映像機器の進化や動画配信サービスの普及によって、自宅で映像コンテンツを楽しむ機会が増えています。自宅を新築するにあたり、シアタールームをつくりたいという人も多いでしょう。そこで、シアタールームを導入する際のポイントや注意点、レイアウト、取り入れた方がいい設備・施工などについて、ストーリーハウスの福永将史さんに聞きました。
シアタールームとは?
シアタールームとは、映画などの映像コンテンツを楽しむための空間です。
「子どもから大人まで、家族で映像コンテンツを楽しめる空間であれば、必ずしも専用の部屋に限りません。リビングや寝室、多目的ルームと兼用のシアタールームもありますし、住宅事情を考えれば、そちらの方が現実的と言えるでしょう」(福永さん、以下同)
最近のシアタールームを取り巻く環境
福永さんによると、インターネットによる定額の動画配信(サブスク動画配信)サービスが普及して、シアタールームに対するニーズも高まっていると言います。
「映像コンテンツを視聴するための機器も進化して、今はローコストで簡単に導入できる機器があり、人気が高まっています」
シアタールームに必要な機器や設備は?
シアタールームには、どのような機器や設備が必要なのでしょうか、主な機器や設備について紹介します。
スクリーンor大型テレビ
「プロジェクターを使う場合、映像を投影するスクリーンが必要です。天井から電動で下りてくる大型スクリーンがあると、窓や家具の影響を受けずに、大画面で映像が楽しめます。電動で大がかりなのでコストが高そうなイメージがありますが、スクリーン自体の価格は2万円弱とお手頃です。
リビングに置く大型テレビで映像コンテンツを観るケースも考えられますが、シアタールームという位置づけであれば、スクリーン投影がおすすめですね」
プロジェクター用の壁紙
「窓や家具のない壁面が一定の広さを確保できるなら、壁にプロジェクター用の壁紙を貼って、スクリーン代わりに使うという方法もあります。
今は、映像が綺麗に映るプロジェクター専用の壁紙が売られていますので、そういったものを採用するといいでしょう。価格も普通の壁紙とほとんど変わりません」
プロジェクター
「シーリングライト(天井照明)とスピーカーが一体になった天井付けのプロジェクターがおすすめです。照明用の配線が使えて設置が簡単ですし、ファンの音も静かです」
天井の形状の関係などで、シーリングライト一体型のプロジェクターが設置できない場合は、小型のプロジェクターを利用するといいでしょう。小型のプロジェクターであれば、いろいろな部屋へ持ち運びができます。
音響機器
「家族で楽しむレベルなら、スピーカー内蔵のプロジェクターか、一般的なステレオスピーカーで十分です。
前に後ろに、いくつもスピーカーを設置するケースもありますが、そういったマニアックな使い方をしたい場合は、音響専門のメーカーやオーディオ専門店に相談した方がいいでしょう」
音響にもこだわった本格的なシアタールームの事例はこちら→
「家を建てるならシアタールームが欲しい」を貫いて【趣味と家】
インターネット環境
「動画配信サービスを楽しむなら、インターネット環境は必須です。また、シーリングライト一体型のプロジェクターの場合は、Wi-Fi環境も必要になります。
もし、Wi-Fiルーターの設置場所によって通信が不安定になる場合は、中継器を使用するといいでしょう」
防音設備
「どの程度本格的にするかによりますが、通常の一軒家で使用するのであれば、防音までは気にしなくてもいいでしょう。ただし、間取りの関係で、隣の部屋に音が漏れて気になりそうなら、最低でも間仕切りはした方がいいですね」
遮光設備
「窓からの光が入ると、映像を観るときの邪魔になります。遮光性の高いブラインドやカーテンで光が入らないようにしましょう」
シアタールームを取り入れる際のポイント・注意点は?
新築の家にシアタールームをつくりたいと思ったとき、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
部屋の広さや天井の高さ
「プロジェクターとスクリーンがあまり近すぎると、画面が小さくなってしまいます。プロジェクターの性能によって差がありますので、どれくらい離すと画面のサイズがどれくらいになるかを導入前に確認しておき、希望の画面サイズで投影できる距離を確保します。
天井高は一般的な天井高(2.5m前後)であれば問題ありませんが、小屋裏のように天井高が1.4mくらいと低い場合は、天井付けのシーリングライト一体型の設置が難しいかも知れません。メーカーに設置条件を確認しましょう」
また、シーリングライト一体型のプロジェクターは、傾斜のある天井には設置できません。新築時に導入が決まっている場合は、プロジェクター設置用に天井の一部を水平にしてもらう工事が必要です。
部屋の配置
「当社では、スキップフロアにシアタールームをつくり、上にベッドとプロジェクター、下に子ども部屋という配置をおすすめしています。
ポイントは、シアタールーム専用ではなく、寝室などほかの機能を兼用させて、限られたスペースを有効活用することです」
配線
「Wi-Fiに対応した無線のものがおすすめです。有線で接続するプロジェクターを使いたい場合は、壁内に配線を通すと室内がすっきりします。その場合は新築時にあらかじめ配線計画をしておく必要があります」
家具の選定
「特別な家具などは必要ありません。映像コンテンツをくつろいで観るためのソファやベッドがあるといいでしょう」
広さ別、シアタールームプラン例
次に、実際にどのようなシアタールームが実現可能なのか、広さ別のプラン例を紹介します。
広さ6畳未満
1.5階のロフトに設けた多目的スペースの壁一面にプロジェクター用のクロスを貼って、シアタールームとして使用できるようにした例です。
天井の形状から、シーリングライト一体型のプロジェクターが設置できなかったため、映像鑑賞するときだけ、小型のプロジェクターを置いて使います。
「プロジェクター用の壁紙以外、特別な設備は使っていません。あとはプロジェクターの費用が別途必要なくらいです」
広さ6畳~10畳未満
約9畳の家族4人で寝るための寝室に、シアタールームの機能を加えた例です。
スキップフロアになっており、上にベッドを置き、下に子どもが遊んだり勉強したりできるスペースを設けました。
天井の梁に、シーリングライト一体型のプロジェクターを設置し、大型の電動スクリーンに投影して映像を鑑賞できます。
「シーリングライト一体型のプロジェクターが約8万円、電動スクリーンが約2万円です。ほかに特別な設備は使用していません」
10畳以上
約24畳のLDKに電動スクリーンを設置した例。プロジェクターはシーリングライト一体型ではなく、据え置き型のものを利用して投影します。
「電動スクリーンが約2万円、プロジェクターとスピーカーが合わせて15万円~20万円くらいの予算感です」
シアタールームを設けて理想の住まいを実現した先輩たちの事例を紹介!
スーモカウンターを利用して、シアタールームのある理想の住まいを実現した先輩たちの事例を紹介します。その人たちが、どんな点にこだわり、どんな住まいを実現したのか、実例を参考に学んでいきましょう。
【実例1】妻の長年の夢だったシアタールームをはじめ、こだわりの詰まった家
「いつかは一戸建てを」と考えていたKさん夫妻。家探しを始めて、スーモカウンターを訪ねることにしました。そこで、3社の建築会社を紹介され、最終的に耐震構造に信頼が置ける1社と契約することに。
それからは毎週のように打ち合わせを行い、理想の住まいづくりに邁進しました。こだわりの一つが、癒しのスペースである「シアタールーム」です。妻の長年の夢だった「シアタールーム」は、主寝室隣の空間をうまく利用しています。
この実例をもっと詳しく→
シアタールーム完備で夢をかなえた、家事効率の高い家
【実例2】夫婦のためのシアタールームのある家は、最先端のスマートホーム
家づくりを考え始めたAさん。希望の土地が見つかったことから、建築会社を探すためにスーモカウンターを訪問。自分たちの要望を整理した上で、紹介された3社の中から、設計の自由度の高い1社に依頼することに。
完成した新居は、住宅設備の遠隔操作や音声操作が可能な最先端のスマートホームです。
2階にはシアタールームも設置しました。プロジェクター用の壁紙を用いた巨大スクリーンで、夫婦でビデオ鑑賞を楽しんでいます。
この実例をもっと詳しく→
子どもたちを見守れる、強くて快適なスマートホームが完成!
【実例3】一目惚れしたシアタールームを導入! 遊び心あふれる家
家づくりを考え始めたRさん家族は、友人から紹介されスーモカウンターへ相談に行きました。そこで紹介された会社は3社。最終的には、展示場で見た天井の一部を吹抜けにしたハーフ吹抜けやシアタールームなど、遊び心のあるデザインが決め手となって依頼先を決定。
完成した新居の2階主寝室の奥、ハーフ吹抜けの上部には、展示場で一目惚れしたシアタールームを設けました。広さ約6畳の広々空間で、訪ねてきた友人にも好評です。
この実例をもっと詳しく→
ハーフ吹抜け+シアタールーム。「早く帰りたくなる家」実現!
【実例4】夢と憧れもかなえたい! 少しの工夫で夢のホームシアターが実現
一戸建てを検討し始めたSさんご家族。スーモカウンターの『家づくり講座』に参加して、自分たちの希望を整理しました。そこで、条件に合う会社を複数紹介してもらい、最も条件に合致した1社へ建築を依頼することに。
せっかく建てるのだから、夢と憧れもできるだけかなえたいと、新居にはさまざまなアイデアをプラス。ホームシアターもそのうちの一つです。2階のファミリーリビングの壁にプロジェクター用の壁紙を貼り、ホームシアターを楽しんでいます。
この実例をもっと詳しく→
「部屋ごと」と「集中」のたっぷり収納で、たくさんのモノとすっきり暮らす!
【実例5】趣味の音楽が楽しめる部屋は、最高のシアタールーム!
周囲に気兼ねなく音楽を楽しむため、注文住宅を建てることにした一人暮らしのHさん。スーモカウンターで紹介された3社と面談を重ね、提案力と音響ルームの実績のある1社に依頼することに。
室内ドアは2層に、窓は4層にして、防音を強化。コンピューター用の配線や、コンセントの位置も計画しました。
壁には白のクロスを貼り、プロジェクターを設置して投影すれば、映画館さながらの臨場感あふれるシアタールームの完成です。
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心おきなく音楽が楽しめる 趣味を極めた家
シアタールームを導入するときのポイントは?
最後にあらためて福永さんに、シアタールームを導入するときのポイントについて聞きました。
「シアタールームに憧れる一方、高いというイメージを持っている人も多いと思います。しかし、マニア向けのものは別として、家族で映像コンテンツを楽しむための部屋ならば低予算でも可能です。
シアタールームがあるだけで、わくわくできる住まいになるので、気負わずに、気軽に検討してほしいですね」
スーモカウンターに相談してみよう
「どうやって進めたらいいのかわからない」「新居にはシアタールームをつくりたい」住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望をかなえてくれそうな依頼先を提案、紹介します。
無料の個別相談のほか、「はじめての注文住宅講座」や「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」など、家づくりのダンドリや、会社選びのポイントなどが学べる無料の家づくり講座も利用できます。ぜひお問い合わせください。
取材協力/ストーリーハウス(StoryHouse)
取材・文/福富大介(りんかく) イラスト/タイマタカシ