注文住宅を建てるうえで最初の大きな決断は、「どこの建築会社で家を建てるか」だろう。ハウスメーカーや工務店などの建築会社は数多くあるため、1つずつ特徴を比較するのは大変だ。「建築会社をどうやって選べばいいか分からない」「優先順位をどうつければいいのか分からない」など頭を悩ませる人も少なくない。
本記事では建築会社を決めるまでの「ダンドリ」や優先順位のつけ方を解説。販売している家の価格帯や性能、工法など比較するポイントも解説するので今後のヒントに役立ててほしい。実例をもとに、建築会社を選ぶ決め手となった理由についても紹介する。
目次
- 注文住宅の会社選び(1)状況確認:いつまでに持ち家が欲しい?用意できるお金は?現状を把握
- 注文住宅の会社選び(2)情報収集:ダンドリや予算の立て方など基礎知識を身に付けよう
- 注文住宅の会社選び(3)条件整理:自分たちの条件に合ったお金やダンドリを確認しよう
- 注文住宅の会社選び(4)要望整理と優先順位付け:家族の要望を整理する
- 注文住宅の会社選び(5)建築会社探し:予算や要望を基に建築会社の候補を見つけよう
- 注文住宅の会社選び(6)打ち合わせ・プランニング:気になる建築会社との打ち合わせ・絞り込み
- 注文住宅の会社選び(7)契約・着工:プランと見積もりを決めて契約・そして着工
- 建築会社を比較するポイントは?
- 建築会社の決め手は?先輩たちの実例から学ぶ
- 建築会社の選び方で悩んだらスーモカウンターに相談しよう
注文住宅の会社選び(1)状況確認:いつまでに持ち家が欲しい?用意できるお金は?現状を把握
家づくりで大切なのは、いつまでにマイホームを実現したいのか、しっかりゴールを決めること。自分たちが用意できる資金やローンの返済可能額など、家計の状況を把握することも重要だ。親からの援助の可能性も確認しておくと良い。
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注文住宅の会社選び(2)情報収集:ダンドリや予算の立て方など基礎知識を身に付けよう
初めてのことがめじろ押しの家づくり。基礎知識や新居完成までの全体像が事前に把握できれば、その後の検討を安心して進められる。ダンドリや土地と家の住宅ローンの組み方などを知り、効率よく進めよう。
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注文住宅の会社選び(3)条件整理:自分たちの条件に合ったお金やダンドリを確認しよう
家づくりの基本がわかったら、自分たちに合わせて具体的にスケジュールや予算を立ててみよう。進める上での疑問もまとめておくといい。条件は人それぞれ。自分の状況や条件に合わせた個別の計画や、疑問の解消など、相談できる相手を見つけることが近道だ。
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注文住宅の会社選び(4)要望整理と優先順位付け:家族の要望を整理する
自分たちがどんな家を建てたいのか家族の要望を整理しよう。まずは部屋数、階数、駐車場などの必要な条件を確認。次に、外観デザイン、インテリア、設備などかなえたいことをまとめておくと、建築会社選びや希望を伝える際にスムーズだ。
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注文住宅の会社選び(5)建築会社探し:予算や要望を基に建築会社の候補を見つけよう
整理した価格帯やプランの要望など、条件に応えてくれそうな会社を探す。まずは近場の住宅展示場に行ってみたり、雑誌やWebで会社の特徴や施工実例を見たりしてみるとよい。気に入った施工事例は、ストックしておくと会社を絞りやすい。
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注文住宅の会社選び(6)打ち合わせ・プランニング:気になる建築会社との打ち合わせ・絞り込み
候補の会社が挙がったら、面談して具体的に打ち合わせを進めていく。土地の有無や予算、スケジュール、プランの要望を伝えるところからスタート。建築会社の担当者との相性や、後日出てきたプランや見積もりから依頼する会社を決める。
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注文住宅の会社選び(7)契約・着工:プランと見積もりを決めて契約・そして着工
建築会社が決まったら、建築会社と打ち合わせを重ねて間取りや外観デザインなど詳細プランをつめる。最終形の見積もりに納得できたら契約を結ぼう。家が建つまでは、生活をイメージし、家のサイズに合わせたインテリアを準備しよう。
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建築会社を比較するポイントは?
建築会社は数多く存在するため、「選択肢が多過ぎて、どの会社を選べばよいか分からない」という人も多いだろう。建築会社を選ぶ際には、比較するポイントを押さえておくと、スムーズに進めやすい。
価格帯
予算内に抑えるためには、まず価格帯を意識することが重要だ。例えば、家の価格帯は建築会社によって異なる場合が多い。
大手ハウスメーカーは高水準の構造を標準としており、開発費やブランド価値が価格に反映されるため、費用が高くなりやすい。地元密着型の中小規模の工務店は、広告費削減や自社発注・自社施工を行うことで比較的安価に建てられる。ただし、こだわりが強いと追加費用がかかるケースもある。
ローコストハウスメーカーは、低価格で家が建てられる傾向にあるが、間取りや設備仕様が規格化されていることが多いだろう。
住宅性能
家を建てるなら、住宅性能も重要だ。特に「断熱性」と「気密性」は、住み心地の良さを左右する。断熱性とは、外気温の影響を受けにくくし、室内の温度を快適に保つ性能のこと。気密性とは、家の隙間を減らして空気の出入りを少なくすること。
性能が高い家は、夏は涼しく冬は暖かい環境がつくれる。つまり、冷暖房の光熱費を抑えることにもつながるだろう。最近の建築会社は、高断熱・高気密を掲げていることも多いが、さらにこれらの性能を測る「Q値」や「C値」もしっかり確認しておくと、比較の際に役立つ。
断熱性能についてもっと詳しく→法律改正! 断熱基準を下回る新築住宅はもう建てられない。「断熱の鬼」に聞く「夏は涼しく、冬は暖かい」家づくりの極意とは
住宅の構造・工法
日本の住宅構造は、大きく分けて「木造」と「鉄骨造」の2つに分けられる。一般的に木造の家はコストが抑えやすく、断熱性や調湿性に優れ、加工しやすいのが特徴だ。鉄骨造はコストが高いが、耐震・耐久性に優れ、強度を活かした大空間の間取りが実現しやすい。
また、木造住宅には「在来工法」と「2×4(ツーバイフォー)工法」がある。在来工法は、柱と梁(はり)で骨組みをつくり、屋根や壁を組み立てる日本の伝統的な工法。2×4工法は、アメリカ発祥の建築工法で、2×4インチの木材で枠組みをつくり、床や壁などで箱をつくって組み立てていく。
構造や工法によってそれぞれ特徴が異なるので、建築会社がどれに対応しているか事前に確認しておこう。
木造住宅についてもっと詳しく→木造住宅はどこが優れているの?その魅力と秘密、デメリットの解消法をご紹介!
ツーバイフォー工法についてもっと詳しく→ツーバイフォー(2×4)工法とは?メリットや施工事例を紹介!
デザイン
建築会社によって、得意とするデザインも異なる。各建築会社のデザインの傾向は、公式サイトや施工事例、またはモデルハウスの見学で確認しておこう。家のイメージづくりには、SNSや住宅情報雑誌が参考になる。
また、シンプルモダン・和風・北欧テイストなど、好みのデザインを明確にしておくのもいい。外観だけでなく、内装のイメージも家族で話し合っておくことが大切だ。好みのデザインが明確になれば、それを得意とする建築会社を選びやすくなるだろう。
家のデザインについてもっと詳しく→注文住宅の家のデザイン!外観・内装の実例と場所ごとのポイントを解説
保証・アフターサービス
家の引き渡し後の保証内容や、アフターサービスの充実度も重要だ。新築住宅の場合、引き渡しから10年間は、住宅に何らかの欠陥があった場合に無料補修を行う「瑕疵担保責任」が、建築会社には義務付けられている。
また、建築会社が独自で提供している保証やアフターサービスもある。具体的には最長30年の長期保証や24時間体制のコールサービス、無料定期点検などだ。住宅の欠陥や不具合は10年以上たってから生じることが多いため、保証期間が長いほど安心できる。建築会社を選ぶ際には、これらの保証内容が明確に提示されているか確認しよう。
営業担当者の対応力
建築会社の営業担当者とは、土地選びから引き渡しまでの期間だけでなく、建てた後のアフターサービスでも長く付き合うことになる。スムーズなやりとりや現場の進行管理には営業担当者の対応力が重要だ。
例えば、レスポンスが早く、的確な提案ができる担当者は相談がしやすい。良い情報だけでなく、デメリットまで正直に伝えてくれる担当者なら信頼できる。
また、こちらの希望を聞き取り、潜在的なニーズまでくみ取れるヒアリング力があれば理想的だ。しっかり話を聞かずに、契約を急がせる営業担当者は後々トラブルになりやすいかもしれないので避けておこう。
施工現場の管理体制
家の品質を確保するためには、施工現場の管理体制が重要な鍵を握る。建築会社と工事請負契約を結ぶ前に、施工現場での管理体制もしっかり確認しよう。
実際に現場に足を運び、雰囲気を知ることができる見学会に参加してみるのもオススメだ。
建築会社によっては、施工現場の見学会が定期的に開催されている。
参加する際には、以下のポイントに注目してほしい。
- 活気のある雰囲気か
- 安全対策が徹底されているか
- 清掃が行き届いているか
- 工事車両の駐車や搬入経路が適切か
家づくり講座についてもっと詳しく→無料で住宅の基礎知識を学べる!スーモカウンターの17の家づくり講座を徹底解説
建築会社の決め手は?先輩たちの実例から学ぶ
ここでは実際に家を建てた先輩たちの体験談をもとに、建築会社を決めたポイントや、その選択が満足につながった理由を紹介しよう。
【Case1】長期保証と家事動線で選んだ住まい
第2子の誕生と妻の仕事復帰を控えていたタイミングで、マイホームを検討し始めたTさん夫妻。家づくりを経験していた妻の友人にスーモカウンターを紹介され来店した。アドバイザーからは大手建築会社3社、地域密着型の工務店3社を紹介される。
結果、長期保証や全館空調が標準装備されている大手建築会社に依頼。また、家族の幸せを第一に考えようとしてくれる営業担当者の対応も決め手となった。建築予算がオーバーすることに迷いもあったが、「省エネ性の高い家なので、長い目で見ればバランスが取れる」と決意を固めたという。
完成した家は高性能なZEH基準をクリアしているため、住み心地は年中快適。全館空調のおかげで室内干しでもすぐ乾き、仕切りのない間取りは動線もスムーズになるというメリットもあった。また、家づくりの当初から希望していた「音楽部屋」もかない、新しい家では家族が気兼ねなく音楽を楽しんでいる。
この実例をもっと詳しく→
忙しい共働きでも家族で趣味が楽しめる、「音楽部屋」のある家
【Case2】狭小地の特性を活かしたユニークな設計
コンビニエンスストアを営む夫妻は、職場に近い場所で家探しを始めた。妻がネットで見つけたのは、職場から徒歩圏内にある三角形の狭小地。そこでスーモカウンターを訪れ、狭小地や特殊な敷地に対応できる会社を紹介してもらった。
注文住宅の経験も豊富でフットワークの軽い営業担当者は、実際の土地を一緒に見に行ってくれた。「ここなら面白い家が建てられますよ」という担当者の一言で土地を購入。家づくりが始まった。
完成した家は、「よくある建売住宅みたいな家にはしたくなかった」という妻の希望どおり、土地の形状を活かしたユニークな家。新聞紙を活用した断熱材を使用しているため、真夏でも涼しく快適だという。さらに、夫や大学生の息子が仲間や友達を家に招くようになり、家の中が活気づいてにぎやかな日々を送っている。
この実例をもっと詳しく→
夫が仕事仲間を、息子がバイト友達を招くようになった三角形の家
【Case3】耐震性・断熱性、暮らしやすさを重視したプラン提案が決め手
老後の暮らしに備え、利便性の高い立地にある妻の実家を建て替えることを検討していたNさん。たまたま立ち寄ったスーモカウンターがきっかけで、本格的な家づくりがスタートした。
阪神淡路大震災を経験したことから、家の工法には地震に強いツーバイフォーを希望。順調に進むかと思いきや、数社の建築会社と打ち合わせを重ねた結果、立地状況から、当初希望していた間取りは困難であり、費用が高くなる可能性もあった。しかし「その間取りでは動線が悪く、生活しづらい」と率直な意見をくれた上で、別のプランを提案してくれた1社に好感を持ち、その会社に任せることにした。
完成したわが家は断熱性にも優れているおかげで、これまでストレスに感じていた床の冷えや蒸し暑さを感じずに過ごせている。さらに老後を意識した間取りで将来に備えられ、気持ちにゆとりのある暮らしが実現した。
この実例をもっと詳しく→
耐震と断熱にこだわり、老後の将来を見据えた家
【Case4】営業担当者の親身な対応で、希望のプランを実現
希望の土地を見つけ、妻の出産後に家づくりをスタートさせたMさん夫妻。スーモカウンターを訪れ、不安のあった資金計画はファイナンシャルプランナーに相談した上で、数社の建築会社を紹介してもらった。
その中で決め手になったのは、営業担当者の人柄だった。家族が自然と集まれる広いリビングや、天候に左右されず洗濯物が干せる室内の物干しスペース、近所の子どもたちが気軽に遊びに来られるオープン外構など、Mさんの要望を親身になって聞いてくれたのが好印象だった。
Mさん家族の要望を盛り込んだ新居は、収納が充実しており、家事がしやすい「大満足な家」に仕上がった。リビング・ダイニングに設置した床暖房と断熱性の高さから、年間のエアコン代も節約でき、家族が快適に過ごせている。
この実例をもっと詳しく→
希望の土地を見つけて家づくりを決心。近隣とのコミュニケーションが楽しい家に
【Case5】「ガウディっぽい家」という唯一無二のデザイン
戸建てを希望してスーモカウンターを訪れたOさんは、アドバイザーの「どんな家がいいか」の問いに、妻のひらめきであった「ガウディっぽい家」と答えた。紹介された数社のうち、Oさんが選んだのは、数寄屋造りをベースとし、デザインの自由度が高い建築会社。営業担当者の、自然に希望を引き出してくれる姿勢も好感が持てた。
「ガウディっぽい家」という思い付きから始まり、ガウディの要素に加え、生活の機能性も取り入れた家が完成した。教会をイメージした両開きの玄関ドアや、アーチ形の垂れ壁は設計士の提案だ。コートやカバンがしまえる土間収納や、将来を見越して柔軟に対応できる間取りなど機能性も備えている。洗濯物が干せるサンルームは、4匹の猫のお気に入りの場所にもなっているそうだ。
「抽象的な要望から具体的な形を導き出し、実現してくれた建築会社に感謝している」とOさんは話してくれた。
この実例をもっと詳しく→
ステンドグラスに玄関のタイル。4匹の猫たちと静かに暮らせる“ガウディっぽい”家
【Case6】耐震性とデザイン性が決め手の二世帯住宅
「三世帯がゆったり暮らせる家を建てたい」と、スーモカウンターを訪れたTさん。紹介された4社のうち、最後の1社に決めたのは、モデルハウスを見学して「個性を大事にしている」と感じたことだったそう。
完成したわが家は、希望していた最高等級の耐震性に加えて、外観のデザインも考慮されている。間取りは1階を親世帯、2階を子世帯にし、適度な距離感を確保。さらに、建築会社の提案で、2階LDKと階段室の間の壁をガラス張りにし、お互いの様子が分かるようにした。
リビングと一体化したバルコニーでは、家族がくつろいだり、バーベキューを楽しんだりと、セカンドリビングのように過ごしている。ピアノ関係の仕事をしているTさんの妻用に防音室をつくり、昼夜を問わず練習ができるようにもなった。Tさん一家は、仕事で遅くなっても子どもの見守りを頼めるだけでなく、親のサポート側にも回れるなど、三世帯が協力して暮らしている。
この実例をもっと詳しく→
広々とした土地に二世帯住宅を建てピアノの練習も子育てもしやすく
【Case7】間取りの提案力が自分たちの希望に合った会社と契約
子どもの入園前に戸建てを持ちたいと思っていたSさんは、やみくもに建築会社を探すよりも、アドバイザーが条件を絞って提案してくれるスーモカウンターに来店した。住まい関連の仕事をしていた経験から、断熱性にはこだわりがあったSさん。希望を伝えて紹介された数社のうち、西側に間口があり、広い玄関のあるプランを提案してくれた1社に決めた。
南西角地で、南側に建物が隣接していない土地を見つけてくれたのも、この会社だった。この立地を活かし、日当たりの良い南と西に大きな窓を設置したリビングは、開放的で明るい。家の寿命や省エネにつながる気密性にもこだわり、大工さんの協力を得て、現場を確認することもあったそう。屋根には太陽光発電を設置し、オール電化でも電気代を抑えつつ、快適に暮らしている。
この実例をもっと詳しく→
プロも納得の住まい選びは、省エネの視点と間取りのこだわり
建築会社の選び方で悩んだらスーモカウンターに相談しよう
ハウスメーカーや工務店などの建築会社選びに迷ったら、効率よく候補を絞り込めるスーモカウンターはオススメだ。経験豊富なアドバイザーが、家の予算や理想の間取りを聞き取り、条件に合った建築会社をマッチングしてくれる。また中立の立場で提案してくれるので、家づくりの知識がない人でも相談しやすい。
アドバイザーと顔を合わせて話を聞きたい、または家族で一緒に相談したい人にはぴったりだろう。希望に合った建築会社の提案だけでなく、土地や資金計画についても無料で相談が可能なので、ぜひ気軽に利用してみよう。
<転載元>
・SUUMO東京の注文住宅(2018年November号)「これでばっちり!注文住宅 家づくりのダンドリ」
イラスト提供/PIXTA
取材・執筆/竹入はるな、SUUMO編集部