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キッチンはどう選ぶ?レイアウト、素材、開放感などによるキッチンの種類と特徴を紹介

キッチンはどう選ぶ?レイアウト、素材、開放感などによるキッチンの種類と特徴を紹介

注文住宅を検討するとき、特にこだわりたい箇所の一つがキッチンです。毎日使うキッチンだからこそ、自分の理想にぴったりなものを選びたい人も多いでしょう。

そこで、キッチンにはどのような種類があって、それぞれどのような特徴があるのか、住まいのアトリエ 井上一級建築士事務所の井上恵子さんのお話をもとに紹介します。

住まいにおけるキッチンの重要性とは?

キッチンの機能や役割

住宅におけるキッチンの役割としてすぐに思い浮かぶのが、調理をする場所ということですが、今は単に調理をする以上の役割があると、井上さんは言います。

「特にコロナ禍で在宅の時間が増え、家で食事をする機会やキッチンを使う機会も増えています。そのため、単に調理するだけではなく、調理中から後片付けも含めて、家族みんなで関わりたいというニーズが高まっているのです。今はリビングダイニングとつながっているキッチンも多く、キッチンが住まいの中心となって家族の交流を促すという暮らしになってきています」(井上さん、以下同)

キッチン選びの重要性

井上さんによると、家族構成やライフスタイルなどがキッチン選びの重要なポイントになると言います。

「今は食生活のスタイルが二極分化しています。外食や、お持ち帰りを買って帰り家の中で食べる『中食(なかしょく)』が進んでいるため、そのような食事が多い場合、キッチンは小さくていいという考え方もあるでしょう。

一方で、健康管理や栄養、味など、食にこだわりたいという人は、キッチンを重視しています。このように、それぞれのライフスタイルにあったキッチンであることが重要です」

テイクアウトか自炊か考える女性

家族構成やライフスタイルがキッチン選びのポイント(イラスト/ノダマキコ)

キッチンレイアウトの種類と特徴は?

キッチンのレイアウトには、1列型、2列型、L字型、U字型があり、それぞれに壁との関係で、ウォール型、ペニンシュラ型、アイランド型があります。

キッチンの種類

キッチンのレイアウトは12のパターンに分けられる(図:公益社団法人 インテリア産業協会『キッチンスペシャリストハンドブック』に掲載の図を基にSUUMO編集部作成)

「もともとは1列型のウォール型が基本です。ここから、2列型、L字型、U字型、さらにペニンシュラ型、アイランド型へと発展してきました」

これらのレイアウトは、主にキッチンスペースと作業効率によって、どのタイプを選ぶかが決まってくると言います。

作業効率に優れた配置は?

「作業効率を考えるとき、『ワークトライアングル』という考え方があります。シンク、コンロ、冷蔵庫の前面の中心を結ぶ三角形のことで、三角形の線の合計の長さが3600mm~6600mmだと使いやすいといわれています」

ワークトライアングルの図

シンク、コンロ、冷蔵庫を結ぶ「ワークトライアングル」が作業効率に影響する(図:SUUMO編集部作成)

作業しやすい高さは?

「システムキッチンとは、基本的にシンクとコンロが一枚の天板(ワークトップ)でつながっているものをいいます。本来なら、シンク、調理台、コンロはそれぞれの動作に適した高さがありますが、一枚の天板でつながっている場合、一般的にはワークトップの高さは包丁で野菜を切るといった調理作業がしやすい高さにします。
作業しやすい調理台の高さの一般的な目安は『身長÷2+5㎝』です。
なお、2列型であれば、シンクのある台とコンロのある台の高さを変えることができます。コンロは、鍋をのぞき込む動作となるため、調理台の高さ-3cm程度がよいとされています」

身長と天板の高さの違い

作業しやすい天板の高さの目安は、身長÷2+5㎝(イラスト/ノダマキコ)

次に、これらを踏まえて、それぞれのタイプについて見ていきましょう。

1列型

「シンクとコンロが横一列に並ぶ基本のタイプですが、同じ並びに冷蔵庫を置いた場合、横移動の連続となり、ワークトライアングルは形成しません。一人で作業する場合、横移動の距離が長くなると作業効率が高いとはいえず、全長で3600㎜程度が限度とされています。ただし、限られたスペースでも設置できるため、その点にメリットを感じる人にはいいでしょう」

1列型のキッチン

1列型は横移動しかできないため作業効率はあまり高くない(図:SUUMO編集部作成)

2列型

「キッチンを2列にレイアウトしたタイプです。シンクの列とコンロの列で分けるのが一般的。ワークトライアングルがきれいに形成され、使いやすいレイアウトといえます。1列型と比べて横幅は節約できますが、キッチンスペースという面では1列型より広いスペースが必要です。キッチンを広く取れる人向きといえるでしょう」

2列型のキッチン

2列型は作業しやすいレイアウト(図:SUUMO編集部作成)

L字型

「キッチンをL字型にレイアウトしたタイプです。2列型やU字型ほどではありませんが、ワークトライアングルの視点でも作業効率は比較的良いほうだといえるでしょう。広いキッチンスペースが必要なことと、コーナーの下部がデッドスペースになりやすい点がデメリットです。

二人でキッチンに立つ場合、横目に相手の位置が見えるので安心です。二人で作業することが多い家庭に向いています」

L字型のキッチン

L字型は二人での作業がしやすい(図:SUUMO編集部作成)

U字型

「キッチンをU字型にレイアウトしたタイプです。ほとんど動かずに一連の作業ができるため、作業効率が非常に高いのが特徴です。ただし、4つのレイアウトタイプの中では、最もキッチンスペースが必要です。スペースが確保できて、使いやすさにこだわる料理好きの人におすすめです。2つあるコーナー下部の使い方にも工夫が必要です」

U字型のキッチン

U字型は使いやすさにこだわる料理好きの人向け(図:SUUMO編集部作成)

ウォール型

ウォール型は壁付け型ともいい、壁に向かってレイアウトされたキッチンです。

「ウォール型はキッチンの基本形です。あまりスペースに余裕がなくても設置でき、シンクの前に窓を設ければ自然の光や風、眺望などを楽しみつつ料理できるというメリットがあります。

一方、リビング・ダイニングの様子が分かりづらいというデメリットがあります」

ウォール型のキッチン

ウォール型キッチン。シンクの前に窓を設ければ快適(画像/PIXTA)

ペニンシュラ型

「ペニンシュラ」は「半島」という意味で、キッチンの片側が壁面に接している半島型のキッチンのことです。お子さんのいる家庭に人気のある対面式キッチンの多くはこのペニンシュラ型になります。

「調理をしながらリビング・ダイニングにいる家族とコミュニケーションを取れるのが特徴です。アイランド型と比較しても、小さい子どもがキッチンに入らないようにする進入防止ゲートを設けやすいというメリットがあります。

また、手元の立ち上がりやコンロの前に壁があるタイプなら、多少キッチンがちらかっていても隠せるため、忙しい育児中の方には特におすすめです」

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コンロ前の壁や腰壁で手元が隠せるペニンシュラ型のキッチン(写真/相馬ミナ)

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アイランド型

キッチン周囲(四方)に空間があって島状になっているキッチンをアイランドキッチンと呼んでいます。

「開放感があって、複数人で使いやすい、コミュニケーションが取りやすいといった特徴がありますが、広いスペースが必要になります。

料理と食事をみんなでわいわい楽しみたい人、来客が多い人、ホームパーティをしたい、料理教室を開きたいという人にはおすすめです。ただし、周囲からキッチンの様子が丸見えなので、きちんと片付けができる人向けでもあります」

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開放的なアイランドキッチンは片付けのできる人向け(写真/Sさんご本人)

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開放感に注目したキッチンの種類と特徴は?

最近のキッチンは、開放的かどうかも重要なポイントになってきています。そこで、開放感に注目した場合のキッチンの種類と特徴について紹介します。

クローズドキッチン

リビングやダイニングと一体化していない、独立した個室になっているキッチンをクローズドキッチンと呼びます。

「調理に集中でき、作業効率が高いのが特徴です。壁が多いため収納を確保しやすい点もメリット。他の部屋に、音や匂いが漏れにくく、片付けにもそれほど気を使わなくて済みます。油ハネもキッチン内で完結するため掃除もしやすいです。
一方で、リビング・ダイニングの様子がわかりづらく、寂しく感じる人がいるかもしれません。

調理に集中したい人、来客が多く、お客さまにはリビングでゆっくりくつろいでほしい人に向いています」

クローズドキッチン

独立した個室になっているクローズドキッチンは、調理に集中しやすい(画像/PIXTA)

セミオープンキッチン

クローズドキッチンとオープンキッチンの中間的な位置づけのキッチンです。腰壁や吊戸棚などでリビングやダイニングと部分的に仕切られており、半個室になっているのが特徴です。

「吊戸棚の設置によって、オープンキッチンよりは収納力を高めることができます。リビング・ダイニングの様子を見つつ、自分の手元は見せたくないという人にもいいですね。子育て中、共働きの人などにおすすめです。
クローズドキッチンよりはリビング・ダイニングに匂いや音が漏れやすいですが、コンロの前が壁になっているものが多く、そのようなタイプだと油ハネの心配は少ないでしょう」

セミオープンキッチン

半個室のセミオープンキッチンは、子育て中の人におすすめ(画像/PIXTA)

オープンキッチン

オープンキッチンは、周囲を壁で仕切られていないキッチンのことです。

「勘違いされやすいのですが、対面式かどうかは関係ありません。ウォール型でもリビングやダイニングと一体化していれば、オープンキッチンです。リビングやダイニングと一体になっているので、クローズドキッチンと比べて面積を節約できる点と、調理、食事、くつろぐという行為が一つの空間でできるので、家族で交流しやすい点が特徴です。

ただし、対面式のオープンキッチンの場合、収納力が少ないのが難点。背面に大容量の収納を設けるなどの工夫が必要です。リビング・ダイニングに匂いや音が漏れやすく、対面式のものは油ハネにも気をつけなければなりません。」

オープンキッチンの実例

開放感あふれるオープンキッチン。家族とも交流しやすい(写真/本美安浩)

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素材や機能などに注目したキッチンの種類と特徴は?

キッチンは、素材や機能などに注目して選ぶこともできます。ここでは、特に人気の高いキッチンについて紹介します。

カウンターキッチン

基本的に対面式で、配膳やちょっとした作業に使える「カウンター」のあるものが、カウンターキッチンと呼ばれています。

「カウンターがついている側には壁がなく、視界が開けているため、調理する人にとっては開放感が感じられます。また、調理中でも家族とコミュニケーションを取りやすい点、配膳や後片付けがラクな点もメリットです。

一方、においがリビング・ダイニングに広がる、油ハネや水ハネする、キッチンの中が見えてしまうといった対面式ならではのデメリットもあります」

家族の顔が見やすく会話のできるカウンターキッチン/注文住宅実例

カウンターキッチンは家族とのコミュニケーションが取りやすい(写真/笠飯幸代(コマーシャルスタジオRizmo))

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ステンレスキッチン

キッチン選びにあたり、ワークトップをどの素材にするかは、好みの分かれるところです。ワークトップの素材としては、昔からあるステンレスが代表的ですが、最近はワークトップ以外のボディや収納もステンレスで統一したステンレスキッチンが人気になっています。

「ステンレスキッチンの特徴は、プロ感のあるデザイン性と、頑丈で汚れがつきにくく、軽く拭くだけで汚れが取れ、お手入れしやすいといった機能性の高さです。最近はバイブレーション、エンボス加工などで表面加工されたものもあり、キズを目立たなくし、かつ表情を出しています。
ファンは多く、家庭の中にプロ風のキッチンを再現できるところに魅力を感じて、ステンレスキッチンを選ぶ人もいます」

ステンレスキッチンの実例

洗練されたプロっぽさが魅力のオールステンレスのキッチン(写真/河原大輔)

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キッチン選びのポイントは?

最後にあらためて井上さんに、キッチン選びのポイントを聞きました。

「キッチンを選ぶとき、使いやすさや見た目なども含め、こだわりたいポイントは多くあります。これからは、例えば男・女共に使いやすいこと、一人ではなく複数人で使うシーンが増えるかも、など、誰がどのように使うかもポイントになるでしょう。今だけではなく、将来のことも考えて選ぶという視点があってもいいですね。

また、レイアウトも大事ですが、作業環境も重視してほしいと思います。長時間過ごすなら、暑さ寒さへの対応を忘れてはいけません。そのほかにも、防災用の備蓄を収納しやすいか、省エネ対応がなされているかといった視点も大事です」

スーモカウンターに相談してみよう

「どうやって進めたらいいのかわからない」「キッチンのプランニングが得意な建築会社はどうやって選べばいいの?」住まいづくりにあたって、このような思いを抱いているなら、ぜひスーモカウンターに相談を。スーモカウンターでは、お客さまのご要望をお聞きして、そのご要望を叶えてくれそうな依頼先を提案、紹介します。

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取材協力/井上 恵子さん
住まいのアトリエ  井上一級建築士事務所  所長。一級建築士、インテリアプランナー。
大学非常勤講師として「キッチンデザイン論」を担当

取材・文/福富大介(スパルタデザイン) イラスト/ノダマキコ