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化粧梁・あらわし梁とは?メリット・デメリットや費用、おしゃれに見せるポイントを解説

(画像提供/アールプランナー)

化粧梁やあらわし梁とは、インテリアの一つとしてあえて見せる梁のことです。注文住宅に化粧梁やあらわし梁を取り入れると、おしゃれな空間を実現できます。今回は、化粧梁・あらわし梁(現し梁)を注文住宅で採用するメリット・デメリットや気になる費用、おしゃれに見せるポイントなどを、アールプランナーの森川祐次さんに伺いました。

梁(はり)とは?

「梁は柱の上に水平に渡し、2階の床や屋根を支える役目がある主要な構造材です。かつて日本家屋では、樹齢何十年にもなる立派な木材が梁に使われることも多く、意匠性の高さも相まってその家の価値を表すような存在でもありました。しかし近年の住宅では、梁の下には天井が張られ、見えなくなっていることがほとんどです」(森川さん/以下同)

日本家屋の梁の写真

威風堂々とした立派な梁は、その家の価値を表すような存在であった(画像/PIXTA)

あらわし梁・化粧梁とは? 違いはあるの?

近年は天井で隠されることが多い梁ですが、あえて隠さない「梁見せ天井」にしたいと考える方もいます。梁見せ天井で見せる梁は「見せ梁」と呼ばれ、「あらわし梁」と「化粧梁」に分かれます。両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

あらわし梁とは?

「あらわし梁とは、通常であれば天井で隠されてしまう構造躯体である梁を、あえて見せる仕上げのことで、漢字で『現し梁』と表現することもあります。時計でいえば内部の歯車などが見える『スケルトン』のように、わざと構造を見せることでデザイン性を高める目的でおこないます。

あらわし梁は、高天井や吹抜けのような空間で梁全体を露出させる手法と、天井高を少し上げて梁の一部だけを見せる手法があります」

梁のある部屋の写真

梁のある部屋の写真

梁のあらわし方は、梁を全部見せる方法と一部のみ見せる方法がある(画像提供/アールプランナー)

化粧梁とは?

化粧梁(読み方=けしょうばり)はあらわし梁とどのように違うのでしょうか?

化粧梁には2種類ある

「化粧梁には2種類あります。

一つ目は、あらわし梁のデザイン性を高める目的で『お化粧』が施されたものです。例えば鉄骨造の家であらわし梁にする場合、梁自体は鉄骨なので内装デザインとマッチしないことがあります。構造に使用されている梁の色や節目が気に入らない、といった場合もあるでしょう。そのようなときに、もともとの梁の上に薄い板や木目のシートなどでお化粧し、好みのデザインに仕上げます。

化粧梁のイラスト

もともとの構造上の梁にお化粧を施すタイプの化粧梁(イラスト/田上千晶)

もう一つは、構造上の梁がない部分に装飾目的で取り付ける、梁を模した部材のことです。基本的に弊社では、梁を見せる仕上げにする場合には、どこにどのように梁を見せるかまで考えて設計します」

化粧梁のイラスト

もともと構造上の梁がない場所に、梁を模して取り付ける部材も化粧梁と呼ばれる(イラスト/田上千晶)

省令準耐火構造にするために化粧梁にする場合もある

「省令準耐火構造とは、建築基準法が定める準耐火構造の基準を満たす、一定の耐火性能をもつ住宅構造のことです。省令準耐火構造の家は、火災保険や地震保険の割引を受けられるのがメリットです。

しかし木でできた梁は、建築基準法上そのまま露出してあらわし梁にしてしまうと、省令準耐火構造の基準を満たせない場合があります(※要件により対応可)。そのため梁に耐火基準を満たす石膏ボードなどを張り、木調クロスなどで化粧梁とすることで、省令準耐火構造に適合させることがあるのです」

化粧梁・あらわし梁を取り入れるメリットは?

個性的でおしゃれな空間になる

「梁を隠して天井を張り、クロスなどで仕上げるとすっきりした印象になります。

一方、梁を見せて立体感を出すと、好みにもよりますが、構造がもつ力強さが感じられる個性的でおしゃれな空間演出が可能です」

梁見せ天井にした部屋の写真

梁見せ天井にすると、個性的な空間設計ができる(画像提供/アールプランナー)

木の温かみを感じられる

木造住宅で化粧梁やあらわし梁にすると、本来であれば何もない空間に木が現れるため、ナチュラルで温かな雰囲気を演出しやすくなります。

「鉄骨造の住宅であっても、梁に木目のシートを張るなどして化粧梁にすることで、木の温かみを感じられる部屋づくりをおこなえます。好みによっては、鉄骨をそのままあらわし梁とし、インダストリアルな雰囲気にしてもよいと思います」

梁をみせた部屋の写真

本来であれば平坦で真っ白な天井になるところに梁を見せることで、温かみのある空間を演出できる(画像提供/アールプランナー)

階高(かいだか)はそのままで天井を高くできる

「通常は、梁の下に天井が張られるため、屋根や2階の床との間に空間が存在します。しかし化粧梁やあらわし梁にすれば、梁を露出させる分、天井を高く見せることも可能です。

例えば床から天井までの高さは、2400〜2500mm程度になっているのが一般的です。その上に太さ300mmの梁があると仮定した場合、梁を半分露出させるだけでも天井が150mm高くなります。

勾配天井の平屋や2階建ての2階で、完全に梁を露出させる化粧梁やあらわし梁にする場合は、さらに天井が高くなり、開放的な空間づくりをおこなえます」

化粧梁・あらわし梁を取り入れるデメリットは?

梁全体を見せる場合は掃除の手間が増える

「吹抜けや高天井で梁全体を見せる場合は、梁の上にたまったホコリを掃除する手間が増えてしまいます。

とはいえ梁の上面の高さまでは通常2080mm程度です。大人が手を伸ばし、さらに角度を付けて曲げられる柄の長いモップなどを使えば届く程度の高さなので、掃除自体は簡単にできると思います」

断熱性や防音性が下がる可能性がある

梁が完全に露出する化粧梁やあらわし梁にすると、本来屋根と天井の間にあるスペースが小さくなるので、断熱性や遮音性能に影響が出る可能性はあります。

「近年の住宅は、断熱性や防音性などの性能が大変高くなっています。きちんと対策がされていれば、化粧梁やあらわし梁にしたからといって、例えば夏に部屋の温度が体感できるほど高くなる、2階の音が通常よりも響くといったことはないので過度の心配は不要だと思います」

梁を

梁をすべて見せることで屋根と天井の間にあるべき空気層がなくなっても、近年の高断熱住宅であれば断熱性能の低下は気になるほどではない(画像提供/アールプランナー)

空調効率が悪くなる場合がある

「梁をすべて見せるために吹抜けにする場合には、空調効率が落ちることは考えられます。気になる場合はシーリングファンを付けるなど、空気を循環させる工夫も考えておくとよいでしょう。

一方、梁を半分だけ見せるような仕上げであれば、部屋の容積はそれほど増えません。空調の効きに大きな違いは生じません」

あらわし梁とシーリングファンを設置した部屋の写真

あらわし梁にすることで空調効率が気になる場合は、シーリングファンを検討しよう(画像提供/アールプランナー)

梁に入るひびが気になることがある

「住宅では、梁には天然木や集成材が使用されているため、乾燥や膨張・収縮により干割れ(ひわれ=乾燥によるひびや割れ目のこと)や亀裂が生じることがあります。もちろん構造上問題になることはなく、通常は天井に隠れてしまうので目に触れることもありません。

しかしあらわし梁にすると、梁に干割れが入ったときに見えてしまうため気になる方もいるようです。それを経年変化として楽しめるとよいでしょう」

化粧梁やあらわし梁にすると建築費用は高くなるの?

「化粧梁やあらわし梁にすると、多少のコストアップになります。

梁を見せるためには、梁と梁の間に張る石膏ボードやクロスの大きさを調整するなど、工程が増えます。また天井を高くする分クロスを張る面積も増えるので、材料費も余分に必要です。また梁には傷や汚れを防ぐ目的で塗装を施すため、塗装屋さんに入ってもらう施工費も要します。

実際の構造とは関係のない場所に化粧梁を取り付ける場合には、無垢材や空洞タイプの部材を購入する費用もかかります」

あらわし梁や化粧梁にするときにかかる費用のイラスト

あらわし梁や化粧梁にするときにはさまざまな費用がかかる(イラスト/田上千晶)

化粧梁やあらわし梁は平屋・2階建てのどちらでも取り入れられる?

「化粧梁やあらわし梁は、平屋・2階建てを問わずどちらでも取り入れられます。しかし2階建ての1階は、空間デザイン的にはある程度の制限がかかる傾向があります。それは2階建ての1階は梁のすぐ上に水平な2階の床があるので、基本的に梁も水平に見せることになりやすく、高さもそれほどとれないためです。

一方平屋や2階建ての2階では、屋根までの高さを活かせるのがメリットです。とくに切妻屋根や片流れなど勾配のある屋根形状だと、梁を見せつつダイナミックな空間設計ができるでしょう」

勾配屋根の高さを活かした開放的な2階LDKのあらわし梁の写真

勾配屋根の高さを活かした開放的な2階LDKのあらわし梁。ロフトからも梁を見下ろせる(画像提供/アールプランナー)

化粧梁やあらわし梁でおしゃれ空間にするポイントは?

化粧梁やあらわし梁を取り入れるとき、どのような工夫をするとよりおしゃれ度が上がるのか伺いました。

照明やインテリアもあわせて計画する

「化粧梁やあらわし梁は、単に梁を見せるだけでも素敵な空間になりますが、照明計画を同時に考えるとよりおしゃれ度を上げられます。

例えばこちらの事例では、梁の下に、一部だけ天井を設けて照明を潜ませ、そこからの光を浴びながら、梁がまっすぐのびやかに延びて見えるよう、細かにデザインしました。床の木目やカーテンの流れまで線が整えられ、統一感があるのがわかります」

梁への照明の当て方を検討してつくったおしゃれな部屋の写真

梁への照明の当て方まで考えて設計すると、よりおしゃれな空間づくりをおこなえる(画像提供/アールプランナー)

「また部屋に配置するインテリアまで考えたうえで梁自体に照明を設置し、部屋全体の照明計画を立てるとより理想のイメージに近づけると思います。

ただし構造躯体である梁は、直接打ち込めるビスの数などが決まっているので、化粧板を打ち付けてから照明を取り付けなければならないことも。そのため照明もあわせて検討する場合は、あらかじめ設計者に相談することが大切です」

吹抜けや高天井のアクセントにする

「最近は吹抜けや高天井が人気です。しかし、空間設計をするうえでは縦と横のバランスが重要なので、場合によっては間延びした印象を与えてしまいます。そんなときも、化粧梁やあらわし梁を入れるとアクセントとなり、メリハリのある空間になります」

吹抜け空間に梁を出した部屋の写真

吹抜け空間に梁を出すと、ほどよいアクセントとなり空間が間延びしない(画像提供/アールプランナー)

壁や床とあわせてコーディネートする

「化粧梁やあらわし梁にするときには、壁や床とのカラーバランスも考えてコーディネートすると、よりおしゃれです。

住宅に使う構造材は会社によって異なり、使用される材料によって色や節、雰囲気はさまざまです。そのため例えばダークな色の床材を選んだときには、梁も同じ色合いで塗装すると統一感が出ます。

あるいはこちらの事例のように木目を残しつつ白く塗るなど、目指す部屋の雰囲気にあわせて仕上げを考えるとよいでしょう」

梁を白く塗った部屋の写真

梁を白く塗り部屋全体のトーンをあわせたことで、おしゃれなカフェのようなセンスある空間に仕上がっている(画像提供/アールプランナー)

ハンモックやブランコを取り付ける

化粧梁やあらわし梁に、ハンモックやブランコを取り付けるのもおしゃれです。構造躯体である梁は頑丈なので、多少の重量がかかっても問題ありません。

「ただしこの場合も、梁にひもを結びつけるのはOKですが、梁に直接ビスを打ち込むような取り付け方は基本的にはNGです。はじめから構造とは関係ない化粧梁を設置してもらうか、もしくはあらかじめ建築会社に相談したうえで、対応できるような設計にしてもらいましょう」

梁にハンモックを設置するイラスト

あらかじめ設計していたのでなければ、梁にビスなどを打ち込むのは原則NG(イラスト/田上千晶)

化粧梁やあらわし梁でおしゃれな家を実現した先輩の事例を紹介!

【case1】高い天井と化粧梁がおしゃれ! 白い漆喰壁にダークブラウンの梁が映える家

床には無垢材、壁に漆喰(しっくい)が使用されたリビングの高くとられた天井に、化粧梁を取り付けました。真っ白な天井に配された濃いブラウンの化粧梁は、コントラストが強く目立ちます。しかし壁や床にダークな色のインテリアを配することで調和がとられ、部屋全体のおしゃれ度が上がっています。

Kさん宅の注文住宅実例

天井の化粧梁と似た色合いのインテリアをバランスよく配することで、おしゃれな空間に(写真/Kさん)

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「シングルマザーが自分好みの家を建て、明るい未来にステップアップ」

【case2】勾配天井に梁を通してナチュラルモダンな空間づくりに成功!

リビングの勾配の付いた高天井に梁を通した事例です。勾配天井と梁を出すデザインを希望しており、デメリットの説明を受け、それも納得したうえで「せっかくの注文住宅だから」と取り入れることにしました。シンプルなデザインのシーリングファンはブラックをセレクト。ダークブラウンの梁との相性もよく、モダンな印象の部屋になりました。

Tさん宅の注文住宅実例

真っ白な壁と天井に、ダークブラウンの梁と黒いシーリングファンが映える(写真/本美安浩)

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「大容量のウォークインクロゼットを備え平屋感覚で暮らせる2階建 」

【case3】ヒノキの梁が清々しい! リビングと和室の両方からあらわし梁を楽しめる家

木造建築に確かな実績がある建築会社に依頼し、家を建てたFさん夫妻。実家に梁があった夫の希望で、天井に梁を出す設計にしてもらいました。ヒノキの見せ梁は、リビングから見上げるのはもちろん、ロフトから見下ろすことも可能です。白い壁にヒノキの白木と床材の色合いがマッチする、ナチュラルな空間になりました。

Fさん宅の注文住宅実例

インテリアは木の色と白、グレーの3色でまとめ、ヒノキの地色が活かされ優しい雰囲気にまとまっている(写真/アラキシン)

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「ヒノキの梁が清々しい、ロフト付きの平屋 」

【case4】梁見せの折り上げ天井で開放的な空間を実現!

デザイン面を重視して家づくりを進めたKさん夫妻。そのこだわりの一つが梁見せ天井のリビングです。レースのカーテン越しに光が降り注ぐ明るいリビングは、天井の梁と同じダークな色合いの床板が敷かれて統一感があります。折り上げて高さが出された天井には、梁と梁の間にダウンライトを埋め込むことで、すっきりとした開放的な空間に仕上がっています。

Kさん宅の注文住宅実例

梁と床材、階段の踏み面、インテリアの色合いなどをダークブラウンで統一することで、シックな雰囲気にまとまっている(写真/河原大輔)

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「白いガルバリウムの外壁にとことんこだわって、ようやく完成した終の住処 」

【case5】リビングのおしゃれな梁は木目調のクロスで覆ってコストダウン!

夫の実家の敷地内に家を建てたIさん夫妻。SNSなどを見て情報収集していた妻は、無垢材の床など木が多用された家に憧れていましたが、予算やお手入れを考えてあきらめていました。しかし建築会社の担当者の提案で、リビングダイニングに梁を出し、木目調のクロスで覆う化粧梁の設置を実現。コストは抑えつつ好みのテイストに近づけたことに満足しているそうです。

Iさん宅の注文住宅実例

木目調のクロスで覆われた化粧梁は、リビングダイニングのほどよいアクセントとなっている(写真/Iさん)

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「夫の実家の敷地内に建てた機能的な平屋 」

おしゃれな梁見せの家にするには、事例が豊富で設計に慣れた会社を選ぼう

最後にあらためて森川さんに、注文住宅に化粧梁やあらわし梁を取り入れるときのポイントを伺いました。

「化粧梁やあらわし梁といっても、思い描くイメージは人によって大きく異なるものです。そのためどの場所に、どういった梁を見せたいのかを家族でよく話し合い、建築会社にも写真などでイメージを共有できるようにしておきましょう。

また梁はとても個性的なので、照明や家具、床や壁材なども含め、家全体のバランスを考えることも大切です。梁を見せるためには設計段階から総合的に検討する必要があるので、梁を見せた家の実例が多く、慣れていると思われる会社を選ぶことも成功のポイントだと思います」

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取材協力/森川祐次さん

アールプランナー

取材・文/佐藤カイ(りんかく) イラスト/田上千晶