フリーコール
0120-070-091
携帯・PHSからも通話料無料
9:00〜21:00
毎日受付

スーモカウンター注文住宅のサービスをご利用いただいて建てたお住まいの
実例を中心に、注文住宅のノウハウをご紹介します。

「川崎に住む」ことを最優先に、狭小住宅でも住みやすい家を建てた話【エンジニア、家を建てる】

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた

職業柄、「よりよいもの」や「よりよい環境」を求める方が多いエンジニア。そんなエンジニアの「家づくり」にはきっと、さまざまなこだわりが詰め込まれているはず。

「エンジニア、家を建てる」第3回は、神奈川県川崎市に戸建てを建てた、いかるがさんに寄稿いただきました。

もともとは建て売りの戸建てやマンションなど、「すぐに引越せる家」を探していたいかるがさん夫妻。しかし川崎は人気エリアのためなかなかいい物件に出合えず、紆余曲折あり、たまたま「家を建てる」ことになったそうです。こだわったのは、狭小住宅しか建てられない狭い土地で、できるだけ快適に過ごすためにはどうしたらいいか、という点でした。

こんにちは。いかるがという名前でインターネットをふらついている者です。

普段はGMOペパボ株式会社で「カラーミーショップ byGMOペパボ」というネットショップ作成サービスの開発、運用を行っています。最近はCRE(Customer Reliability Engineer)という立場で、ショップオーナー様からのお問い合わせに関する技術調査や、お問い合わせになるような要因を根本から解決するための施策に携わっています。

昨年のことですが、神奈川県川崎市に家を建てました

「家を建てる」というと、もともと戸建てを所有することを夢みていたり、理想の家プランがあったりという方がほとんどだと思いますが、当初、私たち夫婦はそこまで「家を建てる」ことに興味がありませんでした

今回はそんな私たちがどうして家を建てることになったのかや、家を建てるに当たって考えたことなどを紹介していこうと思います。主に以下の方々の参考になれば幸いです。

  • 比較的都心に近い場所で家を建てたいと考えている
  • いわゆる「狭小住宅」を検討している
  • 「テレワークのための小さな作業部屋」に興味がある

わが家の「スペック」

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた いかるがさん邸の間取図
  • 竣工年月:2021年6月
  • 家族構成:2人(夫婦)
  • エリア:神奈川県川崎市
  • 土地、建物の広さ: 約土地49.58㎡(15坪)、建物(延床)約100㎡(30.25坪)
  • 部屋数: 2LDK+納戸(書斎)(3階建て)
  • 価格:約5000万円 (諸費用込み)
  • 住宅ローンの借り入れ先:りそな銀行(妻名義)

〜 私の家づくり3カ条 〜
🏠 エリア神奈川県川崎市)を何よりも優先
🏠 LDKはドアや仕切りをなくして狭小住宅でも快適に
🏠 テレワークするならどんな小さな空間でも“個室”

【目次】

「騒音トラブル」がきっかけで、引越しを決意

私たち夫婦はもともと、川崎市内の賃貸アパートに5年ほど住んでいました。引越しを考えるようになったきっかけは隣の部屋の騒音。深夜の時間帯に、隣の部屋から床や壁に物がぶつかる音が聞こえるようになったのです。

早朝に警察官が来て当事者らしき人に事情聴取している様子も観測しており、妻が精神的に参ってしまいました。その後、隣の部屋の住人が先に引越したことで騒音トラブル自体は解決したのですが、契約更新も近づいていたため、そのまま引越し計画は継続することに。

賃貸ではなく、そろそろ持ち家でもいいかな? と思い、最初はすぐに引越せる建て売りの戸建てか、マンションの購入を検討していました。

「川崎に住む」を最優先事項に物件を探していたら、たまたま家を建てることに

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた 川崎といえば多摩川

家を探すに当たり最も優先したのは「引き続き川崎市内に住むこと」でした。

妻が京浜工業地帯に工場を有する化学メーカー勤務で、始業時間も早いことから、妻の通勤を第一に考えたのです。私は当時、新型コロナの感染拡大により原則テレワークの状況だったので、場所についてはそこまでこだわりがなく、第一優先事項についてはすぐに決まりました。

しかし、都心に近い川崎エリアは人気の場所。特にマンションはなかなかいい物件に出合えず、あっても予算をオーバーしていて購入を決断することはできませんでした。

また、建て売り物件も収納スペースが十分でないなど「もっとここがこうなっていたら……」と間取りや仕様が気になることが多かったです。駅から遠かったり、土地が借地権であったりと「建物」と「土地」の両方で条件を満たす物件になかなか出合うことはできず、近所を散歩中に新築建て売り物件の「見学受付中!」の旗を見つけては、外から眺める日々が続いていました。

そんなある日、とある建築会社から「セミオーダーという形で、間取りや仕様をある程度自由に決められる物件があるが興味はないか」という提案を受けます。もともとすぐに引越せるマンションや建て売りの戸建てを検討しており、「家を建てる」という発想が全くなかった私たちにとっては思いがけない提案でしたが、ある程度の制約があるとはいえ「自由にオーダーできる」という条件はとても魅力的でした。

夫婦ともに「そういう機会があるならやってみたい!」と考え、予定外の「家を建てる」ことを決意しました。

【編集部注】
いかるがさんのご自宅のように、建築会社が用意したプランからデザイン、間取り、設備などを選べる住宅は「規格(企画)住宅」や「半規格住宅」などと呼ばれています。メリットは、フルオーダーの注文住宅と比べて手間や時間などを削減しつつ、ある程度好みの家に仕上げられること。規格住宅に対応しているかどうかや、どこまで自由が利くかはそれぞれの建築会社によるので、気になる方は確認を。

ペアローンを検討するも、団信の審査が通らず苦戦

家を建てるに当たり、当初はペアローンを検討したのですが、私の団信の審査が通らず四苦八苦しました。詳しい理由は教えてもらえなかったのですが、過去の通院歴が引っ掛かったのかなと推測しています。

最終的に、ローンは妻に組んでもらい返済額を折半することにしました。年間を通しての支払額は贈与税の基礎控除を超えない程度に収めています。

加えて万が一の事態に備え、団信の保証内容を充実させたり、加入していた保険を見直して私の分の保証をより手厚いものに変更したりしました。ローンまわりのあれこれについては、本当に妻に頭が上がりません。

土地が狭いからこそ、間取りに工夫を

ここからは実際に建てた家の紹介をしていこうと思います。

「セミオーダー」ということで、最初はそこまで選択肢がないのでは……と心配していましたが、プランナーさんが私たちの要望を基にゼロから間取りを組んでくれてほぼ希望通りの家が完成しました。

水まわりの階数を変えたり、窓の数を増減させたりといった提案も快諾。外装や内装も建築会社指定のカタログから自由に選択できました。唯一NGだったのは「トイレの数を減らす」でしたが、特に問題は感じませんでした。こだわりと予算を天秤にかけながら考えていった結果、建築会社標準のプランから400万円ほど増額しました。

そして、プランを組む中で特に重視したのが「狭小住宅でも住みやすくすること」でした。

人気エリアの土地は高くて狭い

前述の通り川崎は人気エリアのため、土地が高く、限りある予算の中で広い土地を手に入れるのは難しいことでした。

今回かかった費用のうち3000万円強は土地代ですが、それでも狭小地と分類される広さしか手に入りませんでした。

そのため狭小住宅でも快適な空間になるよう、Kindle Unlimited で狭小住宅の間取りについてまとめたムック本などを眺めてイメージを膨らませ、以下のような細かい工夫を重ねた間取りを考えました。

狭小住宅の工夫1:角地であれば建ぺい率が有利

当初、建築会社から提案いただいたプランは建ぺい率に余裕があったのですが、私たちが選んだのはほかの土地よりも建ぺい率が10%多く確保できる「角地」(角地緩和)。そのため、居住スペースをギリギリまで広くしてもらうことができました。

狭小住宅の工夫2:LDKはひとフロアぶち抜きで極力広く

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた LDK全景

間取りを考えるに当たり、まず最初に検討したのは「キッチンやお風呂などの水まわりを1Fと2Fどちらに置くか」という点でした。

2Fにまとめて置くと家事動線が2Fで完結して便利な一方、LDKがどうしても狭くなります。リビングは極力広くしたかったので、最終的に2Fは約20畳ほどの空間を仕切りやドアをなくしてぶち抜きにし、リビング・ダイニング・キッチンだけのフロアにしました。

その代わり風呂や洗濯機は1Fに配置したのですが、これは生活音対策でもあります。縦に長い土地であればドアや仕切りがつくりやすく、水まわりをひとフロアに固めてもある程度生活音を軽減できるかと思うのですが、わが家は比較的正方形に近い土地だったので仕切りをつくりづらかったのです。

2Fにバルコニーを置くという選択肢もありましたが、スペース確保を優先して設置しませんでした。結果として部屋の形状がシンプルになり、家具の配置に悩まずに済んだり、大きなテレビを置いても余裕のあるスペースが確保できたりしました。

最近はライブの配信が増えたので、ちょっといいスピーカーと大きな画面で楽しんでいます。

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた テレビまわり

階段の配置の都合で1カ所、どうしてもデッドスペースが生まれてしまったのですが、2Fにリビング・ダイニング・キッチンを集約するなら日用品の収納スペースもつくったほうが便利と考え、ここに造作棚をつくってもらいました

普段はカーテンで隠しているので、目立つこともありません。後述しますが、ネットワークまわりの設備もここに置いてます。

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた デッドスペースの収納
普段は左のようにカーテンで目隠し

狭小住宅の工夫3:狭くとも収納スペースは惜しみなく

狭小住宅となるとどうしても収納スペースを削りがちなのですが、夫婦ともにモノが多いので収納スペースは惜しみなく確保しました。

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた 夫婦の寝室を壁一面収納に

わが家の場合、寝室のスペースを削って、壁一面をすべてクロゼットに費やしました。加えて、3F廊下のデッドスペースにも戸棚を配置。ここにはマンガなどの本を収納しています。

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた 3F廊下にも戸棚をつくりました

収納は建て売り戸建てやマンションだと増設が難しい面もあるので、こういった工夫は「家を建てた」からこそだったなと思います。

狭小住宅の工夫4:脱衣所をL字型にして、狭いながらも物干しスペースを確保

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた 脱衣所はL字型に

家を建てるときに乾燥機付きの洗濯機に買い替えはしましたが「できれば洗濯物は干したい派」の妻の希望で1Fの浴室&洗面&脱衣所に物干しスペースをつくることにしました。

思い切って脱衣所をL字型にすることで広さを確保しています。天井には室内干し用の物干し竿を設置しました。

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた 使わないときは収納できる物干し竿

現在は靴下や下着などの小物類を干すスペースとして活躍しています。床のタイルは妻が一目ぼれして選んだもので、妻のこだわりとして紹介しておきます。

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた 脱衣所の床

後述する書斎とスペースの取り合いになりましたが、結果として書斎の秘密基地感が増してこれはこれで満足しています。

角地なので書斎が1Fでも採光は◎

そのほかのこだわりについても紹介します。まずは「書斎」です。

家を建てた当初は基本テレワークだった私の作業スペース確保のため、1Fに納戸扱いで書斎スペースをつくりました(現在は週1、2日ほど渋谷のオフィスに出勤しています)

道路に面した角に窓を設置したので、1Fの割にはそこそこ日当たりが良いです。3畳ちょっとと決して広いわけではありませんが、十分な作業スペースが手に入ったと思います。

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた 書斎という名の作業部屋

ネットワークはメンテナンス性を優先

テレワークということもありネットワークにはこだわりたかったのですが、あいにく自分で配線を工夫する技量はないので、大掛かりなことはしていません。優先したのはメンテナンス性です。

建築会社の当初のプランでは、メディアBOXは3Fの押入れの中に置かれていました。しかし、メンテや無線ルーターの電波の飛び方を考慮すると、できるだけ家の中央である2Fに置きたいところ。

そこで、間取りを決める段階で、メディアBOXを先述した2Fのデッドスペース棚のそばにおき、棚の一番上にルーターなどのネットワークまわりの設備をまとめることにしました。

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた 2Fにある棚の上部

コンセントも高い位置に増設してもらっています。ただ、2Fに無線ルーターを置いても1Fと3Fの無線電波強度が若干気になるので、メッシュルーターを導入するか現在検討中です。

加えて、仕事場となる書斎には有線LANを引きました。また、念のため2Fにも空配管を通しています

完全に余談ですが、私はソフトウエアエンジニアとして生きてきてはいるものの、まだ電気工事士の資格は持っていないのでした。とはいえ持ち家というせっかく自由に触れる環境があるので、もし将来配電まわりで困ることが出てきたらそのときは電気工事士の免許を取ってやろうかと思っています。

エンジニアの皆さんならもっている(嘘)電気工事士の資格に言及した記事はこちら

その他のこだわったところ

キッチンの食器棚・カップボード

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた こだわりの食器棚

キッチンと食器棚、カップボードのメーカーはクリナップに統一しました。値ははりましたが、見栄えが良く、妻も私も気に入っています。

人感センサー付きのライトを玄関に設置

神奈川県川崎市に狭小住宅でも住みやすい家を建てた 玄関

前に住んでいた賃貸の玄関ライトが人感センサー付きで、とても楽だったのでそれをそのまま今の家でも採用しました。

夜帰ってきたとき、荷物で手がふさがっていても自動的に電気がつくのはとても助かります。ライト自体はメーカーオプションで選べるパナソニックのものにしました。

スマートライトの「Philips HUE」と人感センサーの組み合わせでも良かったのですが、長く運用していくことを考えたらライト単体で完結したほうが良いと考え採用は見送りました。ちなみに、よく使用する書斎とリビングの照明にはもちろんHUEを採用しています。

床暖房

床暖房は建築会社の標準プランで備わっていたのですが、冬場とても暖かくて助かりました……!

私は北海道出身なのですが、冬の関東の家の中は地元よりも寒いです……。今年は床暖房のおかげである程度マシに過ごすことができました。

こうしておけば良かった

家にはおおむね満足していつつも、住んでみて1年弱たつと間取りや仕様の選択が間違っていたな……と思うこともあります。

反省点1:物干し部屋には窓を設置

ケチって1Fの洗濯機のある物干しスペースに窓をつけなかったのですが、通気のために絶対必要だな……と住み始めて感じました。これから湿気対策を考える必要がありそうです。

反省点2:断熱にもう少しコストを割く

床暖房があるとはいえ、それでも冬の家の中は寒く、快適とはいえませんでした……。リビングの大きな窓には樹脂サッシを採用するなどある程度の工夫はしましたが、性能の高い断熱材を選ぶこともできたので、ほかの予算を削って選んだほうが良かったかもしれません。

ただ性能の良い断熱材を選んだところで、そのコストに見合った効果が生まれるかどうかは住んでみるまでわからないので、最初からプランに組み込むのはなかなか難しいとも思います。もしもう一回家を建てるなら、断熱にこだわってみたいですね。

家は狭いけれど、首都圏に住むメリットは大きい

いろいろな巡り合わせのおかげで、「川崎に住む」という条件をかなえた家を建てることができました。

地方や郊外に立つ住宅の様子を見ていると、より広くて安く、ゆったりとした生活が送れそうなのは、正直うらやましい。

ですが、地元への帰省や旅行の起点となる羽田や品川が近かったり、ご飯やお酒がおいしい居酒屋がたくさんあったり、映画館が3つもあったり、ラゾーナに行けばだいたい買い物が完結する川崎のことを私はなんだかんだ気に入っていて、そこに家を持って住むというメリットも十分負けてないんじゃないかなと考えています。

自分が年寄りになったときにもそう考えることができるかどうかはわかりませんが、今はこの生活を楽しもうと思っています。

🏠 「エンジニア、家を建てる」アーカイブ🏠
●第1回:効率よく「時短」できる家
●第2回:仕事部屋もサウナも防音室もある家

🏠 家を建てるって、楽しい 🏠
夢の“ソーラーハウス”を手に入れた
書庫があればいくら本を増やしても安心
狭小住宅でも工夫次第で大満足

著者:いかるが

いかるが

函館出身のRubyとRailsが好きなWebアプリケーションエンジニア。 普段はbeatmania IIDXを嗜んでいます。


Twitter:@UVB_76 サイト:ikaruga.org

編集:はてな編集部