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キッチンの間取りはどうする? よくある失敗9選と参考にしたい実例5選

キッチンの間取りはどうする? よくある失敗と参考にしたい実例5選

キッチンは1日のうちで最も長く家事を行う場所といえるかもしれません。家を建てる際にオープンキッチンやアイランドキッチンなど、キッチンにこだわる人が多いのもその表れではないでしょうか。

使い勝手のいいキッチンにするためには、十分なプランニングが必要です。そこで、キッチンプランニングのプロである建築士の小久保美香さんに、施主さんが陥りそうなよくある失敗を含め、満足のいくキッチンを手に入れるために気をつけておきたい間取りのポイントを教えてもらいました。

キッチンの間取りや配置で失敗しないために

キッチンは、生活には欠かせない場所です。住宅を新築する際に、理想のキッチンを手に入れるべく、さまざまな理想や要望がある人もいると思います。

しかし、いざ理想のキッチンを形にして取り入れたときに、以下のような事態に陥ることも。

【キッチンの間取りや配置の失敗例】
●    狭くて動きづらい
●    スペースが狭く使いづらい
●    生活スペースを圧迫して部屋が狭くなる

このような失敗をしないためにも、キッチンの要望を改めて考えることが大切です。例えば、料理が趣味で好きな人ならキッチンにこだわったほうが、理想の家に近づきます。
そのほかにも、身長に合わせ高さを調整したキッチンや、調理家電を置くスペースを確保したキッチンなどが挙げられます。

間取りや配置で失敗しないためにも、理想のキッチン像をあらためて確認しましょう。

キッチンプランニングが重要な理由

モデルハウスを訪れたり、友人の家に遊びに行ったりしたときなどに、まずキッチンに目が行ってしまう、という人も少なくないでしょう。食事は家族の毎日の大切な営みで楽しみでもあります。一方で、キッチンの広さや間取りを検討することは非常に難しいことでもあります。住む人の家族構成や料理・食事シーンの過ごし方などにより、適したキッチンが異なるからです。

「キッチンプランニング」は、キッチンをつくる際に、どういった使い方をして、そのためにキッチンをどんな仕様にして、どういった設備や家電を配置するか、といった内容をできるだけ詳細に計画することです。家族に合ったキッチンにするために、「自分の家族はどういう暮らし方をするのか」を将来の姿も含めて話し合っておきたいものです。

キッチンとダイニングで過ごす家族

家族のことも考えてプランニングすることが大切です(画像/PIXTA)

キッチンプランニングをするときには、ポイントとして次のような点が挙げられます。

キッチンプランニングのポイント

・これまでのキッチンの不満要素を考える

・長く住む過程でどんなニーズが出てきそうかを家族で話し合ってみる

・キッチンだけでなく、リビングやダイニング、水まわりなどの動線を考える

・料理する際の動線を考える(収納なども)

・冷蔵庫等の家電や備品の配置シミュレーションをする

小久保さんは、キッチンの間取りを考えるときには次のように考えるとよい、とアドバイスしてくれました。

「キッチンを考える施主さん家族のそれぞれが『うちの家族はどういう暮らし方をするのか』をなるべく将来にわたって考え、話し合って決めていくことをおすすめします」

「ワークトライアングル」とは

キッチンを配置する際に重視したい点が、ワークトライアングルです。
ワークトライアングルとは、コンロ・シンク・冷蔵庫を結ぶ動線のことをさします。

ワークトライアングルの図

引用:キッチンの間取りはどんなタイプがあるの?キッチンのプロが使いやすいポイントを解説

料理をする際、食材を冷蔵庫から取り出し、シンクで洗って、調理スペースで加工します。
そして、コンロで加熱をして調理するという流れが一般的です。これらの流れを意識して、極力移動しないようにすると、ストレスなく作業できます。一般的に、キッチンのワークトライアングルは、以下のような配置が推奨されています。

【ワークトライアングルの配置】
●    調理スペースの横幅は600mm以上
●    冷蔵庫が背面にある場合、調理スペースとの間は900mm~10,000mm程度

コンロやシンク、冷蔵庫の中心を結ぶ三角形は、合計が6m以内に収まるのを目安にします。

「Ⅰ型」冷蔵庫、シンク、コンロが1列で横並びのレイアウト

I型キッチンは、冷蔵庫・シンク・コンロが1列で横並びになる配置です。メリットとデメリットは、それぞれ以下のとおりです。

【メリット】
●    面積を広く取りやすい
●    低コストで設置ができる
●    対面タイプは開放感が得られる
●    家族とコミュニケーションが取りやすい

【デメリット】
●    壁付けタイプの場合、キャビネットや足元マットが丸見えになる
●    家族の気配を感じにくくなる
●    ダイニングに油や水が跳ねやすくなる

ワークトライアングルを意識しやすいキッチンで、家族とのコミュニケーションも取りやすいので、家族で食事をする機会が多いご家庭におすすめです。

「II型」冷蔵庫、シンク、コンロが2列のレイアウト

II型のキッチンは、冷蔵庫・シンク・コンロが2列になっており、セパレート型とも呼ばれます。
【メリット】
●    キッチンのスペースが取りやすい
●    ダイニングからキャビネット下部や足元が見えない
●    二人で調理がしやすい
●    キッチンからリビングとダイニングにいる家族と会話ができる

【デメリット】
●    食材をシンクやコンロに移動させる途中に水で床が汚れやすい
●    調理の流れで体の向きを変える必要があり高齢者は負担になる

横並びで調理がしやすいことから、家族で料理をしたい人や、友達を呼んでパーティーをしたい人などにおすすめです。

「L型」冷蔵庫、シンク、コンロをL字にレイアウト

L型キッチンは、冷蔵庫・シンク・コンロがL型に配置されます。I型やII型に比べると、以下のメリット・デメリットがあります。

【メリット】
●    床面積が狭くてもキッチンスペースを確保できる
●    調理スペースを確保しやすい
●    効率よく調理できる

【デメリット】
●    角になっている部分が使いづらい

ワークトライアングルを確保しやすく、作業もしやすいことが特徴です。しかし、L型の角になっている部分のスペースの活用が難しいのがデメリットです。

コンパクトに収まることから、I型キッチン同様に、ダイニングやリビングのスペースを広く取りたい人に向いています。

「U型」冷蔵庫、シンク、コンロをU字型にレイアウト

U型キッチンは、冷蔵庫・シンク・コンロが、U型に配置されたキッチンです。ワークトライアングルを意識しやすいことが特徴で、以下のメリット・デメリットがあります。

【メリット】
●    調理スペースを確保しやすい
●    配膳や後片付けがしやすい
●    キッチンの足元やキャビネットなどがリビングから見えづらい

【デメリット】
●    設置にスペースが必要
●    価格が高い

キャビネットの間隔を広げることによって、複数人での調理もしやすくなります。

キッチンの種類と特徴

キッチンは、大きく分けると対面式キッチンと対面式ではないキッチンに分けられます。対面式キッチンでは、リビングにいる家族とコミュニケーションを取りながら調理ができます。また、開放感があることも特徴の一つです。
対面式ではないキッチンは、キッチンが独立していたり、壁付けになったりしているため、調理に集中できたり、調理の汚れがダイニングなどに飛びづらいという特徴があります。

対面式キッチン

対面式キッチンは、リビングやダイニングに向けて開放的になっています。そのため、家族とのコミュニケーションを取りながらの調理がしやすいです。そのほかにも、以下のメリットがあります。

【対面式キッチンのメリット】
●    「ながら作業」ができる(例:テレビを見ながら、会話をしながら)
●    配膳や食べ終わった後の片付けが楽
●    子どもや家族がキッチンにいる人を確認できる

家族と一緒に調理をしたい人や、調理をしながら家族の様子を確認したい人にはおすすめです。また、対面式キッチンにはいくつか種類があるので、あわせてご紹介します。

オープンキッチン

オープンキッチンは、キャビネットや壁が設置されていないキッチンのことです。オープンキッチンのメリットは、圧倒的な開放感です。

リビングやダイニングを見渡せるという意味では同じですが、キッチン周りに棚がないことから、より開放感があり、動きやすいというメリットもあります。家族と一緒に調理をしたり、スペースを確保したい人におすすめです。

セミオープンキッチン

セミオープンキッチンとは、キッチンの一部に壁が設置されているキッチンのことです。しかし、完全にキッチンが独立しているわけではなく、一部はリビングやダイニングとつながっています。
そのため、家族とのコミュニケーションも取れます。オープンキッチンとクローズドキッチンの中間のタイプと言えるでしょう。

セミオープンキッチンは、オープンキッチンほどリビングやダイニングとのつながりはありません。「全体をオープンにしたくないけど、リビングやダイニングは見渡したい」という方におすすめです。

アイランドキッチン

アイランドキッチンのイラスト

引用:オープンキッチンの種類別メリットとデメリット。 後悔しないために施工前に知っておきたいポイント(画像/SUUMO編集部作成)

キッチンが完全に独立しているため、家族でキッチンに立ったり、知人や友人とホームパーティーをする際に大人数での作業がしやすいです。
また、キッチン周りのスペースが確保されていることから、複数人でキッチンを使用してもぶつかりにくいことも特徴です。一方で、設置にはある程度の広さを必要とします。

ペニンシュラキッチン

ペニンシュラキッチンのイラスト

引用:オープンキッチンの種類別メリットとデメリット。 後悔しないために施工前に知っておきたいポイント(画像/SUUMO編集部作成)

デザイン性の高いものが多く、インテリアにこだわりたい方や、デザインや見た目を重視したい方におすすめです。

対面式ではないキッチン

対面式ではないキッチンは、クローズドタイプとも言われています。リビングやダイニングは見えず、完全に独立しているキッチンです。
オープンタイプに比べると開放感はありませんが、以下のメリットがあります。

【クローズドタイプのメリット】
●    じっくり料理ができる
●    散らかっていてもリビングやダイニングなどのほかの部屋から見えない

一方、リビングやダイニングにいる家族とのコミュニケーションが取れないことはデメリットです。そのため、調理に集中したい方には、おすすめできるキッチンといえるでしょう。

独立キッチン

独立キッチンは、リビングやダイニングと完全に分離されたキッチンのことです。料理に集中できるメリットがあるため、料理が好きな方に好まれています。
さらに、個室になっていることから壁が多く、収納スペースが多く確保できます。収納を設けやすく、生活感が隠せることもメリットと言えるでしょう。
また、リビングやダイニングと完全に分離していることから、ほかの部屋に油ハネやニオイ、煙が移る心配もありません。

リビングなどにいる家族とのコミュニケーションは取りにくくなる点がデメリットです。

壁付けキッチン

壁付けキッチンとは、壁側に向いているキッチンのことです。オープンタイプと同様に、リビングやダイニングの一部に設けることが多いです。I型やL型のレイアウトにすると空間面積を広く取れることから、リビングやダイニングなどの生活スペースを確保できます。
また、調理に集中できることや、壁側に窓や換気扇を配置することによって、リビングやダイニングに煙やニオイを広がりにくくできることがメリットです。

家族に背中を向けて作業するため、コミュニケーションが取りづらい配置ですが、調理に集中したい方にはおすすめです。

キッチン間取りの失敗例9選

キッチンプランニングに失敗しないために、小久保さんはこれまで施主さんにどんなアドバイスをしてきたのでしょうか? これまで手掛けてきたキッチンの間取りを紹介しながら、設計したときの工夫のポイントを教えてもらいました。後で「こうしておけばよかった!」とならないように、特に気にかけたアドバイスをピックアップしました。

リビングダイニングキッチンの写真

生活スタイルに合わせたキッチンの間取りをプランニングしよう(画像/PIXTA)

家電や家具が狭くて入らない

設計時に新居で使用予定の家具や家電の想定ができておらず、いざ住むときに想定していた場所に入らなかった、やむなく別のものに買い替えた、というケースがあります。そのようなことにならないために設計時に注意を払った事例として小久保さんに紹介してもらったのは、将来的に二世帯同居を想定したキッチンです。

冷蔵庫が2台置けるオープンキッチンのある注文住宅実例
冷蔵庫が2台置けるオープンキッチンのある注文住宅実例
2列型のキッチンの奥には冷蔵庫2台を置けるスペースが確保されている(写真提供/小久保美香建築設計事務所)

工夫したポイント

「ゆくゆくは近所に住む娘さんのご家族との同居を想定されていました。そのため、将来を見越した設計として、冷蔵庫が2台になっても置けるだけのスペースを確保し、2階にも小さいキッチンを備えています」

間取図

冷蔵庫が2台置けるオープンキッチンのある注文住宅実例の間取図

(提供/小久保美香建築設計事務所)

アドバイス

「キッチンを囲んで複数の世帯が一緒に料理できるアイランド型のキッチンや薪ストーブを取り入れ、みんながそろって料理や食事を楽しめる空間になるようアドバイスしました。また、いつか2階で織りと染めの工房を開きたいというご希望があったので、2階のキッチンは、染め物作業にも使えるよう一般的なシンクの深さではなく、深めのものを提案しました」

失敗例のように必要な家具や家電が入らない、ということを避けるにはどうしたらよいでしょうか?

「使いたい家具や大物家電などがあれば、サイズを事前に確認して設計士に伝えておくことです。具体的なもののイメージがない場合は、誰とどんなシーンで、どのようにキッチンを使っていきたいのか、設計士としっかり共有して必要な設備や適した仕様を提案してもらうといいでしょう」

コンセントの数や位置が不便

冷蔵庫や食洗器、電子レンジなど、キッチンでは多くの家電を利用します。ところが、せっかく新しい調理家電を買ったのにコンセントが届かない、という失敗をしてしまった人もいるかもしれません。そうならないよう気をつけて設計した事例として小久保さんに紹介してもらったのは、つくる人と食べる人の目線を合わせた省スペースのカウンターキッチンです。

適切な場所にコンセントを配置した注文住宅実例

適切な場所にコンセントを配置した注文住宅実例

カウンターにそってつくられたベンチに座って対面しながらの会話ができるキッチン。壁には複数のコンセントの穴が見える(写真提供/小久保美香建築設計事務所)

工夫したポイント

「敷地に限りがある中、キッチンスペースを犠牲にしてもリビングを広くしたいというニーズがあり、その結果『への字型』の対面キッチンにしました。カウンターにそってベンチをつくり、料理をするときは野川の景色を楽しみつつ、食べる人との会話も弾みます。

キッチン内にパントリー、シンク、コンロ、冷蔵庫の設置スペースなどがコンパクトに収まっています。こういう場合、注意すべきは家電の配置です。例えば電子レンジはどこに置きたいか、などを最初から確認し、それに応じてコンセントを予備も含めて散らして配備しています」

間取図

適切な場所にコンセントを配置した注文住宅実例の間取図

(提供/小久保美香建築設計事務所)

アドバイス

調理家電を買ったもののキッチンに使えるコンセントがない、とならないように気をつけるべきことには、どのようなことがあるでしょうか?

「コンセントは多いに越したことはないのですが、無尽蔵に配備できるものでもありません。また、コンロ周りにコンセントを設置するのは危険、冷蔵庫はアースつき差込口を使ったほうがいい、など家電によって位置を考える必要があります。

そのため設計士と事前の打ち合わせで、どんな家電をどこに置くかをしっかり共有しておきましょう。なお、想定分より少し多めに予備のコンセントを設けておけば安心です」

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キッチンから子どもの様子が見えなくて不安

独立タイプのキッチンや壁付けキッチンでは、家族の様子が見えない、気配が感じにくいという不安があります。特に小さいお子様がいる家庭では、そのような不安が尽きません。

特に、壁付けキッチンでは、家族や子どもに背を向けて作業をすることになり、調理中は目を向けることができません。さらに、ベビーゲートの設置も難しく、子どもがキッチンの中に入りやすくなることも懸念されるポイントです。
子どもの様子が気になる場合はキッチンのレイアウトや型を変えることで解決できます。

【アドバイス・提案】
●    対面式キッチンを検討する
●    セミオープンキッチンを検討する

対面式キッチンの場合は、ベビーゲートの設置も容易ですし、子どもの様子を見ながら調理ができます。調理に集中したい場合は、家族や子どもの様子もうかがえるセミオープンキッチンもおすすめです。

食器棚とコンロの動線が不便

キッチンを設置する際にワークトライアングルが重要だと紹介しましたが、食器棚の位置もあわせて考えましょう。コンロから食器棚の位置が離れていると、調理中にわざわざ食器を取りに行く必要があります。事前に用意するにも、調理スペースとして活用しているため、食器を置くスペースがない…という悩みがある方も多いです。
これらを解決するためには、以下の提案が挙げられます。

【アドバイス・提案】
●    収納が多くつくれる独立型キッチンを検討する
●    L型・ペニンシュラ型のキッチンを検討する

独立型キッチンは、壁に設置されており、キャビネットや収納棚が配置しやすいレイアウトになっています。日用品や食品を確保するスペースも用意しつつ、食器を収納できるスペースも確保しやすいでしょう。
家族とのコミュニケーションを重視する方は、L型やペニンシュラ型のキッチンにすると、収納スペースが確保しやすいため、食器棚とコンロの動線の改善ができます。

照明が暗すぎる・明るすぎる

独立型のキッチンは料理に集中できる点をメリットとして選ぶ人も多いでしょう。一方でリビングダイニングに開けたオープン型キッチンと比べ、照明など明かりへの配慮がおろそかになりがちです。そうならないための事例として小久保さんに紹介してもらったのは、代替わりして建て替えた、美しい中庭を望むL型キッチン(コンロとシンクが90度で向かい合うように設置されたキッチン)です。

独立型のL型キッチンのある注文住宅実例
独立型のL型キッチンのある注文住宅実例
古家の資材を利用することで昔から住んでいる雰囲気を実現した高窓のある独立型キッチン(写真提供/小久保美香建築設計事務所)

工夫したポイント

「このキッチンは独立型で、広いリビングダイニングとは引き戸で仕切ってあります。キッチンは北側にあって、この窓だけでは採光が弱いと感じ、高窓を設けて光を採り入れるようにしました。料理中にキッチンから中庭を望むことができます」

間取図

独立型のL型キッチンのある注文住宅実例の間取図

(提供/小久保美香建築設計事務所)

アドバイス

「動線を玄関から分け、右動線はパントリーからキッチンに通じ、左動線はリビングに通じる『回遊動線』にして家事効率を上げる間取りになるようアドバイスしました。パントリーは2畳ほどのスペースを確保し、食料品だけでなくサニタリー用品も置けるだけの広さになっています」

独立型キッチンは暗い、という声もあります。採光など設計の際に気をつけるべき点を教えてください。

「自然採光にこだわるなら、北側の高窓は暑さも気になりにくく、空間を明るくできておすすめです。また、通風もよく自然な換気ができます。キッチン自体は南側や東側の明るい位置でも差し支えありませんが、パントリーを南側につくるのはおすすめしません。暖かくて食品が傷みやすくなるからです」

食洗機を置くスペースがなかった

食事の後片付けに役に立つ、食洗器。共働き世帯が増えている昨今ではビルトインタイプの食洗器を選択する方も増えています。

また、「食洗器は必要ない」、「予算オーバーで設置をあきらめた」場合もあります。食洗器は設置型もありますので、入居後に購入することも可能です。その際は、キッチンのスペースを余分に確保して、食洗器が置ける広さを用意しましょう。

また、食洗器を使用するためにはコンセントの設置が必須です。電子レンジや冷蔵庫などでスペースを使っている場合は、余分にコンセントを設置しなければなりません。
特にI型のキッチンの場合は、ものを置けるスペースが限られているため注意が必要です。これらを解決するためには、以下の提案が挙げられます。

【アドバイス・提案】
●    L型キッチンを検討する
●    独立型キッチンを検討する
●    ビルトイン型の食洗器を検討する

また、ビルトイン型の食洗器は後付けも可能で、方式によっては工事費が必要です。一般的には、食洗器の価格と工事費がかかります。
ビルトインタイプの食洗器は、配管が表に出ないことから、すっきりとしたキッチンになることもメリットです。

ゴミ箱が通路をふさいでしまう

調理中はゴミが出るため、キッチンにゴミ箱を設置する必要がありますが、ゴミ箱をキッチンに置いてしまうと、通路をふさいでしまうこともあります。この場合、以下のような提案が挙げられます。

【アドバイス・提案】
●    キッチンとキャビネットのスペースを広くする
●    キャビネットに小さめのゴミ箱を設置して収納する
●    ディスポーザーを設置する

通路をふさぐ一番の原因は、スペースが足りていないからです。I型やペニンシュラ型に、よくある失敗と言えるでしょう。

この場合、あらかじめスペースを確保したり、難しい場合は、キャビネットに納まる程度の小さめのゴミ箱を設置して、収納することで解決できます。また、ディスポーザーを設置することも一つの方法です。

食器や食材の格納スペースが足りない

限られた敷地面積の中で家を建てる場合、空間をどのように配分するかは悩ましい問題です。特に共働きの家庭では調理スペースとほかの家事スペース(洗濯機周り、室内物干し等)の動線の確保が重要です。また、キッチン周りに食材の収納場所がないと後になって困ることになります。小久保さんに紹介してもらったのは、キッチンスペースが限られる中で食器や食材の格納スペースをしっかりと設けた、家事動線を意識した共働き夫婦のI型キッチン(冷蔵庫・コンロ、シンクが横一列に並んだキッチンの形)です。

キッチンの近くにパントリーがある注文住宅実例
キッチンの近くにパントリーがある注文住宅実例
キッチンの背面にはお皿やキッチン家電を収納できる造作の棚を設けている(写真提供/小久保美香建築設計事務所)

工夫したポイント

「共働きこそ、家事効率を上げるために保存食品やつくり置きが必要になることが多いので、パントリーのスペースをしっかり確保しました。調理スペースはその分狭くなりましたが、お皿や必要なキッチン用具を収納できるよう背後の壁面とキッチンカウンターに造作で棚を設けています。棚をつくる際、食器や調理道具など何を入れるかをあらかじめ聞いておき、その大きさに合わせた収納にしています」

間取図

キッチンの近くにパントリーがある注文住宅実例の間取図

(提供/小久保美香建築設計事務所)

アドバイス

「省スペースで、料理から食事にいたる動線も意識して提案しました。パントリーもある対面キッチンエリアからリビングとダイニングがつながり、狭さを感じさせない空間になるようアドバイスしました」

キッチンをコンパクトにしなければならないとき、後から食器の置く場所がない、とならないために気をつけるべきことには、どのようなことがあるでしょうか?

「食器や調理用具など、どこに何を入れるかをあらかじめ決めてから収納をつくると、機能的なだけでなく省スペースな設計をするのに役立ちます。設計士には、少し細かいかな、と思うくらい具体的に伝えたほうがいいでしょう」

こだわりのキッチンが、歳を取ったら使いにくくなった

施主さんは、今の生活をベースに家の間取りを考えるものです。けれども、年月を経るにつれてこだわってつくったキッチンや、それを中心にした生活が営みづらくなるときが来るかもしれません。そんな将来を想定して心がけるべきことにはどのようなことがあるでしょうか? 小久保さんに紹介してもらったのは、60歳の夫婦があえて2階が生活の中心になるようキッチンを設けた例です。

木のぬくもりがあたたかい注文住宅実例

リビング側から手元が見えないようにカウンターで仕切られている(写真提供/小久保美香建築設計事務所)

工夫したポイント

「夫婦二人暮らしで60歳からの家づくりでした。あえて健康のために階段の上り下りをして2階のリビングを生活の中心にしたいということだったので、キッチンも2階につくり、景観を楽しみながら料理ができるようにしています」

間取図

木のぬくもりがあたたかい注文住宅実例の間取図

(提供/小久保美香建築設計事務所)

アドバイス

「二人とも料理をするので、キッチンは二人がすれ違っても邪魔にならずに通れる幅を確保しています。天窓も設けて手元が明るいキッチンになるようアドバイスしました。

さらに高齢になって2階での生活が厳しくなったときに1階をリフォームできるよう、新たにキッチンを置く場所も想定した構造の工夫をしています」

将来的にキッチンをリフォームしたくなったときに、失敗しないためにはどのようにしておくべきでしょうか?

「実は、“その時”になってからでは遅いのです。キッチンを別の場所につくる場合、水まわりなど家の構造に大きく制約されます。ですから、最初から別の場所にキッチンを置く可能性を想定しておく必要があります。家には耐力壁など、鋼材があって構造上動かせない部分があります。そういったところを避けて改修しやすいスペースをあらかじめつくっておくことがポイントです」

キッチン間取りのアイデア実例

それでは実際に、使いやすく納得のいくキッチンを実現した先輩の実例を紹介しましょう。

リビングの様子がすぐに分かるオープンキッチン

埼玉県のIさんファミリーの新居は子どもがのびのびできる開放的な家。広いリビングダイニングキッチンからは子どもを見ながら料理でき、キッチンのカウンターから子どもの居場所に目が合う設計に。パントリーやファミリークロゼットなど収納も充実しています。

Iさんが建てた注文住宅の間取り

キッチンにはテーブルを造作し、ダイニングテーブルが不要なため、LDKのスペースを広く取ることができる(図/SUUMO編集部作成)

テーブルと一体になっているキッチン/注文住宅実例

カウンターとテーブルが一体になっている使いやすいキッチンから目線の合う場所にタタミコーナーが設置されており、子どもの遊ぶ姿を確認しながら料理ができる(写真/一井りょう)

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リビングと子どもに目が届くキッチン

愛知県一宮市のIさん夫婦の家は、家族が集まるリビングに工夫を凝らした家です。子どもの遊び場が見えるキッチンには個性あふれる照明をつけています。

Iさんが建てた注文住宅の間取り

キッチンからリビングや子どもたちのいるスペースを見渡すことができる間取り(図/SUUMO編集部作成)

ストライプの壁紙と青が印象的なキッチン/注文住宅実例

手前のストライプの壁紙の中は、買い置きの食材を入れるパントリーになっている(写真/アラキシン)

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家族が目で追える料理好きな妻の白いキッチン

茨城県のSさんご夫婦の新居には、料理が好きな妻がこだわりのキッチンを設けています。白を基調にしたシステムキッチンを備え、全体も白色に統一しました。その隣には独立したランドリールーム兼家事室も備えています。

Sさんが建てた注文住宅の間取り

料理をしながらリビングを見渡せるカウンターキッチンの間取り(図/SUUMO編集部作成)

白を基調にコラベルタイルがアクセントとなっているキッチン

全体が白で統一され、清潔感のあるキッチンに。黒い電子レンジを置く場所を奥のスペースに設け、圧迫感を感じさせない配置に(写真/相馬ミナ)

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お酒が好きな夫婦が建てたバーカウンター風のキッチン

Sさん宅の注文住宅実例

(写真/ご本人)

自分たちの希望を詰め込んだ家を建てたいと思い、家を建てたSさん夫妻。
お酒好きなSさん夫妻は、カウンターを高く設置し、ハイチェアを置くことによってバーカウンター風のキッチンを設置。
背面にはオープン棚が設けられており、お気に入りの小物やお酒を置くなどして楽しまれています。

Mさん宅の間取図/注文住宅実例

バーカウンターの雰囲気を意識したアイランドキッチン(図/SUUMO編集部作成)

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お酒が好きな夫婦が建てたバーカウンター風のキッチンがある家

おしゃれなカフェを意識したキッチンづくり

おしゃれなカフェのような家づくりを目指したMさん夫妻。
ケーキ職人として働いていたに出会ったお二人は、「いつかは自分たちの店を出そう」と夢を持って結婚されたそう。
新築する際は店舗兼用住宅を考えていて、キッチンにも反映。

Mさん宅の注文住宅実例

「シンプルにまとめる」ことを意識してデザインしたキッチン。完成後のアレンジも自分たちで楽しんでいる。(写真/杉浦幹雄)

壁付けタイプのキッチンは、キャビネットや飾り棚が設置されており、すっきりしています。

Mさん宅の間取図/注文住宅実例

店舗兼用住宅を意識した壁付けキッチンの間取り(図/SUUMO編集部作成)

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ふたりの夢の「ケーキ屋さん」を、兼用住宅建築からスタート!

スーモカウンターに相談してみよう

新しく建てる家にキッチンをつくる際、具体的な暮らしのイメージによってふさわしいキッチンの間取りは大きく変わってきます。どんなキッチンが自分の家族に合っているかをプロに相談したいと思う人も多いでしょう。

注文住宅の新築・建て替えをサポートしているスーモカウンターでは、家づくりの不安を解決できる無料講座や、アドバイザーに悩みを相談できる無料の個別相談などを実施しています。個別相談ではキッチンの間取りはもちろん、予算や希望条件の整理、建築会社の紹介など、注文住宅を建てる際のあらゆる不安について、知識と経験のある専任アドバイザーに無料で何度でも相談できます。

キッチンプランニングに不安を感じている人は、スーモカウンターを活用して、自分たちにあったキッチンづくりの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

取材協力/小久保美香さん

一級建築士。小久保美香建築設計事務所代表 。1973年埼玉県生まれ。1996年芝浦工業大学建築工学科卒業後、株式会社カワモクに入社。徳井正樹建築研究室を経て、現在に至る。

取材・文/櫻井とおる(スパルタデザイン)

監修/SUUMO編集部(キッチンの間取りや配置で失敗しないために「ワークトライアングル」とはキッチンの種類と特徴対面式キッチン対面式ではないキッチンキッチンから子どもの様子が見えなくて不安食器棚とコンロの動線が不便食洗機を置くスペースがなかったゴミ箱が通路をふさいでしまう