二世帯住宅を建てるうえで気になるのが建築費用ではないでしょうか。そこで今回は、二世帯住宅のタイプ別費用相場や建築費を抑えるポイントを紹介します。
また、二世帯住宅のメリット・デメリットや二世帯住宅を建てる際に知っておきたい減税制度や補助金制度を解説します。さらに、後半では実際に二世帯住宅を建てた方の実例を建築費用や家族構成、延床面積も含めて紹介します。
二世帯住宅を建てる予定の方はもちろん、どうしようか悩んでいる方にも参考になる情報が盛りだくさんですので、ぜひチェックしてみてください。
目次
二世帯住宅ってどんなもの?
二世帯住宅とは、親世帯と子世帯が一緒に暮らす住宅のこと。一世帯のみで暮らす住宅とは異なり、世帯ごとに使えるように玄関やキッチンを2つ設ける、リビング・ダイニングは1つにして両世帯で一緒に使うなど、ライフスタイルや価値観に合わせた間取りをつくるケースが多いのが特徴です。
二世帯住宅で多くみられる間取りを3つのタイプに分け、タイプ別にメリット・デメリットを紹介します。
二世帯住宅のタイプ別費用相場一覧
二世帯住宅の建物費用は、共用部分が少ない方が高くなる傾向にあります。特に、キッチンや浴室などの水まわりは設備コストが高いため、世帯ごとに水まわりを配する「完全分離タイプ」が最も高くなりやすいです。
ただ、延床面積や階高、プランの工夫などにより、建物費用は大きく変わります。そこで、建築費と間取りタイプ別に二世帯住宅の実例を紹介しましょう。
坪数別の建築費用目安
注文住宅の場合、建築費用はプランによって大きく異なります。そこで、坪数で建築費用の目安を算出しました。
2023年のリクルートの調査によると、平均建築費はそれぞれ以下のとおりです。
|
平均建築費(土地代は除く) |
完全同居(n=621) |
3664万円 |
一部共有(n=419) |
4014万円 |
完全分離(n=425) |
4170万円 |
出典:「2023年 注文住宅動向・トレンド調査」(株式会社リクルート調べ)。2023年7月28日~8月8日、1年以内に一戸建て(新築・建て替え注文住宅)を建築(竣工ベース)した人を対象にアンケート。各平均値は選択肢の金額の代表値を出し、それぞれ回答数を書けて総数で割り出して算出
完全同居タイプの建築費用の目安は、3,600万円程度です。
建築費用が最も高い完全分離型とは、約500万円ほどの差があります。
多くの空間を共用する「完全共有(同居)タイプ」
個室を除き、玄関や水まわり、LDKなどほぼすべてのスペースを共用する間取りです。各世帯のプライバシーを守りにくくなるので、家族だけでくつろげるサブリビングやミニキッチンなどを設けるとよいでしょう。
特徴
完全共有タイプは、生活スペースがほぼ共用になることが特徴です。
【おもな共用スペース】
● キッチン
● 浴室
● 玄関
● LDK
そのため、つくりは単世帯の住宅とほとんど変わりません。
一般的な広さと費用
メリット
同居タイプのメリットは、共用スペースが多いために敷地が狭くてもゆとりある二世帯住宅が建てやすいことです。建築費を安く抑えることも可能です。また、同じ空間で一緒に過ごす時間が長い分、お互いの様子がわかりやすいこともメリットといえるでしょう。
完全同居型は、同じ住宅に2つの世帯が生活するためプライバシーの確保が難しくなる一方、以下のコストを抑えられます。
【完全同居型で抑えられるコスト】
● 水道光熱費
● 住宅ローン
● 各種設備費用
いずれも共有して使うため、完全に折半するか、話し合って各世帯が負担する割合を決めるかしましょう。二世帯で話し合って、納得できるのであれば、なるべく共有部分を増やすことで建築コストを抑えることができます。
デメリット
デメリットは、各世帯の独立感がないため、プライバシーの確保が難しいこと。食事や入浴、就寝などの時間帯が異なると、ストレスが溜まったり、生活音がトラブルの原因となったりする可能性もあります。そのほかにも、光熱費を世帯別で管理しづらくなるなどのデメリットがあります。
玄関などを二世帯で共用する「一部共有タイプ」
一部共有タイプは、生活スペースの一部を共用するタイプの二世帯住宅です。
家族が集まるリビング・ダイニングは世帯ごとに独立させ、玄関や浴室などは両世帯が共用する間取りです。完全分離タイプと比べると効率よく空間を使えるので、敷地がさほど広くなくてもゆとりある二世帯住宅を建てることができます。
一般的な広さと費用
各階に生活スペースのLDKを設置し、玄関や浴室などは共用にするなどのつくりが一般的です。
メリット
一部共有タイプのメリットは、玄関や浴室などの共用空間で顔を合わせることで、互いの暮らしの様子がわかりながら程よくプライバシーを保つことができることです。完全共有型の場合は、同居という感覚に近いですが、一部共有タイプは別世帯が生活しているという感覚になります。
しかし、同じ家に住んでいることから、お互いの距離が近く、子育てなどの助けを得やすいことがメリットといえるでしょう。
建築費用や生活費に関しては、一部共有している部分を二世帯で負担した場合、完全分離型よりも金額を抑えられます。
デメリット
一方、デメリットは、共用スペースの配置により間取りプランに制約が生じがちなことです。また、玄関が共用となると、来客を招くときや、招かれる側が遠慮してしまうケースもあります。そのほかにも、以下のデメリットが挙げられます。
● 完全分離型に比べると、プライバシーを保てない
● 生活リズムが合わない場合お互いに配慮する必要がある
生活を一部共にするからこそのデメリットといえるでしょう。
世帯ごとにスペースを完全に分離した 「完全分離タイプ」
玄関が2つあり、内部はしっかりと区切られている間取り。家の中でお互いの世帯を行き来できるドアを設けているケースもあります。間取りは、建物を左右で分けるパターンと、上下で分けるパターンがありますが、上下で分けた方が階段が1つで済むためスペースを有効活用しやすく、建築コストも抑えやすいです。
特徴
完全分離タイプは、世帯ごとに完全に生活スペースを分離します。共用スペースは一切なく、プライバシーも確保できます。
その代わり、二世帯分の住宅を建築することになるため、一定の広さと設備のコストが必要です。玄関、キッチンやお風呂などのスペースも世帯にあわせてつくる必要があります。
家を完全に分けるタイプもあれば、2階建ての家で、1階は親世帯・2階は子世帯のように、フロアで分離するタイプも少なくありません。
一般的な広さと費用
メリット
完全分離タイプのメリットは、各世帯の独立性が高いためプライバシーが保ちやすいことです。また、玄関が2つあると、表札をそれぞれに設置できるため、名字が異なる場合には何かと都合がよくなります。
そのほかにも、生活費を完全に分けて管理できるというメリットがあります。プライバシーに配慮しつつ、親世帯と近くに住んでいたい人にはメリットになるでしょう。
デメリット
デメリットは、玄関のほか、キッチンや浴室などの水まわりが2つ必要なので建築費が高くなりやすく、スペースに余裕がないと住空間が狭くなってしまいます。また、独立性が高い分、両世帯のつながりが疎遠になるケースもあります。
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二世帯住宅の建築費用を抑えるポイント
二世帯住宅では、一世帯向けの住宅に比べると、建物が大きくなる分建築費用が多くかかる場合があります。
そのため、建築費用を抑えるためにポイントを確認しておきましょう。
● シンプルな構造・間取りにする
● 水まわりの配管をまとめて配置する
● 建材や部品のグレードを下げる
それぞれ、詳しくご紹介します。
シンプルな構造・間取りにする
二世帯住宅を新築する場合、構造や間取りをシンプルなつくりにすることでコストを抑えられます。まず、構造に関してですが、RC造や鉄骨造に比べると、木造のほうが価格は低めです。近年の木造住宅は、気密性に優れた材質を使い、遮音性・遮熱性に優れた住宅も多いため、予算や性能を比較して検討してみましょう。
また、間取りに関しては、個室が多くなるにつれて、使用する建材や壁紙、内装費がかさみます。設備も同様で、シンプルなつくりにすることで、コストを抑えられます。
水まわりをまとめて配置する
水まわりの配管をまとめる配置にすると、工事費を抑えられます。例えば、2階建ての住宅で、1階と2階の配管がまとめられていない場合、各階に配管を通さなければなりません。その場合、余分に配管を通すことになり、コストもかかります。
また、完全分離型ではない限り、水まわりの設備を減らすという方法もコスト削減の1つです。浴室や洗面所を共用にすれば、一世帯分で済むため設備費用も抑えられます。
建材や部品のグレードを下げる
二世帯住宅で全体的にコストを抑えたいなら、建材や部品のグレードを下げることも1つの方法です。使用する建材や部品のグレードにメリハリをつけることによって、費用を抑えることができます。
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二世帯住宅にしてみた感想は?先輩たちの声
家づくりの進め方やプライバシー確保など、いくつかの不安がある二世帯住宅建築や建ててからの生活。実際、どのようなものなのだろうか。そこで、二世帯住宅を建てた先輩たちの声を聞いてみよう。
■両親が高齢になり、二世帯住宅への建て替えを決心。できるだけ安く家を建てたいという要望を聞いてくれたうえ、断熱性や耐震性が高く、親世帯はバリアフリーの間取りを実現できたのは建築会社の提案力のお陰だと思う(Hさん)
■親の家を建て替えて二世帯住宅にしたため、工事期間中は仮住まいが必要だった。荷物が多かったので必要最低限の物以外は親戚の家に置かせてもらうことに。建て替え中の荷物をどうするか、事前にイメージしておいたほうがよい(Sさん)
■独立タイプの二世帯住宅だが、親世帯とはドア1つでつながっている。子どもが成長して走り回るようになっても、目が届くので安心(Oさん)
■夫婦共働きで、妻の母に育児を手伝ってもらっている。毎日多忙なので、二世帯がそろって過ごす時間を大事にしたいと思い、リビングの床をワンステップ下げてくつろぎやすい空間に。思い思いの格好で団らんを楽しんでいる(Wさん)
■玄関だけ一緒に使う一部共有タイプの二世帯住宅を建て、それぞれのペースで暮らしている。私が仕事で外に出ている間に両親が犬の様子を見てくれたり、散歩に連れて行ってくれたりするなど、非常に助かっている(Iさん)
二世帯住宅にするなら知っておきたい5つのこと
両世帯の誰もが快適に過ごせ、かつ費用面で失敗せずに二世帯住宅を建てるにはどうすればいいのでしょうか。そこで、二世帯住宅を建てる前に知っておきたいことを、5つのポイントとして解説します。
費用負担は、「登記」「相続」を意識して決める
二世帯住宅を建てると決めたら、親世帯・子世帯で建築費用の負担割合を話し合う。そのときに「登記」「相続」を意識したうえで割合を決めておきましょう。
というのは、土地・住宅の登記は、基本的に費用を出した割合で決まります。もし、建築費を親世帯と子世帯で折半しているのに、子世帯名義のみで登記をすると、親世帯から子世帯への贈与とみなされ贈与税を支払う可能性が生じてしまうからです。
将来の相続を見越しておくことも重要だ。特に、二世帯住宅に同居していない兄弟姉妹がいる場合、相続トラブルを避けるためにも事前によく話し合っておきましょう。
二世帯住宅の建築にオトクな税制を知る
家を建てる際にはさまざまな税金が必要になりますが、二世帯住宅の場合、家の要件や建築時期により軽減措置や優遇制度が用意されています。
例えば、建物の構造が一定の要件を満たせば、新築時に一度だけ支払う「不動産取得税」と、毎年一度支払う土地と建物の「固定資産税」が軽減されます。相続税に関しては「小規模宅地の特例」や「住宅取得等資金贈与の非課税枠」などの優遇税制を利用できます。
ただ、オトクな制度の活用には複雑なルールがある。確実に軽減措置を受けたい場合は、建築地の自治体や建築会社の担当者などに、早めに相談しましょう。
ランニングコストの負担を決めておく
二世帯住宅での暮らしで生じるランニングコストには、光熱費、通信費、食費などがあります。世帯別の使用分がわかりにくいからと負担の割合を曖昧にすると、後々で思いがけないトラブルが生じる可能性があります。
最近では、新築時に光熱費のメーターを2つ設置し、使用量に応じて費用を分担するケースが多いです。もし設置を1つにするなら、入居後にお互いのライフスタイルを把握したうえで、早めに負担割合を決めることが気持ちよく暮らすためにも重要といえます。
間取りは先々を見据えて決める
建築技術の向上により、適切なメンテナンスを施せば、注文住宅は100年程度住み継げるようになったといわれています。現状の家族構成やライフスタイルをベースに間取りを決めることは大事だが、先々を見据えておくことも必要になります。
例えば、家で長い時間を過ごす親世帯スペースを、日当たりのよい2階に設ける場合、先々の病気や怪我などに備えてエレベーターがあるとよいでしょう。車椅子になっても外出しやすい1階に移動する可能性を考え、1階の浴室・トイレは広めにするか、新設できるスペースを確保しておくとよいです。
また、子世帯だけになったとき、親世帯のスペースは賃貸にするのか、子世帯が広く使うのかなどを考慮したうえで、共有タイプか分離タイプかを選択しましょう。
二世帯住宅の施工実績が豊富な建築会社を選ぶ
二世帯住宅ならではの暮らしを楽しむには、建築費用や税制面に配慮しながら、両世帯ともに快適かつ利便性が高い間取りをつくることが重要になります。
現在、数多くのハウスメーカーや建築会社があるが、二世帯住宅の施工実績が豊富なを会社を選べば、暮らし方や建築費用の不安や疑問が生じても安心して相談できます。また、その際にも蓄積されたノウハウをもとにした納得できる答えを得られるでしょう。
二世帯住宅を建てる際に知っておきたい【減税制度】
二世帯住宅を新築したりリフォームしたりする場合、多くの費用がかかりますが、減税制度を活用すれば負担を軽減することができます。ここからは、二世帯住宅の新築・リフォーム時に活用できる減税制度を紹介します。
不動産取得税
不動産取得税は、土地や建物の購入、家屋の建築など不動産を取得した際に1回だけ課税される税金です。不動産取得税は固定資産税評価額に従って課税されるため、土地や建物の条件によって異なります。
住宅の新築時は不動産取得税や固定資産税などの軽減措置を受けることができますが、二世帯住宅の場合、定められた要件を満たせば登記内容に関わらず、二戸分の軽減措置を受けられる可能性があります。
軽減措置を受けるための要件は、「構造上の独立性」と「利用上の独立性」を満たしていることです。地方自治体によって異なることもありますが、要件を満たし二戸分と認められれば、床面積が50㎡以上240㎡以下の場合、住宅価格から1世帯あたり1200万円の控除が受けられます。認定長期優良住宅であれば、各世帯で不動産取得税から一律1300万円が控除されます。
固定資産税
固定資産税は、各市町村の固定資産台帳に記載されている土地や建物に対し課される税金です。毎年1月1日時点で登録されている所有者に支払い義務があり、税金額は固定資産税評価額に応じて決まります。
二世帯住宅では、各世帯が独立した住宅として認められた場合、新築後3年間(認定長期優良住宅の場合は5年間)、各世帯の居住部分のうち120㎡までの固定資産税が1/2に軽減されます。また、土地に関しては、1戸の住宅につき200㎡までの部分は課税標準額が1/6に軽減され、それを超えた部分は1/3に軽減されます。
登録免許税
不動産を購入または新築した場合、所有権の登記などを申請しなくてはいけません。その際、法務局に一緒に納める税金を登録免許税といいます。登録免許税は、所有権の移転登記や抵当権の設定登記など、不動産に関する登記のほぼすべてに課税されます。
通常は建物の固定資産税評価額に対し0.4%の税率となっていますが、下記の条件を満たせば、二世帯住宅でも通常の新築住宅と同じく、税率が0.15%になる軽減措置を受けられます。長期優良住宅であれば、0.1%となります。
軽減措置が適用されるための条件は以下のとおりです。
- 床面積が50㎡以上あること
- 自分が居住するための住宅であること
- 新築または取得から1年以内に登記していること
住宅ローン減税
住宅ローン減税は、住宅ローンを利用し建物を新築やリフォーム、購入した場合に適用される所得税の減税制度です。二世帯住宅でも通常の新築住宅同様、住宅ローン減税を受けられます。
ただし、一定の要件を満たす必要があり、2024年1月以降に建築確認を受けた新築住宅の場合、省エネ基準を満たしていなければ住宅ローン減税を受けることはできません。また、二世帯住宅の場合、各世帯がそれぞれ住宅ローン控除を受けるには、登記が「共有登記」もしくは「区分登記」となっている必要があります。
適用される条件は以下のとおりです。
- 床面積が50㎡以上であること
- 自分が居住するための住宅であること
- 住宅ローンの返済期間が10年以上あること など
要件を満たした場合、省エネ住宅は年末の住宅ローン残高×0.7%が13年間控除されます。
二世帯住宅を建てる際に知っておきたい補助金
補助金や助成金を利用することで、二世帯住宅にかかる負担を軽減できる可能性があります。二世帯住宅を建てる際は、制度を知り、利用条件に当てはまるかどうか、把握しておきましょう。以下では、二世帯住宅で受けられる補助金制度を紹介します。なお、まだ2025年度の概要が出ていないものに関しては2024年度の内容をお伝えします。
子育てグリーン住宅支援事業
子育てグリーン住宅支援事業は、環境省と国土交通省が連携し、ZEH基準の水準を大きく上回る省エネ性能である脱炭素志向型住宅(GX志向型住宅)の新築を支援する補助制度です。申請時点において、子どものいる世帯もしくは若者夫妻世帯であれば利用することが可能です。
補助の対象となる住宅は、GX志向型住宅、長期優良住宅、ZEH水準住宅の3種類あり、注文住宅の新築や新築分譲住宅の購入時に1戸あたり最大160万円の補助を受けられます。また、住宅は店舗併用住宅を含む一戸建て住宅のほか、二世帯住宅のように2つ以上の住戸を有する建物も対象です。
二世帯住宅の場合、内部の構造が世帯間で行き来できるものは1戸、内部で世帯間の行き来ができず独立性が高いものは2戸の共同住宅として扱います。
ZEH化等支援事業
ZEH化支援事業は、災害時でも電力が確保でき、ヒートショック対策としても有効なZEHの普及や高断熱化を推進する目的で経済産業省と国土交通省が連携し行っている支援事業です。本制度では、ZEHの交付要件を満たす住宅を新築する方に対し1戸あたり55万円、ZEH+には1戸あたり90万円の定額補助を行います。
交付要件の主なポイントは以下のとおりです。
- 一戸建て住宅におけるZEHの定義を満たしていること
- SIIに登録されているZEHビルダーやプランナーが建築・設計、または販売する住宅にあること
ZEH+の申請は、さらに満たすべき要件が多くなります。2024年度の募集は終了しましたが、2025年度予算案も組まれていることから再開が見込まれます。ZEH化等支援事業に関する最新情報を知りたい方は、こまめに公式ホームページ等をチェックすることをオススメします。
地域の住宅補助制度
自治体によっては、独自の住宅補助制度を行っています。
東京都:ゼロエミ住宅
個人・事業者問わず、「断熱性の確保」「設備の効率化」により省エネ性能等を向上させた新築住宅に対し、助成を行います。助成額は基準に応じて変わり、一戸建て住宅の場合最大240万円となります。
神奈川県秦野市:はだのOMOTANライフ応援事業
秦野市への移住・定住促進を目的に、市内の新たな住宅取得にかかる費用の一部を助成する事業です。国の子育てエコホーム支援事業と併用でき、基本額と加算額を合算した上限60万円の助成金が受け取れます。2025年度は本制度をリニューアルし新たな住宅助成制度の実施を予定しているとのことです。
他にもさまざまな自治体で住宅購入に関する支援事業を行っています。二世帯住宅の建築を検討中の方は、利用できる補助金や助成金がないか、お住まいの自治体のホームページ等を確認してみてください。
二世帯住宅の実例と費用相場
ここからはさまざまなタイプの二世帯住宅の実例と費用相場を紹介します。気になる建築費用や延床面積、土地面積も紹介するので、二世帯住宅を検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
母に子育てを頼みやすい二世帯住宅を新築
土地面積:495㎡
延べ床面積:145㎡(43.8坪)
建築費用:3000万~3500万円以内
間取り:4LDK
世帯構成:夫・妻・子ども1人・姑
祖父が所有する田んぼを宅地に造成し、二世帯住宅を新築したWさん。4LDKタイプの二世帯住宅には、30代の夫妻と子ども、妻の母が暮らしています。
夫妻は共働きで2人とも土日出勤があり、週末の日中は子どもの面倒を妻の母に託しやすいプランを希望しました。キッチンは、妻の母の身長に合わせた高さになっており、リビングや玄関には、片付けがしやすいように収納スペースが多く配置されています。
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憧れより現実!妻の母と暮らす共働き夫婦の二世帯住宅
共有タイプの間取りを選択、程よい距離感と安心感が得られる二世帯の住まい
土地面積:約235㎡
延べ床面積:152㎡(45.98坪)
建築費用:2500万~3000万円
間取り:2LDK+3LDK
世帯構成:夫・妻+父・母
引用:みんなの好きが詰まった二世帯住宅で、冬でも暖かな暮らし
結婚を機に、老朽化していた実家を二世帯住宅に建て替え、夫の両親と暮らすことにしたIさん夫妻。それぞれの生活を尊重するため、玄関のみ共用にして、1階は2LDKの親世帯、2階は3LDKの子世帯に分けた一部共有型の間取りの二世帯住宅を建てました。
親世帯が暮らす1階では、玄関やバスルームに手すりを付けたり引き戸を採用したり、段差を極力抑えるなどバリアフリーなつくりになっています。
子世帯とは、ときどきおすそ分けをするほどの距離感を保ち、お互いが近くに住んでいる安心感を得ながらそれぞれの世帯がお気に入りの空間で暮らしを楽しんでいます。
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みんなの好きが詰まった二世帯住宅で、冬でも暖かな暮らし
玄関ホールで親世帯とつながる、完全分離タイプの二世帯住宅を新築
土地面積:500㎡
延べ床面積:153㎡(46.2坪)
建築費用:2500万~3000万円
間取り:子世帯2LDK+親世帯1LDK
世帯構成:夫妻・長男+親世帯夫妻
昔からアメリカンスタイルのフラットハウスにあこがれていたOさん。平屋の二世帯住宅を実現するためにできることは自分たちでDIYをし、子世帯は2LDK、親世帯は1LDKの間取りの二世帯住宅を建てました。
玄関・水まわりなどを世帯別でつくった完全分離タイプで、親世帯とは、玄関ホールでつながっています。
予算を理由に断られることもありましたが、スーモカウンターから紹介された中から理想を実現できそうな会社を見つけ、ウッドデッキや棚などはDIYすることで、コストを抑えることにしました。
平屋ならではのメリットを思い切り満喫できる二世帯住宅をスムーズに実現でき、満足しているとのことです。
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「平屋の家で二世帯住宅」をかなえるために、DIYを採り入れて上手にコストダウン
玄関を真逆の位置に配し、プライバシーを尊重した完全分離タイプの二世帯住宅
土地面積 約110㎡
延べ床面積 約146㎡
建築費 3500万~4000万円
間取り 6LLDDKK
世帯構成 父(69歳)、母(64歳)、夫(44歳)、妻(37歳)、長男(14歳)、長女(13歳)、次男(2歳)、三男(0歳)、猫2匹
子世帯が暮らしていたマンションから徒歩圏にある妻の実家を、「二世帯が笑顔になれる家」を目指して建て替えたTさん家族。相談の結果、間取りは1階が2LDKの親世帯、2階と3階が4LDKの子世帯という完全分離タイプにし、玄関も真逆の位置に配置しました。
完全分離型とはいえ、子世帯の玄関脇には親世帯へ通じる“秘密のドア”を設置。プライバシーを尊重しつつ、二世帯の家族は以前にも増して交流が増えたそう。システムバスやキッチンなどは希望のメーカーを採用し、耐震性も断熱性も高い新居で、快適な暮らしを満喫しています。
間取りは以下のとおりです。
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秘密のドア”で二世帯がつながる、完全分離型の3階建て住宅
料理を通じて二世帯が集う完全共有型の二世帯住宅
土地面積:210.81㎡
延べ床面積:158.9㎡(48.06坪)
建築費用:3500万~4000万円以内
間取り:3LDK+5S
世帯構成:夫(30代)妻(30代)長男(3歳)夫の父(60代)夫の母(60代)
共働きのMさん夫妻。両親に子育ての面で協力してもらい、将来は両親のサポートをしたいと考え、二世帯同居のできる家を建てることに。スーモカウンターで頼れる建築会社と出会い、希望どおりで大満足の家が完成。子育てと料理を通じて集う、楽しい暮らしが始まりました。
将来的に売却する可能性も視野に入れ、単世帯用の間取りのほうが売却しやすいことから完全共有型の間取りに。キッチンから、リビング・ダイニング、さらに小上がりの畳スペースまで見渡すことができ、2階の階段ホールともつながる間取りに。寝室は親世帯・子世帯とも2階にまとめ、1階は広々としたスペースに吹抜けを設けて、開放感たっぷりの空間に仕上げた。
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今も将来も協力して生活を。料理を通じて集う「二世帯同居」の家
▼「スーモカウンター個別相談」では、中立な立場のアドバイザーが注文住宅に関するさまざまな疑問や悩みにお応えしております。後悔しない二世帯住宅を建てるためには、複数の建築会社をじっくり比較検討して選ぶことが重要です。ぜひ、スーもカウンターへお越しください。
お互いのプライバシーにも配慮した一部共有型の二世帯住宅
土地面積:387㎡
延べ床面積:137㎡
建築費用:2000万~2500万円以内
間取り:4LDK+1LDK
世帯構成:夫(40代)、妻(30代)、長男(1歳)、母(60代)
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快適な暮らしをかなえる平屋、プライバシーにも配慮した二世帯住宅
一戸建てに住みながら母世帯の賃貸の住居費も負担していた福岡県のHさん家族。イベント中の住宅展示場を訪れ持ち家の査定をしてもらい、費用を抑えながら二世帯住宅へ住み替えが可能だとわかり家づくりに着手したものの、家づくりに関する知識がなかったため、詳しい人に話を聞こうをスーモカウンターを訪問。基本的な知識やお金のことを聞き、紹介された3社の中から依頼する会社を決めました。
Hさんが家づくりで一番重視したのは「間取り」です。
2階に吹抜けと収納スペースが用意されている、平屋タイプの間取りにしました。玄関から入って、玄関ホールによって世帯が分かれており、浴室のみ共用する一部共有型の二世帯住宅です。
プライベート空間も意識しつつ、家族で集まる時間も増えたと語るHさん。平屋にしたことで、生活動線が改善され、家事の負担が軽減されたことも、家族と一緒に過ごす時間が増えた理由の1つだそうです。
デザインも資金計画も満足できた一部共有型の二世帯住宅
土地面積:約220㎡
延べ床面積:約134㎡
建築費用:1700万円
間取り:4LLDK
世帯構成:夫(30代)、妻(30代)、父(70代)、母(60代)
結婚を機に夫の両親と暮らす二世帯住宅を建てることにしたIさん夫妻。信頼できる担当者に出会いたいと思い、スーモカウンターを利用しました。紹介された中から融資に関して一番親身に相談に乗ってくれた担当者がいる会社に依頼。
各世帯のプライバシーを守りながらお互いに生活のしやすさを大切にした、LDK・お風呂を共用する一部共有型の二世帯住宅が完成しました。
一番家族が長い時間を過ごすLDKは、和室と合わせて、まっすぐ一直線上に並ぶ配置に。将来を見据えて、シンプルな動線とバリアフリーを意識したり、子ども部屋をつくるなど、長く快適に暮らせる家ができました
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信頼できる担当者とつくる、デザインも資金計画も満足の二世帯住宅
暖房をふんだんに入れ、ゆるやかに世帯を分けた二世帯住宅
土地面積:約250㎡
延べ床面積:約172㎡
建築費用:3660万円
間取り:5LLDDKK
世帯構成:夫(40歳)、妻(40歳)、長女(6歳)、長男(4歳)、夫の父(68歳)、夫の母(67歳)
長女の小学校入学を機に、それまで二世帯で済んでいた夫の実家を建て替えることにしたものの、住宅展示場を見れば見るほど優先順位がわからなくなり、「考えをまとめるため」にスーモカウンターを訪問しました。アドバイザーと会話する中で、希望条件が明確になり、紹介された中から新鮮な提案をしてくれた会社に依頼することに。
1階は親世帯、2階は子世帯にゆるく分けた二世帯住宅が完成。22畳の広いLDKには親世帯だけでなく、お盆や正月には親戚が10人ほど集まり、にぎやかに過ごせる新居が完成しました。
床暖房も導入し、あたたかく快適に過ごせるようになったそうです。
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親戚もママ友も集う、床暖房をふんだんに入れた二世帯住宅
こだわりを反映し、希望の防音室も備えた一部共有型の二世帯住宅
土地面積:約284㎡
延べ床面積:約190㎡
建築費用:4000万~4500万円
間取り:親世帯3LDK+子世帯4LDK
世帯構成:夫(50代)、妻(30代)、長男(10代)、父(70代)、母(70代)
元々妻の実家近くで二世帯近居をしていたTさん家族。自分の家に防音室がほしいと思っていたこともあり、新たに土地を購入して二世帯住宅を建てることに。自分で見つけた会社と打ち合わせを進めていたものの、どうしても希望が伝わらず、ヒントを求めてスーモカウンターを訪問。予算と好みを伝えて紹介された中からデザインが個性的な会社に依頼を決めました。
楽しく打ち合わせを重ね、完成したのは広い玄関を共用する一部共有型の二世帯住宅。二世帯が程よい距離感で関われる家で、互いに助け合いながら快適に暮らしているそうです。
1階・親世帯のLDK。両親の部屋はそれぞれ分け、起きている間はリビングで顔を合わせられる間取りに(写真/上條泰山)
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広々とした土地に二世帯住宅を建てピアノの練習も子育てもしやすく
広い敷地を活用した完全分離型の二世帯住宅
土地面積: 593㎡
延床面積:278.96㎡
建築費用:約5600万円
間取り:9LLDDKK(親世帯ゾーン5LDK、子世帯ゾーン 4LDK)
世帯構成:夫・妻+長女夫妻・孫(2人)
元々の住まいは築50年の2階建てで15LDKもある日本家屋。介護しやすい住まいへのリフォームを検討していた親世帯と、土地がなかなか見つからず困っていた娘夫妻で完全分離型二世帯住宅を建てることに。たまたま目にした広告からスーモカウンターを訪問し、紹介してもらった中から一番フットワークが軽く、対応のスピーディーだった建築会社に依頼することを決めました。
完全分離型の二世帯を希望していたこともあり、打ち合わせ内容も多く大変だったそうですが、それぞれの好みや要望をまとめてくれた担当者のおかげで満足のいく住まいが完成したとのこと。週末には決まって夕食を共にするようになり、家族で楽しく暮らしているそうです。
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築50年の実家を娘家族と完全分離型二世帯住宅に建て替え
●監修
佐川 旭さん
佐川旭建築研究所代表。一級建築士、インテリアプランナー。間取り博士とよばれるベテラン建築家で、住宅だけでなく、国内外問わず公共建築や街づくりまで手がける。
スーモカウンターでできること
二世帯住宅を建てたい!と思っても、何から始めればよいのかわからないという人は多い。注文住宅の新築・建て替えをサポートしている『スーモカウンター』では、家づくりの進め方や建築会社の選び方について無料で学べる講座を用意している。
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楽しいはずの二世帯住宅の家づくりだが、関わる人数が多いと要望がうまくまとまらなかったり、費用についてもめたりする可能性もある。そんなときは“第三者”である建築会社や、スーモカウンターのような中立的なサポートサービスを活用し、賢くスムーズに進めていこう。
間取り図/長岡伸行
監修/SUUMO編集部(坪数別の建築費用目安、特徴、特徴、二世帯住宅の建築費用を抑えるポイント、二世帯住宅を建てる際に知っておきたい【減税制度】、二世帯住宅を建てる際に知っておきたい補助金)