めるときのポイントを聞きました。

「断熱性能が高くなった今の家づくりにおいては廊下の優先順位は低く、部屋を間仕切っていくなかで複合的に生まれてくる存在だと思います。とくに都会で空間に限りがある場合は、廊下はできるだけ最小限に、できればなくして部屋を広くしたいと考えるケースが多いでしょう。

しかし廊下の幅を広くすれば開放的になりますし、さらに幅を広げて部屋以外で多目的に楽しめる空間のひとつにもできます。そう考えると、廊下はゆとりある家づくりのエッセンスになると思います。家づくりに際して廊下幅を考えるときには、まずは廊下の優先順位をどこにもってくるのか、どう使いたいのかを考えてみると良いでしょう」

スーモカウンターに相談してみよう

「家づくりはどうやって進めたらいいの?」「廊下も含めたゆとりある家づくりを提案してほしい」など、住まいづくりに疑問や悩みを抱えている人は、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご希望をお聞きしたうえで、実現してくれそうな依頼先を提案、紹介します。

無料の個別相談のほか、「はじめての注文住宅講座」や「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」など、家づくりの段取りや会社選びのポイントなどを学べる、無料の家づくり講座も利用できます。ぜひお問い合わせください。

取材協力/粟津佑介さん

ムクヤホーム

取材・文/佐藤カイ(りんかく) イラスト/てぶくろ星人