家づくりにおいて、間取りなどが決まってくると、次に気になるのが家具の配置です。どこにどのような家具を置こうかと検討する中で、置き家具ではなく造作家具が候補に上がるケースもあるでしょう。そこで、造作家具のメリット・デメリットや、どこにどのような家具を造作すればいいのかなど、造作家具オーダーのヒントについて、僕らの家の代表である田中祥子さんに聞きました。
造作家具とは? 置き家具と比べた場合のメリット・デメリットは?
新居にはどんな家具を置こうかと、いろいろと思いをめぐらすのも家づくりの楽しみの一つですが、一般的に「家具」と言えば、インテリアショップや家具店で購入できる既製品の家具(置き家具)を想像すると思います。しかし、そういった既製品の家具以外にも「造作家具」というものがあります。造作家具とは、一体どのようなものなのでしょうか?
「造作家具は、サイズ、色、素材、デザインなど、お客様の希望に応じて、一点一点オリジナルで製作(造作)する家具のことです。本棚や食器棚、テレビボードはもちろん、テーブル、洗面台、キッチンそのものなど、およそ家具と呼ばれるものは、ほとんど造作することができます」(田中さん、以下同)
自分だけのオリジナルの家具と聞くと夢が広がりますが、既製品の置き家具と比べたときの、メリット・デメリットが気になります。
造作家具のメリット
造作家具の一番のメリットは、やはり自由度の高さです。
「既製品の家具の場合は、多色展開していたとしても『この5色の中から選んでください』と、限られた選択肢の中から選ばざるを得ません。しかし、造作家具なら色は自由です。他の家具と微妙な色味まで合わせて統一感を出す、というようなことができます」
造作家具のデメリット
それでは、造作家具にデメリットはあるのでしょうか。自由度が高いということは、それだけコストに跳ね返ってきそうですが……。
「確かに、工場で大量生産される家具に比べると高価ですし、その点をデメリットと捉える人がいるかも知れません。しかし、造作家具が必ず既製品の家具よりもコストが高いとは言えません。既製品の家具の中にもハイブランドが存在し、そのようなブランド家具と比べると造作家具の方が低コストになるケースもあります」
また、造作家具は造り付けだから移動ができなくて不便、という声を聞くこともありますが、そうとは限らないと言います。
「造作家具は造り付けのイメージが強いかもしれませんが、造り付けではない造作家具もあります。そういった点も含めて自由度が高いところが造作家具の魅力、裏を返せば、既製品の家具は自由度が低い点がデメリットと言えます。例えば、キッチンの背面に置く食器棚の場合、空いているスペースに既製品の家具だけで隙間なくきっちり並べることは難しいでしょう。けれど、造作家具ならミリ単位で調節して隙間をなくすことができます」
造作家具と既成品の家具の比較
メリット | デメリット | |
---|---|---|
造作家具 | ・自由度が高い | ・大量生産の家具よりは高価 |
既製品の家具 | ・大量生産ならば低価格 | ・自由度が低い |
造作家具の種類と造作家具がいきる場
ほとんどの家具は造作が可能ということですが、造作家具に適した家具、造作家具の強みがより発揮できる設置場所というものはありそうです。そこで、オーダーを受けることが多いという造作家具を設置場所別にまとめてみました。
リビングダイニング
・壁面収納
・テレビボード
・本棚
・ソファ
・コンソール
・ダイニングテーブル
・ローテーブル
・掘りごたつ
キッチン
・キッチン(本体)
・食器棚
水回り
・洗面台
・洗面収納
・トイレの手洗い
居室
・子ども用のベッド
・勉強机
・化粧台
収納
・パントリー
・ロフト
・クロゼット
・シューズクロゼット
「キッチンはシンクや天板、水栓などを組み合わせて枠組みに納めた、いわゆるオーダーキッチンを造作することもあります。食器棚などは、フルオーダーで造作することもできますし、既製品のロープライスな食器棚に造作で収納を追加してカスタマイズすることもできます。建て替え前に使っていたチェストを再利用して洗面台にする、といった愛用品を蘇らせるようなことも造作家具なら可能です」
造作家具はどうやってオーダーすればいいの?
造作家具に興味を持ち、「ぜひわが家にも造作家具を!」となったときは、誰にどうやってオーダーすればいいのでしょうか。ここでは代表的なオーダーの仕方についてご紹介します。
新築時に大工さんに依頼
主に木造建築の在来工法になりますが、住宅を新築する際に、建築会社に依頼して大工さんに家具を造作してもらう方法です。直接大工さんに依頼するケースもあります。
「家具をつくるのが得意な大工さんもいれば、そうでない大工さんもいるため品質に差が出てしまうケースがあります。実績や実際につくられた造作家具の写真などを参考に判断した方がいいでしょう。また、建築会社によっては大工さんに直接依頼することを禁止しているケースもあるので注意が必要です」
自分で造作家具メーカーに発注
自分で造作家具メーカーを探して、直接発注する方法です。新築やリフォーム時でなく、造作家具だけを発注したい場合は、この方法が一般的です。
「直接造作家具メーカーへ発注する場合でも、必ずメーカーの人に来てもらい採寸してもらいましょう。また、新築やリフォーム時であれば、建築会社から発注してもらった方がコストは低くおさえられます」
建築会社から造作家具メーカーに発注
住宅建築を依頼している建築会社に、家具の造作も一緒に依頼する方法です。依頼を受けた建築会社は、造作家具メーカーに発注して家具を造作します。
「最もオススメの方法です。建築会社が施主の希望を細かく聞き、造作家具メーカーに伝えます。プロの目で、仕上がりも厳しくチェックしてくれます。また、建築会社は住宅の方で利益を得ているため、造作家具については手数料程度しか請求しないケースも多く、家具だけで利益を得ている造作家具メーカーに直接発注するよりは低いコストで依頼することができます」
建築会社から造作家具メーカーへ発注する場合のオーダーの手順
1.打ち合わせ
施主から建築会社の担当に造作家具の要望を伝える2.寸法・色・面材など決定
タイミングとしては、間取りが決まった後3.建築会社担当から造作家具メーカーへ発注
施主の要望を汲み、具体的なプランに落とし込んで造作家具メーカーへ発注4.仕上がりチェック
建築会社担当が仕上がりをチェックし、
不備があれば家具メーカーへやり直しを指示することも5.納品
自分で造作(DIY)
「DIYであらかじめどこに何を造作したいのか決まっている場合は、建築会社に伝えて必要な補強材などを入れてもらっておくといいでしょう」
造作家具の施工例を見てみよう!
造作家具は自由度が高く、すべてオリジナルなため、どのような造作家具ができるのかピンとこないという人もいるでしょう。そこで、一部ですが造作家具の施工例を紹介します。
実例1:アメリカン建具のあるキッチンスペース
実例2:海外のカフェにありそうなトイレ空間
実例3:シャープな取手がアクセントのシュークロゼット
実例4:思い出の棚をリメイクした洗面台
実例5:在宅ワークに最適な書斎のデスクと壁一面の本棚
実例6:シックなオリジナルのキッチンと食器棚
造作家具で理想の家づくりを実現した先輩たちの事例を紹介!
造作家具は、色やサイズ、素材など、自分のこだわりを持ってオーダーすることができます。そこで、スーモカウンターで家を建てた先輩たちがどんな点にこだわり、どんな家具を手に入れたのか、実例を参考に学んでいきましょう。
【case1】収納を造作してすっきりとしたキッチンを実現
家を建てることになったIさん夫妻は、資金面とキッチンの移設という悩みを相談しにスーモカウンターを訪れ、悩みに対応できる会社を紹介されました。ペニンシュラ型のキッチンは、片側を壁から切り離してアイランド型に変更し、切り離した片側には同色のパネルを設置。また、背後にはキッチンとおそろいのカラーで収納家具を造作して、すっきりとした水まわりを実現しました。希望がすべてかなった家にIさん夫妻は大満足です。
この実例をもっと詳しく→
キッチンと吹抜けが主役の間取り。臨機応変に対応してくれる会社に出会えた
【case2】自然素材が気持ちいい、造作家具であふれる家
この実例をもっと詳しく→
むく床と漆喰仕上げの、自然素材が心地いい家
【case3】自由度の高い設計が自慢の会社に家具の造作も依頼して理想を実現!
子どもが生まれたのを機に、一戸建てが欲しいという思いを強くしたSさん夫妻。工務店1社と商談中でしたが不安になり、スーモカウンターを訪れました。そこで紹介された会社は地元の土地の売買にも長けており、デザインや間取りの自由度が高いのが強み。提案された土地が気に入ったこともあって家づくりも一緒に依頼しました。インテリアにこだわりのあった妻は、SNSで調べた画像を元に、洗面台やニッチスペースの造作も依頼して理想の住まいが実現。家族がリラックスできるところが、大のお気に入りです。
この実例をもっと詳しく→
効率の良さとリラックス感を兼ね備えたむく床の家
理想の造作家具を実現するためのポイント
最後に田中さんに、あらためて理想の造作家具を実現するためのポイントを聞きました。
「品質とコスト面でのメリットの両方を求めるなら、建築を依頼している会社に相談するのがオススメです。基本的に家具と呼ばれるものならば、ほとんど造作することができますし、思い出の家具を再利用するなどの細かい希望にも応えてくれますよ」
スーモカウンターに相談してみよう
「建築会社はどうやって選べばいいの?」「自然素材を使った家に住みたい!」住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望をかなえてくれそうな依頼先を提案、紹介します。
無料の個別相談のほか、「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」や「『自然素材』こだわり講座」など、会社選びのポイントやエコな家づくりのノウハウなどが学べる無料の家づくり講座も利用できます。ぜひお問い合せください。
イラスト/青山京子