間取りや外観、インテリア、キッチンやバスルームなど、すべてを自分好みでつくれる注文住宅。一生に何度もチャンスがないからこそ、絶対に失敗したくないもの。そこで、段取りや資金計画、建築会社選び、間取りのつくり方など、家を建てる前に知っておきたい情報を解説しよう。
家を建てるには?家を建てるためにすること、家を建てるまでの流れ
家を建てようと決めても、何から始めればよいのかわからないという人は多い。一般的に、土地を用意してから家を建てるまでは、次から紹介する8つのステップで進められる。
■ステップ1:資金計画を立てて予算を決める
資金計画とは、「頭金」と「住宅ローン借入額」をどの程度準備できるか計画を立てること。この「頭金」と「住宅ローン借入額」を合計した金額が、家づくりの予算となる。
「頭金」は、自分たちの預貯金と親からの資金援助で用意する。「住宅ローン借入額」は毎月返済額と返済年数を基準に決めるが、計算が難しいので、銀行やSUUMOのホームページに掲載されているシミュレーションを活用するとよいだろう。
資金計画について詳しい記事を読む→
頭金はいくら用意した?住宅ローン借入額の平均は?先輩たちの資金計画を大公開
■ステップ2:建てたい家のイメージを固める
予算を決めたら、家族で話し合って建てたい家のイメージを固める。「こんな暮らしがしたい」「こんな空間が欲しい」など、希望のライフスタイルや間取りを出し合い、忘れないようにメモしておこう。
イメージが具体的に思いつかない……という人は、住宅情報誌やSUUMOなどの情報サイトの施工実例を参考にするのがオススメ。気に入った写真を見つけたらクリッピングしておくと、後日、建築会社に正しくイメージを伝えるのに役立つ。
■ステップ3:建築会社の情報収集をする
インターネットや住宅情報誌などを活用して、予算と建てたい家のイメージが合いそうな建築会社を探す。会社の情報が多すぎて自分たちでは探せない……と感じたら、「スーモカウンター」のような相談サービスの活用を検討しよう。
■ステップ4:概算見積もりを依頼する
気になる建築会社を見つけたら、住宅展示場や現場見学会、入居宅見学会などに積極的に出かけてみよう。営業担当者に、わからないことを質問したり、その会社のアピールポイントを聞いてみたりすると、自分たちとの相性が見えてくるはず。ピンとくる営業担当者がいたら、予算と建てたい家のイメージを伝え、概算見積もりを依頼する。
■ステップ5:建築会社を決めて請負契約を結ぶ
建築会社から提案された概算見積もりとプランを十分に比較検討したのち、1社に決めて請負契約を結ぶ。注文住宅の請負契約は「工事請負契約書」「工事請負契約約款」「見積書」「設計図書」の4つ書類を用いるのが一般的。種類が多く専門的な内容が多いので、事前にもらって目を通し、不明点を無くしたうえで契約を交わしたい。
■ステップ6:間取りの詳細を決め、住宅ローンを申し込む
請負契約を結んだら、内装や外装、照明やコンセントの位置など間取りの詳細を決める。予算内で希望を実現できるように、納得いくまで打ち合わせを重ねよう。
間取りの詳細が決まったら、建築確認申請や住宅ローン申し込みを行う。建築確認申請は依頼先が行うが、住宅ローン申し込みは自分たちで行うケースが多い。申し込み書類の作成に不安があれば、依頼先に相談するとよいだろう。
■ステップ7:近隣に挨拶に行き、工事を開始
ローン審査に通り、建築確認の許可が下りたら、いよいよ着工となる。着工前には依頼先の担当者と一緒に近隣に挨拶に行き、工事スケジュールや緊急時の連絡先を伝えておくと大きなトラブルを防ぎやすいだろう。
工事期間中には、依頼先や、自治体・各種検査機関が実施する建築検査が複数回実施される。立ち会う必要があるかどうか、着工前に確認しておこう。
■ステップ8:竣工検査を行い完成・入居
すべての工事が終了すると、図面どおりに建てられているか、不具合がないかなどの竣工検査を行う。問題が無い場合には完成、引き渡しとなる。引き渡しの際には、完了検査証や保証書、鍵、設備機器の取扱説明書などを受け取っておこう。
家づくりの流れを8つのステップに分けて紹介したが、これらをスムーズに進めれば1年~1年半で注文住宅を建てることができる。「注文住宅は大変そう…」とちゅうちょせず、流れとすることをきちんと理解して、楽しみながら家づくりを進めたい。
あの家を建てるのに予算はいくら?先輩たちに見る費用相場
注文住宅の場合、同じぐらいの広さの家でも、間取りや内装などによってかかる費用は大きく異なる。そこで、予算と建てられる家のイメージをつかめるよう、建築費※別に5つの実例を紹介しよう。
※ここで紹介する建築費とは、建物本体の工事費(本体工事費)のことで、付帯工事費は含まれない。本体工事費と付帯工事費の詳細は、次の段落にて解説。
■実例1:予想外の出費がありつつも、予算内で大満足の家(建築費1500万~2000万円以内)
妻の実家を建て替えたFさんご夫婦。年齢的に住宅ローンを組めないと考え、予算は1500万円に。古家の解体費だけでなく、建て替え時に土地の改良費がかかることがわかり、建物代のコストアップが許されなかったが、プランの工夫によりたっぷりの収納スペースと明るいリビングのある家を建てた。
この実例をもっと詳しく→
予想外の出費も重なる中、予算内で大満足の家に
■実例2:明るい光が差し込む、家族も来客もくつろげる家(建築費2300万~2500万円以内)
近年地震などの災害が多いこともあり、地盤や建築中の状態を自分たちで確認できる注文住宅に住みたいと考えたHさんご一家。予算内で収める方法をアドバイスしてくれた建築会社と、耐震性も確保しながら明るい光が降り注ぐ、家族も来客ものびのびとくつろげる家を手に入れた。
この実例をもっと詳しく→
完成してからも自分たちでDIYを続けられる環境づくりで、常に快適な家に
実例3:たくさんのこだわりを実現した、子どもとの暮らしを楽しむ家(建築費2500万~3000万円以内)
賃貸の一戸建てに住んでいたKさん夫妻。三姉妹に恵まれてから手狭に感じていたため、長女の小学校入学までに新居を建てることを決意。息がぴったり合う建築会社と、勉強スペース、パントリー、室内干しスペース、高い耐震性と断熱性など、すべてのこだわりを実現した家を建てた。
この実例をもっと詳しく→
息ぴったりの会社とアイデアを出し合った、遊び心あふれる家
実例4:収納がたっぷり!妻の母と暮らす二世帯住宅(3000万~3500万円以内)
祖父の田んぼを宅地にして、妻の母と一緒に暮らす二世帯住宅を建てたWさん。共働き夫婦と幼い子ども、仕事をもつ姑が生活しやすいように、シューズクロゼットや広いリビング収納、ウォークインクロゼットなど各所にたっぷりと収納を設け、キレイをキープしやすい住まいを手に入れた。
この実例をもっと詳しく→
憧れより現実!妻の母と暮らす共働き夫婦の二世帯住宅
実例5:居住スペース確保のために地下室を設置、広々リビングのある家(3500万~4000万円以内)
お祖母さまの住まいだった築40年の家で生活していたSさん。自宅に駐車場を設けたいと考え、擁壁を壊して地下室のある家に建て替えた。擁壁工事と地下室の設置に1000万円以上の予算がかかったが、駐車場はもちろん、居住スペースを広くとり、1階のリビングダイニングを大空間にした。
この実例をもっと詳しく→
居住スペースを広げるために地下室を活用、広々リビングを手に入れた
家を建てるのには何にいくらかかる?家を建てるのにかかる費用の一覧
注文住宅を建てるには、建物自体にかかる工事費はもちろん、それ以外のお金も必要になる。そこで、家づくりにかかる費用を大きく3つに分類し、それぞれに含まれる内容を解説しよう。
■本体工事費
建物の基礎から、内外装、屋根まで、家本体をつくる工事費用のこと。「建築工事費」という場合もある。見積もりに記載される主な項目は下記のとおりだが、工法・構造によっては細かい分類が難しいことから「本体工事費一式」と記載されるケースもある。
ちなみに、本体工事費とは別に、建物本体に付帯する工事項目のことは「付帯工事費」という(詳細は次の段落参照)。
【主な本体工事費】
仮設工事費
工事用の足場組み、防音・防埃シートで現場を囲う、仮設の電気・水道の引き込用などの費用の合計
基礎工事費
地面を掘って突き固め、型枠を組んでコンクリートを流し込みむなど、建物の基礎をつくる工事費
給排水設備工事費
上下水道や給湯の給排水管工事費と、水栓金具の取付け工事費など
木工事費
建物の土台、屋根組み、柱や梁の組み立てや窓枠の作成など、木工職人が行うすべての工事費
内装工事費
壁紙やフローリング、畳など、主に内装仕上げに関する工事費
左官工事費
外壁のモルタル塗り、室内の漆喰塗や珪藻土壁など、コテで仕上げる工事全般の費用
石・タイル工事費
水まわりの床や壁、玄関のたたき、外壁などにタイルや石を貼った場合に生じる工事費
屋根・板金工事費
屋根葺き、軒や雨樋など屋根部分の工事費。外壁をガルバリウムなど板金外壁にした場合、その工事費も含む
住宅設備工事費
システムキッチンやシステムバス、洗面化粧台など、ユニット化した設備機器に関する費用
電気設備工事費
コンセントやスイッチ、分電盤の取り付け、インターホン設置など、電気配線が必要な工事にかかわる費用
金属製建具工事費
玄関ドアやアルミサッシなど、金属製建具に関する工事費
木製建具工事費
室内ドアや障子、ふすまなどの木製建具の工事費。造り付け家具の工事費を含む場合もある
塗装工事費
ペンキやニスなど刷毛やローラーで塗る工事や、吹き付け仕上げにする場合の工事費
雑工事費
どの工事にも含まれないような、手すりやパイプハンガー、タオル掛けなどの工事費
諸経費
工事中に使用する電気や水道代、工事保険、工事車両の駐車場代など、工事には含まれない項目の費用
■付帯工事
建物本体に付帯する工事項目のこと。専門の工事会社に発注するため「別途工事」と言うこともある。必要項目はケースバイケースで、更地に家を建てるなら解体工事費が、地盤が固いなら地盤改良工事費は不要になる。また、依頼先によってはカーテン・エアコン・照明を本体工事費に含む場合もある。
【主な付帯工事費】
解体工事費
古い建物を取り壊す工事費。分別やリサイクルのための処理費も含まれる
地盤改良工事費
建築地の地盤強度を高めるために、土の入れ替えや杭打ちなどにかかる工事費
外構工事費
玄関や駐車場まわりの舗装、門扉やフェンスに関する工事費。造園に関する工事費用を含む場合もある
屋外電気工事費
道路の電柱から、敷地内まで電線を引き込むための工事費
屋外給排水工事費
道路の本官から、建物内に給排水管を引き込むための工事費
ガス工事費
指定された専門会社が、ガス管の引き込みやガスメーター取り付けを行う工事費。建物内の配管工事費用も含む
カーテン・照明・エアコン
後付けできるカーテン、照明、エアコンの商品代金と取り付けに関する工事費
■諸費用
建物の工事費以外にかかる費用のこと。付帯工事費同様に、かかる項目はケースバイケースで、土地を購入しない場合は土地仲介手数料が不要、地鎮祭・上棟式は行わなければ費用はかからない。ちなみに、諸費用は建築工事とは直接関係のない費用なので、依頼先からの見積書には記載されていない。下記に金額の目安を記載するので参考にしよう。
【主な諸費用】
地盤調査費用
土地の地盤強度を調査する費用で、5万~15万円程度が一般的
土地仲介手数料
土地購入時に不動産仲介会社に支払う費用。400万円超の取引の場合「土地の売買代金×3%+6万円+消費税」となる
印紙税
建築会社と交わす工事請負契約書に貼る印紙代。請負契約の金額により印紙代は異なる
建築確認申請費用
設計が建築基準法に合致しているかを役所や指定機関に審査してもらう費用。5万~15万円程度が一般的
地鎮祭・上棟式費用
着工時に地鎮祭を、屋根の完成時に上棟式を行う場合の費用。目安は地鎮祭が3万~4万円、上棟式が3万~6万円程度
近隣挨拶の手土産代
近隣や工事車両が出入りする付近の家へ挨拶に行く際の手土産代。1000~1500円程度の品物が多い
ローン関連費用
事務手数料、抵当権設定費用や保証料などで、合計すると数十万円単位になるケースもある
登記関連費用
完成後に行う、土地と建物の登記にかかる費用と司法書士への報酬料
水道加入金
新築で新たに水道を引く場合や、建て替え時に拡張する場合に支払う。立地条件と自治体により金額は異なる
引越し費用
荷物の量と移動距離、季節により金額は異なる
家を建てるための資金計画は?年収に応じた資金計画の立て方
注文住宅の資金計画とは、「頭金」をいくら用意できるか確認したり、「住宅ローン借入額」を計算したりすることだ。
「頭金」とは、現金で用意できる金額で「自己資金」ともいう。主に自分たちの預貯金や、親からの援助を合計した金額になる。頭金を多く用意できれば住宅ローン借入額を減らせるため、その分の利息を減らせて、総返済額を抑えられる利点がある。
ローン借入額を少しでも減らそうと考え、預貯金のすべてを頭金に充ててしまうケースがある。しかし、家族の突然の病気や、不慮の事故などにより収入が減少する可能性に備え、半年程度の生活費分は手元に残しておいたほうが安心できるだろう。
また、頭金のために親や祖父母から受けた援助は「贈与」となり、贈与税がかかる。ただし援助額や援助を受ける時期によっては、贈与税の優遇措置を受けることができる。贈与を受ける可能性があるなら、事前に国税庁のホームページをチェックしたり、依頼先に相談したりするとよい。
「住宅ローン借入額」は、毎月返済額と返済年数から試算するのが一般的。自分はいくら借入れできるか知りたい場合は、銀行やSUUMOのホームページなどに掲載されているシミュレーションで試算するとよいだろう。
ちなみに、住宅ローンの年間返済額は、年収の25%以内が理想といわれる。これをもとに試算すると、年収別のローン借入額の目安は下表のとおりになる。
税込年収 | 借入額(目安) |
---|---|
300万円 | 2040万円 |
400万円 | 2720万円 |
500万円 | 3400万円 |
600万円 | 4080万円 |
700万円 | 4760万円 |
試算条件:返済負担率(年間返済額が年収に占める割合)25%、金利1.5%、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス時加算なし。条件によっては表記の金額を借入られないケースもある
借入額について詳しく知る→
年収でわかるローンの目安と「買える金額」
ただし、自動車ローンや教育ローン、カードローンなどの返済がある場合、それらの返済額も考慮したうえで、住宅ローン借入額を決める必要がある。というのは、金融機関やローン商品によっても、ほかにローン借入がないか確認される場合があるからだ。
例えば【フラット35】の場合、【フラット35】とそれ以外のローンを合算した借入額が、年収400万円未満なら30%以下、400万円以上なら35%以下であるか、借入時に確認される。
つまり、年収は住宅ローン借入額の目安にはなるが、それだけで借入額を決めるのは避けた方がよいといえる。住宅ローンは返済期間が長いため、子どもの進学や結婚、定年までの年数、自動車の買い替えなど、ライフステージの変化による収入・支出を見越したうえで、無理のない借入額を決めよう。
毎月の返済額や購入可能な金額をシミュレーションしてみよう→
購入可能額シミュレーション
20代で家を建てるのってどうなの?メリット・デメリットを解説
以前は、20代のうちは賃貸住宅に住み、頭金を貯めてから家を建てるケースが一般的だった。しかし近年は、マイナス金利政策の影響により住宅ローンが低金利であることや、頭金が少なくても住宅ローンが組みやすいことなどにより、20代で家を建てるケースが増えている。
そこで、20代で家を建てる場合のメリット、デメリットについて考えてみよう。
■20代で家を建てる場合のメリット
一番のメリットは、ローンの返済期間を長く設定できること。同じ金額を借り入れる場合、返済期間が長く設定できるほうが毎月返済額を低く抑えられるため負担は軽くなる。さらに、ローン完済時の年齢が早くなるので、その分、老後資金を貯める期間を長く取れるというメリットもある。
また、賃貸住宅に住む期間を短くすることで、家賃負担を少なくできる。つまり、家賃として支払う分をローン返済に充てられるので、“マイホームのための貯金”と“家賃の支払い”の重複期間が短くできる。
■20代で家を建てる場合のデメリット
若いうちに家を建てることで、その後子どもの誕生、転勤、転職など、ライフプランの変化に対応が難しくなる可能性があります。
また、収入が少ない場合、借入可能額も抑えられてしまう。頭金が十分に用意できればよいが、そうでない場合には予算の都合で思いどおりの家を建てられないかもしれない。
このようにメリット・デメリットがある20代での家づくりだが、実際に建てた人はどのような家を建て、新居での暮らしを楽しめているのだろうか。2つのケースを見てみよう。※年齢は取材時
【20代で家を建てた実例】
case1:思い通りに建てた家で、ストレスのない暮らしを楽しむ
夫26歳、妻27歳、愛息は1歳という3人家族のSさん。家を建てるにはまだ早いのでは、と言う知人もいたが、妻の育児休暇中に家づくりをスタートし、約1年3カ月後に理想のマイホームを手に入れた。
「以前住んでいた賃貸マンションは、照明のスイッチが押しづらい場所にあったり、ドアの開き方が変だったりして、小さいストレスがたまっていました。その分、自分たちの希望どおりに建てた今の家は天国みたいに暮らしやすいと感じています」(妻)
この実例をもっと詳しく→
子育ても楽しく! 随所に夫婦のこだわりがつまった住まい
case2:限られた予算で、見晴らし抜群の土地に新居を完成
夫27歳、妻28歳、長女2歳、長男0歳のSさんご一家。長女の幼稚園入園前に家を建てたいと願い、土地を探すところからスタート。1年後には条件にぴったりの新居を手に入れることができた。
好みのテイストが合う工務店から、3カ所の候補地を案内されたとき、見晴らし抜群の土地に一目ぼれして購入を決意。「購入した土地はニュータウン内にあるので、同じ年代の子どもをもつファミリーが多く、妻は友達もすぐにできたと喜んでいます」(夫)
この実例をもっと詳しく→
限られた予算で念願のニュータウンに新居完成
いつかは家を建てようと考えている人にとって、20代での家づくりは資金面やライフスタイル面でメリットが大きいといえる。デメリットと考えられるライフプランの変化については、リフォームをしやすい間取りにすれば、ある程度は対応できるだろう。資金面で無理のない計画を立て、長く満足できる住まいを手に入れたい。
土地選びのポイントは?どのタイミングで行うべき?
土地を買って注文住宅を建てたいと考えているものの、土地の探し方や選び方がわからないという人は多いだろう。そこで、スムーズかつ賢く土地を選ぶために知っておきたいポイントを5つ紹介しよう。
■ポイント1:希望条件をまとめておく
希望するライフスタイル、通勤や通学、子どもの学区などを考慮しながら、購入したい土地の希望条件をまとめよう(下記のリスト参照)。さらに、優先順位を決めておけば、購入時に迷った際の判断基準になる。
【まとめておきたい希望条件】
予算
土地購入の予算を決める。金額に幅をもたせておくと探してもらいやすい
エリア・路線
「〇〇市〇〇区内」「○○駅に30分で行ければOK」など具体的に決めるい
最寄駅への所用時間・方法
徒歩で何分までなら問題ないか、バス便を利用してもよいかなどを決める
学区
通わせたい学校があればその学区を調べる。また、子どもを転校させてもよいかを決めておく
買い物施設
スーパーやコンビニ、大型ショッピングセンターなどが近くに欲しいかなど
病院や郵便局などの公共施設
内科や小児科などの病院、郵便局、図書館などの施設が近くに欲しいかなど
■ポイント2:希望するエリアの“相場観”をつかんでおく
情報誌やインターネットなどで情報収集をするとき、希望するエリア内で売り出し数は多いか、価格はどのぐらいかなど、“土地にまつわる相場観”をつかんでおこう。
というのも、非現実的な理想を抱くと、土地探しに長い期間を費やすケースはとても多い。時間と手間のムダを防ぐためには“相場観”を知り、相場的に難しいと感じたら条件を変えたり、幅を広げたりするとスムーズに見つけやすくなる。
■ポイント3:「平らで四角形の土地」にこだわらない
希望する土地は30~40坪程度で四角形、傾斜や段差のない平らな整形地、という人はとても多い。しかし、エリアによっては狭小地や傾斜地、三角形や台形などの変形地しか売り出しがない…というケースもあるだろう。しかし、注文住宅なら、プランを工夫することで住み心地のいい家を建てることは可能だ。
しかも、このような土地は「平らで四角形の土地」よりも価格が低く抑えられていて、お買い得なケースが多い。さらに、緑に囲まれている、借景が楽しめるなど周辺環境に恵まれているケースもあるので、現地へ行ってチェックしてみたい。
【土地の種類とプランの工夫点】
変形地
三角形や五角形など正方形・長方形でない土地。建物を土地の形に合わせるとデッドスペースができない
狭小地
広さ25坪程度の土地。周囲を住宅に囲まれていることが多いが、部屋の配置や窓の取り方で快適な空間をつくれる
傾斜地・崖地
敷地内に高低差がある、または崖に接する土地。傾斜を活かして、眺めを楽しめる住まいをつくりやすい
旗竿地(はたざおち)
旗のような形の土地。道路に接する細長いスペースを駐車場や植栽を楽しむ場として活用しても
北道路
前面道路が敷地の北側に接している土地。日当たりが遮られやすいが、窓の配し方でカバーできる
■ポイント4:「更地」にこだわらない
駅周辺などの利便性が高いエリアは需要が多いので、土地の形状にかかわらず「更地」はすぐに売れてしまうケースが多い。このようなときは「更地」にこだわらず、「古家付き」や「建築条件付き」を探すという方法もある。
「建築条件付き」とは、不動産会社が指定した建築会社と家を建てることを前提にして販売される土地のこと。価格などの交渉次第では建築条件を外せる場合がある。 「古家付き」とは、古くて価値を認められない住宅が建っている土地で、中古住宅として販売されていることもある。解体工事費が必要になるが、物件数は比較的多い。
これらの場合、家を建てるまでに手間と時間がかかるかもしれないが、売り出しの数は多いので、不動産会社からより多くの情報を紹介してもらいやすくなる。
■ポイント5:建築会社と一緒に探す
地域に根ざしている建築会社の場合、個人地主や、特定エリアに強い不動産会社にパイプをもっていることがある。不動産会社に依頼するのと同じタイミングで、建築会社にも土地探しを相談してみるとよいだろう。建築会社から土地を紹介された場合、一緒に見に行ってもらい、建てられる家のイメージを聞けるというメリットもある。
希望の土地が見つかったら、ローンで購入しようと考えている人がいるかもしれない。しかし、住宅ローンは建物に対する融資なので、土地購入にローンを組むことは基本的にできない。土地代もローンで支払いたい場合には、土地購入後3カ月以内に、建物のプランをローン借入先の銀行へ提出し、土地+建物の合計金額でローンを組むのが一般的だ。
3カ月以内に建築会社と間取りの両方を決めるのは、時間的にかなり難しいといえる。時間が足りずに、満足できる間取りをつくれない可能性もあるだろう。希望どおりの家を建てるには、土地探しと同時に建築会社を探し始めることをオススメしたい。
土地探しについて詳しい記事を読む→
ハウスメーカーや工務店は、土地探しもしてくれるの?メリット・デメリットは?
ハウスメーカー・工務店選びのポイントは?
家づくりのパートナーである建築依頼先。自分たちにぴったりと合う依頼先を選び、満足のいく家づくりをしたいもの。ここで紹介する5つのポイントを参考にして“ベストパートナー”を選びたい。
■ポイント1:依頼先の種類と特徴を知る
注文住宅を依頼する建築会社は、主にハウスメーカーと工務店、設計事務所がある。
ハウスメーカーは、営業、設計、建築、アフターサービスのシステムが整えられており、効率よい生産体制により安定した品質が供給される。既成のプランから選ぶ企画型住宅なら、比較的コストをおさえた家づくりも可能だ。施工エリアは比較的広範囲で、全国展開する会社も多い。大手ならではの安心感を重視する人には、ハウスメーカーが向いているといえる。
工務店は、地域に根差した会社が多いのが特徴で、設計からアフターメンテナンスまでを一人の担当者が窓口になるケースが多い。会社の形態や規模、建てる家の特徴はさまざまなので、近所で評判を聞いたり、実際に建てた家を見学したりして情報を集めよう。入居後も身近なホームドクターのようなパートナーを求める人には、工務店が向いているだろう。
設計事務所は、国家資格をもつ建築士が運営する事務所で、施主の要望を活かし、自由度の高い家づくりを行い。間取りプランの作成は建築士、家を建てるのは工務店だが、建築士は工事が図面どおりに行われているかを確認する施工監理も行う。設計事務所は決められたプランや工法をもたないため、好みを反映したオリジナリティーの高い家を建てたい人に向いている。
このように、それぞれに特徴があるので、傾向を把握したうえで依頼先選びを進めていきたい。
■ポイント2:情報収集では施工エリアと価格帯を最初にチェック
依頼先選びのための情報収集は、情報誌やインターネット、住宅展示場などを活用するのが一般的。その際、最初にチェックしたいのが「施工エリア」と「価格帯」だ。
いくら理想にピッタリの家が建てられそうでも、建築地が施工エリア外では依頼が難しい。また、価格帯が予算を大きく上回っていると、希望の広さや間取りが実現できない可能性がある。
施工エリアと価格帯に問題が無さそうなら、資料やカタログを請求したり、展示場に行き担当者と話をしたりして、できるだけ多くの情報を集めておこう。
■ポイント3:複数社から見積もりをもらい、比較する
気になる会社には、建てたい家のイメージと予算を伝え、見積もりを提出してもらおう。提出された見積りは、希望が間取りに反映されているかと、内装・外装材や設備などの仕様をチェックしながら金額を確認しよう。
要望に応えるプランを予算内におさめるのがプロの仕事なので、予算を超えている場合はその理由を聞き、どうすれば予算内におさまるかの説明もしてもらおう。さらに、提案内容と見積もり金額が妥当か確認するために、2~3社に見積もりを依頼して比較するとよいだろう。
■ポイント4:担当者と相性がよく、信頼できると感じる会社を選ぶ
契約から家の完成までには数カ月かかり、打ち合わせの回数も時間も多いのが注文住宅の家づくり。営業担当と相性が合わないと、コミュニケーションミスが生じやすくなるうえ、家づくりが楽しくないものになってしまう。最初の印象や、その後の会話を通して、相性のよさを見極めておきたい。
また、家づくり中は営業担当だけでなく、設計担当や現場監督が担当することも多い。プランの説明時に設計担当者の受け答えをチェックしたり、施工見学会では施主に現場監督について尋ねてみたりして、信頼できる会社なのか確認したい。
■ポイント5:入居後を考慮し、メンテナンス体制と保証内容を確認しておく
家は建てて終わりではなく、その先何十年も住み続けることになる。どんなに施工が丁寧でも経年変化は避けられないため、定期的なメンテナンスで家の寿命を延ばし、快適性をキープしたい。
そのためには、建築会社のメンテナンス体制と保証内容が重要になる。例えば、築何カ月後または何年ごとに行われる定期点検の内容や、費用の負担範囲について確認しておきたい。保証については、契約した会社と結ぶもの、公的機関と結ぶものなどいくつかの種類があるため、どのような制度を利用できるか聞いておこう。
依頼先を選ぶとき、「見積もり金額」や「営業担当者がよさそうだった」などの理由で選ぶケースは多い。特に、期間が限られているときには、冷静に判断できなくなることもあるだろう。しかし、そんなときこそ、この5つのポイントを思い出して、安心して任せられて、自分たちにぴったりの家を建ててくれるような会社を選びたい。
家の内装・間取りの決め方は?
家の内装や間取りを自由に決められるのは、注文住宅の醍醐味(だいごみ)のひとつ。次から紹介する手順とポイントを参考に、建築会社の営業担当者や設計担当者の“プロの力”を借りながら決めていこう。
【内装を決める手順とポイント】
ステップ1:好きなスタイルからイメージを膨らませる
ナチュラル、モダン、和風など、インテリアスタイルにはさまざまな種類がある。まずは雑誌やインターネットなどを見て、自分の好きなスタイルを決め、インテリアイメージを膨らませておこう。後々参考になるように、好みの写真はクリッピングしておくとよい。
ステップ2:空間を大まかな「ゾーン」で考える
「何LDK」といった固定観念をいったん捨て、パブリックゾーンやプライベートゾーンなど、大まかにゾーンで分けて考えてみよう。
ステップ3:部屋と部屋のつながりや動線をイメージする
大まかに分けたゾーンから、リビング・ダイニング、キッチン、個室などを決めていく。家事動線にムダはないか、朝の支度がスムーズにできそうかなど、線を描いてシミュレーションするとよい。
実例:テキパキと家事ができる動線に配慮した間取り
この実例をもっと詳しく→
何かと気を遣う超都心のマンション暮らしから、自然に囲まれた子育てしやすい注文住宅へ
ステップ4:部屋ごとに収納するモノや置く家具を決める
どこに何を収納するかを決め、必要な収納スペースと場所を割り出す。また、家具や家電の置き場所は、部屋の広さや形、照明器具やコンセントの数に影響するため、ここで考えておきたい。
実例:子育てしやすさと片付けやすい収納にこだわった間取り
この実例をもっと詳しく→
空き家になっていた祖母の家を建て替え!子どもたちが元気に遊びまわれる家
ステップ5:ドアや窓の位置、大きさを考える
ドアは、使い勝手や家具の配置を考慮して、内開き、外開き、引き戸を決める。窓は、光と風の入り方、何が見えるか、外からの視線はどのように入るかなどを考えながら形状と開き方を選ぼう。
実例:2階のLDKから“レイクビュー”が楽しめる間取り
この実例をもっと詳しく→
カーテンを開けると「レイクビュー」。家族も猫も大満足、漆喰壁にこだわった家づくり
着工~完成までの流れ
家づくりの最終段階となる着工から完成までの流れを、気を付けるポイントと併せて解説。するべきことのイメージを膨らませたり、忘れていることはないかのチェックに活用しよう。
■着工
□地鎮祭を行う(行わない場合もある)
□依頼先と一緒に、近隣にあいさつに行く
□地縄張りに立ち会い、建築位置などを確認する
□依頼先に着工金(着手金)を支払う
□時々工事現場に行き、進行状況を確認する
<Point>
地縄張りとは、工事責任者が敷地の中に建物の外周どおりにビニールひもなどを張り、建物位置を表す作業のこと。必ず立ち会い、隣家や道路との位置関係や、駐車スペースとの兼ね合いをチェックしておこう。
■上棟
□上棟式を行う(行わない場合もある)
□依頼先に中間金を支払う
■竣工
□竣工検査に立ち会う
□所有権保存登記など、司法書士に登記手続きの依頼をする
□登記後、住宅ローンの融資契約を結ぶ
<Point>
竣工検査とは、完成した建物にキズや汚れ、設備機器などの不具合がないかを、営業担当者や工事責任者と一緒に確認すること。検査でチェックしておきたい項目を事前にリストにまとめておき、当日持参するとチェックモレを防げて安心。
■引き渡し
□依頼先に残金を支払う、借り入れをした住宅ローンの融資が実行される
□完了検査を受けて、検査証と保証書、家の鍵をもらおう
■完成・入居
□水道、電気、ガスの利用開始依頼を行う
□引越しをする
□近隣に入居の挨拶に行く
スーモカウンターでできること
注文住宅を建てたいと決めても、何から始めればよいのか分からないという人はとても多い。そんな人こそ上手に活用したいのが、家づくりをサポートしてくれる「スーモカウンター」だ。
スーモカウンターで相談に応じてくれるのは、建てる手順や建築会社の情報など、家づくりに関する知識が豊富なアドバイザーだ。これまでに多くの人をサポートした経験を踏まえ、不安や疑問に対して的確なアドバイスをもらえる。
主な相談の方法は、他の人を気にすることなくじっくりと話ができる「個別相談」と、気になるテーマについて話が聞ける「家づくり講座」。相談はいずれも無料だ。
スーモカウンターの個別相談予約はこちら →
https://www.suumocounter.jp/chumon/service/
スーモカウンターに来る方に多い相談内容が、家づくりの費用の目安や、資金計画の立て方など、お金に関すること。このような相談に対し、アドバイザーは年収や毎月返済額から無理のない資金計画をシミュレーションしてくれる。また、希望者に対してファイナンシャルプランナーを紹介することも可能だ。
次からは、資金計画の立て方や家づくりの費用に関する講座と、講座に参加した人のクチコミを紹介しよう。
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【お金に関する不安を解消できる講座・3選】
■ファイナンシャルプランナーが教える 注文住宅の資金計画講座注文住宅を建てるまでのダンドリを知りたい人にオススメの講座。予算の決め方など資金計画や土地の探し方、建築会社の選び方など、自分だけでは気付きにくい基本のポイントが無料で学べる -
■注文住宅価格まるわかり講座注文住宅はこだわりによって大きく価格が変化する為ため、価格の基準がわかりにくいといわれている。予算内で家を建てるために知っておきたい建物費用の相場、家づくりにおけるコストダウンのヒント、予算に合った建築会社を選ぶポイントについて初心者でもわかりやすく解説。
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■ローコスト 家づくり講座「予算は限られているけれども、こだわりの家を建てたい」と思っている人におすすめの講座。注文住宅で起こりがちな予算オーバーを、未然に防ぐための費用を賢く抑える方法を学べる。また、具体的な建築会社の事例などを交えて、わかりづらい注文住宅の価格を丁寧に解説。
【参加者のクチコミ】
・自分たちの貯蓄額と年収からどれだけローンを組めるのか、シミュレーションを提示してくれたのがとても参考になりました。スケジュール面のアドバイスも的確で、楽しく家づくりができました(Mさん/イオンモール京都で相談)
・モデルハウスの担当者には「いまの予算や家計内容で注文住宅を建てるのは難しいかも」と言われかなり落ち込みました。でもスーモカウンターで相談したら、自分たちの予算でも注文住宅が建てられるとわかり、予算に合う会社を紹介してもらえました(Mさん/アリオ鳳店で相談)
・「まったくの素人で月々の支払い額の相場もわからないのでイチから教えてください」と頼むと、資金計画をわかりやすくレクチャーしてくれたうえで、予算や希望に合う3社の工務店を紹介してもらえました(Hさん/東急プラザ蒲田店で相談)
・スーモカウンターからファイナンシャルプランナーを紹介してもらい、予算のアドバイスをもらいました。それまで資金に関するプロに相談する機会がなかったので、信頼して相談できました。ネットのシミュレーションでは厳しい予算が出たのですが、ここで相談したおかげで将来のライフプランやマネープランがはっきりし、会社選びの決断につながりました(Hさん/イオンモール久御山店で相談)
ちなみに、スーモカウンターは依頼先を決めるまで、何でもアドバイザーに相談できる。建築会社に直接聞きにくいことや、断りたいときにも、アドバイザーから連絡してもらうことも可能だ。
お金のことや建築会社選びなど、わからないことが多くて前に進めない……という人は、気軽にスーモカウンターに相談に行ってみよう。
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佐川旭建築研究所代表。一級建築士、インテリアプランナー。間取り博士とよばれるベテラン建築家で、住宅だけでなく、国内外問わず公共建築や街づくりまで手がける