自宅で映画を楽しむなら、普段観ているテレビではなく大画面で映画を楽しめる「シアタールーム」を設けたいと考える方もいるでしょう。特に映画鑑賞が趣味の方は、シアタールームをつくることに憧れを抱いているケースも少なくありません。
新築住宅にシアタールームを設置する場合、いくつかポイントを押さえておく必要があります。そこで今回は、シアタールームを導入する際のポイントや注意点を、実例とともにご紹介します。
目次
シアタールームとは?
シアタールームとは、映画などの映像コンテンツを楽しむための空間です。
「子どもから大人まで、家族で映像コンテンツを楽しめる空間であれば、必ずしも専用の部屋に限りません。リビングや寝室、多目的ルームと兼用のシアタールームもありますし、住宅事情を考えれば、そちらのほうが現実的といえるでしょう」(福永さん、以下同)
最近のシアタールームを取り巻く環境
福永さんによると、インターネットによる定額の動画配信(サブスク動画配信)サービスが普及して、シアタールームに対するニーズも高まっていると言います。
「映像コンテンツを視聴するための機器も進化して、今はローコストで簡単に導入できる機器があり、人気が高まっています」
シアタールームとホームシアターとの違い
シアタールームと似た言葉に、「ホームシアター」があります。いずれも大迫力の大画面と臨場感のある音響設備を自宅に取り入れる点では共通しています。違いは、ホームシアターは映画を楽しむために大型スクリーンやスピーカーなどの設備を組むことであり、必ずしも一つの部屋全体を意味しないという点です。例えばリビングや寝室などの一角にホームシアターをセットすることで、普段の生活空間とは異なり、映画を楽しめる空間に早変わりします。
一方、シアタールームは映画などを鑑賞するための「部屋」を指しています。そのため、シアタールームは他の家族を気にすることなく、映画に集中することが可能です。
自宅にシアタールームをつくるメリット
シアタールームを設置する主なメリットは以下のとおりです。
- 迫力のある映像や音響を楽しめる
- 時間を気にせず自宅で映画を楽しめる
- ゲームやカラオケなど映画以外の楽しみ方もできる
それぞれのメリットについてご紹介します。
迫力のある映像や音響を楽しめる
シアタールームでは、大画面のスクリーンを設置して迫力のある映像を楽しんだり、サラウンドスピーカーによって臨場感のある音響を味わえたりします。リビングなどに設置するホームシアターでも大画面サイズで観ることも可能ですが、防音設備や遮光設備を完全に整えるのは難しく、映画館のような体験は難しいです。
しかし、シアタールームなら完全個室になるので環境を整えやすく、まるで映画館のような体験もできるでしょう。
時間を気にせず自宅で映画を楽しめる
映画館で映画を観るには、上映時間に合わせてスケジュールを調整し、チケットを購入して映画館まで行く必要があります。しかし、自宅にシアタールームがあれば、そんな手間をかけることなく、好きな時間に映画を楽しむことができます。
例えば、防音設備がしっかりしていれば、深夜でも周りを気にせず映画を観られますし、途中で一時停止して休憩することも可能です。さらに、飲み物や軽食を自由に用意でき、リラックスした自分だけの空間で映画鑑賞を楽しめるのも、自宅シアタールームならではの魅力です。
ゲームやカラオケなど映画以外の楽しみ方もできる
シアタールームというと映画を観るイメージを持つ方もいますが、映画だけでなくさまざまな楽しみ方ができるのもメリットの一つです。例えば、迫力のある大画面を使ってスポーツ観戦をすることも可能ですし、DVDを用意してコンサートやライブ観賞なども楽しめます。
他にも、シアタールームでゲームをすることで臨場感と迫力を体感でき、よりゲームの世界に没入することも可能です。防音設備が整っていることから、専用の機器を用意してカラオケを楽しむこともできます。
シアタールームのつくり方とは?必要な機器や設備は?
シアタールームには、どのような機器や設備が必要なのでしょうか?主な機器や設備について紹介します。
スクリーンor大型テレビ
「プロジェクターを使う場合、映像を投影するスクリーンが必要です。天井から電動で下りてくる大型スクリーンがあると、窓や家具の影響を受けずに、大画面で映像が楽しめます。電動で大がかりなのでコストが高そうなイメージがありますが、スクリーン自体の価格は2万円弱とお手頃です。
リビングに置く大型テレビで映像コンテンツを観るケースも考えられますが、シアタールームという位置づけであれば、スクリーン投影がオススメですね」
プロジェクター用の壁紙
「窓や家具のない壁面が一定の広さを確保できるなら、壁にプロジェクター用の壁紙を貼って、スクリーン代わりに使うという方法もあります。
今は、映像が綺麗に映るプロジェクター専用の壁紙が売られていますので、そういったものを採用するといいでしょう。価格も普通の壁紙とほとんど変わりません」
プロジェクター
「シーリングライト(天井照明)とスピーカーが一体になった天井付けのプロジェクターがオススメです。照明用の配線が使えて設置が簡単ですし、ファンの音も静かです」
天井の形状の関係などで、シーリングライト一体型のプロジェクターが設置できない場合は、小型のプロジェクターを利用するといいでしょう。小型のプロジェクターであれば、いろいろな部屋へ持ち運びができます。
音響機器
「家族で楽しむレベルなら、スピーカー内蔵のプロジェクターか、一般的なステレオスピーカーで十分です。
前に後ろに、いくつもスピーカーを設置するケースもありますが、そういったマニアックな使い方をしたい場合は、音響専門のメーカーやオーディオ専門店に相談したほうがいいでしょう」
音響にもこだわった本格的なシアタールームの実例はこちら→
「家を建てるならシアタールームが欲しい」を貫いて【趣味と家】
インターネット環境
「動画配信サービスを楽しむなら、インターネット環境は必須です。また、シーリングライト一体型のプロジェクターの場合は、Wi-Fi環境も必要になります。
もし、Wi-Fiルーターの設置場所によって通信が不安定になる場合は、中継器を使用するといいでしょう」
防音設備
「どの程度本格的にするかによりますが、通常の一軒家で使用するのであれば、防音までは気にしなくてもいいでしょう。ただし、間取りの関係で、隣の部屋に音が漏れて気になりそうなら、最低でも間仕切りはしたほうがいいですね」
遮光設備
「窓からの光が入ると、映像を観るときの邪魔になります。遮光性の高いブラインドやカーテンで光が入らないようにしましょう」
シアタールームを取り入れる際のポイント・注意点は?
新築の家にシアタールームをつくりたいと思ったとき、どのような点に注意すればいいのでしょうか?
部屋の広さや天井の高さ
「プロジェクターとスクリーンがあまり近すぎると、画面が小さくなってしまいます。プロジェクターの性能によって差がありますので、どれくらい離すと画面のサイズがどれくらいになるかを導入前に確認しておき、希望の画面サイズで投影できる距離を確保します。
天井高は一般的な天井高(2.5m前後)であれば問題ありませんが、小屋裏のように天井高が1.4mくらいと低い場合は、天井付けのシーリングライト一体型の設置が難しいかも知れません。メーカーに設置条件を確認しましょう」
また、シーリングライト一体型のプロジェクターは、傾斜のある天井には設置できません。新築時に導入が決まっている場合は、プロジェクター設置用に天井の一部を水平にしてもらう工事が必要です。
部屋の配置
「当社では、スキップフロアにシアタールームをつくり、上にベッドとプロジェクター、下に子ども部屋という配置をオススメしています。
ポイントは、シアタールーム専用ではなく、寝室など他の機能を兼用させて、限られたスペースを有効活用することです」
配線
「Wi-Fiに対応した無線のものがオススメです。有線で接続するプロジェクターを使いたい場合は、壁内に配線を通すと室内がすっきりします。その場合は新築時にあらかじめ配線計画をしておく必要があります」
家具の選定
「特別な家具などは必要ありません。映像コンテンツをくつろいで観るためのソファやベッドがあるといいでしょう」
広さ別、シアタールームプラン例
次に、実際にどのようなシアタールームが実現可能なのか、広さ別のプラン例を紹介します。
広さ6畳未満
1.5階のロフトに設けた多目的スペースの壁一面にプロジェクター用のクロスを貼って、シアタールームとして使用できるようにした例です。
天井の形状から、シーリングライト一体型のプロジェクターが設置できなかったため、映像鑑賞するときだけ、小型のプロジェクターを置いて使います。
「プロジェクター用の壁紙以外、特別な設備は使っていません。あとはプロジェクターの費用が別途必要なくらいです」
広さ6畳~10畳未満
約9畳の家族4人で寝るための寝室に、シアタールームの機能を加えた例です。
スキップフロアになっており、上にベッドを置き、下に子どもが遊んだり勉強したりできるスペースを設けました。
天井の梁に、シーリングライト一体型のプロジェクターを設置し、大型の電動スクリーンに投影して映像を鑑賞できます。
「シーリングライト一体型のプロジェクターが約8万円、電動スクリーンが約2万円です。他に特別な設備は使用していません」
10畳以上
約24畳のLDKに電動スクリーンを設置した例。プロジェクターはシーリングライト一体型ではなく、据え置き型のものを使用して投影します。
「電動スクリーンが約2万円、プロジェクターとスピーカーが合わせて15万円~20万円くらいの予算感です」
シアタールームを設けて理想の住まいを実現した先輩たちの実例を紹介!
スーモカウンターを利用して、シアタールームのある理想の住まいを実現した先輩たちの実例を紹介します。その人たちが、どんな点にこだわり、どんな住まいを実現したのか、実例を参考に学んでいきましょう。
【実例1】妻の長年の夢だったシアタールームをはじめ、こだわりの詰まった家
「いつかは一戸建てを」と考えていたKさん夫妻。家探しを始めて、スーモカウンターを訪ねることにしました。そこで、3社の建築会社を紹介され、最終的に耐震構造に信頼が置ける1社と契約することに。
それからは毎週のように打ち合わせを行い、理想の住まいづくりに邁進しました。こだわりの一つが、癒やしのスペースである「シアタールーム」です。妻の長年の夢だった「シアタールーム」は、主寝室隣の空間をうまく利用しています。
この実例をもっと詳しく→
シアタールーム完備で夢をかなえた、家事効率の高い家
【実例2】夫妻のためのシアタールームのある家は、最先端のスマートホーム
家づくりを考え始めたAさん。希望の土地が見つかったことから、建築会社を探すためにスーモカウンターを訪問。自分たちの要望を整理したうえで、紹介された3社の中から、設計の自由度の高い1社に依頼することに。
完成した新居は、住宅設備の遠隔操作や音声操作が可能な最先端のスマートホームです。
2階にはシアタールームも設置しました。プロジェクター用の壁紙を用いた巨大スクリーンで、夫妻でビデオ鑑賞を楽しんでいます。
この実例をもっと詳しく→
子どもたちを見守れる、強くて快適なスマートホームが完成!
【実例3】一目惚れしたシアタールームを導入! 遊び心あふれる家
家づくりを考え始めたRさん家族は、友人から紹介されスーモカウンターへ相談に行きました。そこで紹介された会社は3社。最終的には、展示場で見た天井の一部を吹抜けにしたハーフ吹抜けやシアタールームなど、遊び心のあるデザインが決め手となって依頼先を決定。
完成した新居の2階主寝室の奥、ハーフ吹抜けの上部には、展示場で一目惚れしたシアタールームを設けました。広さ約6畳の広々空間で、訪ねてきた友人にも好評です。
この実例をもっと詳しく→
ハーフ吹抜け+シアタールーム。「早く帰りたくなる家」実現!
【実例4】夢と憧れもかなえたい! 少しの工夫で夢のホームシアターが実現
一戸建てを検討し始めたSさんご家族。スーモカウンターの『家づくり講座』に参加して、自分たちの希望を整理しました。そこで、条件に合う会社を複数紹介してもらい、最も条件に合致した1社へ建築を依頼することに。
せっかく建てるのだから、夢と憧れもできるだけかなえたいと、新居にはさまざまなアイデアをプラス。ホームシアターもそのうちの一つです。2階のファミリーリビングの壁にプロジェクター用の壁紙を貼り、ホームシアターを楽しんでいます。
この実例をもっと詳しく→
「部屋ごと」と「集中」のたっぷり収納で、たくさんのモノとすっきり暮らす!
【実例5】趣味の音楽が楽しめる部屋は、最高のシアタールーム!
周囲に気兼ねなく音楽を楽しむため、注文住宅を建てることにした一人暮らしのHさん。スーモカウンターで紹介された3社と面談を重ね、提案力と音響ルームの実績のある1社に依頼することに。
室内ドアは2層に、窓は4層にして、防音を強化。コンピューター用の配線や、コンセントの位置も計画しました。
壁には白のクロスを貼り、プロジェクターを設置して投影すれば、映画館さながらの臨場感あふれるシアタールームの完成です。
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心おきなく音楽が楽しめる 趣味を極めた家
【実例6】シアタールームで自宅にプライベートな空間を実現!
共働きのMさん夫妻は、両親に子育てをサポートしてもらい、ゆくゆくは両親のサポートもしたいと考え、二世帯同居ができる家を建てようと計画を立てました。希望する土地も見つかったところで建築会社の比較検討がしたいと考え、スーモカウンターを利用します。スーモカウンターからは5社を提案してもらい、そのうち2社に絞り込んで相見積もりを依頼することにしました。最終的には特注の飾り棚を設けてくれたり、キャンペーンを活用すると設備をグレードアップできたりする1社に決定します。
将来的に二世帯が楽しく集える場所となるように、キッチンをプランの中心に置いた家が完成しました。リビングなどは家族団らんの場となっていますが、そんな中で一人の時間も楽しめるようにと、Mさんはシアタールームも設置しています。シアタールームでは、子どもを寝かしつけてからゲームなどを楽しんでいるそうです。
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今も将来も協力して生活を。料理を通じて集う「二世帯同居」の家
【実例7】小屋裏にプロジェクター専用の壁紙を使用したホームシアターを設置
Sさん夫妻は入籍前にフルリフォームされた賃貸マンションで暮らしていましたが、断熱性や防音性などの影響で、住み心地には若干不満を感じていたそうです。そんなときに妻の弟が建てた一戸建てを見て、自分も家を建てたいと考えます。スーモカウンターに相談したところ、土地探しから依頼できる不動産会社を4社提案してもらいました。その中からどこか特別感のある家の間取りを提案してくれた1社に決定。
部屋ごとに天井高が変わるスキップフロアのような構造を採用しており、中二階には書斎、小屋裏にはシアタールームを設置しました。せっかくのホームシアターでより美しい映像を楽しむために、スクリーンとなる壁にはプロジェクター専用の壁紙を使用しています。
この実例をもっと詳しく→
ハーフ吹抜けやシアタールームなど「特別なところのある家」に
シアタールームを導入するときのポイントは?
最後にあらためて福永さんに、シアタールームを導入するときのポイントについて聞きました。
「シアタールームに憧れる一方、高いというイメージを持っている人も多いと思います。しかし、マニア向けのものは別として、家族で映像コンテンツを楽しむための部屋ならば低予算でも可能です。
シアタールームがあるだけで、わくわくできる住まいになるので、気負わずに、気軽に検討してほしいですね」
スーモカウンターに相談してみよう
「どうやって進めたらいいのかわからない」「新居にはシアタールームをつくりたい」住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望をかなえてくれそうな依頼先を提案、紹介します。
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イラスト/タイマタカシ