在宅勤務やリモート会議、ネットでの動画視聴の機会などが増える今、インターネットが途切れる、繋がりにくいといった状況は避けたいもの。そこで、快適にインターネットを使うために、一戸建て住宅のWi-Fi環境で気を付けておきたいポイントについて、一級建築士で、やすらぎ介護福祉設計の齋藤進一さんに聞きました。
目次
そもそもWi-Fiとは?
Wi-Fiとは、無線でインターネットに接続するための統一規格です。光回線やホームルーターなどを用いることで、スマートフォンやバソコンなどの機器をネットワークに接続します。
Wi-Fiに似ている言葉が、無線LANです。LAN(Local Area Network)は、室内など限られたスペースで使用できるネットワークを指します。Wi-Fiはあくまで無線LANの一種ではあるものの、認知度が高くなったために同じ意味で使われることもあります。
一戸建て住宅でインターネットを使うには?
今や、自宅でインターネットを使えることが当たり前の時代ですが、一戸建ての住まいでインターネットを使うには、いくつか方法があります。その代表的な方法が、固定回線とモバイル回線です。
固定回線とモバイル回線
固定回線とは、建物まで有線で繋がっているインターネット回線のこと。電話に例えると固定電話のようなイメージです。一方モバイル回線は、建物の外も中も無線で繋がっているインターネット回線で、4Gや5Gなどといった携帯電話のデータ通信で使われる電波が利用されます。
「モバイル回線は屋外のビルや他の電波などの影響を受ける事がありますが、固定回線は、基本的に屋外の通信環境の影響を受けにくいため、固定回線の方が安定してインターネット接続できるという特徴があります」(齋藤さん、以下同)
固定回線の種類
固定回線にもいくつか種類があります。代表的なものとしては、光回線、ケーブルテレビ接続、ADSLです。ケーブルテレビ接続はケーブルテレビの回線を使ったインターネット回線、ADSLは電話線を使ったインターネット回線です。
「現在主流なのが光回線です。光回線は、光ファイバーケーブルを使ったインターネット回線で、安定した高速通信が可能です」
Wi-Fi以外の選択肢としてホームルーターもある
「Wi-Fi接続よりは、LANケーブルで繋ぐ有線接続の方がインターネットは安定して利用できます。そのため、鉄筋コンクリート造などWi-Fiが不安定になる環境では、家中の壁の中にLANケーブルを通して、各部屋までは有線で接続するという方法も考えられます。
また、固定回線とWi-Fiの組み合わせ以外に、モバイル回線とWi-Fiを組み合わせたホームルーターというものもあります。これは、通信速度や安定性は固定回線+Wi-Fiに劣りますが、モバイル回線の通信エリア内であれば、工事も不要なので、屋外(コンセントのある場所)に持ち運んで使うことができますし、長期の出張など、利用シーンによっては重宝します」
一戸建てにおすすめの回線はどれ?
どの回線が一戸建てにふさわしいかは、環境によって大きく異なります。そのため何が正解かは一概には言えませんが、開通工事に抵抗がなく大きな容量を使いたいなら光回線が望ましいでしょう。通信が安定するため、家族で暮らす人におすすめしたい方法です。
一方で開通工事をしたくない人は、ホームルーターやモバイルWi-Fiを使うといった考え方もあります。特にモバイルWi-Fiは持ち運びが可能であるため、外出や出張が多い人にとっては便利です。ただし光回線と比べると、通信は安定しにくくなるので注意してください。
必要な機器や手続き
ここからは、固定回線に関しては光回線を前提に解説を進めます。
光回線を利用するには、光回線を扱っている回線事業者(NTTやKDDIなど)やプロバイダーと呼ばれる接続事業者に申し込む必要があります。
※一部、回線事業者とプロバイダーが同じ業者のケースもあります
固定回線の引き込み場所(光コンセントの設置場所)
「新築で光回線を引き込む場合、電話線の配管を利用することが多いです。その場合は固定電話のモジュラージャックの近くに光コンセントを設置することになります」
「一戸建ての利用申し込みをすると、後日、回線事業者が引き込み工事に来ます。工事では、建物の近くの電柱から光ケーブルを分岐させて、エアコンダクトや壁に穴をあけ建物内に引き込むケースが多いですが、新築の場合は、スマートに電話線の配管を利用することが多いですね」
引き込み工事では、屋内の壁に光コンセントという接続口を設置します。この光コンセントにONUという回線側の光信号と機器側の電気信号を相互に変換する装置を繋ぎます。
「さらに、ONUとWi-Fiルーターを接続すると、パソコンやスマートフォン、ゲーム機器などを無線で繋ぐ(Wi-Fi接続する)ことができます」
ONUは回線事業者からレンタルして、Wi-Fiルーターは利用者自身が用意するのが一般的ですが、光回線のプランや事業者によっては、ONUとWi-Fiルーターが一体化したものを回線事業者からレンタルするケースもあります。
一戸建てでWi-Fiを導入するメリット
一戸建てでWi-Fiを導入すると、生活においてさまざまなメリットがあります。インターネットだけではなく、家電やIoT製品を使用するときにも便利です。どのようなメリットが得られるかを詳しく解説しましょう。
ケーブルが少なくて済む
「有線接続だとLANケーブルがかさばりがちですが、Wi-Fiではケーブルが少なくて済むため、室内がすっきりします。また、ノートパソコンなどの機器の移動が楽にできるというメリットがあります」
光回線なら一般的な使い方であればデータ通信量はほぼ無制限
光回線は、必ずしもデータ通信量が完全無制限であるとは言い切れません。プロバイダーによっては、大容量通信時に制限を設けている場合もあるためです。その制限にかかる条件も、プロバイダーごとに決められています。
例えば契約プランによっては1日の送信量が上限を超えると通信速度が制限されることがあります。ライブ配信やフルHD・4K画質の視聴などでデータ通信量を多く消費する人は、規約の内容をよく確認してください。
とはいえ一般的にスマホを使う程度であれば、データ通信量がほぼ無制限で安定した通信環境を手に入れられます。
スマート家電・IoT製品を利用しやすくなる
一戸建てにWi-Fiを導入すると、スマート家電やIoT製品も利用しやすくなります。スマート家電とは、スマートフォンと連携させた家電製品のことです。例えば専用のアプリをインストールすることで、スマホをテレビのリモコンとして使用することが可能です。ほかにも防犯カメラを設置して、外出中にいつでもスマートフォンから部屋の状況を確認できるといった使い方もあります。
IoT製品は、インターネットと接続できる製品全般です。スマート家電も、IoT製品のひとつとして分類されます。これらの製品は家事の負担を抑えられるだけではなく、生活の利便性を高めることができます。このようにWi-Fiは、生活の質(QOL)を向上させる要素のひとつとなっているといえます。
一戸建てでWi-Fiを導入するデメリット
Wi-Fiは生活を豊かにする要素がある一方で、デメリットも少なからずあります。環境によっては、不便に感じる場合もあることを知っておきましょう。ここでは、一戸建てでWi-Fiを取り入れるデメリットもいくつか紹介します。
室内の環境によって繋がりにくいかは左右される
「快適に通信できるかどうか、室内の環境に左右されます。例えば、Wi-Fiの電波(特に2.4GHz帯)は電子レンジや食洗器等の影響を受けやすく、Wi-Fiルーターと利用機器の間にキッチンがある場合、電子レンジや食洗器を使ったときに一時的にスマホなどのデバイスの電波が不安定な状態になり、通信が途切れることがあります」
セキュリティー対策が必要
「Wi-Fiでやりとりされる個人データが他人に漏れないよう、セキュリティー対策が必要です。Wi-Fiのセキュリティーにはさまざまな種類がありますが、現在はAESという方式が主流です。ご自身のWi-Fiルーターやパソコンのセキュリティー方式をチェックして安全性を確認しておくといいでしょう」
安全性 |
暗号化方式 |
説明 |
高 |
AES方式(CCMP) |
新しい仕組みの暗号化方式。現在はAES方式が主流。通信中に暗号キーが変わることはないが、TKIP方式に比べ、はるかに強力な暗号化の仕組みを採用し、大幅にセキュリティが向上する。 |
↑ ↓ |
TKIP方式 |
固定の暗号キーで暗号化する方式。暗号キーは一定時間おきに変更される。脆弱性があり利用は推奨されていない。 |
低 |
WEP方式 |
固定の暗号キーで暗号化する方式。暗号キーは常に一定。脆弱性があり利用は推奨されていない。 |
現在はAES方式が主流。WEP方式、TKIP方式は古い方式で安全性が低く、現在では推奨されていない
一戸建てにWi-Fiを導入する際の費用は?
「一戸建てでWi-Fiを利用するために必要な費用は、プロバイダーと回線業者に支払う費用(工事費や月々の回線使用料とONUのレンタル料)とWi-Fiルーターの購入費用くらいです」
一戸建てにWi-Fiを導入する際の流れを解説
一戸建てにWi-Fi(光回線の場合)を導入する手順は以下のとおりです。
1. プロバイダー(契約先)を決める
2. 申し込み
3. 住所登録
4. 開通工事
プロバイダーを決めるときは、必ず居住地域がサービスの対象となっているかを確認してください。対象外になっていると、そのプロバイダーでの光回線は使用できません。
次にプロバイダーの契約申し込みと住所登録の手続きをします。
ここまでのステップが終わったら、日程を決めて開通工事が行われます。これらすべてのプロセスにかかる期間は、光回線であれば約1〜3週間程度です。ただし繁忙期の場合、数カ月以上を要するケースもあります。
一方でホームルーターやモバイルWi-Fiであれば、これらの手続きを踏む必要がなく、機器やデータSIMカードを準備し電源を入れるだけで使用できます。
一戸建てにWi-Fiを導入する際のポイント
実際に一戸建て住宅にWi-Fiを導入する際に押さえておいたほうが良いポイントを紹介します。
Wi-Fiルーターの家全体の中での設置場所
「Wi-Fiルーターを置く場所は、Wi-Fiでインターネット接続したい機器を使う場所に近いほどいいでしょう。一般的に、家の中心や階段の途中部分に設置すると家全体に電波が届きやすくなります。3階建ての場合は2階に置くといいですね。
ONUとWi-Fiルーターは近くに置くことが多いのですが、最近はLANケーブルの質が上がってケーブルが長くなっても問題ないので、ONUとWi-Fiルーターを離して置くこともできます。
新築であれば、ONUとWi-Fiルーター間のLANケーブルを壁内に通して、Wi-Fiルーターを電波の届きやすい場所に設置することも可能です」
部屋の中でWi-Fiルーターを設置する高さ
「Wi-Fiルーターは、床に近い位置に置くと家具や家電(空気洗浄機、扇風機など)の影響を受けることがあるので、腰から上くらいの高さに設置した方がいいでしょう」
回線やWi-Fiルーターなど機器選びのポイント
「回線速度をアピールする光回線の会社もありますが、家に届くまでのスピードと、Wi-Fiで利用機器に届くまでのスピードは違います。せっかく家に届く回線のスピードが速くても、Wi-Fiのスピードが遅ければ意味がありません。
スマートフォンや電気・ガスの契約と一緒に契約すると割引サービスを受けられるものもあるので、良さそうな回線を契約してみて、速度に不満があるなら乗り換えを検討してみるというスタンスでいいでしょう。
Wi-Fiルーターは、Wi-Fi規格を参照し、持っているデバイスの対応状況なども踏まえて、なるべく速く安定して利用できる機器を選ぶといいですね。
特に古いパソコンは5GHz帯に対応していないことも多く、あまり高性能なルーター(IEEE802.11ac/11axなども使える機種)を買っても意味がありません。ルーターは4~5年くらい使い続けていると、通信が不安定になったり、接続が途切れたりすることがありますので、一定期間で買い替えることを前提に選ぶといいでしょう」
中継機の利用について
「部屋数が多く、かつ各部屋へWi-Fiの電波を届けたい場合などは、中継機(中継器)の利用を検討しましょう。中継機を使うと、電波が遠くまで届くようになります。ただし中継器を介しても、中継器と利用機器の間に鉄筋コンクリートの壁などがあれば、電波は届きにくくなります」
工務店やハウスメーカーへ相談するタイミング
「通常新築の場合には、電源コンセントやスイッチの位置を決める設備打合せの機会があるので、その際にWi-Fiを利用したい部屋などを伝え、光コンセントの位置やWi-Fiルーターの設置場所を相談するといいでしょう」
一戸建てにWi-Fiを導入する際に知っておきたい注意点
Wi-Fiを導入すれば、どの家も等しく通信が安定するわけではありません。住宅の構造や周波数によって、安定性もまた異なることを押さえなければなりません。ここでは、特に知っておきたい注意点について紹介しましょう。
住宅構造によってWi-Fiの安定性が違う
「一般的に、木造よりも鉄骨造・鉄筋コンクリート造(ラーメン構造)、さらにそれよりも鉄筋コンクリート造(壁式)の方が、電波が繋がりにくく不安定になります。壁式の鉄筋コンクリート造の場合は、Wi-Fi接続を諦めた方がいいケースもあります。
また、間仕切り壁を木造でつくるか、軽鉄(LGS)でつくるかによっても通信環境が変わります。軽鉄(LGS)を使った場合は、金属が電波に悪影響を与えて通信が不安定になることがあります。
通常、間仕切り壁をつくるときに立てる柱と柱の間隔は30㎝~45㎝程度ですが、軽鉄で間隔を狭くして施工するほど鉄の壁状になるので、電波が届きづらくなると言えます」
周波数や規格によって特徴が異なる
「Wi-Fiの電波の帯域(周波数の幅)には、2.4GHzと5GHzがあり、それぞれ以下の特徴があります。これらの特徴を踏まえて、使用する機器によって使い分けるといいでしょう」
2.4GHz | ・壁や床などの障害物に強く、電波が遠くまで届きやすい ・ほとんどのWi-Fi端末が対応している ・色々な製品で使用されている無線帯域であるため混雑して不安定になりやすい |
---|---|
5GHz | ・繋がりやすく通信が安定している ・2.4GHzと比較して、より高速な通信が可能 ・2.4GHzと比較して壁や床などの障害物に弱い ・通信距離が長くなると電波が弱くなり、通信が不安定になる可能性が高い ・古いWi-Fi端末の場合、5GHzに対応していない場合がある |
6GHz | ・5GHzと比較して、通信が安定している ・5GHzと比較して、より高速な通信が可能 ・5GHzよりさらに壁や床などの障害物に弱い ・5GHzよりさらに通信距離が短い ・新しいWi-Fi端末でないと対応していない帯 |
「また、下表の通り、Wi-Fi 規格名により周波数、最大通信速度などが変わるので、Wi-Fiルーターやパソコンなどを購入する際の参考にしてください」
Wi-Fi規格名 | 最大通信速度 | 周波数 |
---|---|---|
IEEE 802.11a | 54Mbps | 5GHz 帯 |
IEEE 802.11b | 11Mbps | 2.4GHz 帯 |
IEEE 802.11g | 54Mbps | 2.4GHz 帯 |
IEEE 802.11n | 600Mbps | 2.4GHz 帯 |
5GHz 帯 | ||
6GHz帯 | ||
IEEE 802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz 帯 |
IEEE 802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz 帯 |
5GHz 帯 | ||
Wi-Fiの規格別最大通信速度と周波数。aとbは同じ世代だが、それ以降は表の下になるほど新しい世代
住宅を新築する際の注意
「インターネット環境は、今まで居室でパソコンやスマホを使ったり、リビングのテレビで動画配信サービスを観たりするために利用されてきましたが、今後は冷蔵庫や洗濯機、宅配ボックスなどの住宅設備機器がインターネットに繋がるIoT化が進むので、住宅内全体にWi-Fiが届くような設計がポイントになります」
一戸建てはマンションよりも月額料金が高くなることもある
一戸建ての場合、マンションよりもWi-Fiの月額料金が高くなりやすい点に注意が必要です。
料金で差異を設けている理由は、一戸建てはマンションとは異なり、Wi-Fiをその家に住む家族だけで利用できるためです。マンションは共用住宅であるため、住人でWi-Fiをシェアすることになります。その分、一戸建てと比べると通信環境が安定しにくくなります。
一戸建ては料金こそ高いものの、比較的安定した通信環境を得られます。プロバイダーによっては、割引セールを実施している可能性もあるのでお得なプランがないかを探すとよいでしょう。
新築は住所登録に数日~数週間かかる
新築の場合、光回線を導入するには居住エリアに対応するNTTへの住所登録が原則必要です。住所登録の際には、事前に自治体へ「新築届」(自治体によって名称は異なる)の提出を済ませなければなりません。新築届は建築会社で出すのが一般的ですが、場合によっては購入者側で対応が必要になることもあります。書類のやりとりについて、しっかりと建築会社に確認してください。
新築届が問題なく受理されたあと、住所登録の手続きを進めます。住所登録に数日〜数週間かかることもあるので、計画的に準備を進めてください。
ただし新築でも、同じ住所でNTTへの登録がすでに済んでいるときは新規の申請は必要ありません。住所登録が完了しているかは、NTT光公式サイトなどで確認するとよいでしょう。
開通工事である程度の日数がかかることも
開通工事にも、ある程度の日数がかかることを認識しておきましょう。工事自体はそこまで時間がかかるものではなく、光回線であれば1〜2時間程度で完了します。
一方で開通工事は申し込みからすぐにスタートできるとは限らず、数週間〜数カ月かかることもあります。引越しが多い繁忙期は、工事日を確定させるのがさらに難しくなるでしょう。つまり開通工事は、時期によっては着手されるまでに多くの日数を要します。
加えて工事日には、居住者の立会いも必要です。プロバイダーだけではなく、自分たちのスケジュールも調整しなければなりません。
もし工事日が決まらず、開通までに時間がかかりそうであれば一時的にモバイルWi-Fiやホームルーターを使うのがおすすめです。
無線ルーターの位置によっては2階にWi-Fiが届かない場合も
無線ルーターの位置によっては、2階にWi-Fiが届かない場合がある点にも注意が必要です。前述しましたが、Wi-Fiは周波数によって特徴が異なります。仮に2.4GHzで設定するのであれば、電波干渉を防ぐべく家電製品の近くに置かないようにしましょう。
また床・部屋の隅・窓際は、無線ルーターの設置場所としてふさわしくありません。一般的に無線ルーターは、360度に電波を飛ばしています。そのためこれらの場所に置いてしまうと、2階部分を含めた家全体に電波が届きにくくなります。
無線ルーターは家電などの障害物や床を避け、できる限り部屋の中心に設置するのをおすすめします。さらに壁掛けのアイテムなども使い、高い位置(床から2m近く)に設置しておくと2階にも電波が届きやすくなります。
近年、特定の機器に強い電波を送るビームフォーミング機能や、広範囲をカバーできるメッシュWi-Fiといった新しい無線ルーターが登場してます。環境に合わせて繋がりやすい製品を探してみるのもよいでしょう。
自宅で快適に仕事ができるネット環境を構築したエンジニアの先輩たちの実例を紹介
職業柄、「よりよいもの」や「よりよい環境」を求める方が多いエンジニア。在宅勤務をされることも多いエンジニアの方々は、仕事に支障が出ないよう、ネット環境の構築にもこだわっている方が多いよう。その実例の一部を紹介します。
希望のスペックを実現できるか事前に確認することが大切
仕事部屋の横に納戸をつくり、その中に情報分電盤を配置、ルーターは納戸の上にそのまま設置したソフトウェアエンジニアのcorocnさん。在宅勤務を快適に行える安定したネット回線を引くためには、ネット環境に関する希望のスペックがある場合は事前に住宅メーカーに確認しておくこと、ルーターやハブの置き場をあらかじめ決めておくことが大切だと感じたそうです。
ネットワークはメンテナンス性を重視
Webアプリケーションエンジニアのいかるがさんがネット環境の構築においてこだわったのはメンテナンス性。メンテナンス性や無線ルーターの電波の飛び方を考慮して、できるだけ家の中央である2階にメディアBOXを置きたいと考え、2階にある棚に無線ルーターなどとともにまとめて設置しました。
オフィスに近い快適な仕事部屋を求め、理想の環境を追求
ソフトウェアエンジニアのとよしまさんは勤務先の快適な仕事環境を自宅で再現すべく、机と椅子はオフィスと同じシリーズのものを導入。家のネットワークは2階にある仕事部屋に情報盤を置き、部屋の中は有線、家の中はGoogle Nest Wifiを使ってメッシュネットワークを組んみました。
同時にビデオ会議をしていても通信品質で問題になったことはなく、Wi-Fiも2階全体とスタジオまで届くなど、快適に過ごせているそう。
家中どこにいても快適なWi-Fi環境を求めてメッシュWi-Fiを構築
ソリューションアーキテクトの中山桂一さんは、快適なWi-Fi環境を求めてメッシュWi-Fiを構築。一方、家の構造が重量鉄骨造であることに加え、外壁や床などがALC(軽量気泡コンクリート)板なので、1階と2階の間で電波が届きにくくなる懸念があったため、引き渡しの1カ月前に急遽1階廊下に有線LANを2本追加で引き、電波ではなく、有線LANによる中継を行う「Ethernet Backhaul(イーサネットバックホール)」という機能を使用できるようにしました。
結果、中山さんのご自宅ではスマホのWi-Fi環境で測った通信速度でも690Mbpsを記録するほどの快適なネットワーク環境を構築できたそうです。
将来的に最新技術を遊び倒せる「アップデートできる家」
東京近郊に家を建てたエンジニアリングマネージャーのHiroakiさんが目指したのは、将来的に最新技術を遊び倒せる「アップデートできる家」。その際に懸念していたポイントのひとつは、新たな機材やケーブルをきれいに設置するのが難しいことです。
そこで1階のほぼ中心に位置するファミリークローゼット内をルーターの置き場所にして、そこから各部屋にCD管を敷いたうえでEthernetケーブルを通しました。加えて屋外に設置したPoEハブと接続し防犯カメラをEthernetケーブル一本で動かせるようになりました。ほかにも将来的にEV車(電気自動車)を購入したときに備え、V2Hの先行配管のみ行ったそうです。
計画的に一戸建てにWi-Fiを導入した先輩たちの実例を紹介!
次に、スーモカウンターで、こだわりの住まいを建てた先輩たちの実例の中から、計画的に一戸建てにWi-Fiを導入した先輩たちの実例を紹介します。その人たちが、どんな点にこだわり、どんな住まいを実現したのか、実例を参考に学んでいきましょう。
【実例1】コートかけの上に棚をつくってWi-Fiルーターをすっきり収納
子どもが生まれて一段落したタイミングで家の購入を本格的に検討し始めたTさん夫妻。スーモカウンターで紹介してもらった大手住宅メーカーのモデルハウスを見学し、もう少し予算を抑えられる会社を探していたところ、友人が家を建てた建築会社がスーモカウンターに参画していることを知り、面談することにしました。その会社が希望の土地を持っていたことから、依頼を即決し、本格的に家づくりがスタート。
シンプルな外観にこだわり、間取りプランも何度もやり直して理想の家に近づけていきました。玄関の横にはシューズクローゼットとコートかけを設け、コートかけの上段にWi-Fiルーターをすっきりと設置。シンプルで住みやすい家が完成しました。
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【実例2】家事スペースにWi-Fiルーターを設置、家事動線にこだわった家が完成!
駅近の便利な立地で土地が販売されるという話を聞きつけ、家づくりを決心したDさん夫妻。スーモカウンターの講座に参加して勉強しつつ、依頼先の紹介を受けることにしました。そこで8社紹介されて6社と面談、最終的には自分たちの要望が予算内でどれだけ実現するかで依頼先を決定。
家事動線には特にこだわり、家事スペースを設置しました。Wi-Fiルーターやプリンターもそこに置けるようにしたところ、とても使いやすくて便利だと大満足です。
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【実例3】ファミリークロゼットにWi-Fiのルーターを収納
元々はアパートで暮らしていたTさん夫妻でしたが、子育てのしやすい環境を手に入れるべく妻の育児休暇中に新築を建てることを決意します。妻の実家の敷地内の土地に建てられことになり、建築会社を探していたところ、家づくり経験者の友人からおすすめされてスーモカウンターに相談。6社提案された中から、長期保証がつく大手の建築会社に依頼を決めました。
2021年1月ごろから住宅展示場へ訪問するなど情報収集を始めたTさん夫妻はスピーディーに家づくりを進め、2021年9月末には引き渡しが完了。本来は2022年3月に住めたらよいと考えていたそうですが、半年早く新居に入居することができました。
Tさん夫妻は共働きだからこそ、家事動線に力を入れました。そこでファミリークローゼットにWi-Fiルーターを設置できるようにしつつ、収納スペースも併せて確保しています。床の段差も極力なくすことで、ロボット掃除機が簡単に通れるよう工夫されています。
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一戸建て住宅にWi-Fiを導入するときのポイントまとめ
最後にあらためて齋藤さんに、一戸建て住宅にWi-Fiを導入するときのポイントについて聞きました。
「住宅内のネットワーク計画については、建築会社の担当者や建築士によって提案力に違いがあります。もし担当者の知識が不安な場合は、自身で調べて『こうしたい!』と、要望をはっきり伝えた方がいいでしょう。
今後は、家中の家電や設備がインターネットに繋がるIoT化が進みます。先々のことを考えて、Wi-Fi環境を計画することをお勧めします」
スーモカウンターに相談してみよう
「どうやって進めたらいいのかわからない」「Wi-Fiなどネットワーク計画のアドバイスもしてくれる建築会社はどうやって選べばいいの?」住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望を叶えてくれそうな依頼先を提案、紹介します。
無料の個別相談のほか、「はじめての注文住宅講座」や「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」など、家づくりの段取りや、会社選びのポイントなどが学べる無料の家づくり講座も利用できます。ぜひお問い合わせください。
監修/SUUMO編集部(そもそもWi-Fiとは?、一戸建てにおすすめの回線はどれ?、光回線なら一般的な使い方であればデータ通信量はほぼ無制限、スマート家電・IoT製品を利用しやすくなる、一戸建てにWi-Fiを導入する際の流れを解説、一戸建てはマンションよりも月額料金が高くなることもある、新築は住所登録に数日~数週間かかる、開通工事である程度の日数がかかることも、無線ルーターの位置によっては2階にWi-Fiが届かない場合も)
イラスト/タイマタカシ