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【実例付き】ガルバリウム鋼鈑の外壁や屋根のメリット・デメリットを解説

【実例付き】ガルバリウム鋼鈑の外壁や屋根のメリット・デメリットを解説

外壁材や屋根材として人気のガルバリウム。デザインはもちろん、その性能面も魅力に感じて住まいに採用する人が増えているようですが、今回はガルバリウムのメリット・デメリットについて、ガルバリウム鋼鈑などの製造・販売を行う日鉄鋼鈑に教えてもらいました。また、実際にガルバリウムを住まいに採用した人の声もご紹介します。

ガルバリウム鋼鈑とは

屋根材や外壁材として使われる金属材

ガルバリウム鋼鈑とはアルミニウム、亜鉛などからなる合金でめっき(メッキ 以下、めっき)した鉄(鋼鈑)のことを指します。

「昔よく外壁や屋根によく使われたトタンは亜鉛でめっきされた鋼鈑ですが、ガルバリウム鋼鈑はトタンの次の世代の鋼鈑です。鉄にめっきしているという点は同じですが、トタンは亜鉛のみのめっきのため錆びやすいというデメリットがあり、錆びにくいガルバリウム鋼鈑が開発され、トタンに代わり広く使われるようになりました」(日鉄鋼板、以下同)

屋根であれば瓦やスレート、外壁であればタイルや窯業系サイディングなどさまざまな種類がありますが、ガルバリウム鋼鈑もその選択肢のひとつとして屋根材や外壁材として使われています。現在では金属製の屋根や外壁の約90%はガルバリウム鋼鈑が採用されているとも言われています。

めっきされた鋼板のイメージ

ガルバリウム鋼鈑はアルミニウムと亜鉛を主成分とする合金でめっきされている(画像提供/日鉄鋼板)

ガルバリウム鋼鈑のメリットとは?

デザインがスタイリッシュ

数ある外装材の中から、そのスタイリッシュな見た目に魅力を感じてガルバリウム鋼鈑を屋根や外壁に採用する人は少なくありません。

「ガルバリウム鋼鈑は金属ならではのシャープでスタイリッシュな雰囲気が特長です。また、さまざまな色の中から選ぶことができるので、好きな色で自分好みの住宅ができるというのもポイントです。屋根に使われる場合は黒やブラウンなどの濃い色が、外壁の場合はベージュやアイボリーなどの薄い色が定番ですが、最近では外壁に濃い色を採用する人も増えてきています。

また、ガルバリウム鋼鈑は金属なので、自由自在に加工でき、自分好みのデザインにできるというのも魅力的な点です。例えば、屋根であれば軒に対して、縦に葺いたり、横に葺いたり、アーチ状に丸みをつけたりすることもできます」

ガルバリウム鋼板を加工する板金職人

ガルバリウム鋼鈑は板金職人の手によって細やかな施工や加工がなされるため、ガルバリウム鋼鈑の扱いに慣れている建築会社に任せるのが安心。ただし、最近ではデザイン性が高く施工しやすい金属サイディング商品が普及してきたので、より手軽にガルバリウム鋼鈑のデザインを選ぶことができるようになってきているそう(画像/PIXTA)

耐用年数が長い

鉄と聞くと、やはり錆びやすいのではと思うものですが、ガルバリウム鋼鈑は耐用年数が長いというのも魅力の一つです。

「ガルバリウム鋼鈑のベースは鉄なので、絶対に錆びないと言うことはできません。しかし、ガルバリウム鋼鈑は合金めっきによって飛躍的に耐用年数が延びています。交換なしに30年以上使われている建築物も多いです。

しかし、やはり屋根や外壁は雨風にさらされるので、色が褪せてくるなどの劣化は生じます。目安としては施工後10~15年で点検を行い、気になる部分があれば塗装の塗り直しなど、メンテナンスを行うことになります」

塗装職人のイメージ

アルミニウムや亜鉛のめっきで守られたガルバリウム鋼鈑は長持ちする外装材であるものの、色褪せが気になる場合は、塗り直しなどを行うことも(画像/PIXTA)

薄くて軽量

ガルバリウム鋼鈑は薄くて軽いという特徴があり、軽量であるため、耐震性の面でもメリットがあると言われています。

「例えば瓦屋根と比較した場合、ガルバリウム鋼鈑の屋根の重さは10分の1程度です。建物の重さ、特に屋根を軽くすることによって、建物にかかる地震の大きさを軽減できるので、ガルバリウム鋼鈑を採用することは住まいの安全性の担保にもつながります。実際に、新潟中越地震の際、雪の多い地域である新潟の住宅は、もともと軽い屋根が多く、建物の倒壊などによる被害が阪神大震災のときよりも少なかったそうです」

スレート屋根

瓦のほかにも、屋根にはスレートを使用することも多いが、スレートと比較しても、ガルバリウム鋼鈑は3分の1程度の重さだそう(画像/PIXTA)

ガルバリウム鋼鈑が軽量であるという側面は耐震性のほかにも、もう1点、リフォームの際のカバー工法に使用しやすいというメリットもあります。

「カバー工法は既存の屋根や外壁に、新しい屋根材や外壁材を上張りするリフォームの方法ですが、ガルバリウム鋼鈑は軽いため、上張りする外装材としてよく利用されます。カバー工法であれば、既存の屋根や外壁を剥がして処分する手間がかからず、工事にかかる費用も期間も抑えることができます」

メンテナンスがラク

ガルバリウム鋼鈑の屋根や外壁は、10~15年で点検が必要と前述しましたが、日常のお手入れは簡単です。メンテナンスフリーというわけではありませんが、定期的に水をかけるだけで大丈夫だそうです。

「屋根は雨が当たるので特に水洗いをする必要はありませんが、外壁などで雨が当たりにくい部分があるとそこに汚れやサビの元となる塩分や酸などの物質が溜まってしまいます。そこから錆びてしまうこともあるので、水をかけられる部分には水をかけて、汚れなどを洗い流すということを時々しておいた方が長持ちします」

家庭用のホースのイメージ

高圧洗浄機まで用意しなくても、ホースで時々水をかけるだけで大分違うそう(画像/PIXTA)

ガルバリウムのデメリットは?

錆びることもある

錆びにくいガルバリウム鋼鈑ですが、やはり鉄なので錆びることはあります。特に海から近い場所に家を建てる場合、塩分が風で運ばれて家などに付着し、腐食やサビなどの原因となる塩害のリスクを考えておく必要があります。海の近くの家にガルバリウム鋼鈑を採用したい場合は、ほかのエリアで住宅にガルバリウム鋼鈑を使用する場合よりも、耐用年数が短くなる可能性も考えた上で採用すべきでしょう。

「海から近い場所に家を建てる場合は、ほかのエリアよりも短いスパンで点検をすることがオススメです。また、そのような立地条件の場合、よりハイレベルなガルバリウム鋼鈑を採用するという手もあります。

フッ素塗装や厚膜塗装といった、より高い機能の塗装がされた商品が市販されていますし、最近はガルバリウム鋼鈑そのものの耐久性が進化してきており、次世代ガルバリウム鋼鈑[エスジーエル]として普及してきています。

こうした商品を採用することで、さまざまなエリアで大切な住宅をより長持ちさせることができると思います」

海の近くに建つガルバリウム鋼板屋根の家

海の近くに建てる家にガルバリウム鋼鈑を採用する場合は、塩害についても考慮した上で検討したい(画像/PIXTA)

また、海から離れたエリアの住宅でも、鋼鈑の断面や傷から錆びるのではないかという不安もあります。

「鉄板の断面が露出している部分はめっきに守られていないため弱くなりますが、時間とともに断面にもめっき成分が回りこみ、錆の進行が抑えられます。また、エスジーエルなど、ハイレベルなガルバリウム鋼鈑を採用すると、さらに安心感は増します。

ただし、傷がついた場合は、塗装が剥げてしまって中の鉄板が見える状態になると、そこが錆の起点になってしまいます。そのような傷がついてしまった場合は、上から補修の塗装をしておいた方が安心です」

濃い色の場合、真夏には表面が熱くなることも

ガルバリウム鋼鈑は鉄のため、室内の温度が外気温の影響を受けやすいのではと思う人もいるかもしれません。

確かに、ガルバリウム鋼鈑自体に断熱性能はありませんが、太陽光の赤外線を反射させやすい塗装が開発されているため、夏の暑さ対策には有効です。また、各種断熱材など、さまざまな建材製品とガルバリウム鋼鈑とを組み合わせた商品もつくられているので、それらを選ぶことで住環境は改善されるそうです。

ただ、一方でガルバリウム鋼鈑はスタイリッシュなデザインの住宅で使用されることが多く、シャープな印象の黒や茶色など、熱を吸収しやすい濃い色のものが外壁に使われることも少なくありません。

「太陽の光を反射しやすい遮熱塗料を使用し、遮熱性は向上していますが、一般的に濃い色の場合は、暑さの厳しい日などに外から触ると、ほかの外装材に比べると熱いと感じることもあると思います」

濃い色のガルバリウム鋼板の外壁の家

濃い色ガルバリウム鋼鈑を外壁に使用すると、真夏は触れると熱いと感じることもあるそう(画像/PIXTA)

ガルバリウムの外壁を採用した実例を3つ紹介

スタイリッシュで、実用的なメリットも多いガルバリウム鋼鈑ですが、スーモカウンターを通して実際にマイホームにガルバリウム鋼鈑を採用した家族の実例を紹介します。

【実例1】雪国・新潟の二世帯住宅。同居の母のこだわりは屋根の傾斜とガルバリウムの外壁

Iさんが建てた注文住宅の外観

2色のガルバリウム鋼鈑を使用した外壁は色のコントラストが印象的(写真/笠飯幸代(コマーシャルスタジオRizmo))

新潟県に住むIさん夫妻は、結婚を機に二世帯住宅を建てることを決意。もともと夫の両親は築40年の一戸建てに住んでいて、リフォームを何度かしていたものの、間取りの使い勝手の悪さや、家の断熱性、耐震性に不安を感じていました。

冬は雪が積もる土地ということもあり、雪対策や家の寒さは大きな課題だったそうで、まず雪対策として特に同居の母がこだわったのは屋根の傾斜。雪が滑り落ちるようにと、角度をつけた屋根にしました。また、外壁には耐久性に優れたガルバリウムを採用。グリーンとシルバー2色を採用したコントラストの効いた外壁と、傾斜のついた屋根のシャープな印象が相まって、スタイリッシュな雰囲気を醸し出しています。

また、寒さ対策については大工だった父の専門知識も交え、寒さ対策を施した構造を躯体に盛り込み、家の断熱性能や蓄熱性能にもこだわりました。新しい家の一間続きのLDKと和室には、1台ですぐに部屋が暖まる最新型のエアコンを導入したそうですが、家自体の断熱性や蓄熱性が高いので、エアコンを切っても暖かさが持続するようになったそうです。

むく材にこだわりオーク材を使用したリビングの床/注文住宅実例

(写真/笠飯幸代(コマーシャルスタジオRizmo))

Iさん夫妻は家探しをはじめた当初は自分たちで建築会社を探していたそうですが、なかなか納得できる会社に出会えず、スーモカウンターを訪問。「信頼できる担当者と出会う近道になるのではないかという期待を抱いてスーモカウンターを訪問しました。もともと建築会社を探しはじめたタイミングで予算や資金計画についてはファイナンシャルプランナーに相談したり、自分で勉強したりもしていたのですが、ある建築会社の担当者に住宅ローンの借り入れを相談したとき、不信感を感じるようなアドバイスを受けたことがきっかけでした」(Iさん)

“信頼できる担当者”という要望をベースに、スーモカウンターから紹介されたのは4社の建築会社。Iさん夫妻はその中で融資に関して一番親身に相談に乗ってくれた担当者がいる会社に新居の建築を依頼しました。「デザインや設備はもちろん、融資の面も含めて建築会社がエスコートしてくれたので、スムーズに家づくりを進めることができました」と語るように、出来上がった家だけでなく、家づくりの過程にも満足しているそうです。

この実例をもっと詳しく→
信頼できる担当者とつくる、デザインも資金計画も満足の二世帯住宅

【実例2】新居のこだわりポイントは、防音室と家事動線、そして外壁のガルバリウム

Aさんが建てた注文住宅の外観

ガルバリウムの外壁はコストダウンを検討した際も、決して譲らなかったポイントの一つ。外壁は落ち着いたダークな色みに(写真/河原大輔)

兵庫県に住むAさん家族は、もともと築40年近い母の家に同居。最近の大雨や台風などの自然災害から住まいの耐久性に不安を感じ、新居の購入を検討しはじめたそうです。住んでいた家の建つ土地は親戚が所有していたため建て替えはNG。中古物件を購入してリノベーションすることも考えていたそうですが、近くにちょうどよい土地があり、新築の注文住宅を建築することになりました。

家づくりを何からはじめればいいかわからなかったというAさんは、スーモカウンターを訪問。家づくりに関する全般的な知識や情報のほか、資金計画についても知れたことで、新築の注文住宅を建てることに対するお金の不安なども解消することができたそうです。

もともと家づくりを考えたのは家の耐久性への不安ということもあり、住まいの性能面にはこだわりがあったそうですが、コストダウンを図るため、床暖房や太陽光発電、2階のトイレ設置などは譲るという選択をしたそうです。一方で、譲らなかったポイントは防音室の設置、家事動線、そしてガルバリウムの外壁の3点。

防音室のある注文住宅実例

個室にいても家族の気配を感じられるように、室内窓を設けた防音室(写真/河原大輔)

ギターが趣味の夫と音楽関係の仕事に就く妻は、思う存分に音楽を楽しめる防音室を新居には必ずつくりたいという希望があったそうで、防音室を設けることができたのは注文住宅でなければかなわなかったポイントだと特に満足しているそうです。また、共働きで忙しいということもあり、家事動線も重視。1階は洗濯から物干し、片付けまでスムーズに動けるような間取りにしました。

さらに、外壁には念願のガルバリウムを採用。元々雑誌やSNSなどをチェックしては、住まいのイメージを膨らませていたというAさん。こだわりの住まいは北欧ヴィンテージをテーマにインテリアはコーディネートしたそうです。各部屋には少しくすんだトーンを選んで統一感を持たせつつ、違う色のアクセントクロスを選ぶなど遊び心満載。外壁に使用したガルバリウムの落ち着いたカラーリングは、そんなAさんのこだわりが詰まった住まい全体をシックな雰囲気にまとめています。

この実例をもっと詳しく→
インテリアのテーマは北欧ヴィンテージ。室内窓が開放的でオシャレな空間

【実例3】終の住処の1番のこだわりは、白いガルバリウムの外壁

白いガルバリウムで街並みに溶け込みつつスタイリッシュに見える外観に/注文住宅実例

角地に建つ家なので、どちらの面から見てもスタイリッシュに見えるよう外観デザインにこだわったそう(写真/河原大輔)

大阪府に住むKさん家族は、20年ほど前に購入した築50年ほどの住まいを売却。両親が所有し、貸し駐車場として運営していた土地に終の住処を建てることを、消費税増税前のタイミングで検討をはじめました。

オリジナリティのある家をつくりたいと、建築会社を探しはじめたKさんですが、スーモカウンターでハウスメーカー・工務店選び方講座を開催していることを知り、会社選びの相談に行ってみることにしたそうです。その後スーモカウンターに要望を伝え、紹介された4社と面談。最終的には、最も譲れない条件だったガルバリウムの施工に対応できるかどうかという点と、担当者との相性が建築会社選びの決め手になったそうです。

大阪府の注文住宅実例

美しい光が射し込むこだわりのつまったLDK(写真/河原大輔)

Kさんが家づくりで最も注力したのはデザイン面。ガルバリウムの外壁によるスタイリッシュな外観デザインやスケルトンのリビング階段、梁見せのリビング、明るい吹抜けやロフトなど、新居に取り入れたいデザインのイメージがたくさんあったそうです。「何度もプランの変更や再検討をお願いしたのですが、営業担当者が一生懸命応えてくれたのがうれしかったです。毎週のように打ち合わせを重ね、打ち合わせの後は、妻と外観のイメージなどについて相談しながら、のんびり歩いて帰るのが習慣でした」(Kさん)

以前、ガルバリウムを使った外観デザインをテレビ番組で見て気に入り、家を建てるときは絶対に取り入れたいと考えていたKさん。建築を依頼した会社の場合、外壁の標準はガルバリウムではなかったものの、施工実績がないわけではなかったので、コストが高くなっても、ガルバリウムを使った外観にしたいとオーダーしたそうです。周囲の街並みになじむデザインにしたいとホワイトカラーを選択し、シャープでスタイリッシュに見えるよう、縦のラインの細さにもこだわり、メーカーや品番まで指定して施工を依頼。街並みと調和する白いガルバリウムの外観は、とことんこだわった分、大満足の仕上がりになりました。

この実例をもっと詳しく→
白いガルバリウムの外壁にとことんこだわって、ようやく完成した終の住処

軽量で錆びにくく、金属系素材ならではのスタイリッシュなデザインが魅力のガルバリウム鋼鈑。メリット・デメリットをよく理解した上で検討したいものですよね。

注文住宅の新築・建て替えをサポートしているスーモカウンターは、家づくりについて学べる無料講座や経験豊富なアドバイザーに相談できる個別相談などを行っています。個別相談では、予算や要望にあった建築会社や担当者を紹介してくれるので、ガルバリウムを採用したいという希望についても気軽に相談することができます。相談は何度でも無料なので、スーモカウンターで家づくりの第一歩をはじめてみてはいかがでしょうか。

取材協力/日鉄鋼板株式会社
取材・執筆/島田美那子