とくに辛かったのが浴室の寒さ、冬はずっと風邪気味だった
英会話学校で出会ったのが縁で結婚したF夫妻。妻の「ゆくゆくは両親と同居するのもいいよね」という一言で、東京から実家がある栃木県下野市へのUターンを決意した。現在、夫は宇都宮市内のウェブ会社に勤務、妻は専業主婦だ。
こうして、築20数年の家で夫の両親との同居生活が始まったが、壁に断熱材が入っていないせいで冬は芯から冷える。妻が笑いながら言う。
「とくに辛かったのが浴室の寒さ。子ども2人を入れた後で服着せたりしていると、私の方はすっかり冷えちゃって。冬はずっと風邪気味でした(笑)」
夫も「両親も歳を取ってきたから、温度差で起きるヒートショックを防ぎたいという思いもあったよね」と振り返る。
きっかけは長女の小学校入学が近づいてきたこと
夫の実家に移り住んでからは9畳の部屋に4人で生活していた。父は「自分たち夫婦の部屋を分ける」という主義を貫いており、これもスペース不足の一因になった。妻は「本当に寝るだけの部屋で、プライベートな空間はほとんどありませんでした」と振り返る。
とはいえ、家を建て替えるにあたって最も大きなきっかけは長女の小学校入学が近付いてきたこと。「学習机を買って子ども部屋をつくるタイミングを逃すと、ズルズルと先延ばしになっちゃうよ」というママ友からの助言が夫妻の背中を押した。
家づくりを考え始めたのが2017年ごろで、行動に移したのがその翌年。夫妻の考えに両親も応援してくれた。
数カ所の展示場で10軒以上のモデルハウスを見学したが、「どれも素敵だな」という漠然とした感想しか浮かばない。「見れば見るほど、自分たちの優先順位がわからなくなる」状態だった。やがて、スーモカウンターの存在を知り、「考えをまとめるために」訪問したという。
結果的には大正解。夫妻は担当者に言われるまま、希望条件を書き出してみた。
・耐震性に優れていて、床暖房で冬でも暖かい家
・子どもの成長に合わせて部屋の間取りを変えられる仕様
・親戚が集まるお盆や正月にも快適に過ごせるリビングダイニング
・トイレと浴室を広くして、両親のために手すりを設置
「箇条書きにしたら、希望条件が具体的に見えてきたんです」と妻が言う。
さらに、それぞれの希望に強みをもっているという建築会社を紹介された。最終的に絞った1社を選んだ理由は建築士が出してきた設計図に感動したから。
「他の2社から提案されたのは、よくある間取り。でも、その会社は吹抜けなどを含めた新鮮な提案をしてくれたんです。家族や親戚が集まるリビングも使いやすそうだなと」
子ども部屋は将来的に可動収納で仕切れるように
こうして、長女の小学校入学を4カ月後に控えたタイミングで待望の二世帯住宅が完成した。
1階には妻が料理をしながら子どもたちを見守れるLDK、父と母それぞれの部屋、浴室、トイレがある。父母の部屋以外は共有スペース。ちなみに、モノを捨てるのが苦手な母だが、これを機にずいぶん思い切って処分したそうだ。
「でも、親が持たせてくれた嫁入り道具のタンスと、息子が使っていた学習机は捨てられませんでした」と、母は笑って言う。
2階には夫のオーディオセットを置いたリビング、夫妻の寝室、将来的には可動収納で仕切れる子ども部屋、そしてシャワールーム。
その後ろでは妻と長女のくつろぎタイム。長女が通う幼稚園では体操教育に力を入れているそうだ。
リビングでおしゃべりするママ友、勝手に遊ぶ子どもたち
その奥は14畳の子ども部屋と7畳の寝室。
「ママ友会を開くときは、私たちはリビングでおしゃべりして子どもたちはあっちの部屋で遊ばせるかんじですね。いろんな用事が2階で完結するように洗面所とシャワールームも入れました」
2階には広いベランダもついている。夫は「いずれは芝生を敷いて、お風呂上がりの夕涼みや週末のバーベキューに使いたい」と夢を膨らませる。
なお、悲願の床暖房は1階と2階のリビング、父母の部屋、廊下、すべての浴室とトイレに導入した。妻は「暖かいというのは本当に最高。風邪ですか? 今のところ引いていません」と笑う。
自分たちにとっての優先順位を明確に伝えることが大事
そうそう、ご紹介を忘れていました。Fさん一家には7歳の愛犬くんもいるのです。彼の居場所は1階の外構部。このために雑草だらけだった庭を整備して、タイルも多めに貼ったという。
新しい家には1台分のカーポートの他に3台分の駐車スペースがある。親戚の受け入れ態勢も万全だ。
妻が言う。
「家づくりのスタートは夫婦そろって何の知識もないところから。スーモカウンターを利用する際は自分たちにとって何が重要なのか、その優先順位を明確に伝えることが大事だとわかりました」
試行錯誤を繰り返した末に、ようやくたどり着いたゴール。二世帯がマイペースに暮らす新居は、ママ友会にも使い勝手のよい“暖かい家”となった。
取材・文/石原たきび 写真/一井りょう
- DATA
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土地面積 約250㎡ 延床面積 約172㎡ 建築費 3660万円 間取り 5LLDDKK 世帯構成 夫(40歳)、妻(40歳)、長女(6歳)、長男(4歳)、夫の父(68歳)、夫の母(67歳)
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