お気に入りのアイテムなどをきれいに並べて置く「見せる収納」に憧れる人も多いのではないでしょうか。ところが実際やってみると、生活感がでてしまったり、使い勝手が悪くなってしまったりすることがあります。そこで、整理収納アドバイザーの安藤秀通さんに、見せる収納の基礎知識から最新トレンド、気をつけるべきポイントを聞きました。
目次
見せる収納とは?
手持ちの物をオープンな棚やラックに置くだけでできる収納方法です。また、お気に入りのものをケースやかごなどにいれて置くのも、見せる収納のひとつです。
見せる収納のメリットは?
見せる収納のメリットにはどんなものがあるのでしょうか。
いつも見える場所にあり、ものを取り出しやすい
見せる収納はいつでも物がどこにあるかが分かり、取り出しやすいというメリットがあります。
例えばキッチンツールや文房具など、普段使いするものをどこかにしまい込んで見つからないという経験がある人は多いでしょう。見せる収納であれば、何がどこにあるかが一目でわかり、管理しやすいメリットがあります。
安藤さんのご自宅のキッチンでは、調理器具が天井のレールから吊り下げられ、すぐに見えるところにあります。またスパイス類はマグネット付きで透明な蓋のあるケースに入れて冷蔵庫に貼り付けています。
「使用頻度の高いものこそ、気に入ったものを選んで、よく見えるところに置いておくと良いですね」
まな板やお玉、鍋つかみといったキッチンツールは、ただ吊るしてあるのではなく、一つ一つの置き場所とスペースを決めています。使うときに取り出しやすく、元の場所に戻しやすいのがポイントです。
物の置き場所を決めやすく、移動しやすい
戸棚などの隠す収納は一般的に大きなものや作り付けのものが多く、一度設えると動かしにくい場合が多いもの。その点、見せる収納は、物を置く場所を決めることも、移動することも簡単です。
「作り付けの収納や大きな収納家具を入れてしまうと、決まったスペースの中で収納を決めていかなければなりません。見せる収納の場合、収納ボックスやフックなどの収納用品を後から足していくので、移動しやすく場所も好きに決められます」
暮らしていると物は増えたり減ったりします。また、しまうのに最適な場所も変わっていくでしょう。見せる収納であればそのような変化にフレキシブルに対応できます。
好みのテイストや個性を反映しやすい
収納するもので好みのテイストを演出できるのも、見せる収納のメリットです。
「見せる収納にすれば、収納するマグカップや文房具など、よく使う物を好きなデザインの物にして、自分らしいセンスを演出しながら実用的に収納できます」
よく使うものこそ、自分好みのものを選んで飾るように収納するとおしゃれに見えます。見せる収納のためには、普段使いのものこそ妥協しないで選ぶことが必要です。
「季節や気分によって、インテリアのテイストを変えたいと思ったときにも、見せる収納ならそれに合わせて収納するものを変えることで、簡単に模様替えができます」
例えば夏ならガラスなどの涼しげな素材、冬なら毛糸などの温かみのある素材のアイテムを収納棚に納めると、季節感が出ます。また収納ボックスの色合いや素材を変えれば、部屋の雰囲気がガラリと代わります。
隠す収納の場合は、収納家具などのデザインにテイストを左右されやすくなります。家具は一度設置すると、買い替えたりリフォームしたりしなければテイストを変えることが難しいでしょう。一方で見せる収納なら、並べるものを変えたり、箱などの収納ツールを変えたりするだけで雰囲気を一変することができます。
見せる収納のデメリットと対策は?
メリットの多い見せる収納。ではデメリットにはどんなものがあるのでしょうか。またその対策も聞きました。
部屋が雑多に見える
見せる収納だからと何も考えずにオープンにしてしまうと、見せたくないものが見えてしまって、散らかっている印象になってしまいます。
その対策として、人の視線の動きを利用してインテリアをレイアウトするテクニックがあります。
「空間を見たときの視線に合わせて、インテリアの配置を考えると、部屋全体がスッキリと見えます。人はまず、正面を見て、そのあと左から右に視線が動くという習性があります。印象の強い正面と左側の壁面に目立たせたいものを置き、入って右側の壁面には目立たせたくないものを置くという配置がおすすめです」
部屋の右側に雑多になりがちなものを置くように配置を変えることは、すぐにでもできそうな工夫です。
インテリアに使う色が多くなりがち
インテリアをおしゃれにまとめるために外せないのが、色選びです。見せる収納の場合は物の色がそのまま目に入るため、色が多くなりがちです。色がたくさん混ざってしまっている小物類があると、雑多に見える原因になってしまいます。色についてはどのようにコーディネートすればよいのでしょうか。
「色彩管理は大切ですね。壁や床といった変えられない色のことをベースカラーと言いますが、私の家の場合ですと、コンクリートの壁(グレー)と漆喰の壁(白)、床の木材(ベージュ)がベースカラーになります。
部屋の中で色の面積が大きい部分のベースカラーに沿って収納グッズを揃えて活用すると、部屋になじみやすく、インテリアがすっきりと見えます」
収納グッズを活用する方法以外にも、容器を詰め替えて色を揃えたり、布などでカバーをしたり、収納する物の色数を限定することで、スッキリと見せることができます。
ボックス収納のなかの整理ができない
先ほど紹介したように、収納ボックスを活用すると色を合わせやすくなりますが、一方でやってしまいがちなのが、空いているところにとりあえず物を入れたまま忘れてしまうことです。そうすると何が入っているか分からないボックスができ、使い勝手の悪い収納になってしまいます。
安藤さんによると、そんなときのために役立つのが「アクションボックス」だと言います。
「後で確認しなければならない手紙やプリント、どこに入れるか迷うものなど、何かアクションが必要なものは『アクションボックス』を作って収納しておきます。
開けるタイミングは1日1回や週末などと自分で決めて、開ける度に要らないものを捨てるといった整理をすると、物を片付ける習慣にもなります」
見えているところに、ほこりがたまりやすく、掃除に手間がかかる
見せる収納だと、どうしても棚に飾ってあるものや、見えるところにほこりがたまりやすいイメージがあります。
「ほこりは、見せる収納でなくても、どこでも同じように積もります。そこで積もる場所を減らす、置く物の適正量を守っていくことが大切になります」
飾りたい物やコレクションで、小さい物や細かな物は、透明のケースなどに入れておくのも対策の一つです。
「ディスプレイケースなら掃除も平面の部分のほこりを取るだけで済みます」
ものが落ちやすく、地震対策が必要
見せる収納は物が取り出しやすい分、地震のときには、物が落ちてこないか不安になるかもしれません。落下対策はどのようにすればよいのでしょうか。
「見せる物を積みすぎてしまったり、奥行のないところに置いてしまうと地震に弱くなります」
見せる収納の場合は、重いものを下に、軽い物を上に置くようにする、キッチンの食器棚に滑り止めシートを使う、収納棚の上部と天井の間に突っ張り棒を立てて固定するなどの対策をしておくとよいでしょう。
センスよく見せる収納のポイントを紹介!
安藤さんに、見せる収納をおしゃれにコーディネートするためのポイントを聞きました。
見せる収納におすすめのアイテムは?
「私はボックス(箱型)収納をおすすめしています。私自身もさまざまな部屋でボックス収納を活用しています。仕切りなどを使って自分の好きなようにカスタマイズができて、使う頻度順に並べておいても重ねておいても使えるので、汎用性が高いのです」
さまざまなメーカーから発売されているボックス収納を、使う場所の特性やスペースによって選ぶと良いでしょう。
場所別、見せる収納のポイント
見せる収納で意識すべき点には、どのようなことがあげられるでしょうか。安藤さんに家の中の場所別にポイントを聞きました。
ベースカラーと収納グッズの色を合わせて色数を抑える
「色を抑えるポイントは、お部屋のなかで変えられない部分をベースカラーとすること。私の家の場合だと、コンクリートの壁、漆喰の壁、木材の床がありますので、そのグレー、白、ベージュがベースカラーとなります。その色に収納グッズの色を合わせるとインテリアに馴染むので、スッキリと見えるのです」
使用頻度の高いものを取り出しやすい場所へ
「自分がよく使うもの、つまり頻度が高いものを手に取りやすい場所に置くということです。棚の手前の方に置いたり壁に吊り下げておいたりするのも良いでしょう。収納ボックスに入れる場合も、使用頻度の高いものと低いものに分けて、使用頻度の高いものを取り出しやすい場所に置くといいですね」
家にあるモノの定数管理、置く場所の住所をきめる
「物が多すぎないということも、見せる収納には重要です。収納ボックスに入れるべきものが溢れていたり、棚にギュウギュウに物が詰め込まれていては、おしゃれに見えません」
次から、お部屋別に、実際に安藤さんが取り入れている工夫について見ていきましょう。
リビング
さまざまな収納ボックスを使った見せる収納が特徴的な、安藤さんのリビング。統一感のあるインテリアが素敵ですが、同じような箱が多いとどこに何が入っているのか分からなくなることはないのでしょうか。
「対策としてはラベリングがいいと思います。ラベリングが見えるのが嫌な人には、無印良品のトタンボックスがおすすめです。ラベルを取っ手の下に貼ると、普段は見えません。特にスタイリッシュさにこだわりたい、リビングの収納に向いていますね」
また、広々と見せたいリビングには、マルチに使える収納家具もおすすめだと言います。
「収納家具の選び方として用途が収納だけではないものを選びます。このベンチ型収納は、もちろん収納にも使えますが、上のカバーを外せばサイドテーブルとしてもイスとしても使えます」
収納付き家具には、収納付きのベッド、収納付きソファなどもあります。同じ場所を使うなら、多用途に使えるものを意識して選ぶと、収納力と部屋のスッキリ感を両立できます。
キッチン
キッチンの収納で重要なのは、使用頻度に合わせた収納の管理ができていることと、なにがどこにあるかが一目でわかることです。収納する物の大きさに合わせてかごやボックスの中をプラスチックケースなどで仕切ると、管理がしやすくなります。
「私の場合、キッチンのシンク上には使用頻度の高いものを意識して、ウエットティッシュボックスや、食洗器の洗剤などをおいています。
キッチンの下は、かごボックスをプラスチックケースなどで自由に仕切って整理しています。自分がよく使うところに縦に二つ並べておいて、使用頻度が低いものを下に、高いものを上に収納。重ねて使えて、見た目も気に入っています」
洗面室
「洗面室は、イケアの煙突がついたドールハウスを飾り棚として使っています。壁用の棚の眼鏡スタンドもイケアのものです。このふたつは緑のアクセントカラーがリンクしているので、中に入れるアイテムも緑を選んで色の統一感を出しています」
ドールハウスの下はワイヤーのかごやかごボックスで整理されています。タオルに関しても、一人が1日何枚使い、洗濯の頻度はどれくらいかを計算し必要な枚数のみを収納しているそうです。
クローゼット
荷物を隠したいために収納場所のないものを押し込んでしまいがちな押し入れやクローゼット。すっきりきれいに見えるポイントはどんなところにあるのでしょうか。押し入れの場合に気を付けることなども、あわせて聞きました。
「クローゼットの場合は、ハンガーの種類を揃えるということ、クローゼットの中の収納もお部屋のテイストに合わせて選ぶこと、常に一軍の服(今着ている服)だけにしておくことがポイントです」
押し入れの場合は、大きくて深さもあるので、クローゼットより収納するものの使用頻度の管理が重要です。
「押し入れの奥や、高いところには、使用頻度の低いものを入れる。手前や、下の段の取り出しやすいところに使用頻度の高いものを置く。高さ、深さに応じた収納を考えましょう」
玄関
「下駄箱は棚板がないタイプなので、無印良品のポリプロピレンの引き出しに靴をいれています。丈夫なので長く使え、手入れがしやすいのが良いですね。無印良品のものはサイズが変わらないので、買い足すときにも便利です」
無印良品の収納用品はオンラインで気軽に手に入り、店舗数が多くて実物を見ることができるのも便利。靴をたくさん購入するとどうしても雑多になるので、何足必要なのかを決め、数を管理することも大切なポイントです。
見せる収納にして理想の住まいを実現した先輩たちの事例を紹介!
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オープン収納やニッチ部分を上手に使って見せ方にもこだわる
夫婦と娘3人でにぎやかに暮らすBさんご一家。打合せ時に家族みんなで参加して家族それぞれの好きなテイストを詰め込みました。白を基調とした長女の部屋には、アーチ型のオープンなクローゼットがあり、見せる収納でかわいくまとめています。また、トイレには壁の厚みを活用したニッチ風の棚を設け、観葉植物などを飾れるようにしました。
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人が集まる場所に、使いやすいオープンな収納を設置
エレクトーン奏者である妻は将来エレクトーン教室を開きたいと構想。玄関はエレクトーン教室の生徒さんをゆったりと迎えられるよう、L字型の広い土間に靴が出し入れしやすいオープン棚を設置。また、リビング内にある畳の小上がりにもオープン棚を置いて見せる収納に。
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かわいい壁紙を張ったクローゼットは、必要なものがすぐに見つかって、お片付けもしやすくなっています。リビングに面する階段下の収納は、子どものおもちゃ収納&プレイスペースにもぴったりです。
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キッチンカウンターの下に見せる収納としてニッチを活用
キッチンの壁の一部を凹ませてニッチをつくり、お酒の収納として使用しているSさん。ダイニングテーブルからも手の届く位置にあり、見せる収納で飲みたいお酒をすぐに取り出すことができます。洗面台の横には、ランダムに並べたモダンなデザインの棚を設け、アートのようにアイテムを収納しています。
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見せる収納の活用ポイントは?
見せる収納をうまく活用することで、部屋をおしゃれにコーディネートすることができます。また、隠す収納と上手に組み合わせたり、こだわりの収納グッズを使ったりすることで、素敵で使いやすい家になるでしょう。出しっぱなしの印象にならない、見せる収納を使いこなすために、今回紹介した次の3つのポイントをしっかり押さえておきましょう。
・ベースカラーと収納グッズの色を合わせて色数を抑える
・普段使いの使用頻度の高いものを取り出しやすい場所へ
・家にあるモノの定数管理、置く場所の住所をきめる
取材協力/RoomStylist×整理収納アドバイザー 安藤秀通さん
取材・文/蜂谷智子(りんかく) イラスト/上坂じゅりこ