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日当たりの悪い家で後悔したくない!アンケート結果をもとに、間取りや採光確保のコツを解説

できるだけ日当たりのいい土地に家を建てたいものですが、土地や間取りの条件によっては日当たりの悪い家になってしまうこともあります。建築家の佐川旭さんにお話を伺い、日当たりの悪い家にしないためのポイントや、日当たりの悪さによるデメリットを解消するためのコツをまとめました。また、アンケート結果をもとに、日当たりの悪い家を建てた先輩たちの後悔ポイントも紹介します。

日当たりの悪い家の原因は?

日当たりの悪い家になってしまう原因は、主に土地に起因するものと建物の設計に起因するものがあります。

土地の日当たりが悪い

「日当たりの悪い家の多くは、土地自体に原因があります。その代表的な例が旗竿地です。旗竿地は道路に面している部分が狭く、隣家に囲まれるため採光の確保が難しい土地になります。この場合、建物の設計を工夫しないと昼間でも薄暗い家になってしまいます」(佐川さん、以下同)

日当たりの悪い家のイラスト

土地の形状によって日当たりが悪くなることがある(イラスト/岸潤一)

周辺環境によって日射が遮られる

「住宅密集地や、土地の目の前に大きな建物や木がある場合など、周辺環境によっても日当たりは左右されます。家を建てた当初は日当たりがよかったのに、数年後に家の前に集合住宅が建設され、日当たりが悪くなってしまったというケースも珍しくありません」

日当たりの悪い家のイラスト

周辺の環境が日当たりに影響することもある(イラスト/岸潤一)

家の間取りや設計が原因で採光が確保しにくい

「間取りや窓の配置などが原因で日当たりの悪い家になってしまうケースも存在します。日当たりのよい方角にリビングを配置するのが通例ですが、南向きに別の居室を配置したい場合や、道路との位置関係などの事情によりそういった間取りにすることが難しくなってしまう可能性も。また、季節によって太陽の高度は変わるため、それも加味して窓を配置しないと、季節によっては十分な採光が期待できなくなってしまいます」

家の模型の写真

間取りや窓の配置によって家の中の明るさは変わる(画像/PIXTA)

日当たりの悪い家の後悔ポイントは? 先輩たちの声を紹介

リクルートが実施した「住宅に関するアンケート」によると、注文住宅を建てた先輩たちの多くは日当たりのいい家を建てたということが分かりました。しかし、中には日当たりの悪い家になってしまったと後悔している人も。日当たりの悪い家を建ててしまった先輩たちは、どんなことを後悔しているのでしょうか。回答が多かった項目を紹介します。

1.「寒い」

最も多かったのが「寒い」という声です。日当たりが悪いことで室内の温度が上がりにくく、特に冬は寒さを感じることがあります。

「冬は外よりも寒いんじゃないかと思うほど寒い」(大阪府・30代・女性)

「1階に下りると世界が変わるほど寒すぎる」(東京都・30代・女性)

「冬は日当たりの悪い部屋が特に寒い」(北海道・40代・男性)

寒そうな人の写真

日光が入りにくいことにより、家の中が寒くなってしまう傾向がある(画像/PIXTA)

2.「電気代がかかる」

日当たりの悪い家は寒い、暗い、湿気が多いといった問題があるため、暖房や照明、除湿機などを使用する時間が長くなり、結果として電気代が高くなる傾向にあります。

「照明関係の電気代がかかる」(新潟県・40代・男性)

「冬季は光熱費(特に暖房費)がかかる」(北海道・40代・男性)

「すぐに暖房をつけるので電気代がかさむ」(大阪府・30代・女性)

エアコンとリモコンの写真

光熱費が高額になりがちな日当たりの悪い家。家計にも影響を与える可能性が高い(画像/PIXTA)

3.「暗い」

日当たりが悪い家は、日中も部屋が暗くなりがちです。特に窓から遠くなるほど日光が届きにくくなり、昼間でも照明をつける必要があります。

「照明を使わないといけないことが多い。日当たりがよかったら電気をつけなくていいのにと感じる」(福島県・40代・女性)

「季節によって暗く感じる。冬は午前中しか日が当たらない」(熊本県・40代・女性)

「少しでも天気が悪いと照明を使わなければならない」(宮城県・30代・女性)

暗い部屋にいる人の写真

日当たりの悪い家は昼間も暗いため、不便に感じる可能性がある(画像/PIXTA)

4.「洗濯物が乾かない」

日当たりが悪く湿気がこもりやすい空間では洗濯物が乾きにくいという課題があります。ベランダの日当たりが悪いと、外干しをしてもなかなか乾かないこともあるようです。

「洗濯物が乾かないから不快」(愛媛県・30代・男性)

「日が当たる時間が限られている。時間帯によって洗濯物を移動させなければならない」(熊本県・30代・男性)

洗濯物の匂いを気にしている人の写真

洗濯物が乾かず、におい問題に悩まされることも(画像/PIXTA)

5.「窓の結露」

日当たりの悪い家は湿気がこもりやすいため結露が発生しやすい傾向があります。また、結露を放置するとカビの原因にもなります。

「結露しやすく、水滴がたまる」(福岡県・40代・男性)

「結露によってカビが生える。健康面が心配」(青森県・30代・男性)

「結露の手入れが面倒」(福井県・20代・男性)

結露の写真

結露によってカビが発生しやすくなり、健康に悪影響が生じる可能性もある(画像/PIXTA)

その他

そのほかにも、

「積もった雪が溶けにくい」(長崎県・30代・男性)
「部屋が暗いと気持ちも暗くなる」(宮城県・30代・女性)
「時間の感覚が崩れ、生活リズムが乱れる」(兵庫県・20代・女性)といった声もありました。

日当たりの悪い家のデメリットに対し、佐川さんは以下のように考えます。

「家の日当たりが悪いと、住人の健康に悪い影響を与えます。湿気やカビ、においのこもりやすさ、日中でも暗いといった問題があると、気持ちも不健康になります。お金で買うことができないかけがえのない健康を守るためにも、こういった問題は建築計画段階で解決したほうがよいでしょう」

暗い部屋で落ち込む人の写真

日当たりが悪いことでさまざまな問題が起こり、健康を害してしまう可能性もある(画像/PIXTA)

日当たりの悪い家にもメリットはある?

日当たりの悪い家にはさまざまなデメリットがありますが、実はメリットも存在します。

土地が安い

「日当たりの悪い土地は旗竿地のように特殊な形状の場合が多く、土地代が安くなる傾向があります。そのため、土地代を安く抑えたいと考えている人には需要があります」

家の模型の写真

日当たりが悪い土地は、日当たりのいい土地と比べて価格が安くなる傾向にある(画像/PIXTA)

安定した光が入る

「日当たりが悪いという特徴は、別の見方をすると安定した採光を確保できるとも言えます。日差しがよく入る南向きの部屋では1日を通して光の明るさや強さが目まぐるしく変わります。一方、日当たりが悪い北側の部屋などでは時間帯を問わず安定した光が入ってくるので、勉強や仕事に集中しやすい環境をつくりやすいと考えられています」

窓の写真

安定した採光を確保できるのはメリット(画像/PIXTA)

個性のある家を建てられる

「日当たりの悪い土地に家を建てる場合、間取りや設計の工夫によって採光を確保するのが一般的です。吹き抜けや天窓を設けるなど、何らかの工夫をすることで家が明るくなり、さらに空間にも個性の演出ができます」

個性的な家の写真

間取りや窓の配置を工夫することで、家にも個性が出る(画像/PIXTA)

日当たりの悪さを強みにした活用方法がある

「ピアノを設置する音楽室や、アート作品、画材などを扱うアトリエ、食品を保存するパントリーなどは紫外線や熱の影響を受けない場所につくるのが適しています。日当たりの悪さを活かした使い方を考えてみるのはいかがでしょう」

ピアノの写真

日焼けや乾燥などを防ぐために、ピアノは直射日光が当たらない場所に設置したほうがよい(画像/PIXTA)

日当たりが悪い家にしないための建築前の注意点は?

土地選びに注意する

家づくりにおいて日当たりを優先する場合、住宅密集地や旗竿地のような採光確保の難易度が上がる土地はできれば避けたほうがよいでしょう。家の設計は工夫することができても、土地の特性は変えられません。土地の条件は日当たりに大きな影響を及ぼすため、慎重に選ぶことが大切です。

「日当たりの悪い土地であっても、設計の工夫によって採光を確保した明るい家にすることが可能です。この土地で本当に大丈夫だろうかと心配に感じた場合は、購入前に設計者に相談してみることも一つの手段です。採光の確保が難しそうな土地でどんな家を建てられそうか確認し、その提案に納得してから土地を購入するという方法です」

家の模型の写真

土地の特性は変えられないため、日当たりを考慮する上で土地の選び方は重要(画像/PIXTA)

間取りを工夫する

2階リビングや吹き抜けを採用すると家の中に光を取り入れることができます。

「2階リビングは地面からの高さがある分、窓から採光を確保しやすいというメリットがあります。また、隣家が1階リビングの場合は隣人の視線を気にすることなく生活できることや、天井の高さを活かした開放的な空間をつくりやすいといった魅力も。1階にリビングをつくる場合は吹き抜けをつくり光を届けるという手法もおすすめです。吹き抜けにすると、上階の床がない分、1階まで光が入りやすくなります」

2階リビングの家のイラスト

採光を確保するために2階にリビングをつくるという選択肢もある(イラスト/岸潤一)

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中庭をつくる

「周辺を家に囲まれた土地の場合、中庭をつくって採光を確保する手法もあり人気です。土地の形によってつくることができる中庭の形は異なりますが、中庭を最も広くつくることができるのは長方形の地形です」

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中庭のある家のイラスト

中庭をつくることで屋外から光が入り、明るい家になる(イラスト/岸潤一)

窓の位置を工夫する

「光が入りやすい位置に窓を設置することもポイントです。天窓や高窓など高い位置に窓をつくると採光を確保できます。太陽の高度が低い冬に日光が入るように考えて窓を設計することも重要です。また、高い位置だけでなく床面に接した地窓を設けるのもおすすめです。外の植栽が視界に入り、空間に広がりができ、足元が明るい雰囲気になります」

天窓の写真

天窓や高窓を設けると、周辺に建物が建っていても家の中に採光を確保しやすくなる(画像/PIXTA)

周囲環境が変化しても採光が確保できる設計に

「家を建てた後に、隣の土地に大きな建物ができて日当たりが悪くなる可能性もあります。そういった事態を回避するために、できるだけ隣の土地と距離を確保して家を建てるとよいでしょう。冬至の太陽の高度を考慮し、理想は隣家の外壁から6mほど距離をとることですが、限られた土地面積の中で家を建てる場合は現実的ではないかもしれません。その場合は、先述したように間取りや窓の位置を工夫して採光計画を行うようにしましょう」

隣接する建物からの距離を確保した家のイラスト

隣接する建物からの距離を確保できていれば、周辺環境が変わっても採光を確保できる可能性がある(イラスト/岸潤一)

日当たりの悪さによるデメリットを解消するコツは?

風の通り道をつくる

「風の通り道を考慮して窓の位置を計画することで、風通しのよい家になり湿気やにおいの問題を緩和できます。昔の日本では天井と鴨居の間に設ける欄間(らんま)が多く見られましたが、現代は家に取り入れられることが少なくなりました。そのため家の中に風が通らないのです。風が通る開口部をうまく計画することが重要です」

風通しのいい家の写真

家の中の風通しをよくして湿気やにおい対策を(画像/PIXTA)

呼吸する素材を使う

「珪藻土や無垢材といった自然素材は、人工的な素材とは違って呼吸をするので家の空気を綺麗にしてくれます。そのため、湿気によるカビや悪臭の発生を抑制する効果が期待できます」

自然素材を使った壁の写真

自然素材を使うことで家の中の空気が綺麗になる(画像/PIXTA)

全館空調や断熱性の高いサッシを採用する

「全館空調は冬の寒さ対策に有効です。リフォームで後付けするとかなりコストがかかるため、新築時に取り入れるのが基本です。また、トリプルサッシやインナーサッシなどを取り入れ断熱性を高くすることで冷気を遮断することができます。冬の寒さ対策を行うことにより、結露はもちろん暖房費も抑えることができます」

断熱性の高いサッシの写真

インナーサッシはリフォームで比較的簡単に設置できる(画像/PIXTA)

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屋上バルコニーを設けて洗濯を干せるようにする

「洗濯物が乾きにくいという問題は、屋上バルコニーを設けることで解消できます。最も採光を確保できる場所なので、屋上を庭のように活用してガーデニングを楽しむこともできます」

屋上バルコニーで洗濯する人の写真

日当たりの悪い家では屋上スペースを活用するとよい(画像/PIXTA)

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照明計画を工夫して明るい家に

「日当たりの悪い家では照明計画も重要です。リビングの一角や階段の踊り場、廊下、玄関など暗さを感じる場所にフットライトやブラケットライトなどを設けるのがおすすめです。足元や壁などさまざまな位置から光が発生することで空間に変化が生まれ、ホテルのようなおしゃれな雰囲気にもなります。入居後に照明器具を買い足すことを想定し、建築時には少し多めにコンセントをつくっておくとよいでしょう」

また、地下や窓がない暗い部屋にも太陽光が届けられる『太陽光採光システムひまわり』という新しい技術があります。

「太陽光採光システムとは屋外に設置された集光機が太陽光を集め、専用のケーブルと照射器具を通じて希望の場所に太陽光を届ける仕組みです。一般住宅への導入事例もあるので、打ち合わせの際に建築会社に相談してみるとよいでしょう」

太陽光採光システム「ひまわり」のイメージイラスト

太陽光採光システム「ひまわり」のイメージ(イラスト/岸潤一 参考画像提供/ラフォーレエンジニアリング)

壁紙やインテリアを工夫して明るい雰囲気の空間に

「日当たりが悪い家でも、明るい色の壁紙やインテリアを取り入れることで、明るい雰囲気になります。あるいはニッチをつくって一輪挿しを置き、そこを照明で照らすことで空間に奥行きが演出されます。暗い部屋に少しでも広がり感を演出したいときにおすすめの手法です」

キッチンの写真

壁紙の色やインテリアによって空間の雰囲気を明るくすることもできる(画像/PIXTA)

日当たりの悪い家で後悔しないためのポイント

最後に、日当たりの悪い家で後悔しないためのポイントを佐川さんに伺いました。

「家の日当たりは住人が健康な暮らしを送る上でとても重要です。日当たりの悪い家に住むと、健康に悪影響が及ぶ可能性があります。仮に採光の確保が難しい土地であっても、建築設計の段階で工夫すれば日当たりのよい明るい家にすることが可能です。しかし、そのためには設計者の知識や経験値が求められます。一緒になって明るく住み心地のよい家を考えてくれる設計者を探すことが大切です」

スーモカウンターに相談してみよう

日当たりの悪い家になってしまわないか不安という人は、ぜひスーモカウンターに相談してみてください。建築会社の選び方や土地探しの流れなど、アドバイザーがお客様の家づくりを全面サポートします。注文住宅を建てたいけど何から始めたらいいの?という方も大歓迎。家づくりのヒントからお金のことまで親身になって相談に乗ります。

<調査概要>
「住宅に関するアンケート」(リクルート調べ)
調査協力:マクロミル
調査実施:2023年1月
調査方法:インターネット調査
対象者:3年以内に注文住宅を建築した20~40歳代の全国の男女
有効回答数:412名(うち、男性244名・女性168名)

取材協力/佐川 旭さん

佐川旭建築研究所 一級建築士

取材・文/佐藤 愛美(りんかく) イラスト/岸潤一