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建具とは? ドアや引き戸を適材適所で選ぶポイント

建具とは? ドアや引き戸を適材適所で選ぶポイント

家づくりを検討していると耳にすることの多い「建具」ですが、建具とは一体どのようなものを指すのでしょうか。またどのような種類があってどのような特徴があるのでしょうか。失敗しない建具選びのポイントについて、一級建築士の佐川旭さんに話を伺いました。

建具とは?

どんな家にも必ずあり、さまざまな種類がある「建具」ですが、そもそも、建具とはどういったものなのでしょうか?

「住まいの出入口または開口部などの開いている箇所にはめるものが『建具』です。建具のうち、人の出入りに使われるものが『戸』、採光や通風のために設けられるものが『窓』と呼ばれています。建具は、外部用か内部用かで分けることもできます。玄関扉や掃き出し窓など外壁面に設置されるのが外部建具、襖や間仕切りなど室内を仕切るための建具が内部建具です」(佐川さん、以下同)

家の中にある建具のイラスト

さまざまな建具

さらに建具は、開き方によっていくつかの種類に分けることもできます。代表的なものは、開き戸(ドア)、引き戸、そして折れ戸ですが、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

開き戸

「開き戸は、気密性が高いのが特徴です。そのため、空調が効きやすいというメリットがあります。また、比較的軽い力で開け閉めができる点もメリットと言えます。施工する側の視点では、取り付けが簡単というのもメリットです。一方、デメリットはデッドスペースができるところです。ドアを開閉する軌道上には物が置けないため、無駄なスペースが生じてしまいます」

開き戸のイラスト

開き戸は軽い力で開閉できる

引き戸

「引き戸は、風や光の入る量を自由に調整できるというメリットがあります。壁に収納するスペースは必要ですが、人が通るスペースに影響しない点はメリットです。最近はバリアフリーの観点からも引き戸が評価されています。車椅子で開き戸を開けようとすると、引いて開く動作が非常に難しい半面、引き戸であればそのような不自由さがありません。

今は下にレールのない上からつるタイプの引き戸もあり、このタイプですと段差がないためさらに快適です。一方、デメリットとしては開閉に力が必要な点と、開き戸に比べて気密性が劣る点です」

引き戸のイラスト

引き戸だと車椅子でも開閉しやすい

折れ戸

「折れ戸は、折りたたんで開閉するタイプの建具です。クロゼットなどでよく見かけますが、折りたためるため省スペースで、物が取り出しやすいという特徴があります。昔は子どもが指を挟んでケガをすることもありましたが、最近の折れ戸はクッションがついていて安全性が向上しています。開き戸や引き戸に比べて開口部が狭くなってしまう場合があるのがデメリットです」

折れ戸のイラスト

折れ戸は折りたためるので省スペース

代表的な建具の素材と特徴は?

建具には、さまざまな素材が使われており、素材によっても耐久性や使い勝手が変わるため、建具に使われる代表的な素材と、それぞれの特徴も押さえておきましょう。

現在、建具に使用されることの多い素材には、アルミ、木、樹脂があります。鉄(スチール)もかつては大型の集合住宅などで多用されていましたが、佐川さんによると、最近はアルミに代用されることが多いそうです。

アルミの特徴

「アルミは、耐水性が高いため、水のかかる場所に適しています。玄関扉や勝手口の扉、ガラス窓のフレームなどは代表的なものでしょう。軽くて取り扱いやすい点もメリットです。一方で、アルミだけで使用する場合、断熱性が低いというデメリットがあります。アルミサッシのフレームが結露しやすいのは、アルミの断熱性が低いからです」

アルミ製建具の実例

アルミ製の建具(画像/佐川旭建築研究所)

■メリット

・耐水性が高い

・軽くて取り扱いやすい

■デメリット

・断熱性が低い

木の特徴

「木の場合、一口に『木製』と言っても、さまざまな種類があります。わかりやすいのは『むく材』という大木から切り出されたまま、接着剤などを使っていない木材です。他には、板状にした木を接着剤で張り合わせた『合板』や『集成材』、おがくずを圧縮して接着剤などで固めた『木質ボード』などがあります。

木は、あたたかな素材感と、どんな色や素材とも合わせやすく、加工しやすい点がメリットです。一方で、雨や風、紫外線に弱く劣化が激しい点はデメリットでしょう。むく材の場合、コストが高い点もデメリットと言えるかも知れません。また、よく乾燥させた木材を使わないと反ってしまうことがあり、注意が必要です」

木製の建具の実例

木製の建具(画像/佐川旭建築研究所)

■メリット
・あたたかな素材感
・どんな色や素材とも合わせやすい
・加工しやすい

■デメリット
・雨、風、紫外線に弱い
・むく材はコストが高い
・よく乾燥させたものを使わないと反ることがある

樹脂の特徴

「建具には、塩化ビニールやポリカーボネートなどの樹脂も素材として使われています。アルミの代わりにサッシのフレームに塩化ビニールを用いたものは『樹脂サッシ』と呼ばれており、アルミに比べて断熱性が高いため結露しにくいのが特徴です。ポリカーボネートは、軽く、衝撃に強く、透明性が高いため、ガラスの代わりに重宝されます。ただし、ガラスに比べると傷がつきやすいことと、コストが割高な点がデメリットです」

ポリカーボネートの建具の実例

ポリカーボネートの建具(画像/佐川旭建築研究所)

■メリット

・断熱性が高い
・軽い
・衝撃に強い(ポリカーボネート)
・透明性が高い(ポリカーボネート)

■デメリット

・傷がつきやすい
・ガラスに比べると割高

どこにどんな建具を選べばいいの?

開き方や素材の種類などが多様で、それぞれに特徴があるため、どこにどんな建具を選べばいいのか迷ってしまう人もいるでしょう。そこで、設置する場所別に建具の種類、素材などの選び方を紹介します。

玄関用の建具

玄関ドアは住まいの顔であるとともに、雨・風・紫外線に晒される場所でもあります。建具メーカーでもさまざまな種類の玄関ドアをラインナップしています。

「玄関ドアは開き戸も引き戸もありますが、デザインや色は住まい全体の雰囲気に合わせるのがいいでしょう。洋風の家でもバリアフリー仕様にするなら引き戸の方がいいですね。高級感が出るため、玄関ドアにむく材を選ぶ人もいますが、その場合はこまめなメンテナンスが欠かせません。また、木製の玄関ドアは防火地域だと使用できないので注意が必要です。寒冷地では玄関ドアから冷気が室内に入るため、断熱加工されたドアを選ぶことをオススメします」

玄関の建具

玄関用の建具(画像/佐川旭建築研究所)

洋室用の建具

リビングダイニングや寝室、子ども部屋など、洋室と一口に言っても用途によってさまざまです。ただし、建具を選ぶときの視点としては共通するものがあります。

「素材としては木製または樹脂製、開き方は開き戸が多いですが、最近は洋室を引き戸で仕切るケースも多々あります。リビングなどの建具には、窓をつけるかつけないか、窓をつけるなら丸か四角か、大きさによっても印象が随分変わります。このあたりは、壁紙や床材、インテリアに合わせて選ぶといいでしょう。

最近は室内用にカラフルな建具もあるので、モダンな感じにしたければ、白い壁紙にドアだけ赤、という選択肢もありです。なお、洋室の建具に引き戸を採用する場合の注意点としては、電気のスイッチをどこにつけるか考えておくことです。場所によっては配線できない、または使いづらい配置になってしまうことがあります」

洋室の建具

洋室用の建具(画像/佐川旭建築研究所)

和室用の建具

多くの日本人にとって、和室は落ち着ける場所です。そのため、和室用の建具にも落ち着いたデザインが合います。

「和室の場合、一般的には引き戸を選びます。最近では引き戸でも下に敷居がなく、上からつるタイプの引き戸があるので、リビングと隣接しているような場合にはつるタイプの引き戸にすると、開け放したときにリビングとフラットにつながって、広々とした印象になります。建具の色も部屋全体と調和した落ち着いた色を選ぶといいでしょう」

和室の建具

和室用の建具(画像/佐川旭建築研究所)

収納用の建具

梅雨時から夏場にかけて湿度の高い日本では、いかに通気性を確保してカビの発生を防ぐかが、収納用の建具に求められます。

「今のクロゼットは気密性が高くなっていますが、ルーバーのある建具なら、通気性は抜群です。小窓を設けた建具でもいいでしょう。上からつるタイプの引き戸にして、下のところにわざと隙間を空けるという方法もあります」

収納の建具

収納用の建具(画像/佐川旭建築研究所)

間仕切り用の建具

最近はリビングに間仕切りを設けて、広く使ったり、個室を設けたり、多様な使い方をする人が増えています。そういった間仕切り用の建具には、どのような建具が適しているのでしょうか。

「広めの部屋をシチュエーションによって仕切ったり、開放したりする間仕切り用の家具には引き戸が適しています。頻繁に開け閉めするのであれば、軽いものがいいでしょう。ポリカーボネート製の建具なら、軽くて丈夫なのでオススメです。閉めた状態で向こうの部屋がクリアに見える透明なものも、気配だけ感じられる半透明なものもあります」

間仕切りの建具

間仕切り用の建具(画像/佐川旭建築研究所)

水まわり用の建具

水まわり用の建具に必要な条件は、衛生的であること、そして水に強いことです。これらの条件を満たしたものを選ぶといいでしょう。

「トイレなどは、電気がついているか、人の気配があるかなどを確認できることも重要です。そのため、半透明な小窓が設けられた建具がいいでしょう。また、匂いがこもらないように、通気性が確保されていることもポイントです」

水まわりの建具

水まわり用の建具(画像/PIXTA)

建具にこだわって理想の住まいを手に入れた先輩たちの事例を紹介!

建具は、多種多様な中から機能や素材、デザインなど、自分のこだわりをもって選ぶことができます。そこで、先輩たちがどんな点にこだわり、どんな建具を選んだのか、実例を参考に学んでいきましょう。

【case1】室内ドアには積極的に引き戸を採用、実用性にこだわり抜いた住まい

実家を建て替えて二世帯住宅を建てることにしたMさん家族、スーモカウンターに相談して依頼先を紹介してもらい、プランニングをスタートしましたが、プラン決定までには約1年を要しました。

特にこだわったのは、家事動線がスムーズになること。室内ドアは間取り上難しいところ以外は全て引き戸を採用し、扉を開け放って空間を広く使うことができるようにしました。実用性にこだわり抜いたMさん家族、完成後はすっきりと快適な暮らしを実現することができました。

主寝室とつながり広々としたリビング/注文住宅実例

2階のセカンドリビングは、引き戸を開け放して広々とした空間にできる(写真/Mさんご本人)

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収納と生活動線のこだわりが光る、二世帯がゆったりと心地よく暮らせる家

【case2】ショールームで出会ったブルーのドアが家づくりをスムーズに

マイホーム計画をスタートしたものの、何もわからなかったHさん夫妻は、スーモカウンターへ相談に行き、依頼先を紹介してもらいました。内装は明るくかわいい雰囲気にしたいというこだわりがあったため、ショールームで実物を見ながらじっくりと選んでいくことに。

そして、建具のショールームで出会ったブルーのドアに一目ぼれした妻は、これをLDKの入口に取り付けようと決め、そこからどんどんインテリアの方向性が決まっていったと言います。何もわからないところからスタートした家づくりでしたが、思いのほかスムーズに進んだことに、驚きさえ感じているそうです。

緑と紺色の建具

白い壁紙に映える緑と紺の扉、1つは子ども部屋で、1つは寝室(写真/河原大輔)

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ちょうど子どもがハイハイをはじめるタイミングで、広くて子育てしやすい住まいが完成!

【case3】暮らしやすさにこだわり、将来のことも考えた「帰るのが楽しみな家」

家づくりを考え始めたHさんは、当時住んでいた岡山にあるスーモカウンターに相談に行きました。そこで、妻の実家のある広島の依頼先を紹介してもらい、広島で家を建てることに。

Hさんが最もこだわったのは、暮らしやすさです。家事動線や収納計画を念入りに行い、建具についても洋室との間仕切りはすべて引き戸にしました。開け放てば一体感のあるオープンな空間になり、閉めれば個室として使うこともできる点は、将来生活様式が変わったときにも便利だと言います。完成した今は、何よりも「家に帰るのが楽しみ」と笑います。

リビングと個室をすべて引き戸で区切っている/注文住宅実例

白い壁紙がメインのリビング、洋室との仕切りはすべて引き戸に(写真/古石真由弥)

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暮らしやすさ片付けやすさを重視 いつもスッキリ居心地のいい家

失敗しない建具選びのポイント

最後に佐川さんに、あらためて失敗しない建具選びのポイントを聞きました。

「長く暮らしていると、部屋の用途も変わってきます。そうなると、大きな空間をその時々に応じて区切る間仕切りの在り方は特に大事です。若いときはドアの方が良かったけど、歳を取ったら引き戸の方が便利、という場合もあるのです。余裕があれば、その時々に替えてもいいでしょうし、10年先、20年先を見越して使いやすい建具を選んでおくという方法もあります。今はいろいろな建具があるので、ここで紹介したような適材適所の考え方を参考に、使いやすく家全体の雰囲気に合った建具を選ぶようにしてください」

将来を考えて建具を想像する男女

建具は将来のことも考えて選びたい

スーモカウンターに相談してみよう

「どうやって進めたらいいのかわからない」「建築会社はどうやって選べばいいの?」
住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望をかなえてくれそうな依頼先を提案、紹介します。

無料の個別相談のほか、「はじめての注文住宅講座」や「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」など、家づくりのダンドリや、会社選びのポイントなどが学べる無料の家づくり講座も利用できます。ぜひお問い合せください。

取材協力/佐川 旭さん
佐川旭建築研究所代表。一級建築士、インテリアプランナー。間取り博士とよばれるベテラン建築家で、住宅だけでなく、国内外問わず公共建築や街づくりまで手がける

取材・文/福富大介(スパルタデザイン) イラスト/アカネ