新築住宅の窓選びは、家の快適性やデザイン性を大きく左右する重要な要素です。しかし、窓の種類や性能は多岐にわたり、どのように選べばよいか迷ってしまう方も少なくありません。
この記事では、窓の役割から種類・ガラス・サッシの選び方、さらに部屋別の最適な窓の選び方まで徹底的に解説し、おしゃれな外観にするための窓の配置のコツや、実際の事例も紹介します。
この記事を読めば、あなたにぴったりの窓を見つけ、理想の家づくりを実現できるでしょう。
目次
【窓の選び方1】目的に合わせて種類を選ぶ
窓を選ぶ際、最初に考えるべきは「どんな目的で窓を設置するのか」です。窓には、光を取り入れたり、風を通したり、外の景色を楽しんだりする役割があります。これらの目的を明確にすることで、最適な窓の種類を選ぶことができるでしょう。
さらに、窓は家のデザインを左右する大切な要素でもあります。それぞれの役割を理解し、バランスの取れた窓選びを心がけてください。
窓の役割は採光・通風・眺望・デザイン
窓には大きく次の3つの役割があります。光を通す役割、風を通す役割、そして視線を通す役割です。また、窓は建物の外観デザインにおいても重要な役割を果たします。
窓の種類
新築住宅に使われる窓には、さまざまな種類があります。それぞれに特徴があり、設置場所や目的に合わせて選ぶことが大切です。窓の種類を知ることで、より快適で過ごしやすい家づくりができるでしょう。
設置場所別の窓の種類
ひとくちに「窓」といっても、設置場所や開き方、形状や素材など、非常に多くの種類があります。注文住宅では窓も自由に選べるため、“どの窓にしようか…”と迷うこともあるかもしれません。
そこで、まずは設置場所別に、窓の種類を紹介しましょう。
【設置場所別・主な窓の種類と特徴】
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 天窓 | 建物の屋根に設けた窓で、トップライトとも言う |
| 高窓 | 天井に近い高い位置に設けられた窓で、ハイサイドライトとも言う |
| 地窓 | 床面に近い低い場所に設けた窓 |
| 掃き出し窓 | 床面から壁の高い位置まであり、室外へ人が出入りできる窓 |
| 腰高窓 | 一般的に床から90㎝程度の、腰の高さに設ける窓 |
| コーナー窓 | 建物の角に設けた窓 |
開き方別の窓の種類
窓の種類は、開き方でも分類できます。
【開き方別・主な窓の種類と特徴】
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| 引き違い窓 | 2枚以上の窓を横すべりさせて開閉する窓 |
| 片開き窓 | 左右どちらかの窓枠を軸として開閉する窓で、外開きと内開きがある |
| 両開き窓 | 2枚の窓を、左右両方の窓枠を軸にして開閉する |
| 上げ下げ窓 | 上下にスライドして開閉する窓。上下2枚とも動くタイプと、片方だけ動くタイプがある |
| オーニング窓 | サッシがついた複数の小窓で構成された窓で、ハンドル操作で同時に開閉する |
| FIX窓 | 窓枠に固定されていて開閉できない窓で、はめ殺し窓とも言う |
| 横すべり出し窓 | 下側を押して、外側にすべり出して開閉する窓 |
| 縦すべり出し窓 | 上下にある溝に沿って、外側に窓をすべり出すように押して開閉する |
窓を具体的に選び始める前に、設ける目的を明確にすると良いでしょう。例えば、採光や通風のため、庭に直接出入りできるようにしたい、外観デザインのアクセントにしたいなどの目的が考えられます。その目的に応じて、「設置場所」と「開き方」を選べば、使い勝手もよく、デザイン性も損ねない住まいをつくることができます。
窓の種類について、もっと詳しく→
窓の種類はこんなにあった！設置場所や開き方別・窓の種類と特徴
【窓の選び方2】窓ガラスは求める性能に合わせて選択を
ほとんどの窓は、ガラスとサッシで構成されています。窓ガラスは光や熱、視線を通す役割を持ち、サッシは建物に取り付ける役割を持ちます。
窓の機能を左右する窓ガラスの種類
窓ガラスは、ガラスの枚数と機能により種類が分かれます。
ガラスの枚数は、枚数によって呼び名が分かれます。例えば、ガラスが1枚の場合は「単板ガラス」、ガラスが2枚なら「複層ガラス」、ガラスが3枚なら「トリプルガラス」となります。
ガラスの機能は、ガラスの枚数や表面加工により大きく異なります。下表は、機能別に、主な複層ガラスの種類をまとめたものです。
【機能による窓ガラスの種類（複層ガラスの例）】
| 機能 | 種類 |
|---|---|
| 断熱・遮熱機能 | Low-E複層ガラス |
| 防犯機能 | 安全合わせ複層ガラス |
| 防災機能 | 防災安全合わせ複層ガラス（※） |
| 防火機能 | 網入り複層ガラス、耐熱強化複層ガラス |
| 視線を遮る機能 | 不透視複層ガラス（型・すりなど） |
| 防音機能 | 安全合わせ複層ガラス 防音タイプ、異厚複層ガラス |
※「防災安全合わせガラス」は板硝子協会の会員であるAGC（株）、日本板硝子（株）、セントラル硝子（株）が製造する合わせガラスの共通呼称です
目的別！おすすめの窓ガラス
上表で分かるように、窓ガラスには様々な機能があり、どれを選ぶかにより得られる性能は大きく変わります。そこで、得られる性能別におすすめの窓ガラスを紹介。安全性や快適性など、求める性能に合わせて選択しましょう。
断熱性を高めたい
単板ガラス→複層ガラス→Low-E複層ガラス→トリプルガラスの順に断熱性能が高くなります。Low-Eとは、「Low Emissivity（低放射）」の略で、二層になっているガラスのどちらかの中空層側に、特殊な金属膜がコーティングされているガラスです。
防犯性を高めたい
窓からの空き巣の侵入を防ぐには、破壊されにくく、割れても貫通しにくいガラスを。おすすめは「安全合わせ複層ガラス」です。
自然災害に備えたい
地震や台風などの自然災害で窓が割れ、飛散した破片でケガをするのは避けたいもの。割れにくく、もし割れても破片が飛散しない「防災安全合わせ複層ガラス」がよいでしょう。
騒音を抑えたい
外の騒音を抑え、遮音効果を高めたいなら、異なる厚さのガラスを組み合わせた「異厚複層ガラス」や、中空層に防音特殊フィルムを挟み込んだ「安全合わせ複層ガラス 防音タイプ」がおすすめです。
窓ガラスについて、もっと詳しく→
窓ガラスの種類とそれぞれの特徴は？ どう選べばいい？
【窓の選び方3】窓サッシは、性能と価格のバランスを考慮しよう
窓サッシは、窓ガラスと同様に、選び方によって住まいの性能が大きく変わります。
窓サッシの性能は、素材と構造によって異なります。特に素材は、断熱性とデザイン性に大きな影響を与えるので、違いを理解してから選びたいもの。そこで、素材別にメリット・デメリットなどの特徴を紹介しましょう。
素材別の窓サッシの種類
窓サッシの主な素材には、アルミ、樹脂、アルミ樹脂複合、木製などがあります。それぞれの素材の特徴を理解し、住まいの環境や予算に合わせて最適なサッシを選んでください。
アルミサッシ
一般の住宅で多く普及しているサッシです。メリットは加工しやすくて軽く、サビにくい点。デメリットは他の素材と比較すると断熱性が低いため、結露しやすい点です。
樹脂サッシ
メリットは、熱を伝えにくいうえ、構造を複雑にして空気層をつくりやすいため、高い断熱性を得やすい点です。さらに、カラーバリエーションが豊富な点も魅力でしょう。デメリットは、アルミサッシや後述するアルミ樹脂複合サッシと比べると価格が高い点です。
アルミ樹脂複合サッシ
室内側は樹脂、室外側はアルミを用いた、複合構造のサッシです。メリットは、アルミサッシより断熱性が高いものの価格は適度に抑えられる点。デメリットは、樹脂サッシや後述する木製サッシより断熱性が低い点です。
木製サッシ
メリットは、天然素材ならではのぬくもり感や、外観やインテリアと調和しやすいデザイン性、樹脂サッシよりも断熱性が高い点です。デメリットは、風雨や紫外線で劣化しやすいため再塗装などのメンテナンスが必要な点と、価格が高い点です。
窓サッシについて、もっと詳しく→
窓サッシの種類とそれぞれの特徴は？ 材質によって違いはあるの？
【部屋別に選ぶ】おすすめの窓
窓は、部屋ごとに最適な種類を選ぶことが大切です。それぞれの部屋の用途や必要な機能に合わせて窓を選ぶことで、より快適で暮らしやすい住まいが実現します。部屋の用途に合わせた窓を選んでください。
リビング
リビングは家族が集まる場所なので、開放感と明るさを重視する人も多いでしょう。そんなときは大きな窓を設置して、太陽の光をたっぷりと取り込みましょう。掃き出し窓は、庭への出入りもスムーズにできるため、おすすめです。一方で大きな窓は気密性が低くなりがちなため、断熱性が高いガラスを選ぶなどの対策を行うとよいでしょう。
また、高い位置に窓を設置すると、外からの視線を気にせずに採光できます。窓の配置を工夫して、家族全員が心地よく過ごせるリビング空間をつくってください。
キッチン
キッチンは、明るく換気がしやすい窓がおすすめです。横長の窓や、高い位置に設置された窓は、作業スペースを明るく保ちながら、プライバシーも確保できます。また、換気のために開閉できる窓を設置することも大切です。
キッチンのレイアウトや使い勝手を考慮して、最適な窓を選びましょう。窓の配置を工夫することで、料理もより楽しくなります。
浴室
浴室の窓は、プライバシーを守りながら、換気ができるものを選ぶのがおすすめです。外からの視線が気にならないように、曇りガラスや型ガラスを使用するとよいでしょう。
また、縦滑り出し窓や横滑り出し窓など、開閉できるタイプの窓は、浴室の湿気を効率的に排出するのに役立ちます。窓の位置や種類を工夫して、快適なバスタイムを送れる窓を選びましょう。
廊下・階段
廊下や階段に窓を設けると、自然光を取り入れて家全体が明るくなります。高い位置に窓を設置すると、プライバシーを確保しながら、効率的に採光できます。
また、風通しを良くするために、開閉できる窓を設置するのもおすすめです。窓を上手に活用して、快適で安全な通路空間を実現しましょう。
寝室
寝室は、安眠を妨げないような窓を選ぶことが大切です。朝日が入り過ぎないように、窓のサイズや位置を調整しましょう。
また、外からの視線が気にならないように、高い位置に窓を設置したり、朝日がまぶしくならないように遮光カーテンを利用するのも有効です。
子ども部屋
子ども部屋は、日中に利用する機会が多いため、明るく風通しの良い空間にするのがおすすめです。採光のために大きな窓を設置したり、風通しの良い位置に窓を配置したりするといいでしょう。
一方で、子どもが小さいうちは安全性を考慮して、窓の位置を調整したり、落下防止の柵を設置したりすることも大切です。子どもたちが快適に過ごせるような窓選びを心がけましょう。窓の近くに学習机を置く場合は、勉強中にまぶしくならないように光の入り方にも注意が必要です。
おしゃれな外観にするための窓の配置のコツ
窓は、外観デザインを大きく左右する要素です。窓の配置を工夫することで、よりおしゃれで個性的な家づくりができます。窓の大きさや形、配置をバランスよく組み合わせることで、洗練された外観がつくり出せるでしょう。これから紹介するコツを参考に、理想の住まいを実現してください。
位置を合わせる
窓の位置をそろえることは、外観をすっきり見せるための基本です。上下階で窓の位置をそろえたり、左右対称に窓を配置したりすることで、整然とした印象になります。
窓の種類や大きさが異なっていても、配置をそろえることで統一感が生まれます。窓の位置を合わせることで、シンプルでありながらも洗練された外観をつくり出せるでしょう。また、窓をあえてバラバラの位置に配置することで、個性的な外観にすることもできます。
数を増やし過ぎない
窓は、多ければよいというものではありません。窓の数を増やし過ぎると、外観がごちゃごちゃした印象になることがあります。必要な場所に適切な数の窓を設置することが大切です。
窓を少なくすることで、外壁のデザインを際立たせたり、プライバシーを確保する効果も期待できます。窓の数や配置を工夫して、目指すテイストに合ったバランスの良い外観を目指してください。
アクセントをつける
窓をアクセントとして活用することも、おしゃれな外観をつくる上で有効です。例えば、他の窓とは異なる形や色の窓を設置したり、連窓や段窓を取り入れたりすることで、個性的で目を引く外観がつくれます。
【実例紹介】目的や性能、デザインにぴったり合う窓を選んだ住まい
窓を選ぶポイントを３つ解説しましたが、ここからは、窓を設ける目的や求める性能、デザインを考慮して選び、快適かつおしゃれな住まいを手に入れた実例を紹介しましょう。
【Case1】窓をリズミカルに並べて配置、印象的な外観に
北欧ヴィンテージがテーマのＡさんのお住まいです。建物正面部分の2階は、４つの小窓をほぼ等間隔に並べることでリズミカルな雰囲気に。1階の縦開き窓と引き違い窓の高さを揃えており、スッキリとした印象を与える外観になりました。
室内にも、目的に応じて窓を設けています。リビングと隣接する防音室にはガラス窓を取り付け、防音性に配慮しつつ、程よくリビングとの一体感を持たせました。さらに、暗くなりがちな階段は、接する部屋との壁にガラス窓を設けて、部屋からの光が届くようにしています。
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インテリアのテーマは北欧ヴィンテージ。室内窓が開放的でオシャレな空間に
【Case2】道路に面した側の窓は少なくしてモダンな印象に
以前から二世帯住宅を検討していたTさん。理想の家を求めて住宅展示場を訪れましたが、なかなか希望に合うプランに出合えず、スーモカウンターに相談しました。そこで紹介された4社の中から、実際に建てた家を見学し、デザインや個性を重視する会社に依頼することを決めたそうです。
T邸では、道路に面した側の窓を少なくすることで、外からの視線を遮りつつ、外観をモダンでスタイリッシュな印象に仕上げました。さらに、玄関を広めに設計し、開放感のある空間を実現。階段ホールには大きな窓を設け、自然光を取り込む工夫も凝らしています。窓の配置を工夫することで、プライバシーを守りながら、快適でデザイン性の高い住まいを実現しました。
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広々とした土地に二世帯住宅を建てピアノの練習も子育てもしやすく
【Case3】段窓をアクセントにしたシンプルモダンな外観
当時の住まいの使い勝手に不満を感じていたWさんご夫妻は、暮らしやすい家を建てたいとスーモカウンターに相談してみることに。そこで理想の暮らし方を伝え、アドバイザーからは、予算と好みに合う6～7社を紹介してもらいました。その中から、社長の人柄とデザイン、標準仕様の質が高い点が決め手となり、建築会社を決定。スーモカウンターのおかげで、スムーズに理想の会社を見つけられたそうです。
Wさん邸のこだわりは、段窓をアクセントにしたおしゃれでシンプルな外観です。道路に面した部分にはスリット窓などをうまく取り入れ、プライバシーを確保しつつ、明るさを取り入れています。
この実例をもっと詳しく→
家事効率がよく、子どもたちがのびのび走りまわれるのが理想の暮らし
【Case4】樹脂サッシを全ての窓に採用、断熱性の高い住まい
結婚と同じタイミングでマイホームを建てられたSさん。新居は、断熱パネルを入れた厚い壁、窓はすべて二重の樹脂サッシを採用、屋根にはソーラーパネルを設置することで、生活で使うエネルギーをゼロにできる「ゼロエネルギーハウス」です。
1階のリビングは部屋の方角や用途に合わせて、さまざまな窓を組み合わせています。窓サッシが白色なので白い壁に馴染み、室内がより明るく広く見え、さらにサッシの色が目立たないことで、ソファやダイニングチェアのカラーがより際立っています。
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各部屋にウォークインクロゼットを設置、多趣味の新婚夫婦が暮らすマイホーム
【Case5】断熱性で選んだトリプルガラスの樹脂サッシ
子どもの就職を機に、ご両親との同居を決意したIさん。以前の住まいの空き巣被害の経験から、防犯性にも優れた家づくりを考えていました。スーモカウンターでは、急ぎの希望にも応じてくれ、理想像を伝えると、6社を紹介してくれました。その中で、トリプルガラスの樹脂サッシの窓を扱っていたことが決め手となり、建築会社を決定したそうです。
以前の実家では寒さを不満に感じていたため、断熱性能の高い窓は必須でした。トリプルガラスを取り入れたことで冬も暖かく、結露も出ないため快適に過ごせるそうです。
この実例をもっと詳しく→
離れて暮らす家族、ご両親、愛犬も大満足の新居が完成
スーモカウンターに相談してみよう
家づくりは、人生における大きな決断で、単に住む場所を確保するだけではなく、その後の生活の質を大きく左右するものです。窓の選び方1つをとっても、断熱性、採光性、デザイン性など、考慮すべき点は多岐にわたります。
家づくりでは、間取り・デザイン・素材選びなど、住空間を構成するあらゆる要素を総合的に検討する必要があります。特に、窓は、住まいの快適性や省エネルギー性能にも影響するため、計画段階から、どのような窓を選ぶべきかしっかりと検討しましょう。
スーモカウンターでは、アドバイザーがお客さまの多種多様なご要望や予算を丁寧にヒアリングし、その上で最適な建築会社を無料でご紹介します。お客さま一人ひとりの理想の暮らしを実現するため、家づくりのプロセス全体をサポートします。家づくりで迷ったり、不安を感じたりした際には、まずはスーモカウンターに相談してみませんか。
スーモカウンターでは、無料の個別相談の他、「はじめての注文住宅講座」や「ハウスメーカー・工務店 選び方講座」など、家づくりの段取りや、会社選びのポイントなどが学べる無料の家づくり講座も開催しています。気軽に問い合わせてみてください。
監修／SUUMO編集部（【部屋別に選ぶ】おすすめの窓、おしゃれな外観にするための窓の配置のコツ）
佐川旭建築研究所代表。一級建築士、インテリアプランナー。間取り博士とよばれるベテラン建築家で、住宅だけでなく、国内外問わず公共建築や街づくりまで手がける
