サブウェイタイルという建築素材を知っていますか? サブウェイタイルは取り入れ方次第で、カフェ風からインダストリアル調までおしゃれな空間を演出することができます。今回はおうちソムリエ一級建築士事務所代表の松元幸樹さんにサブウェイタイルの特徴や使い方について話を聞いてみました。
サブウェイタイルってなに?
キッチンや洗面所に取り入れるだけでおしゃれな雰囲気を演出することができるサブウェイタイル。その発祥は日本ではなくアメリカのニューヨークです。なぜ「サブウェイタイル」と呼ばれているのか、どんな特徴があるのかについて松元さんに聞いてみました。
「サブウェイタイルとはアメリカのSubway Ceramics Tile社が生産・販売を行っているタイルのことを言います。1つ1つがハンドメイドで、開業当時の NYの地下鉄で使用されていたタイルを忠実に再現しています。このタイルは実際に現在のNY地下鉄でも使われているんですよ」(松元さん、以下同)
サブウェイタイルはNY地下鉄の壁面などに使われていたタイルがもとになっており、現在は住宅の建材としても広く普及しています。日本では「サブウェイタイル」という呼び名が一般的ですが、国によって呼ばれ方が異なるのも特徴です。
「アメリカでは『subway』、フランスでは『metro』、イギリスでは『tube』という呼び方をします。これらはすべて地下鉄を表す言葉です。日本では『サブウェイタイル』という呼び方がいちばんなじみ深いですね」
Subway Ceramics Tile社のサブウェイタイルは価格が高く生産数も多くないため、日本で入手するのは簡単ではありません。そのため、私たちがよく目にするサブウェイタイルの多くはSubway Ceramics Tile社の製品を模した「サブウェイ風タイル」ということになります。
本場のサブウェイタイルを手に入れたい場合は、日本にもSubway Ceramics Tile社の代理店があるので興味がある人は調べてみてくださいね。
サブウェイタイルの特徴や種類を解説
日本で一般的によく知られている「サブウェイタイル」は、艶のある白い長方形のタイルだと思います。しかし実際にはカラーバリエーションも豊富で質感もさまざま。おしゃれな空間をつくるときによく使われる3種類のタイルを見ていきましょう。
カラータイル
色のついたサブウェイタイルのこと。空間によって色を使い分けたり組み合わせたりして楽しむことができます。
「白いサブウェイタイルがよく知られていますが、カラータイルを取り入れることで空間のアクセントになったり、重厚感を持たせる効果があります」
アンティーク風タイル
くすんだ質感が特徴のアンティーク風のサブウェイタイル。エイジング加工されており、素朴な風合いやインダストリアルな雰囲気を出すことができます。
「独特の風合いを持ったアンティーク風タイルは、パキっとした白のタイルとは違った良さがあります。空間の一部に取り入れるだけでもアクセントになり、おしゃれな雰囲気が生まれます」
凹凸感のあるタイル
表面に凹凸感があるサブウェイタイル。デザイン性の高い壁面を演出することができます。
「凹凸感のあるサブウェイタイルは間接照明を用いて光を当てると、タイルの印象がより強くなります。暖かみのある材質が特徴です」
サブウェイタイルは使い方によってスタイリッシュな雰囲気もカフェのような可愛らしい雰囲気も演出することができます。建築素材として長年愛されてきたのは、その汎用性の高さが理由なのでしょう。
「サブウェイタイルはレトロさとスタイリッシュさのどちらも実現してくれる素材なんです。絶妙な風合いのバランスがこのタイルの魅力だと思います。可愛いカフェ風の空間をつくりたい方にも、NYのインダストリアルな雰囲気を演出したい方にもオススメです」
サブウェイタイルが使える場所は?
サブウェイタイルはどの空間にも取り入れることができます。水濡れに強く掃除がしやすいという素材のメリットを活かし、特にキッチンや洗面所などの水まわりにサブウェイタイルを使う場合が多いようです。
サブウェイタイルを取り入れるのにオススメの空間を松元さんに聞いてみました。
キッチン
デザイン性だけでなく機能性の面でもキッチンとサブウェイタイルは相性が良く、水や油が付着しても掃除しやすいという良さがあります。
「サブウェイタイルをキッチンに取り入れる場合は貼り方がポイントになります。まっすぐに目地を貼るとサニタリー感が強くなってしまうため、交互に重ねて貼るスタイルがオススメです」
洗面所
キッチンと同じく、水を扱う洗面所の壁面にも適しています。使用するタイルの種類によって、洗面所に個性を出すことができます。
「洗面所で使うコンセントやスイッチ、照明などもサブウェイタイルのデザインとなじむ海外性のものをぜひ取り入れてみてください。和製のアイテムよりもサブウェイタイルの良さを引き出すことができるからです 」
リビング
リビングにサブウェイタイルを取り入れることで、NY風のおしゃれな居室に。いちばん長く過ごす空間だからこそデザインにもこだわりたいですね。
「リビングの一部にサブウェイタイルを使用してワンポイントにする手法もあります。海外のアンティーク家具とも相性抜群です」
サブウェイタイルのオススメの貼り方
サブウェイタイルには主に「馬目地貼り」と「芋目地貼り」という2種類の貼り方があります。貼り方によって空間のイメージが変わるため、建築段階でよく検討して決めることをオススメします。それぞれどのような貼り方なのか、特徴を説明します。
馬目地貼り
「馬の足跡のようにタイルを交互に重ねて貼っていく手法を『馬目地貼り』と呼びます。サブウェイタイルと言えばこの貼り方をイメージする人が大半だと思います。NY風の王道を行きたいときは、馬目地貼りを選べば間違いありません」
芋目地貼り
「芋の根のようにまっすぐ目地の通った貼り方を『芋目地貼り』と呼びます。貼り方によってはトイレや洗面所のようなサニタリー感が強く出てしまうため、キッチンやリビングにこの貼り方を取り入れたい場合は、タイルの素材選びや目地の色など設計者のセンスが必要です」
タイルの貼り方が決まったら、目地の色や素材もよく検討してみましょう。白いサブウェイタイルの目地を白にするか黒にするかだけで空間の雰囲気が変わるように、目地の色選びも大切なポイント。また、一般的なセメント目地だと汚れが落ちにくくカビが生えやすいため、防汚・防カビ機能を備えた「高機能非セメント系1液性弾性目地」を使用することで壁面を綺麗な見た目のまま保つことができます。
「少しコストが上がりますが、掃除の手間を考えると高機能非セメント系1液性弾性目地を使うことにより、さらに汚れの染み込みを防ぎ、長く綺麗な状態を保ってくれます。ぜひ計画段階でユーザー側からリクエストしてみてください」
サブウェイタイルを取り入れたおしゃれな空間づくりのアイデア
家の中におしゃれな空間を生み出すことができるサブウェイタイル。実際に使うとどのような家が出来上がるのでしょうか? 先輩たちの住まいを覗いてみましょう。
【case1】キッチンの一部にサブウェイタイルを使ってアクセントに
コストを抑えてデザイン性を重視したUさんファミリーの住まい。キッチンの窓の上部にサブウェイタイルを貼り、空間のアクセントにしました。カウンターの壁面に使用したタイルとは異なる艶やかな質感が、キッチンをスタイリッシュに魅せてくれます。サブウェイタイルを一部分に使うだけでも、空間のおしゃれ度がアップしますね。
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【case2】サブウェイタイル調のクロスを使った脱衣所
ウォークインクロゼットと脱衣所をつなげて快適な生活動線を取り入れたKさんファミリーの住まい。家族みんなが使う脱衣所の壁にはサブウェイタイル風の壁紙を使用し、海外チックなおしゃれな雰囲気を演出しました。本物のサブウェイタイルではないものの、レトロでスタイリッシュなデザインは本物に見劣りしません。本物のタイルを使うよりもコストを落とせるというメリットもあります。
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サブウェイタイルを使うときのポイントは?
カフェ風からインダストリアル調まで幅広いテイストを演出できるサブウェイタイル。一般的に知られている白いタイル以外にも、いろいろな種類があるとわかりました。最後に、サブウェイタイルを住まいに取り入れるときにどんなことを大切にしたら良いかについて押さえておきましょう。
「なんとなくオシャレにしたい、なんとなくカフェ風にしたい、と希望を伝えるよりも、自分が目指す方向性を計画段階で設計者にしっかりと伝えていくことが大切です。例えば、『アメリカの片田舎で暮らす幸せな家族の家』のように具体的なテーマがあるとわかりやすいですね。それから、あくまでもサブウェイタイルは空間を演出するための一つのツールなので、内壁や照明、家具などにもこだわって計画することで、レベルの高い空間に仕上がります」
まずは自分がどんな家で暮らしたいかを具体的にイメージして素材を選ぶことが大切なポイントです。サブウェイタイルはどんな空間にも合う素材なので、理想の空間を仕上げるための使い方をじっくりと考えていきたいですね。
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おうちソムリエ一級建築士事務所 代表
一級建築士、宅建士。住む人がワクワクする可愛い空間をテーマに、家づくりを提案。小さな子どものいるファミリーや女性にも好評